Hightension School Jo×Jo   作:尾河七国

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長らくお待たせいたしました。尾河です。

期末テストがようやく終わりましたので、投稿を再開します。

そしてお気に入り件数が100件を突破致しました。この場を借りて厚く、御礼申し上げます。


それでは第8話、どうぞ



第8話《修道女》

先の討伐より三日後、帰路についていた丈城はとある出来事に遭遇していた。

 

 

「はわう!?」

 

 

突然後ろから声がし、直後に路面に何かが転がる音がした。振り返ってみるとシスター姿の少女が倒れている。どうやら典型的な石にけつまずいてのようだ。

 

 

「…や~れやれだぜ」

 

 

丈城は仕方なく、彼女を助け起こすために近寄った。

 

 

「大丈夫か? お前。足元注意だぜ?」

「あうぅ、なんでこんなに転んでしまうんでしょうか……ああ、すみません。ありがとうございますぅ」

(声からして……相当トロい奴だな。もしくは俗に言う"ドジっ娘"ってやつかな)

 

 

差し出された手をとってシスターはゆっくり起き上がる。すると丈城の背後から風が吹き、シスターがつけていたヴェールが飛んでいってしまった。そしてヴェールの中で束ねていたと思われるブロンドヘアーが風を受け露になり、彼女と丈城の視線がぶつかった。

そのシスターは丈城でも一瞬心が奪われるくらいの美少女。が、当の彼はドキッとなったもののすぐ自我を取り戻し、再び彼女に話しかけた。

 

 

「…顔立ちからして外人か。旅行かなんかか?」

「あぁいえ、違うんです。実はこの町の教会に赴任することになりまして……あなたもこの町の方なのですね、これからよろしくお願いします」

「おぅ、よろしくな。俺は兵藤丈城。ジョジョと呼んでくれ」

「私はアーシア・アルジェントと申します! アーシアと呼んでください!」

 

 

飛ばされたヴェールを拾う道中に自己紹介を済ませる二人。アーシア・アルジェントと名乗ったシスターは丈城が埃を払って差し出したヴェールを受け取り、さらに礼の言葉を重ねた。

しかしシスターが何故こんなところにいたのだろうか?

 

 

「この街に来てから困っていたんです。私、うまくしゃべれなくて……」

「(成程、だから道に迷ってここにいたのか。英語の授業がめんどくさくて『安全装置(セーフティロック)』を仕掛けといたのが、こんなところで役に立つとは…)それは不運だったな。でもよかったじゃねぇか、こうやって対話できる人に会えたんだから」

「そうですね! これも主のお導きのおかげですね!」

「そだな。んで目的地はどこなんだ?何なら俺が案内してやるよ。大方この町の地図は頭に入っているから」

「ほ、本当ですか! あ、ありがとうございますぅぅ!」

 

 

丈城の提案を飲んだアーシアは彼の手をとり、涙で潤んだ目で微笑んだ。こうして二人は目的地である教会へと向かった。

 

その道中、

 

 

「ん? …なんだ、植木鉢か」

 

 

住宅街を横切っている際、路面に散らばる何かを見つけた。近寄ってみると、隣の民家の塀から落ちたと思われる植木鉢が粉々になっている。住民は気がついていないようだ。

 

 

「このまま放置すると花が枯れちまうな……」

「そうですね…どうしましょう」

 

 

アーシアはいとおしそうに花に手を添える。それを見た丈城は暫く考え

 

 

「……よし、治すか」

 

 

スタンド能力を使用することを決断した。

 

 

「えっ? ジョジョさん、治すって……?」

「俺の能力みたいなものだ。見てろよ……」

 

 

丈城は『クレイジーダイヤモンド』を側に出し、砕けた植木鉢にその手をかざす。すると植木鉢の破片は徐々に底から元の形へと復元していき、土も花もその中へ戻ってゆく。そしてものの数秒で植木鉢は元通りに復元した。

 

 

「!?」

「あーわりィわりィ、いつものノリでやっちまった。この力は俺の能力の一端で、『破壊されたものを修復する能力』なんだ。こんな風にぶっ壊れた物を元通りに出来るし、人の怪我だって治せるぜ」

「そうなのですか…ジョジョさん"も"神様からそのような素敵なものをいただいたのですね」

「あなた…"も"?」

 

 

塀の上に植木鉢を置きながら、丈城はアーシアの言葉に引っ掛かりを感じて尋ねる。"も"ということは、彼女も『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』のような神器を所持しているというのだろうか。

 

 

「はい、私も『治癒の力』といって、神様が授けてくださったものがあるんです。同じものを持つもの同士の出会い……きっと神様が私達を巡り合わせてくれたのですね!」

 

 

手を合わせ、神にお祈りを捧げるアーシア。しかし丈城は彼女の様子が、何か無理をしているようにしか見えなかった。

 

 

「……まぁ、そうなんだろうな。んじゃ植木鉢も戻したし、教会へ行こうか」

「はい!」

 

 

どうやらスタンド使いではなかったようだ。(というか絶対ない)そして暫く歩き、二人は目的地である教会へと辿り着いた。

 

 

「到着だぜ。おもいのほか遠かったな」

「ありがとうございます!! 良かったぁ」

 

 

教会…にしては、丈城の目には廃墟にしか見えなかったが、彼女はここが目的地だという。何とも奇妙な話である。

 

 

「それじゃ、俺はこれで」

「待ってください! 私をここまで連れてきてもらったお礼を教会でさせてください!」

「あぁ…本当に悪いが、この後急ぎの用事があるんだ。大丈夫だって。また会えるよ」

「そ、そうですか……それではジョジョさん、必ずお会い致しましょう!」

 

 

急ぎの用事と言われたアーシアはそれ以上丈城を引き留められず、そのまま二人は再会を約束して別れた。

暫く歩いたところで、丈城の左手甲が赤く光りだし、ドライグが彼に語りかける。

 

 

『相棒…今のシスター…』

「あぁドライグ。あの教会といい、そこを目的地にしていたアーシア・アルジェントというシスター…そしてこの前の堕天使騒動。ひょっとしたら俺達はあのレイナーレのグループのアジトを見つけちまったかもしれねぇな…。俺の読みが正しければ、この二週間以内にまたあそこにいくかもしれない。……フフッ、たーのしみ☆」

『遠足感覚で言うなよ……さすがに俺でもゾッとしたぞ』

「気にするな。勝てば済むことだ」

 

 

某フルメタルな軍人の台詞を口にし、彼は早く帰宅するため、夕闇に染まる町中へと姿を溶け込ませていった。

 

 

☆☆☆

 

 

「そう…そんなことがあったの」

『送ってくれたから見逃してくれのか、はたまた人間だからスルーしたのか、いずれにしろ大丈夫だとは思うけどな、リア』

 

 

その夜、旧校舎にはリアと丈城のスタンドの一つ『ブラックサバス』が連絡係として話し合いをしていた。余談だか何故スタンドだけが来たのかとリアが問うと、丈城は"同居人が寂しがって動けないから仕方なく"と返されたそうだ。『ブラックサバス』の説明を軽くして、彼は今日の帰り際にあった出来事を報告した。

 

 

「だけど先方にあなたが私達と関わっていることがバレれば、それこそ大変な事になるわ。しかもジョジョの話が本当なら、そこは堕天使・レイナーレの一味の潜伏場所なのでしょう? 尚且危険よ」

「リア、ひょっとして俺が死ぬとでも思ってる?」ニヤニヤ

「……心配するまでもなかったわね。あなたはチートそのものだってことをすっかり忘れていたわ」

 

 

頭に手をやり、やれやれといった具合で嘆息するリア。丈城に至っては『ブラックサバス』でジョジョ立ちの練習までしている始末。緊張感が全くなかった。

 

 

「兎に角、堕天使が放つ光の槍は人間にも、私達悪魔にも有害だから、くれぐれも注意して頂戴」

『アラホラサッサー。んじゃそろそろ同居人も眠たいって言ってるから、そろそろブラックサバスをこっちに戻すわ。それじゃ、お休み』

「ええ、お休みなさいジョジョ」

 

 

一通り話終えた二人は互いに別れの言葉を口にし、丈城はブラックサバスを影に潜らせて、本体である自身の元へ戻す。リアもソファにもたれかかって仮眠をとり始めた。

 

 

しかし、事件の歯車は既に動き出していた。

 

 

(←To Be Continued…)

 

 




はい、というわけでヒロイン二人目・アーシアの登場回でした。

そういえばネタバレになるのですが、この後の事件でアーシアちゃん一回死んでしまうんですよね。どう話を展開しよう………


では、また第9話でお会い致しましょう。

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