Hightension School Jo×Jo   作:尾河七国

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こんにちは、尾河です。

今回はいよいよ原作主要メンバーとの初接触です。丈城は悪魔となるのでしょうか?

それでは第6話、どうぞ。


第6話《デビル・ファーストコンタクト》

レイナーレの一件より、翌日。

 

この日も丈城は何事もなく登校した。恐らく用意周到な彼女の事である。自分達に関する事柄は全て隠滅しているだろう。その証拠にスマホで撮った二人のツーショットは消去されており、残っていたのはあまりにも大きい財布の爪痕と高額な金額が記されたレシート数枚だけ。

 

それともう一つ、気になることが増えた。丈城が暴いた悪魔の存在である。あの時自分の死角となる場所に悪魔がいたのなら、自分が襲撃されたことを知っている筈。否、そうとしか考えられない。

 

 

(全く…用があるんなら正々堂々真正面から来いっつーんだよ)

 

 

丈城は軽く苛立ちを覚えていた。コソコソ監視じみたことをするのではなく、用件をキチッと伝えてくれればそれでいいのである。だが先方はそうしない。それがまた何とも腹立たしかった。

 

同日の放課後。

教材と筆記用具を鞄の中に突っ込んで、彼は帰宅の準備をしていた。そして帰ろうと席を離れた時、廊下が一層騒がしくなる。何事かと思って顔を覗かせてみると、モーゼの海渡りの如く人混みが割れて一人の人物がやって来た。

特徴的な紅の髪、丈城が念写によって悪魔だと判明した駒王学園の3年生『リアス・グレモリー』だった。ようやく来たかと睨んだ丈城はそのまま外へ。そしてあえて彼女の脇をすり抜けて帰る素振りをみせた。すると

 

 

「2年の兵藤丈城君……かしら?」

 

 

一切振り向かず、リアスは彼を呼び止めて本人の確認をとった。その問いに彼は口元を上げ

 

 

「……いかにも、俺がジョジョだ」

 

 

と返した。

 

 

「貴方に用があって来たの。ついてきて頂戴」

「それが人に頼む態度かよ先輩。…まぁいいや、別にいいぜ」

 

 

多少の高圧的な態度に苛つきながらも、丈城はリアスの後についてゆく。一旦外に出て、彼女らが向かった先は旧校舎。入口を通りとある一室に着くと、扉をギィッと押して中へ入った。ここが目的地らしい。

 

 

「ただいま。例の彼、つれてきたわよ」

「「「お帰りなさい、部長」」」

 

 

辿り着いたのはオカルト研究部の部室だった。学園内では先の有名人達(変質者二人を除く)が全員そこに所属しているため、かなり有名な部活である。まぁ丈城は興味すらなかったので気にも止めていなかったが。

部室にいたのはリアスを除いたオカ研フルメンバー。奥の机の側に立っている3年の姫島朱乃、ソファに座って読書をしている2年の木場裕斗、反対のソファで羊羹をつまんでいる1年の塔場小猫の3人だった。

 

 

「そこに掛けて頂戴」

「へいへい」

 

 

丈城はリアスに言われて、小猫の隣に腰掛ける。それに向き合うように彼女も裕人の隣に座った。

 

 

「どうぞ。粗茶ですわ」

「あぁ、こりゃどーも」

 

 

朱乃が淹れた紅茶を一口もらい、丈城は改めてリアスと向き合う。

 

 

「改めて、初めましてになるのかしら?」

「そのようだな、先輩」

「ご高名はかねがね聞いているわ。私達オカルト研究部は貴方を歓迎します」

 

 

リアスはそう言って一拍開けると、その場にいた全員と共に、

 

 

 

 

 

「悪魔としてね」

 

 

 

 

 

悪魔の翼を展開した。…が

 

 

「……………」

 

 

元々正体を知っていた彼にとっては当然わかっていたこと。ジト目で思いっきりノーリアクションをしていた。そのまま謎の沈黙が続き…

 

 

「……あの、何かしらのリアクションをとってくれると嬉しいのだけれど。これじゃまるで私達がスベった空気になっちゃうから…」

 

 

沈黙に耐えかねたリアスが苦笑いで丈城にリアクションを求めた。そしてその呼び掛けの答えの代わりなのか、彼は無言で懐に手をやると、例の『隠者の紫(ハーミット・パープル)』で念写した写真を取り出して隣の小猫に手渡す。

 

 

「……? …ッ!? 部長…これ…!!」

「何? …これは…ッ!!」

 

 

それを見たリアスや朱乃、木場や小猫は驚いた。それもその筈。写真だけでなく、『星の白金(スタープラチナ)』が書き出した紙も一緒に出されたのだから。

 

 

「…ヘッ、驚いたろ? 初対面にも関わらず、自分達の隠しているもう一つの顔を知っているなんてよ」

「貴方……一体何者なの? こちらの情報では、貴方の神器は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』だけの筈じゃ……」

「やっぱ知ってたか……まぁいいや。隠す必要も無さそうだし」

 

 

リアスは怪訝な表情で問う。彼はその問いに対し、右手を高く掲げて『隠者の紫』を発現させた。

 

 

「「「「!?」」」」

「大アルカナ9番目のタロット『隠者』の暗示『隠者の紫』。能力はカメラやTVを使っての念写。今回はカメラを使ってあんた達を調べた。といっても、例の堕天使のついでだがな」

「二つの…神器所有者だというのかい?」

「厳密に言ってこいつは神器じゃない。スタンドという固有の能力を持った、守護霊的存在だ。本来スタンドは一人につき一体しか所有出来ないが、俺は複数体扱うことができる」

「あらあら、ということは他にどんなスタンドがあるのかしら?」

「んー…つっても本体である俺自体、その数を把握してねーしな……しいて言うなら"時間停止"、"殺人ウィルス"、"空間を削り取る"とかかな?」

 

 

丈城の説明に凍り付く一同。そして一拍置いて

 

 

「…丈城君、あn「だが断るッ!!」そ、そんなハッキリ言われても…」

 

 

まぁ、彼にとっては仕方のないことだろう。

 

 

「この兵藤丈城が最も好きな事のひとつは、自分が絶対的優位にあると思っている奴にNO!と断ってやることだ…!」

「で…でも、悪魔になれば人間よりも長生きできるし、簡単には死ななくなるのよ?」

「死にたいから悪魔になりたくないわけじゃない。これは……『証明』のためだ。あんた達人外に向けてのな」

「証…明……?」

 

 

丈城は目を細める。

 

 

「俺は過去に悪魔の一派に遭遇し、軽くだが馬鹿にされた。あんた達にとってはそんな程度かもしれねーけど、スタンド能力を持った俺にとっちゃ、人間だからって馬鹿にされるのは嫌なんだよ。だから俺は人間はやめない」

「そう…残念だわ」

 

 

思わぬ反論をされたため、リアスはそれ以上勧誘することはできなかった。するとそれを見た丈城がこんなことを口にする。

 

 

「でも、あんたは少し違うみたいだ」

「…?」

「俺は、人が人を選ぶにあたって最も大切なのは『信頼』だと思っている。それに比べたら頭がいいとか、才能があるなんて事はこれっぽっちもない」

 

 

淡々と自論を述べてゆく丈城に一同は黙り込んでしまう。

 

 

「極端な話、俺はあんた達を試したい。17世紀の神学者・フラーは、『見えないところで友人を良く言っている人こそ信頼できる』と述べた。あんたから違う雰囲気を感じたからこそ試したいんだ。あんたが信頼できる人…悪魔かどうかを」

「それなら……私達は一体何をすればいいのかしら?」

 

 

やっと声を絞りだしたリアスは丈城にそう尋ねた。

 

 

「別にない。ただ一つ、俺をここに置いてくれさえすればそれでいい。あとは勝手に俺があんた達を見るからさ」

「それは…契約という意味かしら?」

「Exactly(その通り)」

「……わかったわ。契約内容を聞きましょう」

「この部への入部、代価は部やあんたの一派に尽力を尽くす。これでどうだ?」

 

 

丈城の提案にうっすら笑みを浮かべ、リアスはそれを飲んだ。

 

 

「OK、契約成立だわ。これから私のことは部長と言いなさい」

「日笠○子じゃダメか?」

「CVは却下。というか中の人なんていないから」

「いいじゃんか。俺は性格上歳上には愛称じゃないと呼びたくねーんだよ。安心しろって、変なのはつけねーから」

「ハァ……仕方ないわね。ただし変なのはダメよ」

「グレート! これから厄介になるぜ"リア"。よろしくな」

「えぇ、こちらこそ……というか前々から気になっていたのだけれど、名前は"ともき"なのになんであだ名は"ジョジョ"なの?」

「丈城の読み方変えて読んでみ」

「……あぁ、そういうことね。改めてよろしく頼むわ、"ジョジョ"」

 

 

無事契約が成立し、二人は立ち上がって握手をかわす。

果たしてこの選択は、丈城にとって吉とでるか凶とでるのだろうか。

そしてオカ研のメンバーになった丈城はこの夜、早速呼び出しをくらうこととなる。

 

悪魔のお仕事、開始である。

 

 

(←To Be Continued…)

 




ハイ、というわけで丈城は人間続行を選びました。

彼が密かに決意していた『人外に対する、自身という人間の証明』のためを理由にしましたが、実際の所どうやって彼を動かすかまだ未定なんですよね。

そして満を持して出したオカ研メンバーとメインヒロイン。後者は言わずもがな、リアスにしようと思っています。


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