Hightension School Jo×Jo   作:尾河七国

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はい、大変長らくお待たせしました。尾河です。

今回から大波乱が予測される授業参観編でございます。いつもよりネタとギャグの増し増しでお送り致します。

では、どうぞ。



第44話《無限の龍神、学校へゆく》

 

『それじゃあ丈城、アーシアちゃんによろしくね』

「わーったからわーったから。朝早くからテンション高いのはよく伝わったから勢いでこっちに連絡寄越さなくていいっつの」

「ジョジョー、ごはんー」

『ニャー!』

「へーへーちょっとお待ちよ! …ンなわけだから切るぞ、お袋。また学校でな」

 

 

 白龍皇との思わぬ邂逅から数日過ぎたある早朝。

 様々な事があったものの、丈城が間借りしているアパートではいつもと変わらぬ朝を迎えていた。しかもこの日のイベントも相まって忙しさが増しているというのに、実家からの興奮冷めやらぬ電話の対応で大幅にタイムロス。遅れを取り返すべく丈城は自らの両腕にエルメェスのスタンド『キッス』のシールでアシュ◯マン状態になって朝食の支度を開始した。

 

 

「おはようジョジョ……私としたことが寝過ごしたわ」

「ウッスリア。今日俺やっとくから、明後日の当番と交代な」

「! いっけない……私今日当番だったのすっかり忘れてたわ……!」

「気にすんなっての。ついでに延長で昼飯も作っとくぞ」

「ジョジョさん、めざしが焦げてます!」

「オーケーちょいまっち!」

 

 

 と、そこへ寝過ごしたリアが起きてきた。最近仕事疲れも合わさって寝起きが悪い彼女は今朝の当番であった事を思い出す。しかし手慣れた丈城があらかた終わらせた後でもあり、『ハーヴェスト』に配膳を押しつけた彼は続けて弁当の用意に取り掛かる。

 

 

 とまぁそんなこんなで朝食および弁当の中身が完成した。

 この日のメニューは白米に味噌汁とめざしの塩焼き、漬物各種といった定番の和食セット。それぞれ食べ始める中、丈城は引き続きアシュ◯マン状態で食べながら『ゲブ神』と共に弁当を詰めてゆく。そんな器用な芸当を披露していると

 

 

「…ジョジョ、我も学校、行きたい」

「「「えっ!?」」」

 

 

 急にオーフィスがそんな要求をしてきた。

 

 

「今日、特別な日らしい。ジョジョの母、そう言っていた」

「オーフィスさん、授業参観に行きたいのですか?」

「うん、行きたい」

 

 

 どうやら丈城と母親のやり取りをちゃっかり聞いていたようだ。いつもなら仕方ないなと渋々首を縦に振るところだが、この日ばかりはそうもいかない。

 

 

「つってもなぁ、来る父兄のメンツがメンツだからな……リア、ゼクスを通してオーフィスの件は伝わってるよな?」

「えぇ、一応は。建前はお兄様の監視下に置かれていることになっているけど、特に害はないって気にも留めていないわね。お父様に至っては親戚の子供扱いしているし」

「よーするに問題ねぇと」

 

 

 まぁゼクスのフレンドリーさから察するに、二人の両親も相当朗らかな性格なのだろう。

 

 

「まぁ今日ぐらいいっか。ゼクスの付き添いって形で同伴させても。但し周りの邪魔をしないって約束できるならよし。一応俺のいとこって事にしとくから、うっかり変なこと口にするなよ?」

「うん、わかった」

『ニャー』

 

 

 本人の了承も得、学校に初めて (合法的に) 行く事を許されたオーフィス。するとそれに便乗するかのように、窓辺の鉢植えからリーフが首を伸ばして自分も行くと言わんばかりにアピール。次第に丈城は頭が痛くなってきた。

 

 

「…あーもういいや。リーフの方は魔法でオーフィスの髪飾りかなんかにして誤魔化しとこうぜ」

「随分適当ねぇ」

「食事中と弁当詰めしてる最中に頭働かせろって言うほうが無理だよ。それも朝っぱらから」

 

 

 普段からこんな流れになることはないのだが、丈城は若干朝に弱いタイプの人間であり、多少のトラブルならこんなに悩みはしない。だがピストルズ並みに畳み掛けられると流石に応える。その他の要因はいろいろあるが、基本彼のストレスは大体朝にたまりやすいのだ。

 

 今日は平和な1日であってほしい。リアによるリーフのカムフラージュ魔法の光景を眺めつつ、丈城は朝食の手を進めるのだった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 時は流れて駒王学園。

 この日のグラウンドは白線が引かれ、訪れる父兄用の駐車場として使われている。実際授業参観は三時限目から始まるのだが、二年生の丈城のクラスでは朝早くから騒々しかった。

 

 その理由は……

 

 

「ったく……なんでフライングすっかなぁオメーは」

「やっぱり、ジョジョと一緒がいい」

 

 

 本来であればゼクスと共に行動……する手筈だったのだが、待ちきれないとばかりに早くもHR中にオーフィスが乱入してきたのだ。HRを一時中断して担任教師と協議した結果、今日一日だけなら一緒にいてもいいと許可が下りたため現在に至る。

 いつもの黒っぽいゴスロリとは違って清楚な白を基調としたロリータファッションに身を包み、頭にはリアの魔法によって髪飾りに化けたリーフ。ミステリアスな雰囲気から一新した彼女の姿は男女問わずクラスメイトの視線を釘付けにして離さない。一方当人の視線の先は丈城に向けられており、彼の膝の上に対面して座っている。当然動こうとしない。

 

 

「むぅぅ〜……ぷくー!」

 

 

 ……でもってそのお隣にはクラスの癒し系担当が絶賛ヤ〇モチス〇リュー中。これに加えて学園の二大お姉様やマスコットを側に置いているものだから、周りから向けられる視線は大体嫉妬や羨ましいといったものばかり。しかし誰も彼に対して報復行動を起こそうとしなかった。そりゃそうだ。丈城に力技で敵うはずがないのだから。

 

 

「しっかしまぁ、つくづく思うけどジョジョってほんっとツイてるわよねー。学園にも身内にも美少女がいるなんて」

「よ、山崎〇るか」

「中の人なんていないわよ」

 

 

 膨れたアーシアの頬をオーフィスと一緒に突っついて遊んでいると、眼鏡をかけた少女・桐生が声をかけてきた。彼女はジャンル的には元浜や松田と同じなのだが、人格者としては常人側に傾向している。それでもエロ娘に変わりはないのだが。

 

 

「裏じゃ結構妬まれてるわよ? いただきますできる環境に恵まれてるっていうのに、その幸運を蔑ろにしてるって。クラスのみならず他学年の男子が嘆いているわよ」

「なんだよいただきますできる環境って。そういっても意図してこうなったわけじゃねぇし、俺自身どうしようもねぇよ。多分偶然の重なりじゃねぇの?」

「それ、かえって皮肉に聞こえるわよ」

「そうとしか説明のしようがねぇじゃねぇか」

 

 

 口が裂けても赤龍帝の恩恵とは言いたくない丈城であった。

 

 

「「ならばそのエデンに俺たちも混ぜr「させるか性犯罪者ドモォォ──────ッッ!!」ギャーッ!?」

 

 

 そこへエロガキ二人がル〇ンダイブ……するもあっさり丈城に防がれた。器用にオーフィスを抱えて跳躍し、回し蹴りを放つその姿は宛らウィル・A・ツェペリその物。流石数多の人外を相手にしてきた実力は伊達ではない。

 

 

「お前ら混ぜたらそれこそカオスじゃねぇか。頭丸めて出直して来やがれ!」

「お、俺既に丸めてるんだけど……」

 

 

 黒板に突き刺さるエロガキ二人。綺麗に着地した丈城はやれやれという顔でオーフィスとアーシアの頭を撫でる。

 

 

「あのなぁ、 そうやって下心丸出しで突貫したって避けられるのは明白じゃねぇか。第一お前ら女子との出会い求めすぎ。ちったぁ謙虚になりやがれ」

「わ…わ、わかってねぇなジョジョ! 学生の身という自由な今だからこそ! 美少女との出会いを求める必要性があるのだ!」

「俺たちは野郎としてこの世に生まれてきた……! ならば己の欲のために魂を燃やして生きるべし! 俺たちの真実はそれ一つだ!」

「オーフィス、判定」

「……キモい」

「「ごっっフェアアアアアアァァァッッ!?」」

 

 

 煩悩まみれの眼鏡と丸坊主に丈城がトドメとして選んだのはオーフィスだった。ジト目で放たれた一言は二人の心を大きく抉り、再起不能に追い込んだ。

 とりあえず二人はこのまま捨て置き、引き続きそっぽ向くアーシアをもにゅもにゅして遊びはじめる。

 

 

「ジョジョ」

 

 

 すると今度はゼノヴィアが話しかけてきた。彼女も彼女で入ってきたときに一悶着あったのだが、一応ここでは伏せておく。説明すると長くなるから。

 

 

「…おぅ、オメーか」

「先日は突然あんなことを言って申し訳なかった。私は君のことを深く考えずに突っ走りすぎたようだ」

「うん、それ以前の問題もあるけどまぁいいや。とりあえずわかってくれたのならそれでいいよ」

「ああ。だからこそ、いきなりそういったことは難しいと思うんだ」

「……ん?」

 

 

 一見して反省しているようなゼノヴィアの口振り。しかし丈城の過敏な下ネタセンサー(?)が何かを探知。その表情に怪訝さが滲む。

 

 

「まずはこれらを用いて練習しよう」

「……『世界(ザ・ワールド)』」

 

 

 そう言って、何やら手提げ付きの小さな箱を取り出したゼノヴィア。しかし疑惑が確信に変わった丈城が先手を打って『世界』を発動。ゼノヴィアが開けようとした箱をひったくって中身を確認した。

 刹那彼の顔が引きつり、無言で閉じて時を再始動。

 

 

「おや?」

「おいゼノヴィア、この中身はなんだ?」

 

 

 箱がないこと、それがいつのまにか丈城の手元にあることに気付くゼノヴィア。問い詰めたところ、それは案の定アレを詰めた箱だった。

 

 

「えっと、確か (自主規制) (自主規制) (自主規制) (自主規制) に (自主規制) と……」

「わかった! もうええっちゅうねん! それ以上公然の場で垂れ流すなァッ!!」

 

 

 放送禁止用語を連発するR18指定の口をアイアンクローで塞ぎ、憤怒の形相で阻止しにかかる丈城。その際箱を放り投げてしまい、宙を舞ったそれはオーフィスの手元へ見事にフォールイン。

 

 

「……? 変な棒」

「ギャアアアァッ!? オーフィスめっ! こんなバッチいの触っちゃいけませんっ!!」

「バッチいとは失礼な。使った後は毎回ちゃんと洗っているぞ」

「洗ったとかの問題じゃねぇんだよ!! モラル的な面でOUTだっつってんだよ!! というか今しれっと使ったっつったか!?」

「桐生さん、この玉がいくつも繋がったものは…?」

「あーこれはねぇ」

「桐生ゥゥウウウウ───────ッッ!! アーシアになんつーもん渡しとんじゃァァァアアアアアッッ!!」

 

 

 更にスイッチが入った桐生がアーシアに串団子状の物体を手渡す始末。即座に『(ザ・ハンド)』で引き寄せ奪取し、ゼノヴィアの玩具箱(意味深)に突っ込んで強制封印。荒い呼吸を整える。

 

 

「ハァー…ハァー…と、とにかく! これは学校が終わるまでボッシュートだ! いいな!?」

「い、いやだg「I・I・NA?」…お、おぅ……」

 

 

 殺気を放ち始めた丈城を見て流石に食い下がるのをやめたゼノヴィア。『クレイジーダイヤモンド』でボコられた記憶がいいブレーキになった。

 

 

 とりあえず下関係のトラブルだけは勘弁してくれと既に故人、ならぬ故神となった神に軽く祈っておく丈城であった。

 

(←To Be Continued…)

 





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