Hightension School Jo×Jo   作:尾河七国

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……とにかく時間が欲しい(泣


第33話《解放、天閃のChariot》

同志達の想い、そしてオカ研メンバー達の存在。それら全てが詰まった、『騎士』木場裕斗の新たなる刃。

 

 

「━━禁手、『双覇の聖魔剣』。聖と魔を有する剣の力、その身で受け止めるといい!」

 

 

彼が至った新境地・禁手。それを天高く掲げ、高らかに述べた。

 

 

「流石先輩だ。私も負けぬよう、力を解放するとしよう」

「ディ・モールト、ディ・モールト(非常に 非常に)良いぞ!! お前なら辿り着けると思っていたぜ。このままカッコつけられるのもアレだし、そろそろ俺にも本格的に暴れされろ!!」

 

 

そこへゼノヴィア、丈城が参戦。一人よりも皆で決着をつけたいと考えていた裕斗は笑みを浮かべて頷いた。

 

 

「ぺトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ。この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する。━━デュランダル!!」

 

 

何かの言霊を口にし始め、目の前に現れた空間の歪みに手を突っ込むゼノヴィア。そこから引き出したのは、エクスカリバーとはまた違ったオーラを放つ一本の聖剣。それを見た途端、バルパーはおろかコカビエルまでも驚愕した。

 

 

「デュランダルだと!?」

「貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!?」

「残念。私は元々聖剣デュランダルの使い手だ。エクスカリバーの使い手も兼任していたにすぎない」

 

 

右手に『破壊の聖剣』、左手にデュランダルを構えてゼノヴィアは立ちはだかる。バルパーの問いにも彼女はさも当然のように淡々と答えた。

 

 

「バカな! 私の研究ではデュランダルを扱える領域まで達してはいないぞ!?」

「それはそうだろう。ヴァチカンでも人工的なデュランダル使いは創れていない」

「では、なぜだ!」

「よーはあれだろ? 養殖もんの聖剣使いじゃなくて、元々神様とやらから祝福を受けた天然もんってやつ」

「そういうことだ、赤龍帝」

 

 

伝説上、デュランダルは暴君の異名を持つ聖剣として知られている。あまりにも大きすぎる力故に完璧な扱いは困難を極め、実際ゼノヴィアの言う事すらろくに聞かない。よって聖剣使いを作り出す技術を有したとしても、それそうなりの使い手は作り出せないのだ。

 

 

「さて、フリード・セルゼン。お前のお陰でエクスカリバーとデュランダルの頂上決戦ができる。私は今歓喜に打ち震えているぞ。一太刀めで死んでくれるなよ? 精々エクスカリバーの力を存分に揮うことだ!」

「そんなのアリですかぁぁぁ!? ここにきてのチョー展開! クソッタレのクソッビッ◯が! そんな設定いらねぇんだよォォォォ!」

「いらねぇのはテメーみてぇなドグサレスカタン野郎だ! このマヌケ!!」

 

 

裕斗、ゼノヴィアの順に切り札を出してきた。となれば当然この男も出してくる。

ジョーカーすら、そしてロイヤルストレートフラッシュすら遥かに凌ぐ最強の切り札を。

 

 

「裕斗、この際だからレクチャーしとくぜ。仇敵を討つときの決め台詞をな」

 

 

丈城は二歩ほど前に出ると、隣に『銀の戦車』を出してこう言い放った。

 

 

「我が名は兵藤丈城! またの名をジョジョ! 我が友・木場裕斗の人生を狂わせた聖剣との因果を断つために! そして彼の同志達の弔いのために! この俺が貴様らを絶望のフチへブチ込んでやるッ!! このォ……!」

 

 

指をビシッと突き付け、さらにどこから取り出したのか、あるものを抜き取る。それは……

 

 

「『天閃の聖剣』でなァッ!!」

 

 

なんとフリードが使っていて壊れたはずの『天閃の聖剣』だった。

 

 

「! そっ、それは『天閃の聖剣』! なぜ元通りになっているのだ!?」

「俺が治した。Do you understand?」

「理解できん!」

 

 

言わずもがな、バルパーは丈城の『クレイジーダイヤモンド』の能力を知らない。

 

 

「……そうだね。仇が、僕のために戦ってくれる友とが、そして……仕えるべき主がここにいるんだ。カッコよく決めないとね!!」

 

 

力強く頷いた裕斗は聖魔剣を掲げ、丈城の台詞に続いた。

 

 

「我が名は木場裕斗……我が因果との決着に力を貸してくれた友のために、仕えるべき主・リアス・グレモリーのために、同志達の想いが詰まったこの刃でその罪、償ってもらうぞ! バルパー・ガリレイ!!」

 

 

一点の曇りもない目で裕斗はバルパーを見据える。

 

 

「フ、フン。いくら『天閃の聖剣』がそちらに移ったところで、私のエクスカリバーが越えられるものか」

「まだわからないようだね。ジョジョ君は何もそれ一本でやり合おうなんて考えていない。それだったら『銀の戦車』を出したりはしないしね。……そうでしょ? ジョジョ君」

「Yes I am! 刮目せよッ!!」

 

 

丈城は『天閃の聖剣』を『銀の戦車』に持たせ、能力を作動させる。

 

 

「『銀の戦車』、◯・解ッ!!」

「「「「「それ他作品ッ!!」」」」」

 

 

味方全員の総ツッコミと共に甲冑が弾け、その影響により丈城の体が宙に舞う。すると地上の『銀の戦車』にある変化が。

 

 

「…!? 『銀の戦車』の体が!」

「聖剣が発するオーラを……吸収しているのか!?」

 

 

『天閃の聖剣』から溢れ出る聖なるオーラ。それら全てがまるで意志を持ったように、『銀の戦車』の中に取り込まれてゆくではないか。さらに『銀の戦車』の体に金色のラインが走り、『天閃の聖剣』と元々所持していた剣が根元から青白く発光し始める。

 

そして着地した丈城が、姿の変わった『銀の戦車』の隣に降り立った。

 

 

「甲冑を外し、聖剣のオーラによって強化された二刀流スタンド! その名も……『天閃の戦車』!!」ズアアッ!

 

 

その場にいる全員が、衝撃の展開に息を飲む。

 

 

「ら、『天閃の戦車』!?」

「そうか…元々スタンドは人間の精神エネルギーがヴィジョン化したもの! そこに聖剣のオーラが加わったことで、『銀の戦車』が更なるパワーアップを遂げたんだ!!」

「聖剣使いでもないのに、聖剣と一つになった……今代の赤龍帝はここまでの力を有しているというのか…!?」

 

 

驚愕する周囲を尻目に、丈城はさらに『アヌビス神』を出して刀身を抜き放つ。

 

 

「『双覇の聖魔剣』、デュランダル、『天閃の聖剣』、『銀の戦車』、『アヌビス神』の 計5本! 俺たちの五重奏、受けてみろォッ!!」

「こっっっざかしいぃぃんだよォォォォッッ!!」

 

 

しびれを切らしたフリードは手にしたエクスカリバーの切っ先を三人に向け、『擬態の聖剣』の能力を発動。刀身が次々枝分かれして襲いかかる。しかし

 

 

「きかねぇ納豆!!」ガキャアン!

 

 

丈城の『天閃の戦車』が応戦。一瞬で枝分かれした刀身が粉々に切り裂かれた。

 

 

「速い! 通常の『銀の戦車』とは比べ物にならないわ!」

「元々の特性であるスピードと卓越した剣さばき、そこに『天閃の聖剣』と甲冑を外した事が合わさった結果だ! 速度の相乗効果の賜物だぜ!!」

 

 

枝分かれするスピードよりも速く裁断してゆく『天閃の戦車』。するとその脇からゼノヴィアが飛び出し

 

 

「デュランダルの一閃、受けてみよ! 覇ァッ!!」

 

 

アンダースローの動きでデュランダルを振った。その瞬間伸びて枝分かれした刀身が粉々に切り裂かれ、遂にはその根元まで粉砕。ついでにその余波が校庭を大きく抉る。

 

 

「━━所詮は折れた聖剣、か。これでは相手にならん。……赤龍帝! 後は任せる」

「All right! 続け裕斗ッ!」

「了解、ジョジョ君!」

 

 

三本を統合したエクスカリバーでも、暴君と称されるデュランダルの前では朽ちた竹光同然。その面影は既になかった。

得物をなくし慌てるフリードに、丈城と裕斗と『天閃の戦車』が一気に間合いを詰める。

 

 

「俺達のコンビネーションを、お見せしようッ! 『天閃の戦車』、『アヌビス神』!!」

 

 

元々の能力である残像攻撃で突貫する中に、それぞれの剣を携えた丈城と裕斗が混じるように加わり、ノーガードのフリードに次々と斬撃を叩きつける。悲鳴にもならない声をあげ、フリードはその体を己の鮮血で赤く染めあげてゆく。

 

刹那、決着がついた。

 

 

「「今度の剣さばきはどォだァァァ━━━━━ッ!!」」

 

 

『双覇の聖魔剣』と『アヌビス神』の刀身がフリードの右目を貫き、そのまま十字に切り裂いた。

 

 

「うぎゃアアあァァァぁぁっっッ!! あっ、ああっ……俺っちの…俺っちのォォォ………ッ!」

 

 

切られた箇所から血を吹き出し、右目を押さえてのたうち回るフリード。最早戦意喪失は火を見るより明らかだった。『天閃の戦車』を下げた丈城は裕斗に向き直り、小さく頷いて後ろに下がる。丈城の役目はあくまで"フリードの体力を削る"こと。ここから先は裕斗の役目だ。

 

 

「━━見ていてくれたかい? 僕らの力は、エクスカリバーを越えたよ」

 

 

次の瞬間、裕斗はフリードを切り伏せた。

 

 

 

(フリード・セルゼン……丈城、裕斗、ゼノヴィアらの手により、再起不能)

 

 

 

☆☆☆

 

 

裕斗の足元に転がるフリードの体。天を仰ぎ、裕斗は静かに涙を流す。今ここに、彼の因果に決着が着いたのだ。『双覇の聖魔剣』も淡く光を放ち、彼の勝利を祝っているようにも見える。……だが

 

 

「せ、聖魔剣だと……? あり得ない……。反発しあう二つの要素がまじり合うなどあり得ないのだ……」

 

 

忘れてはいけない。バルパーを倒さぬ以上、また悲しいサイクルが続く危険性がある。各々の得物を手にして、三人が彼の前に立ちはだかる。

 

 

「バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらう」

「バルパー・ガリレイ、神の名の元に、貴様を断罪する!」

「こンのクソジジイが!年貢の納め時だ、覚悟しやがれ!!」

 

 

三者三例の文句と共に迫る三人。すると……

 

 

「フ…フフ……そうか、そうかわかったぞ!」

 

 

最後の最後で、彼はある答えに行き着いた。

 

 

 

 

「聖と魔、それらを司る存在のバランスが大きく崩れているとするならば説明はつく! つまり、魔王だけではなく、神も━━」

 

 

 

ズシャアッ

 

 

(←To Be continued…)

 




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