Hightension School Jo×Jo   作:尾河七国

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皆様、明けましておめでとうございます。(遅ぇわ!!)

……ハイ、2ヶ月ちょっと間開けての投稿でごさいます。楽しみにしていた読者の皆々様方、お待たせ致しました。

それでは、本編どうぞ。



第32話《覚醒、聖魔のSword》

「リアス先輩。学園を大きな結界で覆っています。これでよほどのことがない限りは外に被害は出ません」

 

 

丈城たちがコカビエルとの死闘から一時撤退した一方、駒王学園側では。

小猫とサジの連絡を受けたリアとソーナは共同し、駒王学園付近に緊急警戒網を敷いていた。今現在は学園前の公園に集結し、来るべき決戦に向けての作戦会議がなされている。ソーナ眷属は学園周囲に巨大かつ強力な結界を張り、如何なる事態にも対処できるように体制を整えていた。

 

 

「付け加えて、結界は殆ど気休めみたいなものです。コカビエルが本気を出せば間違いなくこの都市の壊滅は免れません。もう一つの報告ですが、力を解放する途中のコカビエルを私の下僕が発見したそうです」

「ありがとうソーナ。……それにしても、学園が傷つくのは耐え難いわね」

「そういえば、木場君とジョジョ君から連絡は?」

「……ないわ。小猫の話だと、二人一緒で行動しているみたい」

 

 

無事であってほしい、とリアは言葉を濁す。そして朱乃の手回しにより、ゼクス率いる悪魔勢力があと一時間程で到着するという。

 

 

「…ジョジョ、木場……」

「心配いりません、サジ。彼らはきっと……」

「わかってます。わかってるんです。でも…どうしても」

「サジ君、ジョジョ君や裕斗君を心配する気持ちはわかりますわ。私達も一緒です。でも今はコカビエルの野望を阻止することが先決ですわ」

「……わかりました」

 

 

当初丈城を敵視するサジだったが、それはあくまでもライバルとしてである。決着をつける前に死なれてはどうしても腑に落ちないのだ。彼の静かな怒りの矛先はきっと、この場でこれくらいしかできない無力な自らに向けてであろう。

 

 

「さて、私の下僕悪魔たち。私たちはオフェンスよ。結界内の学園に飛び込んで、コカビエルの注意をひくわ。これはフェニックスの一戦とは違い、死戦よ! それでも死ぬことは許さない! 今回はジョジョと裕斗がいないけれど、生きて帰ってあの学園に通うわよ! 皆!」

「「「はい!」」」

 

 

気合いを入れた彼女らは、『騎士』と最凶が欠けた状態で学園へと突入する。

 

駒王町の命運をかけた戦いの火蓋が今、切られる。

 

 

 

☆☆☆

 

 

校庭に浮かぶ三本のエクスカリバー。その中央に陣取るバルパーと魔方陣。現場に駆け込んできたリア達は、その異様な光景に息を飲む。

 

 

「……何をしているのかしら? バルパー・ガリレイ」

「おやおや、これは紅髪の滅殺姫のリアス・グレモリー殿。今まさにエクスカリバーが一つになるのだよ。……最も四本を統合するつもりが、一本は邪魔な人間によって粉砕されてしまったがね」

(聖剣を粉砕…成程、ジョジョの仕業ね)

 

 

リアの問いに、悔しさ混じりの返答をするバルパー。本来完成に使用する聖剣は四本だったのが、先の丈城の活躍によりグレードダウンした。つまりこの場で統合される聖剣は当初のレベルより弱体化することになる。すると

 

 

「バルパー、あとどれくらいでエクスカリバーは統合する?」

「「「「ッ!?」」」」

 

 

突如中からかかる声。全員が見上げると、そこには宙に浮く椅子に腰掛けるコカビエルが。コカビエルはリアの姿をとらえると口元を上げ、挑発ともとれる発言を口にした。

 

 

「はじめましてかな、グレモリー家の娘。紅髪が麗しいものだ。忌々しい兄君を思い出して反吐が出そうだよ」

「ごきげんよう、堕ちた天使の幹部━━コカビエル。それと私の名前はリアス・グレモリーよ。お見知りおきを。もうひとつ付け加えさせてもらうなら、グレモリー家と我らが魔王は最も遠い存在。この場で政治的なやり取りに私との接触を求めるなら無駄だわ」

「ふん、政治的なやり取りだと? 馬鹿も休み休み言え。それと…サーゼクスは来るのか?それともセラフォルーか?」

「お兄さまとレヴィアタンさまの代わりに私たちが━━」

 

 

リアがそう返そうとしたその時、風切り音と共に体育館が消し飛んだ。跡に残る巨大な光の槍。コカビエルが光の槍を放って体育館を丸々一棟消滅させたのだ。

 

 

「つまらん。まあいい。余興にはなるだろう。それに…回復までには少々時間がかかる。それまで存分に楽しませてもらうとするか」

 

 

憎々しげに話す彼の右腕には、二の腕から先がなかった。

 

 

「術式は安定している。五分もかからんよ、コカビエル」

「そうか、では頼むぞ。その間に…地獄から連れてきた俺のペットと遊んでもらおうかな」

 

 

バルパーの解答に満足したコカビエルは指をパチンと鳴らす。するとリア達のいる箇所のすぐ隣、何やら巨体が蠢くような足音が聞こえてきた。足音の主は数歩進んだ後に月明かりに照らされ、その醜き姿を晒した。

 

八~十m程の大きさの、四本足の怪物。返り血を浴びたが如く赤黒い体。犬を大きくしたような姿だが、それは犬というべきより……

 

 

「「「グギャアアアアァァァ━━━━━━━━━ッ!!」」」

 

 

三頭首。地獄の番犬と呼ばれる怪物・ケルベロスだった。

 

 

「ッ!? ケルベロス! 地獄からこんな物をもってくるだなんて! 皆、やるしかないわ! 消し飛ばすわよ!!」

 

 

リアの号令と共に全員が駆け出す。まずリアと朱乃が空へ舞い、上空からケルベロスに向けて攻撃開始。吐き出される火球を雷撃や滅びの一撃で相殺しつつ、地上の小猫が打撃で応戦してゆく。

一方のアーシアは回復要員のため戦闘には不参加。校舎裏に隠れて待機していた。

 

 

「あぅぅ、皆さん凄いです…!」

 

 

息の合った連係プレーや強力な打撃に圧倒するアーシア。戦闘に介入出来ないのが悔しかったが、そもそも自分の力量ではまともに戦力にならないと理解していた。今行っても足手まといになると。

 

しかし……

 

 

「「「グルルル………」」」

「!」

 

 

安全だと思われた校舎裏は、既に危険地帯へと化していた。

アーシアに忍び寄っていたのは、何と一体だけと思われていた"二匹目"のケルベロスだった。

 

 

「「「グルル……ガウッ!!」」」

「ひいっ!!」

 

思いもよらぬ存在に驚き、アーシアは足がすくんで動けない。リア達ももう一体の存在に気がつき、すぐさま救援に行こうとする。

 

 

「! アーシアが危ないわ! 朱乃、お願い!」

「はい部長!」

 

 

だが一体目のケルベロスの猛攻に阻まれ、思うように行動出来ない。そうこうしている間にも二体目はアーシアにジリジリと迫り来る。

 

 

「う…うぅ……」

 

 

絶体絶命のアーシア。そしてケルベロスが飛びかかろうと姿勢を低くした。もはやこれまでと思われたその時、

 

 

 

 

 

「うぅ……ジ…ジ、ジョジョさぁぁぁぁぁん!」

 

 

 

 

 

「はいは━━い、呼ばれて飛び出て俺様参上ォォ━━━━━ッ!!」ドガァッ!

「「「ギャンッ!?」」」

 

 

アーシアの呼び掛けに答えるが如く、ケルベロスの隣に生い茂る雑木林の中から飛び出してくる謎の人影。その人影は物凄い勢いでケルベロスの頭に強烈なライダーキックをお見舞いし、校舎の壁に叩きつけた。

 

 

「ふ…え…?」

 

 

目を開けた彼女の前にいたのは見慣れた背中の人物。左手に赤き鱗の籠手を備えたその男…そう、

 

 

「こンの犬っころが! ウチのアーシアをとって食おうなんざ一億と二千年は早いぜ!!」

 

 

スタンド使い・兵藤丈城だった。

 

 

「「「「「ジ、ジョジョ(君)(さん)(丈城先輩)!!」」」」」

「悪ィ、遅れちまった。アーシアもすまねぇな、こんな怖い思いをさせちまって」

「いえ…! ジョジョさんならきっと来てくれるって…思ってました…!!」

 

 

丈城の参上に安堵したアーシアは彼に抱きつき、溜め込んでいた涙を流す。すると丈城は人差し指を左右に振って「チッチッチッ」と舌打ちすると

 

 

「俺だけじゃねぇさ、ホラ」

 

 

リア達と戦っているケルベロスに顔を向けた。そこには丈城と共に駆けつけた助っ人が。

 

 

「でやあッ!」

「ハァッ!!」

 

 

刃を振るってケルベロスを倒す裕斗とゼノヴィアの姿。彼らは間一髪のタイミングで乱入してきたのだ。

 

 

「イリナはコカビエルにやられちまって戦線離脱状態だ。という俺も少し二の腕をやっちまってて…済まねぇけどアーシア、治療頼むわ」

「あぁハイ! わかりました!」

 

 

治療を施してもらいつつ、丈城はもう片方の手で懐から拳銃を抜き取る。絵面が若干冴羽な獠のラストシーンだが、その背後に『エアロスミス』、拳銃にはグイード・ミスタの暗殺向きスタンド『セックス・ピストルズ』がスタンバイ。

 

 

「さぁ犬っころ! お前の罪を数えろォォッ!!」ガゥンガゥンガゥン!

 

 

目にも留まらぬ勢いで連発し、六発すべてに搭乗したピストルズが放たれた。その内の一発に乗ったNo,1が号令をかけてメンバーの士気を高める。

 

 

『ヤロ━━ドモ━━ッ! 行クゼッ!』

『パスパスパース!』

 

 

貫通、反射、貫通を繰り返してケルベロスの体を穴ぼこだらけにしてゆくピストルズ。そして丈城がエアロスミスを発進。一気に畳み掛けた。

 

 

『『『『『イイイ━━━━━━━━ッ! ハァァァ━━━━━━━━ッ!』』』』』

 

 

弾丸ではなく飛行機に搭乗したピストルズと共に特攻するエアロスミス(スミスさん『前が見えねぇ』)。機銃での乱発をお見舞いした後に消滅し、食らったケルベロスはものの数十秒で始末されたのだった。

 

 

「直にあっちも片付く。終わったらすぐに行こう!」

「ハイ!」

 

 

治療を終えた二人はケルベロスの死骸を尻目に、リア達の元へと急行した。

 

 

☆☆☆

 

 

 

「食らえコカビエル!」

 

 

ちょうどその頃。リア達もケルベロスを片付けた後、宙に浮くコカビエルへと攻撃を開始していた。朱乃が放つ雷光やリアの滅びの一撃はいつもよりも威力が増しており、確実にコカビエルを消さんとする。しかし

 

 

「フン」

 

 

コカビエルは鼻で笑い、スッと左腕を突き出した。直後にリア達の一撃が襲いかかるも、それを片手で軌道を変え、渾身の一撃は校舎に当たって散ってしまった。

 

 

「この程度か……。やはりあの赤龍帝と妙な力がなくては面白味がない。あの人間はどうした? ここにいるのだろう?」

「……彼ならここにはいn「どなたをご所望かな? 堕ちた天使のコカビエルさんよ!」ジョジョ!!」

 

 

呆れるコカビエルの前に、いつものコンディションに戻った丈城が駆けつける。その側には彼の背に隠れるように覗くアーシアの不安げな顔が。

望んでいたものが来た、とばかりにコカビエルは笑う。そしてその口が何かを言いかけたまさにその時。

 

 

「━━完成だ」

 

 

それまで校庭で光を放ち続けていたエクスカリバーがより一層輝きだし、三本の聖剣の影が重なってゆく。光は強く、その場にいた丈城達は眩しさのあまり目をおおう。

その光が止むと、陣があった場所には青白いオーラを放つ一本の剣があった。

 

 

「エクスカリバーが一本になった光で、下の術式も完成した。あと二十分もしないうちにこの町は崩壊するだろう。解除するにはコカビエルを倒すしかない。ま、最もできればの話だがね」

「ケッ、できればの話じゃねぇ。やるのさ! テメーの下らねぇ野望をぶち壊すのをよ!」

 

 

残り二十分で事が済むと鼻を鳴らすバルパーに、それを打ち砕くと豪語する丈城。崩壊の魔方陣が展開する中、バチバチと睨みあいが続く。

 

 

「フリード、陣のエクスカリバーを使え。最後の余興だ。三本の力を得たエクスカリバーで戦ってみせろ」

「はいな、ボス」

 

 

すると、コカビエルに呼ばれて現れたフリードが統合されたエクスカリバーを手に取り、丈城達にその切っ先を向けた。

 

 

「…ゼノヴィア、裕斗。共同戦線がまだ生きてンなら、三人であれをブッ壊すぞ」

 

 

顔が強張るゼノヴィアと裕斗。それを見た丈城がある提案を持ちかけた。

 

 

「ジョジョ君…?」

「……確かに、この状況はそうせざるを得ないな。私は赤龍帝の案に乗らせてもらおう」

「本当にいいのかい? 二人共…」

「会長の家にイリナが搬送される時、アイツが俺に言い残したんだ。『聖剣の核さえ回収できればいい』って。ああなっちまった以上壊して核を回収したほうが手っ取り早い。あんなもん聖剣ですらねぇよ」

「全くだ。あれは最早異形の剣。破壊せねばならない」

 

 

二人の意見に無言で頷いた裕斗は一歩前に出て、バルパーを忌々しく睨み付ける。

 

 

「バルパー・ガリレイ。僕はお前が引き起こした『聖剣計画』の生き残り……否、その怨霊だ」

「ほぅ、あの時のか。こんな極東の地で巡り会うとはな。どんな運命なのやら……ククッ」

 

 

だが睨み付けられたにも関わらず、バルパーは気味悪くほくそ笑んでいる。

 

 

「しかし君達の尊い犠牲によって、あの計画は"成功"したんだよ」

「何だと? お前は僕たちを失敗作として処分したじゃないか」

 

 

裕斗の言うことは最もである。かつてバルパーが関わっていた聖剣計画には、適合者が誰一人としていなかった。そのために裕斗や同志達が始末されるという形になった。

普通であれば、ついていけなかったものを失敗作として見なすだろう。失敗作を成功の産物としては認識しない。

 

 

そう、普通なら……

 

 

「聖剣を使うのに必要な因子があることに気付いた私は、その因子の数値で適正を調べた。被験者の少年少女、ほぼ全員に因子はあるものの、どれもこれもエクスカリバーを扱える数値に満たなかったのだ。そこで私は一つの結論に至った。ならば『因子だけを抽出し、集めることはできないか?』━━━とな」

「ハハーン、わかったぞ。因子をもっている同志達から因子だけを抜き取って集めたんだな? それだけのために裕斗や同志達を騙して計画に組み込んだ……ってとこか?」

 

 

バルパーは計画の適正数値に等しくなるように、被験者から"聖なる因子"を抽出。それらを集めた因子を他の被験者に入れ、人工的に聖剣使いを作ろうとしたのだ。『塵も積もれば山となる』とはよく言ったものである。

するとバルパーは懐に手を差し入れると、中から光輝く玉を取り出す。

 

「そうだ。そしてこれはそのときのもの。三つほどフリードに使ったがね。これは最後の一つだ」

「ヒャハハハハ! 俺以外の奴らは途中で因子に体がついていけなくなって、死んじまったけどな! うーん、そう考えると俺様はスペシャルだねぇ」

「バルパー…貴様…ッ!!」

 

 

同志達が殺された、あまりにも身勝手過ぎる真実。それを知った今の裕斗のボルテージはとっくに振り切っていた。それをバルパーはせせら笑い、

 

 

「まぁ直にこいつを量産することができる。これは餞別だ。お前にくれてやろう。最もたった一つの因子の結晶ではどうにもならんがね」

 

 

手にしていた最後の一個を裕斗に向かって放った。足元にやってきたそれを、彼は屈んで手にする。その目は慈愛と悲しみに暮れ、次第に抑えていた感情の片鱗が口からこぼれ出た。

 

 

「……皆…」

 

 

そう呟く裕斗の涙が頬を伝い、その一滴が結晶に落ちる。刹那、

 

 

(パアアアァァ……ッ)

 

 

因子から溢れんばかりの光が迸り、裕斗の周囲に一人、また一人と、人の形をしたものが集まってゆく。徐々にそれははっきりとした少年少女の姿となり、裕斗の前に現れた。

 

 

「これは……一体何が起こっているんだ?」

「多分…因子の中にあった同志達の魂が、裕斗の想いに呼応して具現化したんだと思う」

 

 

丈城の推論に一層涙を浮かべた裕斗は、静かに霊魂達に語りかける。

 

 

「……ずっと、ずっと考えてきたんだ。僕より夢を…意思を持っていた君達ではなく…僕一人が生きてていいのかって……」

 

 

裕斗とは思えぬ震えた声。それに返答するかの如く、霊魂の一人の口がパクパクと動く。さらに何かを話しているように、次々とその口が開閉を繰り返す。裕斗もそれに気がつくが、何を伝えようとしているのかわからない。

 

すると

 

 

 

 

 

「『自分達のことはもういいから、キミだけでも生き永らえてくれ』ってサ」

「「「「「!!」」」」」

 

 

それを読み取った人物が皆にわかるように翻訳したのだ。全員がそちらへ向くと、『ヘブンズ・ドアー』で安全装置でも仕掛けたのか、手の甲を本にした丈城が。丈城は落ち着いた口調で裕斗にこう付け加えた。

 

 

「裕斗…お前の同志は最初っから復讐なんざ望んじゃいなかったんだ。でなけりゃ…そんな顔してねぇだろ? そいつらはよ……」

 

 

丈城の言葉に、霊魂達はリズミカルな口調で唇を動かす。と、今度はアーシアがそれを読み取った。

 

 

「聖歌…」

 

 

一定のリズムで歌う霊魂達。涙を流して同じように口ずさむ裕斗。いつのまにか彼らを包むように光が強くなり、やがてそれは校庭を真昼のように照らし出す。

 

 

『僕らは、一人ではダメだった━━━』

『私たちは聖剣を扱える因子が足りなかった。けど━━━』

『皆が集まれば、きっとだいじょうぶ━━━』

 

 

やがて霊魂達の声ははっきりと聞こえ出す。そして一人ずつ、尾を引く流星のような形に変わって裕斗の中へと吸い込まれてゆく。

最後の一人が消えた後、裕斗は神々しいオーラを放ちながら立ち上がる。

 

 

『聖剣を受け入れるんだ━━━』

『怖くなんてない━━━』

『たとえ、神がいなくても━━━』

『僕たちの心はいつだって━━━』

 

 

「━━━ひとつだ」

 

 

その一言を口にした瞬間、裕斗は利き腕を真横に伸ばし、両眼を見開いた。

 

 

「━━僕は剣になる。部長、仲間たちの剣となる! 今こそ僕の想いに応えてくれッ! 『魔剣創造』ッッ!!」

 

 

『魔剣創造』が剣を作り出すその輝きに、先程の魂が再び現れて同化してゆく。

 

 

「裕斗さん…一体何を…?」

「裕斗の神器に宿る"魔の力"と因子の中の"聖の力"。二つの力が同調して、一つの力になろうとしてるんだ」

 

 

丈城の言葉を繋ぐように、ドライグが語り出した。

 

 

『至った…あの『騎士』は至ったんだ』

「ドライグ…?」

『神器は所有者の想いを糧に変化と進化をしながら強くなってゆく。だが、それとは別の領域がある。所有者の想いが、願いが、この世界に漂う"流れ"に逆らうほどの劇的な転じ方をしたとき、神器は至る。そう、それこそが━━』

 

 

 

 

 

『━━禁手だ』

 

 

裕斗の手に握られた剣は、相対する二つの力の結晶だった。

 

 

 

(←To Be continued…)

 




裕斗の覚醒シーンを執筆中、どうしても脳内に5D´sの遊星のテーマが流れる……。気のせいでしょうか?

ここだけの話、覚えている人いるのかなーと思ってお気に入り件数を見てみると、減ってるどころか増えていてビックリしています。これだけ自分の作品を見てくれていると思うと本当に嬉しいです。

また期間が空くかもしれませんが、失踪せずに書き続けますのでよろしくお願い致します。

誤字脱字、ご意見ご感想等がございましたら、コメント欄にご一報下さい。

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