Hightension School Jo×Jo   作:尾河七国

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こんにちは、尾河です。

時間がとれましたので、第3話を投稿させて頂きます。

それではどうぞ。



第3話《白いニャンコ、爆殺ニャンコ》

チリ・ペッパー事件(命名丈城)から3ヶ月後。

 

といっても何ら変わったこともなく、丈城とドライグはいつも通りのスタンドと体力づくりの特訓に打ち込んでいた。あるとすれば、スタンド『エコーズ』と『牙』(タスク)のACTがそれぞれ一段階上がったくらいである。

 

そしてこの日、朝からジョギングをしていた丈城はちょっと足を伸ばして、駒王町から少し離れた所にある山に来ていた。この山は普段あまり人が立ち入らない場所であり、昔から神隠し伝説が残るいわくつきの場所でもある。で、何故ここを選んだかというと…

 

 

「キラークイーン・第一の爆弾!! 点火ッ!」カチッ

(ボグオォォン!!)

「証拠は跡形もなく始末された…」

『何してんだ相棒?』

「キラークイーンの特訓ついでに吉良吉影ごっこ」

 

 

キラークイーンやクリーム、C-MOONといった特訓場所が限られるスタンドにとって最も最適な場所だったからだ。しかも山頂付近は切り開かれているにも関わらず、人はやってこない。

だからここで爆弾を使おうが、暗黒空間にばらまこうが、重力を90度傾けようが、何をしたって他人に迷惑はかからない。

特訓開始から4時間後。流石に疲労も溜まってきたので、丈城はここで特訓を切り上げて駒王町へ戻ることにした。

 

 

『それにしても駆け出しの頃に比べたら成長したな、相棒。スタンドとかいう力にはほんのちょっと驚いたが、ここ最近になってあまり気にならなくなったな』

「俺もまさか神器(セイクリッド・ギア)、しかも神滅具(ロンギヌス)が宿るなんて思いもしなかったぜ。これじゃあ鬼に金棒、DIOに世界、エンリコ・プッチにメイド・イン・ヘブンだぜ」

『さっきからなんだ? 吉良吉影だのエンリコ・プッチだの……誰なんだ?』

「気にしたら負けだ」

 

 

ちなみに『神滅具』とは神すらも滅することが出来る特殊な神器のことである。そんな当たり障りのない会話をしながら下山していると

 

 

(ガサガサッ、ザザザ…)

「ん?」

 

 

右手側の山の斜面から滑り落ちてくるように白猫が転がってきた。しかも、その体はあちこちが切れて血が出ている。どう見ても自然に出来る傷ではない。

 

 

「この猫…ひでぇな。なんつーか虐待にでもあったみてーな傷や痣が沢山……」

『それよりもこんな山道になんでたった一匹の状態でいたのか…道に迷ったにしては話が出来すぎている気もするが……』

 

 

丈城の見解通り、白猫は打撲や切り傷だらけで既に虫の息だった。このままでは死んでしまう。かといって下手に触ればそれこそ白猫の命を縮めかねない。そう判断した彼は獣医に連れて行く前に、この場での治療を決断した。

 

 

「しかし放っておくってのも可哀想だ。獣医に連れて行く前に死んじまうよ」

『じゃあ他にどうすればいいんだ?』

「仕方ない……ここで治すか!!」

『な、治す? スタンドでか?』

「そういうことだ。『クレイジーダイヤモンド』!!」

 

 

予想通り、丈城はクレイジーダイヤモンドを出現させて白猫に手をかざし、能力を使用した。するとあれだけあった怪我がすっかり治り、呼吸も安定。暫くして目を覚ました。

 

 

「…にゃ」

「おっ、気が付いたか。大成功だぜ」

『怪我まで治してしまうスタンド……もはやチートだな、こりゃ』

 

 

丈城は気が付いた白猫に近づこうとする。しかし白猫はパッと飛び起きて威嚇。どうやら彼を敵と認識してしまったようだ。

 

 

「ハッハッハッ、恩を仇で返すぐらいの気力があるならもう大丈夫だな。安心しろって、何もしねーから」

 

 

半笑いで両手をヒラヒラ振り、丈城は敵ではないことを伝えようとする。そして更にもう一歩近づこうとしたその時

 

 

「誰だ! そこにいるのは!!」

 

 

頭上から何者かの声が響いた。

 

 

「あ? なんだ?」

 

 

声のした方へ顔を向けると、木々が生い茂ってほとんど見えない空に複数の人影が横切った。人影は丈城の進行方向へと着地し、一人は剣を携え、一人は銃を持ち、彼の前に合計9人の男女が立ち塞がる。

 

 

「何だ、人間か」

「その言い方だと、お前らは人間じゃないのか?」

「いかにも、我々は誇り高き悪魔だ。貴様が抱えているその猫を引き渡してもらおうか。」

「ふぅん、で? 虐待するような奴らにはいそうですかっつって渡すバカがいるとでも思うか?」

 

 

白猫は既に危機を感じ取っていた丈城がクレイジーダイヤモンドで回収済みだった。それを庇うように彼は悪魔達と対峙する。この一連の行動でようやく誤解が解けたのか、白猫は丈城に対しての威嚇をやめていた。辺りに緊張が走る。

 

 

「そうか…。ならばその猫と共に始m「先手必勝ッ!」グバァッ!?」

「「「「「!?」」」」」

 

 

最初に動いたのは丈城だった。リーダー格の男性悪魔の台詞をぶった切って、スタンド『キラークイーン』でその顔面に先制攻撃を叩き込む。人間だろうが悪魔だろうが、彼の辞書に『情け、容赦、手加減』の文字はないのだ。

 

 

「カ…ハッ…き、貴様ァァァァッッッ!」

「お前達は…俺の睡眠を妨げる『トラブル』であり『敵』というわけだ。誰かに話される前に……お前達を始末させてもらう!」

 

 

キラークイーンを隣に戻し、吉良吉影を彷彿とさせる態度で丈城は悪魔達に宣言。心なしかこの状況を楽しんでいるように見えるのは気のせいだろうか。

 

 

「殺せ!! 生かして返すな!!」

 

 

当然の事ながらリーダーの悪魔は激昂。配下の悪魔達に彼の抹殺を指示した。しかしこの勝負は、キラークイーンの一撃が決まっていた時点で既に決着がついていたのである。

 

 

「誰にも俺を倒すことは出来ない…この『兵藤丈城』の正体を知るものはいないんだ」

 

 

丈城は涼しい顔で右手を突き出す。と同時にキラークイーンも右腕を前に伸ばし、まるで何かのスイッチを押すかの様に親指を上げる。

 

刹那、

 

 

「なんであろうと爆弾に変える……キラークイーン・第一の爆弾!!」

 

 

右手の人差し指の先端を押した。

 

 

「点火ッ!」カチッ

「ギャアアアアアアァァァァァッッッッ!!」ドグオオォン

 

 

……実は先制攻撃の際、キラークイーンは拳ではなく"掌底"で殴っていたのだ。キラークイーンは触れた物を爆弾に変えられる能力を持っている。つまりこの時点でリーダーの悪魔の敗北は確定していたのだ。爆弾に変えられた彼はチリ一つ残さずに消し飛び、ついでにすぐ後ろにいた配下の悪魔二人も爆発に巻き込まれた。

 

 

「俺の秘密に迫る者は皆消し飛ぶ!!」

『お前の秘密ってなんだよ…』

「ク、クソッ! よくも主を!!」

「絶対殺す!!」

 

 

残りの6人は血走った目で丈城を睨みつけ、各々の武器で襲いかかる。だがこれも無駄な抵抗だった。こうなることがわかっていた彼は冷静にキラークイーンを前に出し

 

 

「シアーハートアタック!!」

 

 

第二の爆弾『シアーハートアタック』を左手甲から発射。シアーハートアタックは興奮している6人の体温を感知してその中へ飛び込む。そして

 

 

『コッチヲ…見ロォッ!!』

「「「「「!?」」」」」

「シアーハートアタックに…『弱点はない』」

(チュドオオォン!)

 

 

シアーハートアタックに亀裂が走り、そのまま大爆発。威力はかなり大きく、かかってきた6人全員を爆炎ですっぽり覆ってしまうほど。断末魔の叫びをあげることなく彼らは消し飛び、後に残っていたのはクレーターのようにえぐれた地面と、元通りになったシアーハートアタックだけだった。

 

 

「よし、殲滅完了☆」

『お前の行動に恐怖を覚えたぞ俺は…』

「慣れりゃ問題はないっての」

 

 

ドライグの呟きを一蹴し、丈城はシアーハートアタックをキラークイーンに戻して下山再開。もちろんあの白猫も一緒だ。だが爆風を浴びた影響なのか、呼吸はしているもののグッタリとしている。どうやら失神してしまったようだ。

 

 

「うーん…キラークイーンを使ったのはマズかったかな~。……まぁ猫繋がりだし、この子を守れたし、結果オーライかな」

『ハァ…しかしどうするんだこの猫。お前ん家じゃ飼えないだろ?』

「それが問題なんだよなぁ…。親父は確か猫アレルギーだし、お袋は猫が苦手だし…しゃーねーな、獣医んトコに連れてって保護してもらうとしよう」

『まぁ…それが最善の方法だろうな』

 

 

丈城は次の行き先と目的が決まり、足早に下山した。その後ふもとにあった獣医の所へ向かい、そこで白猫を保護してもらうことになったので、彼は帰路についた。

 

後に残ったのは爆殺されたあの悪魔達が白猫を狙っていた理由だけだが、今となっては藪の中である。

しかし丈城はそんなことを気にすることはなく、あの白猫はきっとどこかで幸せに暮らしているだろうと考えていた。

 

 

そして数ヶ月後、一人と一匹は意外な形で巡り会うこととなる。

 

 

(←To Be Continued…)

 

 




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