妖精達と歩む大空   作:グリーン

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ヒロイン候補のラストを飾るのはあの人。


Fairy Girls -Mirajane-

-フェアリーテイル

 

 

 

 

「じゃあミラ姉今日は撮影なの?」

 

「うん。七年振りに戻ってきたからって、週間ソーサラーのジェイソンさんから依頼があってね。」

 

ギルドにてストラウス姉妹が談笑している。

 

「がんばってね。ミラ姉!」

 

「ありがとう。でも今日は男性のパートナーも連れて行かなくちゃいけないのよね。」

 

その言葉にギルド内にいた幾人かの男性がミラの前にあつまってきた。

 

「ミラちゃん。是非俺をパートナーに…」

 

四代目ギルドマスターのマカオが、

 

「お前にゃ無理だマカオ!ここは俺が…」

 

マスター補佐のワカバが、

 

「俺に任せな!ミラちゃん。」

 

砂の魔導士のマックスが、

 

(おとこ)として、姉ちゃんのパートナーは譲らねぇ!!」

 

弟のエルフマンが名乗りを挙げる。ミラは人差し指を自分の頬に当てながら考え込む。

 

「そうねぇ~…じゃあ…」

 

男達がゴクリと喉を鳴らす…

 

「ツナに頼むわ。」

 

「「「「じゃあの使い方おかしくね?!!」」」」

 

ちょうどその時ツナがギルドに入って来たので、ミラは男達を残したままツナの元に走って行った。残された男達が真っ白に燃え尽きるのをリサーナが憐れみの目で見ていた。

 

 

 

「撮影ですか?」

 

ミラから話を聞いたツナは、微妙な顔をして問い返す。

 

「話は分かりました。そういうの苦手なんですけど…他に誰かいないんですか?」

 

「いないわ。」

 

間髪入れずに答えるミラに、先程の4人が灰になった。ちなみに一緒に来たルーシィとウェンディは断って~と念じている。ミラは真面目な顔を作り、ツナに語りかける。

 

「それにね、ツナ。今のギルドの状況を少しでも改善する為にもこの仕事は必要なのよ。この効果は馬鹿にできないのよ。」

 

「確かにそうですね…分かりました。俺でよければお供しますよ。」

 

ツナが賛同したことにより、ルーシィとウェンディはガクリと肩を落とした。一緒に仕事に行きたかったようだ。

 

「それじゃ行きましょうかツナ。」

 

ツナの腕取って歩き出す。それを見たルーシィとウェンディが声をあげかけるが、ミラが笑顔で黙らせた。

 

二人が去ったギルドでは、女性達が会話していた。

 

「ミラ姉、どうやらマジみたいね。」

 

「ルーちゃんとウェンディに続いてミラまで…」

 

「ツナさんのお陰で恋敵がどんどん減っていってジュビアは感謝してます!」

 

「ねぇ~誰がツナをものにするか賭けない?」

 

カナの言葉にルーシィとウェンディが噛みつくが、

 

「やっぱり応援するのはミラ姉かな。ゴメンね。」

 

「ルーちゃん!負けちゃダメだよ!」

 

「ウェンディ、がんばってくださいね。」

 

「みんな甘いねぇ~。ツナはマフィアのボスだった男だよ!三人まとめて相手してくれるさ!」

 

「きゃ~///それって…」

 

楽しそうに会話する女性陣の後ろで灰になった男達はそのまま風に飛ばされていった。

 

 

 

ツナとミラは腕を組んだまま週ソラの本社へ向かっている。必要以上に体を密着させてくるミラに内心はともかく外面は普段通りを心がける。リボーンに施されたハニトラ対策訓練のおかげというのがムカつく。ミラはそんなツナを見て、より一層体を密着させる。結局周囲からみれば、ラブラブなカップルにしか見えなかった。

 

「ねぇツナ、どうして私には敬語を使うの?」

 

「なんとなくとしか言えませんね…」

 

「もう!私達同じ歳なんだから敬語はやめてちょうだい!何か壁があるみたいで悲しくなるわ…」

 

「分か…った。これからは気を付けるよ、ミラ。」

 

「うん。よろしい!」

 

-こういうところが人気の秘密なんだろうな…-

 

コロコロ変わるミラの顔を見てそう思うツナだった。

 

 

 

「うぉおおっ!7年ぶりだねミラ!でも全く歳取ってない!超COOL!!!こっちがパートナーかい?!COOLなイケメンだね!超COOL!週ソラ記者ジェイソンです!COOL!」

 

「ツ…ツナヨシ・サワダです。ツナって呼んで下さい。」

 

オーバーアクションで最初からテンションMAXなジェイソンにどん引きなツナ…するとミラが、

 

「ふふっ、ツナはただのCOOLじゃないわよ。額に炎を灯すことでよりCOOLに変身するのよ。」

 

と言い出した。ツナが目を点にしてると、

 

「マジで!ツナ超COOL!」

 

「まだあるわ。ナツ、ガジル、グレイ、エルフマンを四人同時に倒したし、ラクサスにも勝ったわ。」

 

「COOL!COOL!グレートCOOL!」

 

「さらにナッツちゃんというライオンのかわいい相棒がいるのよ!」

 

「やっべぇ!COOL過ぎるー!!予定変更!ツナ単体の写真も撮るからCOOLに決めてくれよ!!」

 

そう言うと準備のために駆け出して行った。呆然とするツナにミラは笑顔で言う。

 

「良かったわね、ツナ。」

 

「何が?!!」

 

ツナは大声でツッコミをいれた。

 

 

 

撮影はまずはミラからだった。水着に着替えたミラが様々なポーズで撮るので、ハニトラ対策訓練を積んだツナでもさすがに顔を赤くしながら見ていた。水着やポーズを変えるたびにミラが感想を求めてくるので、恥ずかしがりながらも感想を述べていった。顔を赤くしながらもストレートに褒めてくるツナにミラも顔を赤くするが、嬉しさのあまり自然と笑顔になるので、撮影はスムーズに進行した。ジェイソンはそんな二人を見ながら親指を立ててCOOLと呟いていた。

 

 

ツナの撮影の前に超死ぬ気モードやナッツとその能力を見せてもらったジェイソンのテンションの上がり方は留まるところを知らず、様々なシチュエーションでの撮影となった。スーツに着替えたツナの撮影が始まった。

 

ケース①高級なソファーの中央に足を組んで座る。(死炎アリ)

 

「(さすが元)マフィアのボスって感じね。ツナ♪」

 

「嬉しくない…」

 

「COOL!」

 

ケース②ナッツと戯れるツナ(死炎ナシ)

 

「ツナもナッツちゃんもいい感じよ~。」

 

「まぁこのくらいならいいか…」

 

「一人で二人分のツナ!COOL!COOL!」

 

ケース③ナッツのマントを纏うツナ(死炎アリ)

 

「…まさかこの世界で初めて形態変化(カンビオ・フォルマ)したのが撮影の為とは…」

 

「ツナ!カッコいいわよ!」

 

「COOL過ぎるぜツナ!」

 

 

 

という風に、様々なシチュエーションで撮影は進んでいった。終わった時にはツナは疲れ果てていたが、少しの休憩の後、今度はミラとの撮影が始まった。

 

 

ケース①腕を組んで歩く二人(死炎ナシ)

 

「これは来る時もしたから大丈夫ね♪」

 

「恥ずかしくないわけじゃないんだけど…」

 

「COOLだぜ!二人とも!」

 

ケース②ミラはツナにもたれ掛かり、ツナはミラを後ろから抱きしめる(死炎ナシ)

 

「さすがにちょっと恥ずかしいかな///」

 

「俺は最初からずっと恥ずかしいから慣れた。」

 

「HOTな二人!COOL!COOL!」

 

ケース③ナッツと戯れる二人(死炎ナシ)

 

「ん~やっぱりナッツちゃんかわいいわね~」

 

「あげないからね。」

 

「ほのぼのとしててCOOL!」

 

ケース④ミラを抱き寄せ、マントで守るツナ(死炎アリ)

 

「…(ツナの横顔がこんな近くに///)このマントは本当にナッツちゃんなの?」

 

「そうだよ。見てたよね?」

 

「余裕のツナ!照れるミラ!どっちもCOOL!!」

 

…と、様々な撮影を終えた二人はかなり疲れた顔をしている。もうあたりはすっかり暗くなり、今から列車で帰ったら真夜中を過ぎるだろう。そんな時、ジェイソンがコーヒーとあるものを持ってきた。

 

「今日は本当にお疲れ様!COOLな画がたくさん撮れたよ。もう遅いからこれをあげるよ!」

 

もらったのはホテルの宿泊券と、食事券だった。

 

「じゃあ!今日はこの辺で!フェアリーテイルの復活、COOLに待ってるよ!!」

 

ジェイソンは走り去って行った。最初から最後まであのテンションなのは凄いと、ツナは感心していた。頭も疲れているようだ…

 

「あの人は昔からフェアリーテイルの大ファンなのよ。今のギルドの現状を知っていて今回の依頼を持ってきてくれたのよ。」

 

「そうだったんだ…」

 

「それよりツナ!最後の辺りは余裕じゃなかった?ほ…頬にキスとかもあったのに!」

 

「ボンゴレがあった国では挨拶だったからね…撮影に緊張したけど慣れたらそうでもなくなったんだ。」

 

「ふ~ん…そうだったんだ…」

 

ちょっと不機嫌になるミラ…

 

「でもどうする?帰るなら早くしないといけないけど?」

 

「せっかくの厚意だし泊まって行きましょうか。このホテルかなり高級だしね…」

 

「リサーナとエルフマンに連絡しなくていいの?」

 

「ホテルで通信ラクリマを借りるわ。じゃあ行きましょうか。」

 

腕を差し出すミラに苦笑してツナはホテルまでエスコートした。それぞれの部屋に荷物を置いてレストランへ移動する。もちろんツナがエスコートする。…ちなみにリサーナに連絡したというミラに安心したが、連絡先がギルドで、何人もの人に伝わっているのを知らない。男性陣の一部と、とある二人の少女の口から魂が抜けていたらしい。

 

「「乾杯。」」

 

二人は、会話と食事を楽しんだ。今日の撮影も終わってみれば疲れたがとても楽しかったと言える。食事も終わりに近づいてきた時、ミラからこう聞かれた。

 

「ツナ…S級魔導士になりたい?」

 

「?確か試験を受けないとなれないんじゃ…?」

 

「ううん…現在のS級全員と、マスターの推薦があればなれるわ…マスターから話が出てね…ギルダーツとエルザは賛成してるの。ラクサスは破門中だしね。あとは私…」

 

「ミラは反対なの?」

 

「ツナが私より強いのはよく分かってるわ…でも!S級の仕事は一歩間違えれば死に繋がるようなばかりなの。…かつて私はS級になって調子にのって、リサーナを失い、エルフマンの心を傷付け、私自身も魔法を使えなくなった。ナツ達のお陰でリサーナは戻って来たし、私もエルフマンも元に戻ったわ。でもそんな思いは誰にもして欲しくない!だから聞くの。S級になりたい?」

 

「…なりたい。S級は難しく受けられる人も限られてる。だがそれだけに依頼した人は1日でも早く来てほしいと願っているはずだ。約束するよ。自分と仲間を守る為にももっと強くなる。それは俺がマフィアのボスを継ぐと決めた時から変わらない誓いだから…」

 

ミラの目を真っ直ぐ見つめて話すツナにミラは頬を染めながら言う。

 

「ふふっ、分かったわ。ツナなら心配いらないわね。どのみちしばらくはS級の依頼なんて来ないでしょうけど。」

 

「身も蓋もないな…」

 

二人は笑いあった。

 

 

 

 

翌日、フェアリーテイルまで昨日のように、腕を組んで歩く二人。

 

「…この状態で行ったら録なことにならないと思うんだけど…」

 

「ダメよ!さぁ行きましょう♪」

 

明らかに楽しんでいるミラに溜息を吐くツナ。超直感が警鐘を鳴らしているが覚悟を決める。

 

扉を開けると多くの視線が二人に向く。特に昨日の男四人と、ルーシィとウェンディの視線が痛い。

 

「ただいま。付き合わせてゴメンねツナ!」

 

「俺も楽しかったし、いい仕事だったと思うよ。ミラ。」

 

-タメ口?!呼び捨て?!-

 

エルフマンが真っ先に駆け寄ってくる。

 

「ね…姉ちゃん!ツナに何もされなかったか!?」

 

「おいまてこら。」

 

ツナを無視して、ミラに問う。ツナが目を鋭くするが取り合わない。ミラはツナをチラッ見て、イタズラっぽく笑う。超直感の警鐘が最大になる。

 

「そうねぇ…とても刺激的な夜だったわ♪」

 

時が止まった。

 

「お…おいミラ!」

 

ミラはルーシィとウェンディの元に駆け寄って耳元で、

 

「今のは冗談だけどツナは渡さないわよ♪」

 

と囁いた。

 

「「「「ツ~ナ~!!!」」」」

 

「話を聞け~!!!」

 

当然聞こえていない男達はツナに襲いかかる。退けながら外に逃げ出すツナをルーシィとウェンディは呆然と見送っていたが、

 

「ううっ、ミラさんもライバルだなんて…」

 

「どうしましょうルーシィさん…」

 

「ふふっ、ま、お互いにがんばりましょう。」

 

ミラの言葉に三人は仲間でライバルとなった。

 

 

 

なお、週ソラの発売日にはルーシィとウェンディが開店前の本屋に並んでいた。ツナ単体のページは目を輝かせて読んでいたがツナとミラのツーショットには、肩を震わせていた。ミラにズルいと詰め寄るが笑顔で撮影だから仕方ないと嬉しそうに言われ、泣き崩れた。

 

また、男性陣も週ソラを見て、再びツナに襲いかかるが、今度は容赦なく沈められた。どうでもいいことだが…

 

尚、写真はとても好評でツナは【週ソライケメン魔導士ランキング】【彼氏にしたい魔導士ランキング】で初登場1位に輝き、一応フェアリーテイルの名をあげることに貢献した…

 

 




ジェイソンさんのテンションを文章で表現するのは難しいですね。ヒロイン候補が出揃いました。それぞれの魅力があって迷いますね…いっそ全員と…しかし…な状態です。1位はやり過ぎたか?と思いましたがチートツナということで…実はこの話の為に今までカンビオ・フォルマさせなかったり…

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