妖精達と歩む大空   作:グリーン

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フェアリーテイルの映画が始まりますね。見に行かなくちゃ!


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-冥界島

 

「見ていてくれ……親父……」

 

グレイは消えていく父親に対して誓いを立てる。タルタロス九鬼門の一人絶対零度のシルバー……その正体は死んだはずのグレイの父親だった。

 

ジュビアが戦っていた九鬼門、漆黒僧正キースによって蘇らされたシルバーはタルタロスの一員として行動しながらもそのマスターであるENDとタルタロスを壊滅させる機会を伺っていた。

 

大魔闘演武で成長したグレイの姿を見て嬉しく思うと共に今の血に汚れた自分では息子を抱き締めてやることも出来ないと思い息子に全てを託してその手で殺される事を願った……

 

自分はグレイの両親と師を殺したデリオラが父親の皮を被っている存在だと告げ、グレイの怒りを引き出した。怒りに触発され確かに自分を超える力を見せたグレイだったが同時にシルバーがついた嘘も見破られた。

 

シルバーはキースと戦っているジュビアに念話でキースを倒すように頼んだ。キースが死ねばシルバーも消えてしまう為に躊躇っていたジュビアだったがシルバーの願いを聞き届けキースを倒した。

 

愛する息子の腕の中で最期を迎えたシルバーはグレイに氷の滅悪魔法を託して逝った……ENDが炎の悪魔なので対抗する為に会得した氷の滅悪魔法を息子が継いでくれた。

 

「ENDは俺が倒す!氷の滅悪魔道士(デビルスレイヤー)として!!」

 

グレイの右腕には滅悪魔法を継承した証の紋様が刻まれていた。魔法と共に父の遺志を継ぐ決意をしたグレイだが彼はまだ知らない。

 

父が倒そうとしていた最強最悪のゼレフ書の悪魔であるENDが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《エーテリアス・ナツ・ドラグニル》を意味していることを…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガジルがレビィの力を借りてトラフザーを撃ち破った頃、エルザとミネルバは指令室へと到着した。ツナが予め超直感で大雑把な場所を示していたのでそれほど迷うことなくたどり着いた。

 

「凄まじいなツナヨシの勘は……」

 

「私も毎回そう思っている」

 

二人は呆れながらも辺りを見渡すとコンソールに向かって操作している元議長を発見した。

 

「元議長!!」

 

「エルザ……もう死んでおる」

 

声を荒げるエルザを押さえながらミネルバは周囲を探っていた。だからこそ自分達に向けられた呪力を感知すると自分の魔法、絶対領土(テリトリー)を用いて攻撃を防いだ。

 

「すまんミネルバ」

 

「気にするなエルザ」

 

頼もしいパートナーに礼を言いながら相手を見据えるエルザ。そこにいたのは自分を拷問していた悪魔、九鬼門のキョウカ。それにエルザは知らないことだがミラと戦っていたセイラだった。

 

「まさか我らタルタロスがここまで追い詰められるとは思わなかったぞ」

 

「我らの物語を破壊した罪……その身で償いなさい」

 

キョウカはマルド・ギールによって多少傷を負っている程度だったがセイラはミラやエルフマンとの戦いの傷が痛々しく残っている。

 

「貴様は……」

 

「キョウカにセイラか……改造された恨みを晴らさせてもらおうぞ!!」

 

確かに悪魔として改造したはずのミネルバが人間に戻っている姿を見て驚く二人の悪魔……

 

「信じられません!どうやら完全に人間に戻っているようです!!」

 

「バカな……どうやったというのだ!?」

 

「私達には心強い仲間がいるということだ」

 

エルザもミネルバもやられた分を返そうと前に出る。対するはキョウカが一人で前に出てきた。

 

「セイラ……下がっていろ」

 

「仰せのままに」

 

言葉通りにセイラが下がる。その行動に疑問を持ったエルザだったがそれを気にしている暇はなかった。

 

「隷星天キョウカ……参る!!」

 

キョウカは二人に向かって来ながら指先を伸ばして鞭のようにふるってきた。二人は左右に別れながらその一撃を軽やかに躱す……

 

「イ・ラーグド!!」

 

ミネルバの空間爆発がキョウカの眼前で発動し、キョウカは目を庇いながら後退する。しかしその隙をエルザは見逃さない。

 

「天輪!循環の剣(サークル・ソード)!!」

 

「ちっ!」

 

瞬時に天輪の鎧に換装したエルザが舞うように剣を放った。キョウカは次々に襲ってくる剣を躱していくが何本かの剣は体を掠めていく……

 

「逃がさん!!」

 

ミネルバの叫びと共にキョウカを中心に次々と爆発が起こる。だがキョウカもやられっぱなしではない爆発を受けながらも二人にいくつもの呪力の弾丸を放ってくる。

 

「エルザ!」

 

「!!」

 

ミネルバの声にエルザがそちらを向くと二人の目が合う。その鋭い視線にエルザがミネルバの意図を感じとると黒羽の鎧に換装し、そのままミネルバに斬りかかった。

 

「……?なっ!?ガハッ!!」

 

エルザの奇行を訝しげに見ていたキョウカだが、その目が驚愕に見開かれる。突如眼前に自分に向かって剣を降り下ろすエルザの姿が現れたからだ。

 

ミネルバが自分とキョウカの位置を入れ替えることによってキョウカにとっては予期せぬ攻撃となった。エルザの一撃は致命傷こそ避けたがキョウカの胸元を確かに切り裂いていた。

 

「キョウカ様!!」

 

セイラはキョウカの名を呼ぶがその場から動こうとしない。その姿を見てエルザは再び疑問に思う。

 

-何故奴は動かない?それほどまでに傷が深いのもあるだろうが……いや!違う!!-

 

「ミネルバ!元議長を操っているのはそいつだ!」

 

「そういうことか!!」

 

「くっ……」

 

エルザの指摘にミネルバもセイラへ向き直り二人で攻撃を仕掛けようとするが……

 

「させん!!」

 

二人が一瞬意識を外したのを見逃さずキョウカの伸びた指先が二人を捕らえる。

 

「セイラ!やれ!!」

 

「命令する。動くな!!」

 

すかさずセイラの呪法、『命令(マクロ)』が二人の動きを封じこめる。

 

「しまった!」

 

「体が動かん……」

 

動きが止まった二人は魔力を身体中に漲らせて何とか命令を振りほどこうともがく。

 

ただでさえセイラは瀕死の重傷を負っているうえに元議長のしかも死体を操っている。この状態ではフェアリーテイルの誇るS級魔道士にセイバートゥース最強の魔道士を操るのは難しい。今にも呪力が断ち切られそうだ。

 

「キョウカ様!長くは持ちません!!」

 

キョウカはセイラに言われるまでもなく両腕に呪力を集めてエルザへと向ける。

 

「まずはそなたからだ!エルザァッ!!」

 

「くっ!換装!金剛の鎧!!」

 

キョウカの両腕から呪力砲が放たれた。エルザは何とかこの攻撃を防ごうと防御力が高い金剛の鎧へと換装するがこの攻撃がエルザに当たる事はなかった……

 

 

 

 

 

 

 

「ミネルバ!?」

 

ミネルバがエルザとの位置を入れ替えたのだった。当然ミネルバに呪力砲が直撃する結果となった。

 

「ぐっ……はっ……」

 

キョウカの一撃をまともに喰らったミネルバはボロボロになりながらもその口元にニヤリと笑みを浮かべていた。キョウカは激昂する。

 

「ええい余計な真似を!今度こそ!!」

 

「うおおおおおっ!!」

 

キョウカが再び呪力砲を放とうとする。エルザはミネルバの姿を見てその心意気に応える為にもさらに魔力を振り絞る。

 

「くっ!これ以上は……」

 

「そうね!これ以上はさせないわ!!」

 

そこに飛び込んでくる1つの影……その影はセイラを思いっきり殴り飛ばした。

 

「があっ!!」

 

「セイラ!!」

 

「動くっ!!」

 

呪縛を解かれたエルザは助けてくれた人物に目を向ける。そこにいたのはサタンソウルで変身したミラジェーンだった。

 

だがミラも最後の力を振り絞ったのだろう、そのまま地面に倒れて変身も解けてしまった。

 

窮地を脱したかにみえたエルザだったが事態は最悪の方向へと進み始めた。

 

「キョウカ様……フェイスは無事に発動しました。私の役目も終わりです。残った力は全て差し上げます」

 

「よくやったセイラ。先にゼレフの元へ行け……」

 

セイラはキョウカに力を渡すと力尽きて地面に倒れた。そして先程まで元議長の遺体が操作していた画面にはタイマーが表示され、カウントダウンが始まっていた。残りは約一時間……キョウカはただ一人立っているエルザに向かって構えた。

 

「まずい!フェイスが……」

 

「ごめんなさいエルザ……後は頼むわ」

 

「キョウカを倒して何とかフェイスを止めてくれエルザ……」

 

ミラとミネルバがエルザに声をかけるとそれに応えるように妖精の鎧(アルマデュラ・フェアリー)に換装して剣を構える。

 

「任せておけ」

 

エルザはキョウカと同時に地を蹴った……

 

 

 

 

 

ツナがスティングとローグの所へ着いた時、既にジエンマは倒れて二人は地面に座り込んでいた。

 

「あれ?ツナヨシさん?」

 

「二人共久し振り。どうやら無事みたいだね」

 

「何とかな……」

 

ツナは二人を労うとここへ何をしに来たのかを話し出した。そう時間が残っている訳ではないのだ。二人はツナが警戒する程の巨大な敵が近づいてる事に驚くがミネルバが人間に戻った事には我が事のように喜んだ。

 

それを見たツナは本当にセイバートゥースはいいギルドになったと嬉しくなった。そこに倒れているジエンマが居なくなったのも大きいのだろうが……

 

「じゃあ俺達の魔力を吸収する為に?」

 

「うん。疲れているところ悪いとは思うけどお願いできるかな?」

 

「もちろんさ!ツナヨシさんに頼まれちゃ断れねえよ!」

 

「それにお嬢を元に戻してくれた恩もある」

 

二人は快く引き受けると立ち上がって少し距離を取った。ツナはそれを見て零地点突破・改の準備を始める。額の炎がノッキングすると二人に声をかける。

 

「よし!頼む!」

 

「行くぜツナヨシさん!白竜の咆哮!!」

 

「影竜の咆哮!!」

 

迫る二色の魔力をツナは受け入れるように迎えるとそのままその身に二人の魔力を吸収した。

 

-スティングは『晴』、ローグは『雲』か……予想通りこれで全ての属性の炎が揃ったな-

 

全ての属性が揃った為か炎を回復するだけではなく炎の総量が大幅に増加したのをツナは感じていた。とはいえ虹の炎を使えるわけではないが……

 

「ありがとう二人共。これで全ての準備が整った」

 

「はは……分かっちゃいたけど俺らの全力をこうもアッサリと……」

 

「俺達はまだまだ未熟ということだな……」

 

気落ちする二人を見ながらツナは苦笑するがその笑みも目の前の二人の顔もすぐに凍りついた。

 

 

 

 

 

「何!?」

 

マルド・ギールと戦っている最中のナツが……

 

「まさか……」

 

トラフザー戦後、休息を取っていたガジルが……

 

「ああ……やっぱり……」

 

仲間達の傷を癒していたウェンディが……

 

「この声、この気配は……」

 

「ドラゴン……なのか?」

 

ツナの目の前にいるスティングとローグが……

 

ラクサスを除いたドラゴンに育てられた滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)達がその存在に一斉に気づいた。

 

そしてツナもいよいよ迫る脅威を明確に感知すると額に今までよりもより鮮やかな、より純度の高い大空の炎を灯した。

 

「ツナヨシさん!」

 

「今近づいてるドラゴンはまさか……」

 

二人は自分の知るドラゴンよりもはるかに圧倒するこの気配の主とツナが戦おうとしているのを見て思わず止めようとする。明らかに大魔闘演武で見たドラゴンの比ではない……

 

だが二人にはもう止めることはできない。二人共それほど力は残っていない……いやたとえ無傷の状態でもどうすることもできないということを悟っていた。

 

まともに戦える可能性があるのはツナしかいない……

 

「二人共ありがとう……巻き込まれないように下がっていろ」

 

ツナは両手から炎を噴出して夕焼けの空へと昇っていった。それを見送るしかできなかった二人は自分の力の無さを嘆いていた……

 

 

 

 

 

 

冥界島から少し離れた空中でツナは静止する。もうまもなく現れる相手は今までにない強さを持っている……

 

ツナは目を閉じる……思い浮かべるのは自分に想いを寄せてくれる3人の少女……

 

『気を付けてね!ツナ!!』

 

『ぜっ…たい……絶対に帰ってきて下さい!』

 

『ツナがいなくなるのは嫌……私ももっと強くなるから!だから……』

 

彼女達と未来を共に歩む為にも……

 

「負ける訳にはいかない!!」

 

ツナは目を開く……遂にその姿を捉えた。夜の闇よりも深く見える黒い体躯。その名は魔竜アクノロギア……

 

大空と魔竜の戦いが始まる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いつもの時間に予約するはずが出来てませんでした。何とか4月中かな?

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