妖精達と歩む大空   作:グリーン

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本当に……本当に遅くなって申し訳ありません!まとまって書く時間がなかなか取れませんでした……


動き回る大空

-冥界島

 

フェアリーテイルとタルタロスの全面戦争がついに始まった。内部への突入に成功したツナは直感の導くままに進んでいく。救出作戦に最も必要な物はスピード……時間をかけ過ぎると人質の命は危ない。その為にツナは単独で内部を進んで行く。

 

「ギルドは破壊されたがみんなは無事のようだ……なら俺のやるべき事は……」

 

-ナツ、エルザ、リサーナ……ミラ……絶対に助け出してみせる!!-

 

「いたぞ!侵入者だ!!」

 

「殺せ!!」

 

「邪魔をするな!」

 

「「「「ぎゃあああっ!!」」」」

 

行く手を塞ぐたくさんのタルタロスの下っ端兵達を蹴散らしながらツナは進む。そして牢屋のエリアにたどり着いて中を見ると目的の内の二人を発見した。

 

「ナツ!リサーナ!」

 

「「ツナ!!」」

 

二人は何とか無事のようだった。すぐに手刀で牢を焼き切ると二人の拘束を解除して自由にした。

 

「助かったぜ!!」

 

「よかった……エルザとミラは?」

 

「分かんない……エルフ兄ちゃんも……」

 

「エルフマンは無事だ……リサーナこれを」

 

「え?きゃああっ!ツナ見ちゃダメ!!」

 

ツナが自分の上着を差し出す。なにしろナツは全裸、リサーナも毛布を持っているとはいえ色々隠せていない……

 

結局リサーナはアニマルソウルで変身することで体を隠す事にしてナツは毛布を腰に巻いて急場をしのぐ事にした。

 

「エルザの匂いだ!!」

 

「急ぐぞ!」

 

通路を走っているとナツがエルザの場所を見つけたようだ。通路の途中でナツが立ち止まる。

 

「この壁の向こうだ!!」

 

壁を蹴破って中へ突入した。

 

「エルザ!!」

 

狭い部屋の中にはエルザが全裸で天井に吊られて立たされたまま気を失っていた。身体中は傷つけられ酷い拷問を受けていた事が見受けられた。天井には鎖に巻き付くようにヘビとカエルを足したような悪魔……ヤクドリガがいた。

 

「エルザから離れろ!!」

 

ツナの拳が突き刺さりヤクドリガは奇声をあげて意識を失った。その間にナツとリサーナがエルザを解放した。

 

「うっ……ナツ?」

 

「しっかりしてエルザ!」

 

「リサーナ……ツナも。助けてくれたのか……ありがとう」

 

「俺らもツナに助けられたんだけどな」

 

「エルザ!ミラ姉は!?」

 

「そうだ……ミラを助けなければ!!」

 

エルザの意識が一気に覚醒する。エルザは換装でサラシと袴に着替えるとすぐに部屋を出ようとする。

 

「しっ!待って、誰か来る」

 

ツナの声にナツとリサーナが扉の両側に隠れてツナとエルザが壊れた壁の向こうに姿を隠して扉が開くのを待つ。

 

扉から現れたのはキョウカだった。キョウカは鎖が外され、エルザがいないのに一瞬呆然とする。

 

「待ってたぞ!」

 

「捕まえたわよ!」

 

「なっ!?ソナタらどうやって牢を!?」

 

「俺らには頼れる仲間がいるからな」

 

「エルザはどこに……」

 

「ずいぶんとかわいがってもらったからな……たっぷりと礼はさせてもらうぞ」

 

「ミラの居場所も吐いてもらうよ」

 

壊れた壁の向こうからツナとエルザも姿を現す。

 

「エルザ……そしてソナタはリリスを倒した者……もうここまで侵入していたのか……」

 

エルザはキョウカを自分が捕らえられていた鎖に繋ぐと怪しい笑みを浮かべる。

 

「フフ……たっぷりとお世話になったお礼をしなくてはな……そう、たっぷりと」

 

「な……何をされたのかしら?」

 

エルザがミラの居場所を聞き出すとツナとナツ、リサーナに先に行くように指示する。3人は壁に開いた穴から飛び出していった。

 

エルザが何故フェイスを狙うのかを質問するとキョウカは特に黙秘もせずに質問に答えていく。

 

「ENDの復活……」

 

「そうだ。大陸中の魔力を消し去ればENDは復活できる。そして我らはゼレフの元へと還る事ができる。止めようとしても既にフェイスは起動している」

 

「なっ!?ではジェラールを……」

 

「安心しろ。殺してはいない。別の方法を使ったからな……所でお前を捕らえていたこの鎖は魔力を封じる事ができる……だが我らの呪力には効果がない!!」

 

ジェラールが生きていると聞いて安堵した隙をついて鎖を引きちぎったキョウカは伸ばした爪でエルザに襲いかかってきた。咄嗟に剣を出して攻撃を受け止めるエルザ……

 

「くっ!!ゼレフに還るということはお前達の死を意味するのではないのか!?」

 

「我らはその為に創られた!それは死ではなくゼレフと共に生きるという事だ!」

 

「信仰……いや盲信か」

 

「それが我らの生まれた意味だ!!」

 

「大事なのは生まれじゃない……どう生きるかだ!!」

 

キョウカはなおも攻撃を続けるがエルザは騎士鎧と突撃槍に換装して腰だめに構えるとその槍を体ごとキョウカに向かって突き出した。

 

 

 

 

 

 

アンダーキューブではタルタロスの兵を蹴散らしながら入り口を探しているフェアリーテイルメンバー達が暴れまわっていた。

 

「ええい!まだ入り口は見つからんのか!」

 

「雑魚が多すぎるぞ!!」

 

マカロフとラクサスが多数の兵を吹き飛ばしながらも苛立って叫ぶ。

 

「ツナはもう内部に突入してるから早くあたし達も行かないと……」

 

「ちっ!そうは言ってもよ……」

 

「このままじゃいつまでも進めませんね」

 

あくまでも目的は人質の救出とタルタロスの殲滅なのでここでいつまでもモタモタしていられない。その時、地面を突き破って飛び出してきた人影があった。

 

「はあああああっ!!!」

 

「「「「エルザ!?」」」」

 

エルザはキョウカと距離を離すと現状を把握しようとする。周りには仲間達の姿があり、何故か頭の上の方に地面があってかなり驚いていた。

 

「これは……」

 

「エルザ!無事だったのか!?」

 

「ツナのおかげでな。ナツとリサーナも無事助けられた。今3人はミラの元へ向かっている」

 

「さすがツナだぜ!!」

 

「あたし達も早く行こう!!」

 

「よっしゃ!この穴から突入するぞ!」

 

「ツナに続け!!」

 

「待ってろ!姉ちゃん!!」

 

グレイやルーシィ、ウェンディの他にも多数のメンバーがエルザの開けた穴に飛び込んで行った。その時、ラクサスがエルザに声をかける。

 

「さっきの奴は九鬼門の一人か?」

 

「そのようだ……」

 

「俺も借りを返さねえといけねえ奴がいる」

 

「なるほど……テンペスターが言っていたのはソナタだったのか……」

 

キョウカが戻って来て二人の会話に口を挟む。

 

「先程会ったリリスを倒した者といいソナタら二人といい人間にしてはやるようだな……だが!我らゼレフ書の悪魔に敗北はない!!」

 

「言っとくが夢魔を倒した奴は俺らよりもはるかに強えぞ?」

 

「行け!ラクサス、コイツは私がやる……お前はお前の倒すべき相手を倒せ!」

 

「任せたぜ!」

 

ラクサスは雷を全身に纏うとエルザが開けた穴へと飛び込んだ。そしてエルザは天輪の鎧に換装し直すと、気合いと共にキョウカへと向かっていった。

 

 

 

 

 

「多分こっちだ!」

 

「早くミラ姉を助けないと!」

 

ツナとリサーナは二人並んで通路を走っていた。ナツは途中で現れたタルタロス兵を食い止める為に残り、二人を先に行かせていた。

 

そして辿り着いたのはいくつもの水槽が立ち並ぶラボのような部屋だった。

 

「ミラ姉!どこ~!?」

 

「ん?こっちだ!」

 

ツナが示す方へと進むとそこにはミラが普通に歩いていた。リサーナはミラに飛び付いた。

 

「ミラ姉!!」

 

「リサーナ!それにツナも!!」

 

「無事だったんだね。よかった……」

 

「私怖かったわ!ツナ!」

 

「ミラ姉余裕そうだね……」

 

「ははは……」

 

ツナに抱きつくミラだがその怖がった顔は明らかに作った物であるのにツナもリサーナも気づいて苦笑していた。

 

ミラはタルタロスに捕まった後、このラボで悪魔に改造されそうになったらしい。だがその為に流し込まれた悪魔因子がミラを逆に救うことになった。

 

元々サタンソウルを使うミラは悪魔因子を持っており逆に悪魔因子を吸収することで力を得て脱出に成功したのだった。

 

ちなみに改造しようとしてたのはラミーと呼ばれる悪魔でこの場所、ヘルズコアの責任者であるラミーだ。ミラを醜い悪魔にしようとしたのはミラの美貌に対する嫉妬が最大の理由だったというしょうもない悪魔だ……

 

既にミラにやられて倒れているがイケメン大好きでツナが来た時には意識もないのに反応していた。

 

「私もツナに助けられて……そうだツナ!エルフ兄ちゃんは大丈夫だったの!?」

 

「……エルフマンはリサーナが捕まった事を伝えにギルドに戻って来たらしいけど」

 

「妙ね……エルフマンならリサーナを助けようと躍起になると思うけど……」

 

「……その者は私が利用させてもらいましたわ」

 

そこに女性の声が響く。ツナが咄嗟に庇うようにハイパーモードになって二人の前に出るとそこには九鬼門の一人、セイラが顔を伏せて佇んでいた。

 

「あ……私を捕まえた悪魔!気を付けて!コイツ人を操る!私もエルフ兄ちゃんも……」

 

「利用したってどういうことなの!?」

 

「彼に命令しましたの。爆弾を持たせてギルドと共に消えてもらおうと思いまして……」

 

「「「なっ!?」」」

 

「彼は本当に役立たずでしたわ。ギルドは跡形もなく壊してくれましたけど人員は全て無事なんですもの……本当に失敗しましたわ……」

 

「酷い……!!」

 

「何て事を……!!」

 

「私の物語を崩してくれた代償は高いですわよ……この代償は姉妹であるあなた達に支払ってもらいましょうか」

 

「そう……あなたが私の弟を……?へぇ……」

 

ミラが浮かべたのは笑みだったが目は全然笑っていない表情だった。その静かな怒りを感じ取ってリサーナすら怯えていた。

 

だがセイラは意に介さずツナに向き直ると腕を振って言葉を紡ぐ。

 

「タルタロス九鬼門、涼月天セイラが命令する。その女達を殺しなさい」

 

「「なっ!!」」

 

「私の呪力……『命令(マクロ)』の前には抵抗は無意味……先程見ていましたわ。あなたがこの男を愛している事を……さあ!愛する男に殺されなさい!」

 

ツナは振り返ると炎を灯したままの拳をミラへと構えるが……ミラは笑みを浮かべるとサタンソウルで変身してセイラへと突っ込んだ。

 

「な!?」

 

ツナが何もしなかった事に驚きながらもミラの一撃を躱した直後に衝撃が走って壁に叩きつけられた。立ち上がったセイラが見たのは自分に対して蹴りを繰り出したであろうツナの姿……セイラは唖然とする。

 

「ば……バカな!私の命令が効いていない!?」

 

「ツナがそんなものに操られる訳がないじゃない」

 

「ツナったら……一瞬焦ったよ」

 

「すまない。やり返したくてな」

 

「な……何故……?」

 

魔法、呪法……それは事象を操るという点では共通している。しかしそれは言い換えれば自然な状態を崩す……つまり調和を乱している事に他ならない。

 

ツナに対して特に毒物や精神操作等の状態異常などは炎を灯している限り通用しない。リリスの夢に堕ちてしまったのは京子の姿に動揺してハイパーモードを解いてしまったからだ。

 

-この男……この炎は……リリスがヘルズコアで再生されなかったのもこの男が原因!?この男!我らにとっての……天敵!!-

 

セイラは立ち上がるとツナを憎悪の瞳で睨み付ける。ツナも拳を構えるがそこへミラが前に出る。

 

「ツナ、この人は任せて。九鬼門というくらいだから後8人いるはずよ。みんなを守って」

 

「だが俺の方がやりやすいだろう?」

 

相手の命令はツナには効かない事が証明されたのでツナが戦う方が楽に倒せるはずだ。

 

「大丈夫。私にも対抗策はあるわ。この人は許せない……絶対に私が倒すわ」

 

心配するツナだがミラは引く気はないようだ。ツナとしてもさっきから妙にひっかかる嫌な感覚を感じていたのでそちらへと向かう事にした。

 

「分かった……気を付けろよ」

 

ツナはそのままもの凄いスピードでラボを出て行く……それを見送ってミラはセイラへと向き直る。

 

「愚かですね……彼がいれば勝てたかもしれないものを……」

 

「あなたの相手を誰かに譲るつもりはないわ」

 

「では私自ら殺してさしあげますわ」

 

 

 

 

 

 

ツナはラボを飛び出すと直感の示すままに進んで行く。先程から感じていた嫌な感覚……それが誰なのかまだ分からないがとてつもない存在がいるのは間違いない。

 

「ルーシィ!ウェンディ!」

 

「ツナ!」

 

「ツナさん!」

 

「おやおや~これはまずいですな~」

 

ツナが通路を飛んでいるとルーシィとウェンディ、ハッピーとシャルルがフランマルスに追われていた。

 

「コイツは?」

 

「九鬼門の一人よ!!」

 

「ツナさん大変なんです!フェイスが発動して早く止めないと!!」

 

「早くしないと大陸中の魔力が消えちゃうよ~!!」

 

「何だと!?」

 

「グヘヘ……もう手遅れだと思いますけどね~」

 

ツナは既にフェイスが発動していることに驚く……目の前の敵とさっきの嫌な気配、さらにフェイスを止めなくてはならない……

 

「私とシャルルで止めに行きます!!」

 

「ウェンディ……だったらナッツ!!」

 

「ガウッ!!」

 

ツナはボックスに炎を注入すると自身のパートナーであるナッツを呼び出した。

 

「コイツも連れて行け!相当な炎を込めたから簡単にエネルギー切れは起こさないはずだ!」

 

「ありがとうございます!行こうシャルル!ナッツちゃん!!」

 

「分かったわ!!」

 

「ガウッ!!」

 

「おっと~そうはさせませんよ~これでも喰らいなさい!」

 

「これって!?アリエスの技!?」

 

「させるか!!」

 

フランマルスはピンク色の泡を作って離脱するウェンディへと放つ。咄嗟にツナが割り込んで炎の壁を作ってそれを防いでいた。

 

「おやおや~逃がしてしまいましたか」

 

「何でアリエスの技を……アリエス、それにタウロスに何をしたの!?」

 

「グッヘッヘ……私の呪法『進化(レボリューション)』は魂を吸収してその能力を奪う事ができるのです……こんな風にね!」

 

「じゃあ二人はさっきの戦いの時に吸収されちゃったの!?」

 

そしてフランマルスは見せつけるようにアリエス、タウロスと顔を変える。どうやら追われる前に戦った時に二人は魂を吸収されてしまったらしい……

 

「何て事をするの!返してよ!あたしの大事な友達を!!」

 

「心配しなくてもあなた達も吸収して一緒にいさせてあげますよ。グッヘッヘ……あなた達の魂はおいくらかおいくらか~」

 

「このっ!!」

 

「落ち着けルーシィ!……強制閉門だ」

 

ルーシィを諫めた後にボソッと呟いたツナにその手があったかとルーシィはアリエスとタウロスの鍵を取り出す。

 

「アリエスを強制閉門!!」

 

「なぬ!?これはマズイ!アリエスを排除!!」

 

アリエスと共に星霊界へと送られそうになったフランマルスはアリエスを吐き出した。分離したアリエスはそのまま星霊界へと帰還していった。

 

「すみません~」

 

「続いてタウロスを強制閉門!!」

 

「おのれ~!タウロスを排除!!」

 

「んMO!?」

 

「やったわ!ツナ!ありがとう!!」

 

「さすがはツナだね!あったまいい~!」

 

「これで心置きなく戦えるな」

 

タウロスも解放して安心して戦えるようになった。対するフランマルスは怒りのあまり口調すら変わっていた。

 

「こんのガキどもがぁっ!!私の持つ魂の中でも最高級の姿を見せてやるぁぁっ!!」

 

そう言うとフランマルスの姿が変化していく……その威圧感にルーシィとハッピーの方はどこか覚えがあった。

 

「な!?まさか……アイツは!?」

 

「知ってるのか?」

 

逆立った白髪に髭……右目の眼帯、表情と体型こそ違うがその雰囲気は変わらない。

 

「マスターハデス!?」

 

「!?フェアリーテイル2代目マスターの!?」

 

「マズイよ!アイツ無茶苦茶強いんだ!」

 

「この魂は魔道の深淵に最も近づいた魂だぁっ!!天照二十八式!!」

 

ツナとルーシィの周りに魔方陣が浮かび上がる。

 

「マズイわ!」

 

「逃げないと!!」

 

「ルーシィ!ハッピー!動くな!!」

 

ルーシィとハッピーは慌ててその場から逃げようとするがツナがそれを呼び止める。振り返ったルーシィ達がツナを見るとツナの額の炎が激しくノッキングしていた。そして自分の周囲に展開されている魔方陣に優しく触れた。

 

「零地点突破・初代エディション」

 

眩しい光が空間を埋めつくして目を閉じたルーシィが再び目を開けると自分達の周囲に展開されていた魔方陣が全て凍りついていた。

 

「んなぁ!?魔方陣が凍って……いや私の呪力そのものを凍らせたですと!?」

 

「凄いよツナ!!」

 

驚いているフランマルスにツナは左手を向ける。右手は後方に向けているのでルーシィ達にもツナが何をしようとしているのか分かり、少し後方へと下がる。

 

「X BURNER!!」

 

ほとんど溜め無しで放たれた為に威力は冥界島をぶち抜いた時ほどでもないがそれでも高威力の炎の奔流がフランマルスへと迫る。しかしフランマルスは下品な顔で笑っていた。

 

「この炎の魂も頂きましょうかね~!!吸収!!」

 

ツナが放った炎は吸い込まれるようにフランマルスに吸収されていく。

 

「ツナの炎を吸収してる!?ってか炎の魂って何なのよ~!?」

 

「これはすんごい炎ですね~!!確かに頂きましたよ~!!」

 

そしてフランマルスは自らの体に炎を纏うとさらに下品な高笑いをツナへと向ける。

 

「グッヘッヘ!ありがとうございます!こんなに美味しく力強い魂は初めてですよ~!!この炎の価値はおいくらかおいくらか~!!」

 

「……そうか、喜んでもらえて何よりだ。何しろお前にとって最後だからな……存分に味わっておけ」

 

「なぬっ?それはどういう……な!なんですかぁ!?体が崩れる!?」

 

フランマルスの体にヒビが走り、体がボロボロと崩れていく……

 

「俺の炎は調和の炎……お前達のように作られた悪魔には毒に等しいようだな」

 

「なんですとぉっ!?こんのガキがぁっ!!」

 

激昂して体が崩れるのも構わずにこちらへと向かって来るフランマルス……こちらを吸収しようとしているのだろう。

 

「ぶへぇぇっ!?」

 

しかしツナは慌てずに炎を使った高速移動で後ろへ回り込むとフランマルスが認識する間もなく殴り飛ばした。こちらを吸収しようとするならそうされる前に倒せば問題ないということだ。

 

フランマルスは崩れていた体が完全に崩壊し、その体から無数の魂が飛び出して幻想的な光景を作り出していた。

 

「これ……全部あいつが吸収してた魂?」

 

「そうみたいだね~」

 

「ふう……みんな解放されたみたいだね」

 

ツナがハイパーモードを解くとその魂達は次々に消えていく。恐らく成仏しているのだろう。その時二人の背後から厳かな声が響く。

 

『マカロフに伝えよ。タルタロスの真の目的はフェイスにあらず。今こそ光を解き放てと……』

 

「マスターハデス!?」

 

「光?」

 

『そなたがジョットの血を受け継ぐ新たなる大空か……もう少し早く出会えていれば何かが違っていたのかもしれんな。私にその資格があるとは思えんが後を頼む……』

 

そう言うと他の魂と共にハデスの魂は消えていった……

 

「マスターハデス……」

 

「違う。最後の瞬間はあの人はフェアリーテイル2代目マスターのプレヒトだったよ」

 

「そうね!」

 

「あい!!」

 

「ツナ!ルーシィ!ハッピー!!」

 

「「ナツ!!」」

 

「ナツ~!!」

 

どこかで服を調達してきたらしいナツが合流すると、ハッピーは泣きながら抱きついて再会を喜んでいた。一人で逃げてきた事をずっと悔やんでいたらしい。

 

-ルーシィはナツに任せて俺はさっきから感じる嫌な気配の方へ行こう……-

 

先程から感じる黒く嫌な気配……それを確かめに行く為にツナはナツ達に声をかけようと歩み寄る。

 

そしてツナは出会う事になる。ジョットがその命を奪う(救う)事が出来なかった友……黒魔道士ゼレフに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これから仕事の方が忙しくなる時期なので更新は遅くなりますがご容赦下さい。

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