妖精達と歩む大空   作:グリーン

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戦闘シーン以上に難しい。


Fairy Girls -Lucy-

マグノリアの街-

 

ツナは今日はギルドにも行かず街を歩いていた。すでに何件か仕事はこなしたが、今のギルドの状況ではあまりいい仕事がまわって来ない。これでも天狼組の復帰と『蛇姫の鱗(ラミアスケイル)』『青い天馬(ブルーペガサス)』などの友好的なギルドから、マカロフのつてでいい仕事をもらったりしているが、毎日あるわけではない。そんなわけで今日は街を散策している。

 

…ちなみに、昨日ナツ、グレイ、ルーシィ、ハッピーと一緒に街を襲う盗賊団退治に行った。仕事は簡単に終わったが、その後いつものようにナツとグレイが喧嘩して街に被害が出そうになるも、二人に鉄拳制裁を加え事なきを得て、ルーシィとハッピーには泣いて感謝されると言う一幕があった。

 

-それにしてもあれが毎回のようにあるんじゃルーシィも大変だな。エルザが止めに入るとさらに被害が増えるらしいし…-

 

ルーシィを不憫に思っていると、

 

「ツナ~!!」

 

その声に振り向くと、そのルーシィが駆け寄ってきた。

 

「偶然だね。今日は何してるの?」

 

「今日は街の散策だよ。この街に来てから日が浅いしね。今ちょうどルーシィのこと考えながら歩いていたんだ。」

 

「えっ…///ど…どんなことを?」

 

「昨日みたいなことが毎回あるんじゃ大変だなって。」

 

「えっ、あは、そう!そーなのよ!特にナツが壊しまくるせいで毎回依頼料削られちゃうの!……そっちか。」

 

「ふふっ。困ったことがあったら遠慮なく言ってね。俺達は仲間で家族なんだから。」

 

ツナが加入した夜に自分が言った言葉をそのまま返され、思い出したルーシィは顔を真っ赤にする。

 

「あ~ん。恥ずかしいからそれ止めて~!ツナのいじわる!…それより!あたしが街を案内してあげるから、洋服買いに行くのを付き合ってくれない?」

 

強引に話を変えるルーシィに、苦笑してOKするツナ。二人はそのまま並んで街を歩いていった。

 

 

 

 

 

「そういえば昨日は聞きそびれたけど…昨日ルーシィが呼び出したメイドさんが星霊なの?人じゃないの?」

 

ツナは気になってたことを聞く。

 

「ああ、昨日呼び出したのは処女宮のバルゴよ。黄道十二門の一つよ。世界に一つずつしかないの。」

 

「じゃあルーシィはいくつ持ってるの?」

 

「10個よ。アリエス、タウラス、ジェミニ、キャンサー、レオ、バルゴ、スコーピオン、サジタリウス、カプリコーン、アクエリアスで全部ね。」

 

「すごいなぁ…じゃあ後はライブラとピスケスでコンプリートだね!」

 

「そうね…って何で知ってるの?」

 

「俺のいた世界と同じだからね。」

 

「へぇ~じゃあ琴座とか小犬座とかもあるの?」

 

「あるよ。意外だな、こんなに遠いのに共通点があるなんて…」

 

「あ…ゴメン元の世界のこと思い出させちゃったかな…?」

 

ツナはキョトンとした後、声を殺して笑いだした。

 

「ちょっ!何よ~!」

 

「ゴメンゴメン。ルーシィって本当に素直で可愛いなって思ってさ。」

 

「む~何か納得いかないけど…あ、着いたここで服見るから、男の人の視点で感想聞かせてね。」

 

「いいけど俺でいいの?他の人の意見はいいの?」

 

「他の人?誰かいたっけ?」

 

心の底から聞き返すルーシィにギルドの男達を思い出す。ナツ、グレイ、エルフマン、ガジルetc.…少し考えて出した結論は、

 

「分かった。俺が見るよ。」

 

「分かってもらえて嬉しいわ。」

 

二人は固く握手をした。

 

 

 

 

 

「やっぱり便利ね~そのボックス。」

 

服の量が余りに多かったのでツナは保存ボックスに服を入れた。

 

「でも!ツナ結局似合うしか言ってないじゃない!?」

 

「仕方ないよ!ルーシィ自分に合う服しか選んでないし、それに綺麗だしスタイルもいいから大抵の服は似合うだろうし…」

 

「あ…ありがと…///」

 

「でも少し露出度高いのが多かったんじゃ?」

 

「///か…活動的と言って…」

 

ツナがいたのでちょっと冒険してみたルーシィだった。

 

「そんなことより!お昼食べに行きましょ!お礼に奢るから!」

 

「お昼くらい俺が奢るよ。随分買ったじゃないか。」

 

「昨日おかげで依頼完遂できたから大丈夫よ。」

 

「それでも女性に奢らせる訳にはいかないよ。」

 

ルーシィは感動していた。なにせ周りにいるのは逆に奢らせようとする男ばかりだったからだ。

 

 

 

 

ルーシィの希望でパスタ店で昼食を取る二人。メニューを眺めているとツナの後ろの窓の外を見たルーシィの顔が驚愕に染まっていた。

 

「どうしたの?」

 

問いながら後ろを振り向こうとしたら、ルーシィがブンブン腕を振り回しながら、

 

「な…何でもない!何でもないから!」

 

と言うので怪訝な顔をしながらもメニューに目を戻す。

 

…窓の外ではカナがルーシィに向かってにやけながら親指をたてていた。

 

料理を食べつつ談笑していた二人は端から見れば完全にカップルにしか見えない。美男美女のカップルに店内の多くの人が注目していた。それを見た店長はこれは使えると思い、デザートに無料でお互いに食べさせ合うパフェを提供した。スプーンは一本しかないので交互に食べさせ合うことにする。ツナはそうでもなかったがルーシィは顔を真っ赤にしながら食べさせられていた。…なおそれを見たカップル達が自分達もとそのパフェの注文が殺到し、店長の目論みは成功した。

 

 

 

 

昼食の後、ルーシィはツナに聞きたいことがあると言って公園に誘った。

 

「いや~おいしかったね。」

 

「うう…味なんて全然分からなかった…」

 

ルーシィの顔はまだ赤い。

 

「で、聞きたいことって?」

 

「…」

 

「聞きにくいこと?別に元の世界のことでも怒らないよ。」

 

「…ツナのお父さんのこと。」

 

「父さんのこと?」

 

「待って。あたしから話すから。」

 

ルーシィは自分の父のことを話す。母が死んでから父と上手くいかず、家出してフェアリーテイルに入ったこと、自分を連れ戻すためにギルドと仲間を傷つけたこと、決別したはずの父の会社が倒産して、商業ギルドに所属することになった父と和解したこと、…そして、天狼島から7年振りに帰ってきて会いに行った父が一月前に亡くなっていたこと。7年分の家賃を支払ってくれ、7年間誕生日にプレゼントと手紙を送ってくれて自分を愛してると言ってくれたこと。

 

「やっぱりあたしもお父さんが好きだった。でも結局あたしは何もしてあげられなかったから。ゴメン…ツナの方が辛いはずなのにこんなこと聞いて…」

 

「そんなことないよ。ルーシィだって辛い思いをしてるじゃないか。誰だって大切な人との別れは辛い。…でも俺だけじゃないってことを教えてくれてありがとう。」

 

「ツナ…」

 

「父さんか…一言で言えば駄目親父かな?」

 

「だ…駄目親父…」

 

今度はツナが話す。小さい頃から家にいない、仕事は世界中の交通整理と大噓を言う、たまに帰ってきたら酒飲んで寝る、それなのに無理にコミュニケーションをとろうとする、中学生になってからは厄介ごとを持ってくる、嫌いというよりは苦手だった。

 

「す…すごいお父さんね…」

 

「まぁね…ボンゴレの話はしたよね。」

 

「うん…ツナがボスをやってたマフィアのことよね…」

 

ツナはあの夜みんなにボンゴレのことを話した。追い出されてもしかたないと思ったが隠し事はしたくなかった。マフィアになった経緯と自分の信念とボンゴレのことを…受け入れてくれたみんなに感謝している。

 

「簡単に言うと父さんもマフィア関係者だったんだ。14歳の時に本気で闘う機会があったんだけど、駄目親父と思っていた父さんに一撃で負けたんだ。その後、ある人が父さんはお前の百倍修羅場をくぐってて、お前の百倍家族のために闘っていたって。きっとルーシィのお父さんもそうだったと思うよ。会社が大きくなりすぎてちょっと失敗しちゃったみたいだけど、背負うものがなくなったらいいお父さんみたいだし。」

 

「うん…そうだね…」

 

「俺がボンゴレを解体した後は、今までないがしろにしてた分まで母さんを大切にするって家に戻ったし、まぁ心配はしてないよ。」

 

「ふふっ…信頼してるのね…」

 

「さぁどうかな…さ、いつの間にか暗くなってきたし、ご飯食べたら帰ろう!送って行くから。」

 

「うん!ありがと、ツナ。」

 

 

 

 

夕食を食べた後、ルーシィの家の前まで来た。

 

「送ってくれてありがとうツナ。」

 

「でも荷物はボックスの中だから家の中まで行かないと…」

 

「あっ!そうか!じゃあ入って!お茶でも出すから!」

 

「いや…もう遅いし荷物置いたらすぐ帰るよ。」

 

「そんなわけにはいかないわ!さっ、どーぞどーぞ!」

 

ルーシィの頭の中はこの後どうするんだっけ!?と自分が読んだ恋愛小説を思い出していた。絶賛パニック中である。そして扉を開けると…

 

「よっ、お帰り。」

 

「お邪魔してるぜ。」

 

「あい!」

 

「ふほーしんにゅー!!」

 

ナツとグレイとハッピーがいた。グレイは半裸である。

 

「あ…あんたたちぃ~!!」

 

今日だけはいてほしくなかったと、ルーシィは涙する。

 

「カナから聞いたぜ。デートしてたんだって?」

 

「どぇきとぅぇる~。」

 

「なぁ土産は?」

 

その言葉を聞いて再び怒鳴ろうとしたルーシィだが、

 

「おい…」

 

ツナがいつもより低い声で声をかける。なぜか額に死ぬ気の炎が灯っている。顔をあげたツナは笑顔だった。二人と一匹は顔を青くする。

 

「お前たちは女性への接し方を学ぶべきだ…安心しろ俺がネッチョリと教えてやる。」

 

家庭教師の台詞を言った後、ボックスを開匣してルーシィの服を取り出すと、

 

「今日は楽しかったよ。また明日ねルーシィ。」

 

と、言葉を残して二人と一匹を掴み何処かへ引きずって行った。

 

その夜マグノリアのとある場所から男の悲鳴が途絶えなかったと言う。そしてこの夜を境に、ルーシィが不法侵入されることもなくなったとか…

 

 

 

 

 

 

翌日、フェアリーテイルでは、ナツがリサーナを、グレイがジュビアを、ハッピーがシャルルを紳士的な態度でもてなしていたという…喜んでいたのはジュビアだけだったが。残り二人は気味悪がっていたらしい。時々ネッチョリは嫌~とか叫ぶ二人と一匹であった。

 

そしてカナに捕まり昨日のことを根掘り葉掘り聞かれ、顔を赤くするルーシィの姿があった。

 

ツナは男連中に捕まってルーシィと同じように質問されていたがさらりと躱していた。下品な質問をする者は容赦なく沈めていく。時々約2名から鋭い視線を感じたが、ツナをもってしても視線の主は分からなかった…

 

 

 

 




ちなみに昼食のシーンは某血のつながった夫婦のスピンオフ作品より、次回はあの娘。

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