妖精達と歩む大空   作:グリーン

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大変お待たせしました。なかなか話が纏まりませんでした……


妖精の尻尾最強チーム結成!?

 

 

-フェアリーテイル

 

ツナ、ラクサス、ミラ、エルザの四人はマスターがどこからともなく取り出した依頼書の束を見せられた。

 

「これってS級クエストの依頼書?」

 

「全部で20枚か、こんなに来たのかよ……」

 

「しかもSS級が3つに10年クエストが1枚含まれてるわね」

 

「しかも他のギルドが手を引いた依頼もいくつかあるな……マスターこれを私達に?」

 

エルザの問いにマカロフは頷く。大魔闘演武を優勝した事によって他のギルドでは難しい依頼まで回って来るようになったようだ。

 

「さすがにお主達でもこの数をこなすのは難しいとは思うがのう……やたら難しい依頼まで回って来るようになってしもうた」

 

マカロフとしては心情としては全て受けたい所だが全てを受けるのは難しいと溜息をつく。

 

「……?嬉しい悲鳴ってやつじゃねえか」

 

「そうだね。この依頼を全部こなせばフェアリーテイル完全復活を印象付けられるし」

 

「ああ、ナツやグレイ、雷神衆達S級に近い者達の力を借りればできない事はないだろう」

 

そこでマカロフが口を挟む。

 

「待て待て!それが出来るのなら迷いはせんわい!ナツも雷神衆も連れては行けんから悩んどるんじゃよ」

 

「え?でも同伴ならS級に連れて行ってもいいんですよね?」

 

「今回はS級以外にも難易度の高い依頼が山ほど来とるんじゃ……ナツ達にはそちらを担当してもらわなければいかん……かといって短期間でお主達にこれだけの数のS級をこなせとも言えんから迷っとるんじゃ」

 

ツナはなるほどと納得した。ただでさえ危険を伴うS級クエストを一人で短期間に4つも5つもこなせとは言えないだろう。

 

しかしフェアリーテイル完全復活の為にはできれば全てのクエストをこなしたいと思っているようだ。そうすると残った解決策は……

 

「ならとれる手段は一つだけだね」

 

「どうすんだ?」

 

ツナは指を4本立てて自分の考えを話す。

 

「4人で組んで一つずつ消化していこう。そうすれば一つ当たりの時間短縮にもなるしね。もちろん報酬は山分けで」

 

「そうね。安全性も増すから連続で依頼に行っても危険度は下がるわね」

 

「この4人でチームか……腕が鳴るな。フェアリーテイル真の最強チームの結成といこうか」

 

「ふっ……おもしろくなってきやがったぜ」

 

四人は顔を見合わせて笑みを浮かべる。この4人でクエストをこなすのが楽しみでしかたないといった顔だ。それを見たマカロフも獰猛な笑みを浮かべた。

 

「ならば今日はしっかりと準備に当てて明日から出発じゃ!フェアリーテイル最強チームの名に相応しい活躍を期待しとるぞい!!」

 

「「「「おう(はい)!!」」」」

 

 

 

 

 

 

その話は瞬く間にギルド中に広まった。ツナ達は一つのテーブルを囲んで座って期限や依頼場所の情報からクエストの順番を決めているのだった。だが周りは騒がしい……

 

「S級以上を20件かよ!?」

 

「それをこの4人でチームを組んでやるのか!」

 

「マジで最強チームだな……」

 

「あの4人が揃えば怖いものなしね」

 

さっきまでヒスイの初クエスト達成祝いをしていたのだがヒスイを含めてみんな興味津々といった感じで4人を囲んでいた。だが中には煩い者達もいた。

 

「ずりぃぞー!!俺も連れてけー!!」

 

「おめぇじゃ足手まといにしかなんねーよ。俺を連れてけよ。こいつよりは役に立つぜ!」

 

「グレイ様が行くならジュビアも行きます!」

 

「ギヒッ!どうしてもっていうなら行ってやってもいいぜ!」

 

「漢として姉ちゃんを守らなくては!!」

 

「S級が平均1000万で16件、SS級が平均2500万で3件、10年クエストが6500万!?合計3億!?家賃が何年分!?」

 

「ラクサス!雷神衆がお前の助けになるぞ!」

 

マスターから今回はこの4人にしか行かせられんという話があっても騒ぎは収まらない……

 

「俺が行くんだ!!」

 

「いや俺だ!!」

 

「てめえらに任せてられるか!!」

 

「漢おぉぉっ!!」

 

「煩いぞ貴様ら!!」

 

遂には殴り合いの喧嘩に発展しそうになった時にそれまでテーブルに座っていたエルザが立ちあがりナツ達を怒鳴り付けた。

 

するとピタッと喧騒は止んだがエルザは止まらず騒ぎ続けていた面子に拳骨を叩きつける。騒いでいた者達は正座させられた……

 

「まったく……貴様らもギルドの為にクエストをこなさなければならないのだぞ!しばらくすれば新人達も入って来るはずだ!!その為にも模範となる行動を……」

 

正座しているナツ達にガミガミと説教しているエルザを横目にツナ達は準備を進めていた。

 

「順番はこれでいいかな?」

 

「まあいいんじゃねえのか?全部こなす事には変わりねえしな」

 

「そうね。私も久しぶりのS級だから少し緊張しちゃうわね」

 

「それにしても今回はエルザも気合いが入ってるみたいだね」

 

「ほら!エルザってば7年分の家賃を支払ってるから今回の依頼で取り戻したいんじゃないかしら?」

 

「そりゃ燃えるわな……」

 

天狼島から帰還した後、フェアリーヒルズ組は7年分の家賃を支払う事になって真っ白に燃え尽きていた。

 

特にエルザの7年分の家賃は一部屋10万のフェアリーヒルズを五部屋で月50万。それを7年分支払った為に4200万もの散財をするはめになったのだった。

 

「というか月50万も払うなら家を買えばいいんじゃないの?」

 

「私も何度か言ったんだけどね」

 

「寮に愛着を持ってんだろ……おめぇも今回の依頼をこなしたら家でも買ったらどうだ?」

 

「う~ん……家かぁ……」

 

「そうね!私達の家を買いましょうか!」

 

「「ちょっと!!」」

 

ミラの発言に黙ってられなくなったルーシィとウェンディがミラに食って掛かるがミラはほんわかした笑顔で二人をいなしている。ツナは苦笑すると3人を止めて準備の為にミラと一緒に厨房に連れ立って行った。

 

残ったルーシィとウェンディは不満そうだったが二人が何をしに行ったのか気になってラクサスに聞いてみることにした。

 

「ん?ああ……飯つか弁当の用意だな。何回か野宿するルートだからな。あいつのボックスに入れとけば普通の料理でも作りたての弁当代わりになるからな」

 

「なるほど……」

 

「便利ですね~」

 

「さすがはツナだな。連続でS級を受けるならば食事の質も重要な要素になるからな」

 

説教を終えたエルザも加わってツナを称賛する。ちなみに説教された者達はまだ沈んでいた。

 

「おめぇはツナの作りたてのデザートが嬉しいだけだろ……」

 

「無論それもある。が、それはお前もだろう」

 

「まあ味気ねえ保存食ばっかりじゃやる気出ねえのは確かだしな」

 

「そういうことだな」

 

なんだかんだ言いながら二人ともクエスト中でもミラやツナの作りたての料理が食べられるのは嬉しいらしい……こうしてS級クエストの準備は万端となった。

 

 

 

 

 

 

翌朝ギルドに集合した4人は他のメンバー達に激励を受けながら出発することになった。例によってエルザは大量の荷物を台車で引っ張って現れたが、ツナのボックスに収納することで全員身軽な出発となった。

 

魔導列車に乗って目的地へと出発するがドラゴンスレイヤー特有の乗り物酔いを意地でやせ我慢していたラクサスに対してツナが大空の炎を使う事によって穏やかな出発となった。

 

「さてと、最初の依頼は太古の遺跡の最奥にあると言われる秘宝を取って来ること……」

 

「普通トレジャーハンターに頼まねえか?」

 

「どうやら巨大で複雑な迷宮になってるらしいわね……さらには魔物が山ほどいて奥の方まで行ったら戻って来れないらしいわよ」

 

「私達もしっかりと調べながら進まないと彼らと同じように出られなくなるかもしれんな……」

 

「ああ……Aチームだったから知らねえのか」

 

「ツナが居れば問題なしね」

 

「……おい待て!まさかツナの勘で!?」

 

「大丈夫よエルザ!ツナのお陰で私達は大魔闘演武予選をダントツ1位で突破したんだから!」

 

「この間のじゃんけんの時といい、つくづくツナは非常識だな……」

 

「酷くない!?」

 

列車での旅はとても穏やかでこれから難解なクエストに行くとは思えない雰囲気で進んで行った。

 

 

 

 

 

最寄りの駅で降りたツナ達はそこから徒歩で遺跡までたどり着いた。事前に連絡がいっていた為に依頼人とは遺跡の側の街で会うことになった。

 

依頼人は大富豪で人の良さそうな老紳士といった感じだった。遺跡に興味を持ってトレジャーハンターを雇って調べていたが迷宮と魔物が数多く存在した為に調査は難航している。

 

だが文献には迷宮の最奥には秘宝が存在していてそれを守る守護者が存在しているという……

 

「依頼はその秘宝を持って来ることですね」

 

「その通り……残念ながら迷宮と魔物のせいで最深部まで到達したものはいない……そこで戦闘能力の高い魔導士ギルドに依頼したのだ」

 

「それで秘宝とはどのような物なのですか?」

 

「あらゆる病を治すというラクリマらしい……迷宮内で見つけた他の宝はそなた達が好きにしていいがそのラクリマだけは渡して貰いたい」

 

どうやら彼はそのラクリマを求めて大金をかけているらしい。その顔は絶望と希望が入り交じったのうな複雑なものだ。おそらく彼の身内に病人がいるのだろう……

 

「分かりました。ではしばらくここでお待ちください」

 

「は?いや何日かかかるだろうから一端家に帰るつもりだが……」

 

「本日中にお持ちしますよ」

 

ツナの自信たっぷりの言葉に依頼人は目が点になっていた……

 

 

 

 

迷宮に突入した一行はツナを先頭に迷宮の中を進んで行く。罠がある所を避けながら襲いかかって来る魔物を返り討ちにしていた。この面子に襲いかかって来るのは無謀としか言いようがないが知性のない魔物ならばしかたない……

 

ツナの超直感により迷わず進んでいる限り最短のルートで潜っている。そうなればどんなに複雑で広大な迷宮と言えどもそれほどの距離でもない。一行はどんどん深くまで潜っていった。

 

「それにしても魔物の数が多いな……」

 

「しかも弱えやつばかりだからめんどくせぇ」

 

「大分深く潜ったけどまだ着かないの?」

 

「う~ん……そろそろだと思う……」

 

「おっ!あれか?」

 

ラクサスの差す先を見ると豪華な装飾のついた大きな扉があった。明らかにこの迷宮に似つかわしくないそれはここが終着点だということを如実に意味していた。

 

ツナ達は迷わず扉を開いて中に入って行った。そこは迷宮の中とは思えぬほど明るく整えられていて、騎士の鎧がこの部屋の壁面にずらりと並べられていて中央の祭壇には白く輝くラクリマが安置してあった。

 

「あれがどんな病をも治すラクリマか?」

 

「確かにすごい魔力を感じるわ」

 

「!!」

 

「気を付けろ!何かいるぞ!!」

 

ツナとラクサスがこの部屋に何か敵意を持った者の存在を感じ取って注意を促す。すると今までただの置物だったはずの鎧が意思を持ったように動き出した。

 

この部屋はかなり大きな空間なので鎧は全部で500体以上存在し、さらにそれぞれが剣と盾を構えていた。

 

「これが秘宝を守る守護者ってわけかよ」

 

「本当に定番だね」

 

「しかし私達を相手にするにはこの程度の数では足りないな」

 

「そうね!ようやくS級っぽくなってきたわね」

 

ツナは額とグローブに炎を灯し、ラクサスは全身に雷を纏わせ、ミラはサタンソウルで変身し、エルザは天輪の鎧に換装して剣を舞わせる。

 

「行くぞ!」

 

ツナの掛け声と共に4人はそれぞれ四方へと飛び出す。

 

「Xストリーム!!」

 

ツナは自分の目の前の鎧達をまとめて炎の竜巻に巻き込んで高熱で数体の鎧の騎士をまとめて溶かすとそのまま鎧の群れに突っ込んで殴り飛ばしていった。

 

「雷竜の顎!!」

 

ラクサスが両手を組んでハンマーパンチのように降り下ろすとそれを食らった鎧はひしゃげてさらに地面をクモの巣のように電流が走る。動きの止まった鎧達をそのまま雷を纏った拳で貫いていった。

 

「はあぁぁぁっ!!」

 

ミラの技はこの場で使うには狭すぎるのでサタンソウルの大魔力でコーティングした肉体で鎧達を次々に屠っていった。

 

「天輪・繚乱の剣(ブルーメンブラット)!!」

 

エルザは次々に剣と放って鎧を串刺しにしていった。だが痛覚がない鎧達は多少動きを鈍くするが止まらない。エルザは黒羽の鎧に換装すると動きの鈍った鎧達を次々と斬り裂いていった。

 

狭い場所で大技が使えない面子だがそんなハンデなど感じさせずに鎧達を薙ぎ払っていく。

 

わずか2分もかからずに部屋の鎧たちはただの鉄屑へと成り下がってしまった。

 

「やっぱり雑魚だったな……」

 

「これを持って帰ればS級クリアなんだよね?なんか拍子抜けな感じ……」

 

「今回は迷宮のせいで金額が跳ね上がっていたのだろう……あの迷宮をツナの力無しに突破するとしたら軽く1週間くらいはかかったかもしれん」

 

「そうね……本当なら罠とかにもかなり引っ掛かったはずだけどツナが全部みつけちゃうし……」

 

「まあ簡単に済んで良かったじゃねえか。依頼人もまだいるだろうからさっさと戻ろうぜ」

 

「そうだね。あと19件もあるんだし」

 

ツナはボックスをかざしてラクリマを収納すると4人で地上への道を歩き出した。

 

ツナは道順を覚えてはいないし、マッピングすらしてないので本来なら相応の時間がかかるがツナの超直感の導きにより迷わずに地上に辿り着いた。

 

 

 

 

 

「まさか本当に今日中に持って来るとは……」

 

時刻は夕方、地上に戻って来たツナ達を迎えた依頼人の老紳士は驚愕と共に満面の喜びの表情を見せた。ちなみに夜まで待って帰って来なかったら一端家に帰るつもりだったらしい……

 

「これがどんな病をも治すといわれるラクリマか……これが最後の希望だ……」

 

「御家族の方に使われるのですか?」

 

「そうだ。これがあれば難病の孫を助ける事が出来るかもしれん……伝承通りであってくれればよいのだが……」

 

その老紳士の顔は端から見ても分かるように不安そうになる。伝承が間違っている可能性もあるのだから当然だろう……ツナは老紳士を安心させるように微笑む。

 

「きっと良くなりますよ。俺の勘はよく当たるんです。男の子なんですからすぐに元気になりますよ」

 

「そうだといいが……む?私孫が男の子だと言ったかね?」

 

「いえ、俺言ったように勘が鋭いんです」

 

「君の顔を見ていたら本当に大丈夫な気がしたよ……まるで全てを包み込むような優しさに溢れた笑顔だ」

 

老紳士はそれまでの不安が嘘のような軽やかな気持ちでお礼を言うと孫の待つ家へと帰って行った。それを見送って一息ついた4人は次の目的地へと出発する。

 

「とりあえず一つ目の依頼はクリアだな」

 

「次の目的地へ行って宿を取りましょう」

 

「今回はツナに助けられたからな……次は私が助ける番だ」

 

「関係ないよ。俺達はチームなんだから助け合って当たり前だよ……じゃあ行こう!依頼はまだまだ残ってるからね!」

 

この後もツナ達は難解なクエストをお互いに助け合って次々とこなしていく事になる。ちなみに後日老紳士と病気の治った男の子がギルドに改めてお礼を言いに来ることになるがそれはまだ先の話だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この後もツナ達は次々と依頼をこなしていきますがその過程は省いてラストを飾る10年クエストの話になりますがこれぞ10年クエストという話がなかなか思い浮かばない……

活動報告にて詳しく載せてますので興味ある方はご覧下さい。


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