-クロッカス
小型竜がマカロフの魔法で全滅した今、残された戦場は限られる。その内の1つが三頭のドラゴンと6人の
竜殺しの魔法を持つ
ウェンディの補助魔法により攻撃力と素早さを引き上げているので何とか互角に戦えている。ちなみに防御力は上げていない。一撃もらえば即座に戦闘不能になるのはどちらにしても変わらないからだ……
「モード鉄影竜!!」
「ふん!そんなもので!!」
「なめんじゃねえ!!鉄影竜の……咆哮!!」
「ぐぐっ……効かぬわ!!」
ガジルの渾身の咆哮を気合いと共に弾き飛ばしたファフニールはそのまま体を回して巨大な尾でガジルを打ち払おうとするが
「白竜のホーリーレイ!!」
ドラゴンフォースを発動させたスティングの両手から放たれた幾筋もの光が次々と着弾する。
「ぬうっ!ちょこざいな!!」
「我が全てなぎ払ってやる!!」
横からファフニールを押し退けるように突っ込んできたシザーランナーがブレスを放とうと息を大きく吸い込んだ所に飛び込むのはコブラ……
「毒竜の霧!!」
シザーランナーの顔の付近に発生した猛毒の霧がシザーランナーの大きく開いた口から体内に吸い込まれる。
「ぐっ!?貴様ぁっ!!」
「ちっ!普通なら動くことも出来なくなるってのによ!」
「でもブレスは止まりました!滅竜奥義!照破!天空穿!!」
ウェンディの奥義が炸裂し、シザーランナーと巻き込まれたファフニールは体勢をのけ反らせる。
「なかなかやるな……人間達よ。だがこのリヴァイアは他の二頭とは違うぞ」
「はたしてそうかな?」
「なにっ!!」
リヴァイアの影に同化していたローグが現れて死角から突如攻撃した。ローグもスティング同様ドラゴンフォースを発動させている。
「影竜の……連雀閃!!」
「ローグ!貴様はおとなしく……」
「隙だらけだ!滅竜奥義!鳴御雷!!」
「ぐあああぁぁっ!!」
ローグに気をとられたリヴァイアの真上から雷化して高速で突撃したラクサスの奥義にリヴァイアもダメージを受けたようだ。
しかし結果としてこの6人の中で最強のラクサスの奥義ですらドラゴンを倒すには至らない……6人は集まって体勢を整える。
「なあ、さっきの光は昔あんたが使ったのと同じやつか?」
「ああ……
「マスターが!?すごいです……」
「それはいいけどよ……こいつらマジで強ぇ」
「ツナヨシ・サワダはよく二頭も仕留めたものだ」
「奴は別格だろ……」
「ところでよ……サラマンダーの奴は何で炎のドラゴンに乗ってやがるんだ?」
「ナツさんですからね……」
「ナツのやることをいちいち気にしてたら疲れるだけだ……」
「さっすがナツさん!!しびれるぜ!!」
「おい!そろそろ来るぞ!!」
ドラゴン達が襲いかかって来たことにより話を中断して再び
「うおおぉぉぉりゃあっ!!」
「ぬおぉぉぉっ!!」
アトラスフレイムの炎を食べたことによってパワーアップしたナツは未来のローグと互角に渡り合っていた。小型竜が全滅したことに驚いたローグは明らかに精彩を欠いている。
「どいつもこいつも俺の計画の邪魔をしやがって……俺は竜の王になる男だぞ!貴様らはいいかげんに死ね!!」
「笑わせんな!!仲間を捨てたお前が王になれるわけねえだろ!!」
「臣下はともかく仲間など不要!俺に従え!!」
ローグの拳がナツの頬に突き刺さるがナツはローグを睨み付けて微動だにしない。
「……今のお前をフロッシュが見たら何て言うんだろうな」
ナツの言葉にローグの肩がピクリと動いたのをナツは見逃さなかった。ローグは自嘲するように笑いながらナツに応答する。
「関係ない……フロッシュはどうせ死ぬ……一年後だったかな……」
「守らねえのか……?」
「守れなかった……しかし関係ない!俺は猫一匹と戯れていた頃の俺とは違う!!」
「ふざけるな!てめえは逃げてるだけだろうが!!」
「逃げてるだと?アクノロギアがいる限りこの世界に未来などないのだ!!だから俺が未来を創る!!影は光となってこの世界を照らすのだ!!」
「お前の照らす光じゃみんな笑えねえだろうが!!みんなを照らす光になれるのはツナみてえな奴だ!!」
それを聞いたローグの顔にハッキリと不快感が浮かぶ。ここまでの戦況を悪化させた原因は間違いなくツナの活躍によるものだ。
「だが!そのツナヨシ・サワダですらアクノロギアを倒すことはできん!!」
ローグはこの時代に来る前の自分の世界でのツナの姿を思い出す。
「奴は俺の時代では僅かな生き残りの魔導士達を集めて対アクノロギア組織
そしてローグは愉快そうに笑いだした……
「だがそのツナヨシですらアクノロギアを前に何度も逃げ出している!!だからこそ俺が王となるしかないのだ!!」
「ツナが逃げるってことはそこにいた奴らはみんな無事ってことだろ?目に浮かぶぜ……そこにいた奴らをアクノロギアから遠ざける為に残って戦って全員逃がした後自分も生き残るのがよ」
「だから何だ!倒せないのなら意味がない!!」
「未来のツナはきっとアクノロギアを倒す!!だからお前は自分の時代へ帰れ!!」
ナツはローグに向かって走り出す。
「帰るつもりなどない!!俺の未来はここにあるのだ!!白影竜の
無数の黒白の魔力が再び無数の閃光となってナツを切り刻もうと襲いかかる。だがナツはその閃光をひたすらに躱しながらローグに迫る。
「この時代のローグの未来も……これ以上は何も奪わせねえ!滅竜奥義!紅蓮火竜拳!!」
間合いを詰めたナツが連続で拳を繰り出す。ローグは必死にガードするがその威力に後方へと吹き飛ばされる。
「ナツ!!」
「行くぜオッチャン!全魔力開放!!」
好機とみたアトラスフレイムが炎の腕を伸ばしてナツの後押しをするように叩きつける。ナツはそれを両足で受けるとその勢いを利用して加速するとローグへと向かって飛び出した。
「くっ……この!聖影竜閃牙!!」
タッグバトルの時にスティングと二人で使った技を一人で繰り出すローグ。あの時よりはるかに強力なはずなのにナツにはそれが何故かひどく弱々しく見えた……
「滅竜奥義〝不知火型〟紅蓮鳳凰劍!!!」
全身に炎を纏ったナツはローグの繰り出した技へとそのまま突撃する。
「死ねぇぇぇぇっ!!」
「誰にだって未来を選ぶ資格がある!オレたちは自分で選んだ未来を進んで行く!お前の選んだ未来じゃねえ!!」
ナツの体の炎が爆発するように燃え上がりローグの技を弾き飛ばす。
「何ぃぃぃっ!!」
「明日なんて分からなくていい……今日を全力で生きる為に!!」
そのまま突撃するナツ……そして遂にナツの渾身の一撃がローグの体へと突き刺さり二頭のドラゴンの背中から二人とも地上へ落ちていった……
「はあ……はあ……」
「何て……堅い扉……」
「すまん……魔力がもう……」
ルーシィとユキノが想像以上の扉の強度に肩で息をして座りこんでいる。最早星霊を呼び出す魔力も残っていない……リリーも戦闘モードを維持するのが不可能になってしまった。
「あき……らめない!絶対に……未来のあたしとの約束だもん!!」
「ルーシィ様……」
「やはりマギナニウム合金製の扉を破壊するのは難しいか……いったいどうすれば……」
魔力が尽きても尚も立ち上がろうとするルーシィを沈痛な面持ちで見つめるヒスイ姫とアルカディオス……
「あたしは……絶……対……」
「ルーシィ様!!」
立ち上がったもののふらりと糸が切れたように後ろへ倒れそうになるルーシィ……ヒスイ姫がとっさに受け止めようと走り出すがその前に現れた人影に受け止められた。
「よくがんばったね。ルーシィの覚悟……見せてもらったよ」
「ツ……ナ?」
「うん。後は俺に任せて休んでて……ミラ、ルーシィを頼むよ」
「分かったわ、ルーシィお疲れ様。よくがんばったわね」
「ミラさん……」
ルーシィを優しく抱きしめるミラにおもわず涙を流すルーシィ……ツナがハイパー化して扉の前に立つと着いてきていたウルティアが声をかける。
「ツナ、修復が不可能になるくらい破壊しないとダメよ。2つの未来の可能性を残さないように切り離さないと……」
「未来そのものが消えるわけじゃないんだな?」
「ええ……今、この扉は言わば時の分岐点なの。この時代からの分岐は不可能になるけどこの時代と独立した未来として残るはずよ。そして関係を絶たれた世界から来た者達は元の世界に戻る………と思うわ」
ツナは頷くとボックスからナッツを呼び出す。
「分かった……ナッツ!これが最後だ!やれるな?」
「ガウッ!!」
「
「ガウウウウウッ!!」
ナッツがツナと一体化して再び炎の翼を持ったモード
「行くぞナッツ!残った炎を全て使い切る!!オペレーション
ジルコニスの時と同じように背中の羽から炎を逆噴射して両腕をクロスさせながら前方へ突き出して凄まじい炎を放とうとしている。そしてその炎から感じる膨大な魔力にマカロフとメイビスですら驚愕する。
「何と凄まじい魔力!!」
「これがツナの炎……その力は全ての邪悪を打ち祓い、その優しさは全てを抱擁する……正にジョットの真の後継者……これぞ大空の炎です!!」
ツナは目を閉じて思い出す……自分の腕の中で逝った未来のルーシィの最後の言葉を……
『ツナ……あなたと…会え…て幸せ…だった……お…願い未来を…守っ……て…………』
「守るよ……絶対に!!」
ツナは目を開くと扉を見据える……その覚悟を炎に込めて扉へと解き放った。
「
残された炎を全て使った最後の一撃が放たれた……
昨日大きめの地震が来たと思ったら震度3……絶対に3より大きいと思ったのに……地震に敏感に反応してしまいます。