妖精達と歩む大空   作:グリーン

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お待たせしました。年度末の忙しさは半端じゃないっす!


一念岩をも通す

 

 

-クロッカス

 

「ツナヨシ・サワダ……!」

 

マザーグレアの背の上でナツと対峙していた未来のローグは自分の計画が思うようにいかない苛立ちでギリギリと歯軋りをしていた。

 

ルーシィとユキノに邪魔をされ一万頭のドラゴンの召喚は出来なかったが元々最強の種族であるドラゴンが七頭もいればこの世界を簡単に支配できると考えていた……

 

しかし蓋を開けてみればジルコニスは倒され岩窟王もダメージを受けている。それを成し遂げた男……ツナヨシ・サワダを憎しみを込めた目で見る。

 

「よそ見してんじゃねぇぞ!!」

 

「ナツ・ドラグニル!!貴様も邪魔だ!!」

 

炎を纏った拳で殴りかかってきたナツを苛つきながらも迎撃するローグはいい加減しつこいナツを早々に葬りさろうとモード白影竜になる。

 

「白影竜の咆哮!!」

 

「うわっ!危ねっ!!」

 

「雑魚はいい加減に消えろ!」

 

「がっ!ぐっ!がはっ!!」

 

咆哮を躱されたがローグはそのまま接近してナツへ連撃を加える。ナツはローグのスピードについていけずに攻撃を受け続ける……

 

「所詮ツナヨシ・サワダ以外はドラゴンに勝てるわけではない!!奴も七頭もいるドラゴンを全て倒せるわけがない!!俺の計画は完璧だ!!」

 

「いい加減にしろよ!今!みんなは命懸けで戦ってんだぞ!!過去のお前だって……」

 

「下らん!過去の俺などもはや他人に過ぎんのだ!」

 

「テメェ……」

 

「俺は絶対に止まらん!その為に過去へ来たのだからな!お前はドラゴンではなく俺が殺してやる!!」

 

「殺すとか簡単に言ってんじゃねえ!!ギルドってのはそんなんじゃねぇだろうが!!」

 

「知った事か!!」

 

「テメェの根性……俺が叩き直してやる!!」

 

ナツは全身に炎を纏ったままローグへと突っ込んでいく。それを少し離れた場所からルーシィとハッピーが見ていた。

 

「ナツ頑張ってる」

 

「迂闊に援護は出来ないわね……」

 

「どうしようルーシィ?」

 

「……ナツが勝てばよし。負けそうになったり竜から落ちたら助けに行こう」

 

「アイ!!」

 

「それまでは見つからないように隠れるわよ!」

 

「ルーシィかっこ悪いよ……」

 

「仕方ないじゃない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ドランバルドは再び瞬間移動でクロッカスへと戻って来ていた。オラシオンセイスのコブラを連れて……

 

「はぁっ……はあっ……」

 

「長距離の転移ご苦労だったな」

 

「ああ……状況は見ての通りだ……お前の力を借りたい……」

 

「……おい、あの一匹は誰が倒したんだ?ドラゴンスレイヤーか?」

 

「何!一頭倒したのか!?」

 

「倒したのはドラゴンスレイヤーではない。フェアリーテイルのツナヨシ・サワダだ」

 

「知らねえ奴だな……」

 

「最近入ったらしい。俺達も詳しくは知らんが間違いなくフェアリーテイル最強の男だ」

 

「おいおいマジかよ……ドラゴンを倒すとか」

 

「へえ……どんな奴か確認しとかねぇとな。なら行って来るぜ」

 

 

 

 

 

 

 

一方岩窟王との戦いはさらに激しさを増していた。ドラゴンに傷を与えた事によりギルドメンバー達の士気は最高潮になり怒涛の攻撃を加えていた。

 

「よし!あの傷口に防御力を下げる香り(パルファム)を仕込めたぞ!!」

 

「さすが師匠!!」

 

「一斉に行くぞ!!」

 

「「「うぉぉぉっ!!!」」」

 

「小賢しいわ!!」

 

「ふう……多少は効くようになったが……」

 

「やはり簡単にはいかないか……」

 

ウェンディとシェリアの攻撃で抉れた傷口に攻撃を集中させるメンバー達……ツナは警戒されている為主に傷口に意識を集中させている間に逆方向から攻撃をしている。しかしジルコニスよりもかなり防御力が高い為に通常攻撃ではなかなかダメージを与えられない。

 

XX(ダブルイクス)ならあの防御も貫けるけど……-

 

使えないことはないが炎の消費が激しすぎる為に先を考えると傷を与えた目の前の竜には使いたくない。

 

「ウェンディ!合わせろ!!」

 

「はい!天竜の……咆哮!!」

 

「はっ!!」

 

「ぬ……ぐおおおぉっ!!」

 

ウェンディの咆哮に死ぬ気の炎をぶつけて作り出した炎の竜巻を岩窟王にぶつけるとかなり効果があったようだ。

 

「やはり滅竜魔法が攻略の鍵になりそうだな」

 

「ツナヨシ君の炎も効果的みたいだ」

 

「普通の炎ではないようだが……」

 

リオンとヒビキが話しているとカグラは一度自分が受けた炎がただの炎ではないことに気付いていた。

 

「とにかくあの二人を中心に攻撃することにしよう」

 

「そうじゃな……むっ!!」

 

ジュラの視線を辿ると岩窟王の背中に一人の人間が立っているのが見えた。どうやら背中に飛び乗ったようだ。

 

「あの人は!?」

 

「知り合いか?ウェンディ」

 

「はい!でも……」

 

「聞かせろよ!テメェの悲鳴をな!!」

 

そう言うと男は禍々しい赤紫色の魔力を纏って岩窟王の背中を殴り始めた。しかも多少の効果を発揮している。

 

「アイツは……オラシオンセイスの毒竜のコブラ!」

 

「……?ドラゴンスレイヤーなのか?」

 

「そうだよ!」

 

「なら頼もしい援軍だな」

 

ツナがそう言うと他の者達は微妙な顔をしている。ツナが不思議に思っているとウェンディが答える。

 

「あの人は闇ギルドの人で七年前にギルド連合でジュラさん達と一緒に捕まえた人なんです」

 

「出所したのか?」

 

「いや……まだのはずだ!」

 

「何故ここに……」

 

「ゴチャゴチャうるせえよ!!引っ込んでろ!!」

 

「そして地獄耳なんだ……」

 

コブラは岩窟王に拳を叩き付けながらもこちらの話に耳を傾けていたようだ……

 

「……まあドラゴンを相手にしてくれるなら今は気にすることじゃないだろう」

 

「ツナヨシ殿……しかし……」

 

「脱獄したならここで戦ってるのはおかしいからな……おそらく評議員の部隊の誰かが罪の軽減と引き換えに連れてきたんだろう」

 

「なるほどね。彼の力が必要とされたのか」

 

「ではとにかく彼を支援して戦うとしよう」

 

「カグラは少し待ってくれ。奴を倒すために俺に協力してほしい」

 

刀を抜きかけたカグラをツナが留める……ツナはかつて一度だけ使った技を使おうとしていた。それにはカグラの協力が必要不可欠である。そして作戦を伝えるとカグラは頷いた。

 

「しかし出来るのか?そんなことが?」

 

「ああ……昔同じことをしたことがある。威力は保証するからあの傷口を狙えば間違いなく倒せる」

 

「ならば他の者であの竜の気を引くことにしよう」

 

「コブラに一発傷口に当てさせよう。アイツの毒ならかなり効果的なはずた」

 

「ツナさん!カグラさん!頼みます!」

 

 

 

 

 

 

「ハッピー行くわよ!」

 

「あいさー!!」

 

未来のローグの猛攻に耐えられずにナツはマザーグレアから振り落とされる。それを見ていたルーシィとハッピーは猛スピードでナツを救助する為に空を駆ける。

 

「ナツ~!!」

 

「ハッピー!ルーシィ!」

 

「掴んで~!!」

 

ルーシィが伸ばした腕を掴むナツ。そのまま3人固まってマザーグレアから一旦距離を取る……ローグはそのままナツ達に目もくれずにツナのいる方に目を向ける……

 

「何ぃぃっ!!」

 

そして未来のローグはまたしても驚愕して目を見開く事になる……

 

 

 

 

 

「アームズ×バーニア!!」

 

「毒竜爪牙!!」

 

「天神の……怒号!!」

 

「アイスメイク白竜(スノードラゴン)!!」

 

「力の香り(パルファム)!全開!!」

 

「鳴動富嶽!!」

 

ウェンディのサポート魔法を上乗せしてそれぞれに攻撃を加える連合メンバー達は次々に攻撃を加えている。その隙にツナとカグラそしてタイミングを前線のメンバーに伝える為にヒビキはドラゴンから少し離れた場所にいた。

 

「よし!ここからなら……」

 

「前線のメンバーにリンクは完了したよ。君の合図で全員に伝えられる」

 

「ではツナヨシ……」

 

「ああ……オペレーション(イクス)

 

ツナは左手を前方へ、右手を後方へ向けて右手から柔の炎を放出する。そしてツナが前方へ突きだした左腕を抱え込むカグラ。

 

「カグラ……頼む」

 

「承知!重力魔法全開!!」

 

ツナの考えはかつて虹の代理戦争の時にイエーガーと戦った時に親友であるシモンファミリーの古里炎真より借り受けたシモンリングの重力の力を利用した技をカグラの協力を得て再現することだ。

 

「カグラ!もう少し力を上げてくれ!!」

 

「くっ!分かった!」

 

カグラはさらに魔力を込めて重力の力を強める。かつてのシモンリング程の力はないが相手が巨体である為に炎を収束する力は充分だ。

 

岩窟王は前線メンバー達から少し離れてブレスを放とうと口を大きく開けている。そして都合よく傷口がこちらを向いている……いや前線メンバーがそう誘導していたようだ。

 

「ヒビキ!!」

 

「任せて!!全員!!射線上より退避!!」

 

「決めろ!!ツナヨシ!!」

 

「ああ!超収束X BURNER(イクスバーナー)!!」

 

 

 

 

 

 

 

岩窟王は思い切り動き回って体にまとわりついているメンバー達を引き離すと口を大きく開ける。

 

「一気に滅ぼしてくれるわ!!」

 

『全員!!射線上より退避!!』

 

ツナ達がいる方向へ傷口を見せる為に誘導していたがこのブレスを食らえばひとたまりもない。

 

だがそこに待ちに待った連絡が来る。ジュラは離れながらも岩の壁を作り出して前線メンバー達が離れるのを隠していた。

 

岩窟王にはそれが悪あがきにしか見えず壁ごと消し去ろうとさらに力を注いでいく。そして……

 

 

 

 

一閃!!!

 

 

 

 

まさにそうとしか表現することが出来ない……オレンジの閃光が岩窟王の傷口から反対側の表皮を内側から貫いた。

 

「ぐっ……が……なに……?」

 

岩窟王は何が起きたのか理解しないまま体を痙攣させながら倒れ伏した……

 

「やっ……やったのか?」

 

「見事!!」

 

「勝った~!!」

 

「にゃ~!!やった~!!」

 

「我々の絆の勝利だ!!」

 

「やったねウェンディ!!」

 

「うん!シェリア!!」

 

「いいぞツナヨシ~!!」

 

「あれがツナヨシ・サワダ……フェアリーテイルの最強か……恐ろしい奴だぜまったく……」

 

 

 

 

 

 

 

マザーグレアの背から岩窟王が倒れるのを見てローグは歯軋りしながらツナヨシを睨む。その胸中には怒りに溢れていた。

 

ツナヨシを殺すために他のドラゴンを向かわせるか、もしくはマザーグレアと自分が行くか……

 

だが一抹の不安がよぎる……これ以上ドラゴンを倒されるのは後々の目的に支障をきたすからだ。残り五頭を集中すれば勝てるとは思うが何体かやられるかもしれない。

 

「マザーグレア!!」

 

ローグの意を得たマザーグレアは再び卵を産み落とす。その数は先程よりも多く地上に落下することになった……

 

「小型竜は総攻撃だ!他の奴等などどうでもいい!ツナヨシ・サワダを抹殺せよ!!」

 

ローグが選んだのは小型竜の全員ががりによるツナの抹殺……それが出来なくとも力を使い果たさせること。

 

現状ではこの判断は全くの間違いではない。なにしろツナ以外にドラゴンを倒せる者はいない。ならば替わりのいないドラゴンより小型竜による総攻撃が有効だ。

 

マザーグレアはしばらくすれば再び卵を産めるようになるので小型竜がいくら倒されても困らない。

 

だがその行動は結果として死の危険にある多くの魔導士達の命を救う事になる……

 

 

 

 

 




ツナに小型竜が集中する結果になりました。まあローグからすればやられる可能性があるドラゴンよりやられても問題ない小型竜に任せるほうがいいという判断です。

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