妖精達と歩む大空   作:グリーン

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明らかになるツナの新しい力……そしてあの技を出します!


XX!!

 

 

-クロッカス

 

零地点突破・改によりウェンディの魔力を取り込んだツナは困惑していた。明らかにウェンディの魔力と死ぬ気の炎の費用対効果の割合が死ぬ気の炎の方がはるかに多かったからだ。

 

-ナツとラクサスの時も思ったけど滅竜魔法と相性がいいのか?1:5……いやそれ以上だ-

 

さらには体内で暖かい何かを感じたが今はそれを気にしている場合ではないと思い直してジルコニスと対峙する。

 

「全力で戦える……?それじゃあ何か?今までは全力じゃあなかったとでも言うんか?」

 

「そうだ」

 

ジルコニスの問いに簡潔に答えるツナにジルコニスは再び怒りのボルテージをあげていく……

 

「調子に乗るなよ小僧!!人間ごときがドラゴンと対等なつもりか!?」

 

「お前は人間の力をバカにし過ぎだ……やるぞナッツ!!形態変化(カンビオ・フォルマ)!モード妖精(フェアリー)!!」

 

空中でツナとナッツの姿が重なってフェアリーテイルの紋章が現れる……眩しい光に包まれるツナに誰もが目を背ける。

 

そして光が消えた後にそこにいた者達は驚愕する……ツナのグローブは形を変えより攻撃的な形になっていて足にも炎を纏っているブーツがある。さらに特に目を引いたのが背中から生えているように見える炎の翼……

 

「すごいです……」

 

「綺麗……」

 

「あれがツナヨシ様……?」

 

「まるで天使の羽?それとも妖精の羽?」

 

ウェンディもユキノもヒスイ姫もミラジェーンもその場にいた女性陣は幻想的なツナの姿に見惚れていた。

 

「姿形がちょっと変わったくらいで調子にのってんじゃねえぞ!!」

 

ジルコニスは空中にいるツナに向かって飛ぶ……爪で引き裂こうとしたジルコニスだが直前でツナの姿を見失う。

 

「ぬ!?どこへ行きおった!?」

 

「ここだ」

 

「何……ぐはぁっ!!」

 

突然顔の横に現れたツナに殴りつけられたジルコニスの巨体が吹き飛ばされる……

 

「小僧!!」

 

「遅い!超高速(イクス)カノン!!」

 

「ぐ……おおおおっっ!!」

 

ツナの掌から放たれた炎が三条の光線のようにジルコニスに迫るが危険を感じたジルコニスはその巨大な両腕でガードする。

 

ジルコニスは目の前の敵がドラゴンスレイヤーよりも危険な存在だと認識する。

 

「小僧……確かに貴様は人間にしては強い……だが貴様の攻撃はワシに致命傷を与えるものではない……つまりはどうやってもワシには勝てんということだ!!」

 

ツナは納得する……ジルコニスの自信に溢れたタフさを考えるとジルコニスの言う通り生半可な攻撃では致命傷を与えることは出来ないだろう……

 

-ならば最強の一撃をもって倒すしかない!!-

 

空中なら周りに被害を与える心配もない。問題はどうやって隙を作るかだ……向かって来るジルコニスを前にツナはそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

ラハールとドランバルトは連れてきていた評議員の部隊を率いて小型竜達と戦っていた。小型竜自体は倒せない相手ではないが口から吐くレーザーは厄介だった。

 

「一人で相手をするな!複数で当たれ!!」

 

「数が多すぎるな!」

 

「ああ!だが大型のドラゴンを攻撃しても効果がない……小型竜の数を可能な限り減らすんだ」

 

背中合わせになりながら戦う二人だがあまりの数の多さに少し押されぎみになっていた。

 

「おい!危ないぞ!!」

 

ドランバルトが大声を出したのは突出した一部隊が大量の小型竜に囲まれていたからだ。助けに行こうにもこちらも敵と向き合っていた。既に口に光が溜まっている。

 

「7つの星に裁かれよ……七星剣(グラン・シャリオ)!!」

 

天空から光が流星のように降り注ぎ小型竜を殲滅した。その魔法を放った術者を見てラハールとドランバルトは驚愕する。

 

「今の魔法は……」

 

「貴様は……ジェラール!!」

 

「おいおい……脱獄犯がこんなとこで何やってんだ?」

 

「……今は竜の殲滅が急務だ」

 

「どうする。ドランバルト?」

 

「今は捕まえてる暇はねぇな……」

 

「いいのか?」

 

「元聖十なだけあって強さは折り紙付きだからな。ドラゴンと戦うならば今は見逃そう」

 

「確かにそうだが……とは言え大型のドラゴンには通用しないだろうな。やはりドラゴンスレイヤーでなければ……」

 

「もう一人だけドラゴンスレイヤーに心当りがある……お前達も知っているはずだ」

 

「何だと!…………まさかアイツか!?」

 

「なるほどな……俺が連れてくるか」

 

「正気かドランバルト!?そんなことをしたら……」

 

「ただでさえドラゴンスレイヤーの方が数が少ないんだ。安心しろ責任は俺が取る」

 

「……分かった。但し責任は折半だ」

 

「真面目な奴だな……じゃあジェラール。見逃す代わりにキッチリと仕事しろよ」

 

「心得た」

 

ジェラールは小型竜が集まっている方へ、ドランバルトは瞬間移動で姿を消した。残されたラハールは溜め息をつきながら指示を出す為に動き出す。

 

「まさか奴の力を借りることになるとはな……六魔将軍(オラシオンセイス)の毒竜のコブラ……この状況ならばしかたないが首で済めばいいが……」

 

 

 

 

 

 

「ううっ……酷い目にあったわ……」

 

バルゴに持って来てもらった星霊界の服に着替えたルーシィがミラ達に合流した時、ツナとジルコニスは激しい空中戦を繰り広げていた。

 

まるで瞬間移動してるようなツナの動きにはついていけないジルコニスは守りを固めてツナが疲れるのを待っている。かといって大技を放とうとすると邪魔をしてくるためにツナは攻めあぐねていた……

 

-このまま攻撃を続けても勝てると思うが……時間が掛かりすぎる上に他に6頭もいる。やはりあの技を決めるしかない!!-

 

ツナがそう考えている時地上でも動き出そうとする少女達がいた。ミラがツナが大技を出すチャンスを伺っていると気付いたからだ。

 

「ツナは多分X BURNER(イクスバーナー)みたいな大技を狙ってるんじゃないかと思うわ」

 

「でも向こうも警戒してるみたいです……」

 

「あたし達で時間を稼ごう!!」

 

「はい!」

 

「でもウェンディはともかく私やルーシィの攻撃はあまり通用しそうにないわね」

 

「じゃあどうしたら……」

 

「……相手にダメージを与えるのではなく少しでも隙を作ればいいのではないか?」

 

「リリーの案でいきましょう。ハッピー、シャルル、リリーも手伝ってちょうだい」

 

「あいさ~!!」

 

「ま、仕方ないわね」

 

「うむ。任せておけ」

 

「じゃあ作戦ね。まずは……」

 

一方ツナは機会を伺っていた。ほんの10秒でいいから集中する時間が欲しいと考えながら牽制の攻撃を加えている。

 

一か八か少し離れて技の準備をするかと考えるが万が一離れた時に眼下の仲間達の元へ向かうことを考えるとあまり大きく距離を取ることはできなかった。そこへサタンソウルで変身したミラが飛んでくる。

 

「イビルエクスプロージョン!!」

 

「む?」

 

「ミラ!?」

 

ミラの掌から放たれた魔力はジルコニスにぶつかると爆発を起こして粉塵がその巨体を覆う。さらにハッピーに運ばれたルーシィも飛んで来た。

 

「開け!白羊宮の扉!アリエス!!」

 

「モコモコですみません~」

 

「なんじゃあ!?」

 

「ルーシィ!?」

 

ルーシィに掴まりながらアリエスが産み出したピンク色の泡がジルコニスを包み込んだ。視界を完全に封じ込めらたジルコニスは慌てている。

 

「ルーシィ……二人は重いよ~」

 

「すみません~」

 

「もう少しがんばって!リリー!ロキ!お願い!」

 

「了解!頼むよリリー!!」

 

「任せろ!!」

 

地上で呼び出していたロキを掴みながらリリーが空を駆ける……二人は泡に包まれているジルコニスの真上で停止する。

 

「こんなものでワシが倒せるか!!!」

 

怒りの咆哮と共にまとわりついていた泡を吹き飛ばしたジルコニスの真上の死角からリリーとロキが迫る。

 

「今だ!!ロキ!!」

 

「レグルス!インパクト!!」

 

ジルコニスの顔面の至近距離で眩しい光が発生する。ロキはあくまで衝撃よりも光を強く発動させていた。

 

「ぎゃあ~!!目が!!目がぁぁぁっ!!」

 

「目が良すぎるのも困りものだね……ウェンディ!!後は任せたよ!!」

 

「はい!天竜の……翼撃!!」

 

「ぬ!ぐぐぐぅぅぅっ!!」

 

空中でのたうち回っているジルコニスにウェンディの攻撃を避けられるわけもなくジルコニスは風に呑まれて離れていった。一連の流れを呆然と見ていたツナは仲間達の声で我に返る……

 

「私達が出来るのはここまでです!」

 

「後は任せたわ!ツナ!……あ、アリエス、ロキ、戻っていいわよ」

 

「すみません~がんばって下さい~」

 

「後は任せたよ」

 

「やっちゃえ~ツナ~!!」

 

「しっかり決めなさいよ!!」

 

「行け!!ツナ!!」

 

「決めちゃって!!ツナ!!」

 

「ありがとうみんな!オペレーション……」

 

仲間達に笑顔を浮かべるとツナは背中の炎の翼を最大限に広げて両腕を胸の前でクロスさせる。

 

XX(ダブルイクス)!!」

 

クロスさせたままの両腕を前に突き出して構えを取るツナ……その掌には今までにないほどの炎が集まっていくのが仲間達には感じられた。

 

X BURNER(イクスバーナー)!?」

 

「違うわ!ウェンディ!!あれは……」

 

「両手撃ち!?」

 

「そんなことしたら自分も吹き飛ばされるんじゃないの!?」

 

「いえ……ツナの翼を良く見て!あの翼から反対方向に炎が噴出してるわ!!あれで体を支えているのよ!!」

 

ツナが広げた翼からは後方へ広範囲に柔の炎が噴出されていた為に以前よりバランスが取りやすい状態だ。ジルコニスは視力が回復してきたのか辺りを見渡してツナが大技を放とうとするのを見つけた。

 

「人間共がワシに楯突きおって!!」

 

発動前に潰そうと高速でツナに向かうジルコニスだがそれは致命的に遅かった……

 

「……決めてみせる!XX BURNER(ダブルイクスバーナー)!!」

 

ツナの両手から放たれた炎はナッツの力も込めているのかその姿を形取る……MPFの時の一撃よりもはるかに力強いその一撃は狙い違わずジルコニスに直撃した……

 

 

 

 

 

 

「何度向かって来ようと7年の力の差は埋まらん……俺は大魔闘演武の時よりはるかに強くなった」

 

「それでも!誰も諦めてねぇ!!みんなの力があれば出来ない事なんてねぇんだ!!」

 

ナツはひたすらに攻撃を加えているがローグは時に光のようなスピードで、時に影に同化して攻撃を躱していた。

 

「そろそろ現実を見たらどうだ?ドラゴンスレイヤーであっても真のドラゴンには……何事だ!!」

 

「爆発!?……あの炎の色は!!」

 

もはや勝利を確信していたローグは突如起こった大爆発と闇を照らす光に驚愕する……ナツはその爆発を見ながらその炎の色を確認してニヤリと口角をあげた。

 

クロッカスの街の全域を照らすようなオレンジの光と爆発の音に竜も人もクロッカスにいるもの全ての視線が集まった……

 

「な!何だと!?そ……そんな馬鹿な!!」

 

「へへっ!さすがだな!!」

 

爆発の中心部から真っ逆さまに落下する巨大な質量が大きな音をたてて地面に衝突するとその正体が明らかになった……

 

7頭のドラゴンの内の1頭……ジルコニスがピクリとも動かずに横たわっていた。それを見たローグは狼狽し、ナツは歓喜と悔しさの混じった笑みを浮かべる。そして息を大きく吸い込む……

 

「ツナがドラゴンを一人倒したぞぉぉっ!!」

 

ナツは再びクロッカス中に響くような大声をあげたのだった。

 

 

 

 

 

 




ジルコニス編決着です!次の標的は……

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