妖精達と歩む大空   作:グリーン

52 / 90
いよいよドラゴンの登場です……


崩壊する街

 

 

-庭園

 

「負傷者を下げろー!!」

 

「こんなのどうすりゃいいんだ!!」

 

「もうダメだ~!!」

 

「バカ野郎!!諦めるな!!」

 

兵士達の怒号が響き渡る……エクリプスから出て来るドラゴンをなんとか止めようと奮戦する兵士達だがドラゴン達は彼らを気にした様子もなく足止めにすらなっていない。

 

「ルーシィ!扉はまだ閉まらないの!?」

 

ハッピーの叫びを聞きながらもルーシィは答えることもなく全体重をかけてレバーを閉めようとしていた。

 

「こうなったら……扉を壊すか?」

 

「待て!ツナヨシ・サワダ!時空の扉が開いている時に扉を壊せば最悪の場合この時空……世界が崩壊するかもしれん!!」

 

炎を灯したツナの呟きを聞いていたアルカディオスが機先を制するように止める……それを聞いてツナは自分達が未来に行ったときにある装置の中に未来の自分達を封じ込められた事を思い出した。

 

同じ時代に二人の自分がいることはそれだけで時空の崩壊に繋がるかもしれないと入江正一が言っていた。今回はルーシィとローグの二人が同じ時間に存在していたことになる。

 

-もしかして……世界の崩壊の危機なのかもしれない……?-

 

「また出て来ました!!」

 

「このまま一万のドラゴンが出て来るなんて冗談じゃないわよ!!」

 

「何故扉は閉まらんのだ?」

 

「星霊魔導士の力が足りないのか……」

 

「わたくしがおります!!」

 

リリーの問いにアルカディオスが苦い顔をすると高い声が辺りに響く。

 

「ユキノ!!」

 

「ミラも!!」

 

振り返るとそこには走りよるユキノとミラジェーンの姿があった。ユキノは今までにない強い瞳を宿しながら足を止めずにルーシィへ言葉を紡ぐ。

 

「ルーシィ様!黄道十二門の鍵を出して下さい!十二の鍵を使って扉を封じます!!」

 

「星霊で!?分かった!!」

 

ユキノが自身の二つの鍵を放り投げる。続いてルーシィも十の鍵を放り投げた。鍵が1ヶ所に集まって円環が作られると眩しい金色の光が溢れだした。二人はその真下で膝をつくと掌を合わせて目を閉じて詠唱を始める……

 

「「黄道十二門の星霊達よ、悪しきものを封じる力を貸して!開け十二門の扉……ゾディアック!!」」

 

金色の光が二人に集まるとその周りに黄道十二門全ての星霊が召喚された。兵士達は全ての星霊が揃うのを見て感嘆の声をあげる……

 

「お願い」

 

ルーシィの祈りに応えて星霊達は一斉に飛び立った。そして両開きの扉の左右に陣取ると扉を閉めようと押し始めた。

 

この場にいる全ての者が見守る中で扉が閉まっていく……途中で新たなドラゴンが扉を潜ろうと両手を扉にかけたが星霊達は怯むことなく押し続ける。やがて新たなドラゴンは扉を潜ることなく扉は閉ざされた。

 

「閉じた!」

 

「やった~!」

 

「「「「「オオー!!やったぞ!!」」」」」

 

「待て!喜ぶのは早い!何頭出て来た!?」

 

「な……7頭です!!」

 

「くっ……」

 

喜びに沸く兵士達だがアルカディオスの怒声にまだ危機は去っていないと認識させられる。ツナもあの破壊力をもったドラゴンが7頭もいることでかなりまずいと思っていた。そこに怒りを滲ませた声が響く……

 

「やってくれたな……ルーシィ、ユキノ!」

 

「ローグ……様?」

 

「あんたは!ナツはどうしたの!?」

 

現れたのは未来のローグ……ユキノは初めて会うのでローグの変わりように戸惑っていた。

 

「正直一万は制御できんからな……むしろ都合が良かったかもしれん」

 

「何の話?」

 

「やっぱりお前の目的はドラゴンを呼び込むことか……ということはお前の世界には一万のドラゴンはいないんだな?」

 

「ほう……気付いていたか」

 

「そんな……」

 

「貴様が姫を騙したのか!!」

 

「まさかここまで簡単にいくとは思わなかったがな。世間知らずの王女で助かったと言うべきか……」

 

「おのれ……!!」

 

ローグの嘲るような言葉にアルカディオスは激昂する。ヒスイ姫は自分の浅はかさを悔やんだ……

 

録な検証もせずにローグの言葉を信じてしまった……いや大魔闘演武の結果が真実だったので疑うことすらしなかった。嘘に真実味を持たせるにはほんの一握りの真実を混ぜればいい。まんまと引っ掛かったヒスイ姫は絶望の涙を流し続ける……

 

「よく聞け愚民共。今より人の時代は終わりを告げる……これより始まるはドラゴンの時代」

 

両手を拡げて詠うように言葉を紡ぐローグにこの場にいる者達は戦慄する。

 

「手始めにこの街にいる魔導士達を皆殺しにしてこい!」

 

7頭のうち5頭が街へと散っていきローグは残った2頭のうちの1頭の掌に乗る。

 

「ドラゴンがアイツの言うことを聞いた!?」

 

「どういうことだ!?」

 

「さっき制御とか言ってたわ!!」

 

エクシード達が騒いでいるとローグは得意そうに種明かしをした。

 

「フフ……竜を支配する秘術……操竜魔法!!」

 

「竜を支配するって……」

 

「何が目的なの!?」

 

「7頭のドラゴンは奴の手足なのか……」

 

「こんなことに何のメリットが……」

 

「うるさい奴等だ……ここはお前に任せたぞ……ジルコニス」

 

「待ちなさい!!」

 

「ツナ!追う!?」

 

「いや……ナツは俺に任せろって言った。アイツはナツに任せよう!それよりも来るぞ!!」

 

ローグを乗せたドラゴンは街の方へと飛び立って行き、それと入れ替わるように緑色のドラゴンがツナ達の前に舞い降りてきた……

 

「アイツは!!」

 

「ドラゴンの墓で会った!!」

 

「翡翠の竜……ジルコニス!!」

 

「ガッハッハ……旨そうな人間がわんさかおるワイ!一人残らず食ってやるからのう!!」

 

 

 

 

 

 

 

「来たぞ!!」

 

「ドラゴンだ!!」

 

「体が燃えているぞ!!」

 

中央広場のフェアリーテイルの面々……その前には業火を纏ったドラゴンが降り立った。マカロフの号令と共に全員がドラゴンに向かってゆく。

 

「かかれー!!!」

 

「我が名はアトラスフレイム……貴様らに地獄の炎を見せてやろう!」

 

そう宣言したアトラスフレイムは口からブレスを吐き出す。ナツとは比べ物にならないほどの巨大な咆哮にフェアリーテイルの戦士達は一撃で吹き飛ばされる。

 

「「「「「うわぁぁぁっ!!!」」」」」

 

「換装!炎帝の鎧!!はっ!!」

 

その中で炎帝の鎧を纏って炎を軽減させたエルザが水の属性を持った剣で気合いと共に斬りつける……

 

「フンッ!!」

 

「うわぁっ!!」

 

「エルザ!!」

 

「し……心配ない!」

 

アトラスフレイムの腕の一振りで簡単に吹き飛ばされたエルザだったが空中で体勢を立て直して着地する。

 

「全員怯むな!!守りに入ればやられるぞ!!」

 

「次々に攻撃を仕掛けるのじゃ!!」

 

ラクサスとマカロフの指示で再びメンバー達は攻撃を仕掛けるのだった……

 

 

 

 

 

 

 

フェアリーテイルとアトラスフレイムの激闘が始まった頃他のギルドもドラゴンと戦い始めていた。

 

「総攻撃だ!!生まれ変わったセイバートゥースの力を見せてやれ!!」

 

「ドラゴンを倒せー!!」

 

「一人で突っ込むなよ!お互いにフォローするんだ!」

 

「俺達ならやれる!!」

 

大きな一本の角を生やしたドラゴンにセイバートゥースは連携しながらかかっていく。大魔闘演武メンバーだけでなく他のメンバーもフェアリーテイルの戦いぶりに魅せられていた。

 

スティングが新たなマスターとして仲間を大切にするギルドにしたいとみんなに話した時全員が大歓声でそれを受け入れた。ギルドとして新たな一歩を踏み出したセイバートゥースだが……

 

「「「「「うわぁぁぁっ!!」」」」」

 

攻撃は全く通じずにドラゴンの戯れの一撃で大きなダメージを受けてしまう。スティングは直ちに号令を飛ばす。

 

「ちっ!負傷者を下げろ!仲間を守るんだ!……御嬢はどこ行ったんだよ!?貴重な戦力なのに!!」

 

「分からん……どこかで戦っていると思うんだが……だが今は仲間を守るのが先決だ!」

 

「ああ!滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の力を見せてやろうぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ラミアスケイル、マーメイドヒール、ブルーペガサスの連合は身体中が岩に包まれたようなドラゴンと対時していた。

 

「これがドラゴン……」

 

「全然攻撃が効かない……」

 

「このチームには滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)がいないよ!」

 

滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)ならいるがな」

 

「ゴメンね、全然効かないよ……」

 

ジュラ、カグラ、リオンといった実力者達がいるチームでもドラゴンに有効的な攻撃を与えることができない。シェリアの滅神魔法も同様だ……その時カグラが前に出る。

 

「どこか一ヶ所に攻撃を集中してみてはどうか?先ずは私が一太刀入れる!!はあっ!!」

 

言うが早いかカグラは飛び上がり不倶戴天を抜き放ってドラゴンの顔に降り下ろした。

 

だが、岩ごとき豆腐のように切り裂くはずのカグラの一撃はドラゴン体に傷一つつけることはできずに逆に一撃を喰らって吹き飛ばされた。

 

「カグラ殿!!」

 

「問題ない……危ない!!」

 

「いかんっ!!散れっ!!」

 

すぐに起き上がったカグラだがドラゴンが腕を振り上げるのを見てジュラに警告する。ジュラの指示でバラバラにその場から退避するメンバー達……

 

「メェ~ン……防御力を下げる香り(パルファム)を仕込んだが効果なしとは……」

 

「強すぎる……」

 

「ちっ!どんだけ強えんだよ!」

 

「しかも大きいくせに素早いよ!」

 

「お色気作戦とかは効果ないかしら?」

 

ドラゴンの後方の民家の屋根の上に避難したブルーペガサス主力メンバーだったが尻尾の一撃で民家が粉々に破壊される。

 

「メェ~ン!!」

 

一夜の独特な悲鳴と共に吹き飛ぶブルーペガサスの主力達……

 

「くっ!こんなに鱗が硬いとは……」

 

「人は……ドラゴンを倒せるものなのか……」

 

カグラとジュラでさえドラゴンの強さに戦慄する。そこにいる者達は人という小さな生物はドラゴンに勝てないのだろうかという考えに囚われてしまう……

 

 

 

 

 

 

 

金剛の体を持った竜……マザーグレアの背に乗ったローグは崩壊し、燃え盛るクロッカスの街を見下ろしながら高笑いをあげていた。

 

「ハーハッハッハ!!いいぞ!もっとだ!もっと暴れろ!!ドラゴンの怒りを見せてやれ!!」

 

街のあちこちで魔導士とドラゴンが戦っている光景を見ていたローグは一際高い建物の頂上に見知った人影を視認した。

 

「ナツ・ドラグニル……性懲りもなく……」

 

「ツナにコイツは俺に任せろって言っちまったからな……お前は俺が倒す!!」

 

ナツは先程の怪我をウルティアが纏っていたマントで止血しながらローグを睨み付けていた……

 

 

 

 

 

 

ツナはジルコニスを前にしながら考えていた……

 

-まずいな……スティングに使った死ぬ気の到達点とさっきの攻撃で炎が残り少ない-

 

死ぬ気の到達点は炎を無尽蔵に消費する大技だ。それを戦ってないとはいえスティングに使った事を一瞬後悔する。しかし炎が少なくともツナは立ち向かう……仲間と未来を守る為に……

 

 

 

 

 

 

 

 




スプリガン12とドラゴンならどちらが強いんでしょうか?ディマリアとかなら勝てそうですね……ワールは無理かも?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。