-船の中
ウォーレンやアルザック達捜索組と合流し、自己紹介を済ませたツナは、エルザやカナ、ナツ達男性陣からもねだられたので、食料のボックスの中身を全て出した。ボンゴレを出る際にコック達が作ってくれたイタリア料理を中心に、旅先でツナが入手したり作ったりしたものもあるので、船室いっぱいに料理が並んだ。…ちなみにツナは酒豪というわけではないが、ワインは結構好きなので、ボンゴレから秘蔵のワインなどを持ち出していた。試験と戦闘でお腹がすいていた男性陣は、料理に飛びつき、エルザとカナもそれぞれの好物に手を伸ばす。ツナは残りの女性陣と談笑していた。
「死ぬ気の炎?それがツナが使っていた炎なの?」
「じゃあ、初代が最後に言ってたのは何なの?大空がアルコバレーノ…とかなんとか言ってたよね?」
ミラとルーシィの質問にツナは、
「アルコバレーノは虹って意味があるんだ。死ぬ気の炎については、ちょっと長くなるけどいいかな?」
「はい!すごく気になります!」
「他の奴等は料理に夢中だし、時間もあるしね。」
ウェンディが身をのりだし、レビィが興味津々な目をして続きを促す。
「…あのワイン相当いいワインなんだけどカナさん水のように飲んでますね。はぁ…じゃあ説明しますね。」
百万以上は確実にするワインをラッパ飲みするカナに溜息をつきながらフェアリーリングに炎を灯すツナ。…ちょっと悲しそうだ。
「これが大空属性の死ぬ気の炎。死ぬ気の炎には属性があってそれは大空の7属性と言われているんだ。大空を中心に嵐、雨、晴、雷、霧、雲が存在する。人によっては複数の炎を灯すことができるけど、基本は一つなんだ。そして、それぞれの属性で炎の色が異なるんだ。」
「例えば?それは大空なんだよね?オレンジ?」
「そう。大空はオレンジ、嵐は赤、雨は青、晴は黄、雷は緑、霧は藍、雲は紫となってるんだ。そして、炎には特徴があってそれぞれ能力が異なる。大空は調和、嵐は分解、雨は鎮静、晴は活性、雷は硬化、霧は構築、雲は増殖といった感じかな。例えば雨の炎は敵の動きを遅くして、晴は肉体を活性化させて、傷を治したりするんだ。」
リサーナの質問に、補足を加えて話すツナに、ピンときたのかシャルルが声をあげる。
「ということは虹の炎っていうのは…」
「うん…7属性を同時に使うってことだと思う。でも俺は大空しか持ってないんだけど。」
「でも初代が言うことよ。何かあると思うけど…全てを支配し、全てを包み込む大空だっけ?どういう意味なんだろう?」
「ああ、そういえばその辺も説明しないとね。ボックスにも属性があってそれは属性が合わないと開匣できないんだけと例外的に大空は全てのボックスを開匣できるんだ。大空を持っている人は結構レアなんだ。」
「やっぱりツナさんはすごいんですね!!」
ルーシィの指摘に答えるツナにウェンディが手放しで褒め称える。少し照れたツナはそういえばとオレンジのボックスを開匣して、ナッツを呼び出す。
「俺の相棒でボックス兵器と呼ばれてる
みんな時が止まったかのように無反応だ。アレ?と思っていると、
「「「「「か…」」」」」
「は?」
「「「「「かわいい~!!(ノ≧▽≦)ノ」」」」」
「この子ライオン?!やだ、すごいかわいい!」
「あ、あたしにも触らせて!」
「や~ん。ナッツちゃんですか。癒されますぅ~。」
「お、呼んだか~?」
「呼んでません!あんたは飯食べてなさい!!」
返事したナツに対してルーシィがきつく当たるのを苦笑いで見ると、ミラがナッツを抱っこしながらキレイな笑顔で…しかしどこか恐怖を感じるような笑顔で、
「ねえツナ…この子ちょうだい?」
と言い出した。ツナは焦る!
「だめですよ!ナッツは俺の大事な相棒なんです!」
「いいじゃない!ナッツちゃんは私が育てます。」
「だからだめです!返してください!」
「餌もちゃんとあげるから!お風呂にもいれるから!お散歩も毎朝するから!だからお願い!」
「だめですってば!…」
このやり取りはナッツの炎が尽きるまで10分少々続く…。
「ナッツちゃん…」
ボックスに戻ったナッツを涙を浮かべ悲しそうな顔をしているミラ。途中で姉の助けになるためにこちらに来たエルフマンを強制的に沈め、話を元に戻す。
「そういえば初代からもらったボックスは?」
「あれはナッツをパワーアップさせるためのボックスだと思う。だからあ・と・で開きますよ。」
再びナッツに会えると思ったミラに釘を指す。
「まぁまぁ…それより大空が他のボックスを開けるってことはだよ、他の属性になる可能性があるってことなんじゃないかな?」
「つまり?」
「他の属性の炎を出すんじゃなくて、大空の炎を他の属性に変化させるの!」
文学少女レビィの言葉にツナは成程と思う。メイビスは「行き着く先は虹の炎」と言っていた。つまり行き着くまでには途中があるはずだ。まずは一種類ずつ変化させて最終的に虹の炎にするということかもしれない。ツナはフェアリーリングに目を落とす。このリングはそれを成す可能性を秘めているのかも知れない。それだけの力を感じる。
「でもキレイなリングですよね…」
ウェンディがうっとりとした目をしてリングを見る。
「見るだけで着けない方がいいかもよ。以前持ってたリングはプリーモ…ジョットの血縁以外が着けると全身から血を噴き出して倒れたからね。」
ちょっとイタズラ心をだすツナ…結構Sだ。
「ひぃぃっ!ぜ…絶対に着けません!!」
予想通りの反応に満足したツナは、怖がらせてごめんと謝りながらこちらに来るナツ達に目を向ける。満腹になったのか話をしに来たらしい。同じ話をさせられそうだと思いながら笑顔でナツ達を迎えた。
マグノリアの外れに位置するフェアリーテイル。現在ここでは盛大な宴が行われていた。無理もない、7年間行方不明だったメンバーの帰還。それは寂れたギルドに光を取り戻す何よりの知らせだったから。
現在のマスターであるマカオに正式に加入を認められたツナは右手の甲に紋章のスタンプを押した。ボンゴレ以外の紋章を背負うことになるとは思っても見なかったツナは少々複雑な気分だ。ルーシィにはお揃いだね。と喜ばれ、それをカナに冷やかされたりもした。
同じ炎を使うということでマカオの息子であるロメオをナツに紹介されたツナはツナ兄と呼ばれることになり、自分を慕ってくれたランキング少年を思い出す。
途中で帰還を祝いにギルド『
…ちなみに経験者の四人は悪魔が降臨してる間ガタガタ震えていた。
…先程の喧騒が嘘のように静まりかえり、みんなが寝静まった頃ツナは外で星空を眺めていた。
-それにしても異世界か…しかもプリーモと同じように神隠しに合うなんてリボーンが言わんこっちゃねえとか言いそうだな-
みんな心配しているだろうか。だがおそらく戻る手段もないだろう…かつての仲間達には二度と会えない。自身の超直感がそう告げている。
-父さん、母さん、リボーン、隼人、武、良平さん、ランボ、骸、凪、雲雀さん、京子ちゃん、ハル、ビアンキ、イーピン、フゥ太、正一君、スパナ、ボンゴレ、ヴァリアー、シモン、ミルフィオーレ、アルコバレーノのみんな…さよなら-
ツナは心の中で仲間達に別れを告げ、声を出さずに涙を流す。…ふと振り返ると、新たな仲間-フェアリーテイルの全員が後ろにいた。自分を探しに来たのだろう。こんなに接近されるまで気付かなかったとは余程余裕がなかったらしい。見ると、女性陣はもらい泣きしている者もいる。男性陣もなんて言えばいいのか分からないといった顔だ。
ナツが一歩進み出て力強くこう言う。
「俺達がついてる!!」
ツナは目を見開く。
「そうだよ!私達は仲間で、家族なんだから!」
ルーシィが叫ぶ。
「大切な者を失った悲しみは仲間が埋めてくれる。」
エルザが慰めるように言う。
「一緒にいますから…だから泣かないでください…」
ウェンディが自分も泣きながら懇願する。
他の者も口々に自分の思いを告げる。ツナは自分の紋章を見て、仲間達を見る。さっきまで複雑だった紋章は家族の証。先程と違って誇らしげだ。
「ギルドは家族じゃ…お主が悲しければ皆が悲しみ、お主が嬉しければ皆が嬉しい。逆もまた然りじゃ。」
マカロフの言葉はツナの胸に届く。
「ありがとう。みんな…」
泣き笑いの顔で礼を言うツナ…みんなもつられて笑顔になる。
「へへっ!そーいえばまだ言ってなかったな!」
「あい!それでは皆さん、せーのっ!!」
「「「「「「「ようこそ!フェアリーテイルへ!!」」」」」」」
原作の所はかなりはしょっちゃいましたがどうでしょう。こんな感じでいいんでしょうか?