妖精達と歩む大空   作:グリーン

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大変長らくお待たせしました。新年明けてからの仕事が忙しかったのとこの先の大魔闘演武のバトルを考えるのに時間をくいました。

5分後に二話目を投稿しますのでよろしくお願いします。奈落宮は原作と流れが変化ないので一話に纏めました。


奈落の底の餓狼

 

 

-奈落宮

 

ナツ達が奈落宮に落とされてからしばらくしてハッピー達エクシード組が偵察から戻って来た。

 

「ナツー!出口はなかったよ。天井も塞がっちゃってるよー!」

 

「完全に閉じ込められたみたいね……」

 

「体に地図でも書いておくんだったな……」

 

エクシード組の報告にナツ達はガックリと肩を落とす。

 

「くっそー!せっかくここまで来たのによ!」

 

「けどよくここまで侵入できたわね……ナツなら作戦Tとか言って突撃しそうなのに」

 

「ツナが絶対にミラの指示に従うように言ってたんだよ。今回はルーシィの安全がかかってるからって」

 

「ツナったら……」

 

「ユキノさんの事も心配してましたよ」

 

「ツナヨシ様が……」

 

「ねえ……この子リサーナに似てない?」

 

ユキノの後ろに回りながらミラがルーシィに尋ねるとルーシィもそういえば……と同意する。

 

「リサーナ様とは?」

 

「私の妹よ」

 

ユキノも幼い頃に姉と離れ離れになっているのでミラの笑顔に姉の面影を見いだしていた。……余談だがミラとリリー以外はその姉に会ったことがあるのだが誰も気付いてはいなかった……

 

「みんな!あっちの岩の裂け目から風が流れてきてるわ!出口に繋がってるかも!」

 

全員シャルルが発見した岩の裂け目に入って行くが人一人が通るのがやっとなのでナツを先頭に一人ずつ進んで行く。

 

「狭くて胸がキツいわね……」

 

「そうね……」

 

「同感です……」

 

「……」

 

3人の女性は狭すぎて胸がキツいらしいが残る1人の女性はそんな3人の会話を聞きながら己の胸に目を向けて溜息を漏らす。全く邪魔にならないのも悲しいらしい……

 

何とか岩の裂け目を抜けるとそこには一人の男性が倒れているのが見えた。

 

「アルカディオス様!!」

 

「この前の……」

 

「オイ!しっかりしろ!!」

 

ナツの声にアルカディオスはうっすらと目を開けるとか細い声でナツ達に逃げろと伝える。その瞬間ナツ達は後ろに気配を感じて慌てて飛び退いた。アルカディオスはナツが抱えている。

 

後ろにいた巨漢の男が液体をばらまくとその液体の触れた地面が溶けていく……

 

それだけではなく大漁旗をもった目がパッチリとした男、植物から変化した女、大量の紙吹雪が集まって変化して出てきた女、そして恐らくリーダーである大きな鎌を二つ背負った仮面の男……総勢5名の人間が姿を現した。

 

「我ら王国最強の処刑人、餓狼騎士団……一五○○任務開始」

 

「奈落宮からの生還者がいなかったのは奴等がいるからだ……」

 

アルカディオスの声にナツ達は身構え、仮面の男は冷たい声で告げる。

 

「フィオーレ独立部隊餓狼騎士団の特別権限によりこれより罪人の死刑を執行する」

 

ナツはあまりにも騎士団には見えない餓狼騎士団の面々に大笑いする。その恐ろしさを知るアルカディオスが注意を促すがナツは余裕を崩さない。

 

「上等!!出口が向こうから歩いて来たぞ!!」

 

「そうね。彼らから出口の場所を聞き出しましょう!」

 

「ルーシィさんとユキノさんは鍵がないので離れててくださいね」

 

「ハッピー、シャルル、下がっていろ!」

 

ナツ、ミラ、ウェンディ、そして戦闘形態となったリリーが前に出る。すると隊長-カマの一喝と共に着物のような格好の女性-カミカの魔法が襲いかかる。

 

「無知なる罪人め!フィオーレ王国の土へと還れ!」

 

「紙吹雪!赤の舞!」

 

ナツは赤色の紙吹雪を燃やし尽くそうとするが赤の紙は炎の属性を持っており燃やすことはできなかった……だが驚くナツの前にウェンディが飛び出す。

 

「天竜の咆哮!!」

 

赤い紙吹雪はウェンディの放った竜巻により散り散りに引き裂かれるがその隙を狙って帽子を被った女性-コスモスによって召喚された食人植物によってウェンディが食べられてしまう。が、それは間をおかずに破壊される。

 

「ミラさん!!」

 

破壊したのはいつの間にかミラジェーン・シェトリに変身したミラだった。

 

最初に襲って来た男-ネッパーとパッチリとした目を持つ男-ウオスケも加わりその連携攻撃にナツ達は苦戦を強いられてしまう。

 

「紙吹雪!紫の舞!!」

 

「何だ!体が動かねぇ!!」

 

「紫の紙は縛りの神、そして……」

 

「これぞ美しき連携……グロウ・フロウ!!」

 

「んなっ!でけぇ!!」

 

カミカの紙で動きを封じられたところにコスモスが先程とは比べ物にならないほどの食人植物を天井に召喚する。その植物は口を大きく開いてナツ達を吸い込もうと

している。

 

「くっ……体の不自由を解除!状態異常回復魔法リーゼ!!」

 

「治った!けどアレ……どうするの!?」

 

「壊す!!」

 

「OK!!」

 

「うおおおぉっ!!」

 

ウェンディの魔法で麻痺が解けてルーシィの悲鳴に反応したナツ、ミラ、リリーの三位一体の攻撃により食人植物だけでなく洞窟の一部も崩壊してしまった……

 

 

 

 

 

その頃城の上層階ではヒスイ姫が兵士達の話から罪人の処刑の為に餓狼騎士団が出撃したことを知って愕然としていた。

 

-無事でいてください…アルカディオス……-

 

ヒスイ姫には祈ることしかできなかった……

 

 

 

 

 

 

一方奈落宮ではバラバラに散ってしまったナツ達はそれぞれの敵と対峙していた。

 

「私の部下は優秀だ。誰一人として生かしては帰さん」

 

「ここでルーシィと離れたら何の意味もねぇってのに」

 

ナツは餓狼騎士団リーダーのカマと……

 

 

 

 

「みなさーん!どこですかー?」

 

「美しいというよりは可憐……でも処刑よ」

 

ウェンディはコスモスと……

 

 

 

 

「ヘヘヘ……」

 

「くそっ!みんなとはぐれたか……」

 

リリーはネッパーと……

 

 

 

 

「ルーシィ!ユキノ!どこ!?」

 

「よそ見してる場合じゃないよアンタ」

 

ミラはカミカと……

 

 

 

 

そして残りはというと……

 

「みんなとはぐれちゃったの!?」

 

「よりによって戦力の無い者が一緒とは……」

 

「鍵さえあれば……」

 

「みんなを探さなきゃ……」

 

「…………」

 

鍵がないので魔法が使えないルーシィ、ユキノと戦力として数えられないシャルル、ハッピーと大怪我をして動く事もできないアルカディオスが一緒のパーティーとなってしまった。

 

そこに処刑人ウオスケが現れる。そのやる気の無さそうなザコっぽい顔にこれは魔法がなくても勝てるのではと思うルーシィ達だが……

 

「いかん……ぞ……奴は処刑した者の骨すらも残さんという……」

 

「「え?」」

 

アルカディオスの言葉に顔色を変える……

 

 

 

 

「地形効果……熔岩帯!」

 

ウオスケが魔法を使うと地面が崩れてその隙間は灼熱の熔岩地帯へと変化していた。ルーシィとユキノは崩壊に巻き込まれて溶岩に落ちそうになったがわずかに残った足場に掴まることで何とか耐えている。

 

「今行くよ!!」

 

ハッピーとシャルルが二人を救出しようと飛ぶが……

 

「地形効果……重力帯!」

 

「ぐっ……体が……」

 

「重たい……」

 

重力をかけられて地面に落下して押しつぶされそうになってしまった。ルーシィとユキノは何とか足場に掴まっているが長くは持ちそうもない。灼熱の熔岩はすぐ足下にありその熱で二人のブーツが溶けて足に耐え難い痛みを与えている。

 

「がんばれ……君たち二人は……私達の希望なのだ……」

 

「今そんな話はどうでもいいでしょ!」

 

アルカディオスがフラフラと立ちあがり想いを口にする。そして熔岩帯の縁に立つと……

 

「君たちがいなくてはエクリプスは起動しない……私はその為なら……この命!惜しくはない!!」

 

何とそのまま熔岩帯の中へと歩を進めた。全員が驚愕するなかアルカディオスは絶叫と共に歩き出す。ジュウウと肉の焼ける音と匂いがするがアルカディオスは止まらない。

 

「え?え?人間って熔岩の中入れたっけ?」

 

ウオスケが心底疑問に思うのも無理もない。アルカディオスはルーシィとユキノの元へ辿り着き二人の体を押し上げる。足場に登った二人は必死に手を伸ばす。

 

「アルカディオス様!!」

 

「アンタも早く!!」

 

「もしここを出られたら姫様に……ヒスイ姫に会う……のだ……エクリプスが正しいかどうか君達が決めるといい……」

 

その言葉を最後にアルカディオスは溶岩に沈んでいった……ユキノの悲痛な叫びが響く。ウオスケは安心したようにホッと胸を撫で下ろす。

 

「ギリギリセーフといったところですね」

 

「ホロロギウム!?」

 

ルーシィの星霊、ホロロギウムが熔岩の中から姿を現した。その中には気絶しているアルカディオスが守られていた。

 

「どうしてアンタがここに……」

 

「僕はゲートを自由に通れるからね。鍵はここにあるよ。ルーシィ」

 

「ロキ!!」

 

「ハイ、君の分も」

 

「ありがとうございます。ライブラ、ピスケス、良かった……」

 

「やったー!」

 

「これで魔法が使えるわね!」

 

「ここに十二の鍵が揃った……さあ反撃の時だ」

 

「うん!」

 

「ハイ!」

 

「タ……タイ?」

 

強力な援軍を得たルーシィとユキノの反撃が始まった。

まずはユキノがピスケスを召喚する。カグラ戦のような二匹の魚ではなく二人の人間型の母子一体の星霊がウオスケに襲いかかる。

 

「地形効果・重力帯」

 

「開け!天秤宮の扉…ライブラ!重力変化を相殺して!」

 

「タイ~!??」

 

二体同時開門でライブラも呼び出したユキノはウオスケの魔法を無効化する。

 

「地形効果!渦潮帯!!魚は海に帰るタイ!!」

 

追い詰められたウオスケの魔法は運良くピスケスの弱点を突くものでピスケスは魚に戻ってしまった。それを見て喜ぶのはハッピーだけだ。

 

「魚ーー!!!」

 

「ピスケスが水に弱いという弱点を見抜くなんて……」

 

「魚なのに!?でも水があるなら……開け!宝瓶宮の扉!アクエリアス!!」

 

一気に決着を着けるべく最強の星霊アクエリアスを呼び出すルーシィ。辺り一面に存在する水を巻き上げてウオスケに放った。ウオスケはなすすべもなく吹き飛ばされてしまった。

 

 

その頃他のバトルも決着しようとしていた。リリーはガジルとの修行で数段腕を上げていた。相手の酸を切り裂いてそのままネッパーを吹き飛ばしていた。

 

 

 

ウェンディを二度と覚めない眠りに落とそうとしたコスモスだがウェンディは自身に状態異常無効化の魔法をかけることで防御する。驚くコスモスの前で両腕に風を集めたウェンディは照破・天空穿を放った。

 

 

 

カミカは毒を与える緑の紙でミラの命を奪おうとしたが、サタンソウルで悪魔の姿になったミラには通用しない。巨大な魔力をのせた蹴りでカミカを吹き飛ばした。

 

 

 

「火竜の鉄拳!!」

 

既に武器を破壊されているカマはナツの猛攻に手も足も出ない。

 

「貴様ら!王国を敵にまわす気か!?」

 

「お前らこそフェアリーテイルを敵にまわす覚悟はあるんだろうな!!」

 

ナツは右拳に大きな炎を纏ってカマに向かって走り出す。

 

「俺達は家族(ギルド)を守る為なら国だろうが世界だろうが敵にまわす……それが妖精の尻尾(フェアリーテイル)だぁっ!!!」

 

全力の右拳を打ち込まれたカマは壁を突き破って吹き飛ばされる。偶然にも飛ばされた先には他のメンバーも揃っていて相手はカマ以外は気絶している。

 

「全滅……だと?」

 

「これで全員合流だな!」

 

「みんな無事?」

 

「一人大怪我してるわ。ウェンディ!応急手当を!」

 

「ハイ!分かりました!」

 

「アルカディオス様……」

 

「さてと……その間に……」

 

「出口の場所を教えてもらおうか……」

 

ロキとナツは指を鳴らしながらカマへと近づいていった……

 

 

 

 

 

 

 

カマから出口の場所を聞いた一行は教えられた方角へと道を進んでいた。アルカディオスはロキが背負っている。

 

「このオッサンすげぇな!熔岩の中に飛び込むなんて!!」

 

「アルカディオス様…大丈夫なのでしょうか……」

 

「ウェンディの応急手当のおかげで大丈夫だとは思うけど……」

 

「熔岩の中で生きてた方が不思議だよね!」

 

「彼の身に付けている翡翠の宝石のおかげだね。強力な護符になっているみたいだ」

 

「そういえば地下で会った竜の魂も翡翠竜ジルコニスでしたね」

 

「姫の名前もヒスイ姫だったはずです」

 

「アルカディオスにはここを出たら姫に会うように言われたけど……エクリプスにも関係してるのかな?」

 

「だろうな……」

 

「その姫様にここに落とされたんだけどな!!」

 

「下手に接触するとまた捕まるんじゃないかしら?」

 

「とにかく早く脱出してみんなに合図を送りましょう!みんなきっと心配してるわ」

 

ミラの言葉に全員が頷いた時に一同は前方に巨大な扉を発見した。さっそくナツは扉を壊そうと走り出すが……扉は向こうから開いていった。

 

急に扉が開いたことによりバランスを崩して前方へと転がって行くナツ……回転が止まった時、ナツの目の前には黒いローブを纏ってフードで顔を隠している一人の人間がいた。

 

新たな敵かと身構える一同だったがその人物は攻撃してくる様子はない。

 

「誰だ?テメェ?」

 

「…………」

 

その人物はフードを取るために左手をゆっくりとフードへとかけるのだった……

 

 

 




二話目は5分後に投稿します。

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