-闘技場
大魔闘演武四日目、競技パート“
ただし最後に二人だけ残った場合に特殊ルールが追加され、最後の二人になってから5分の間に場外に出てしまった方は最下位となる。
各チーム参加選手は以下の通り
-ラミアスケイル シェリア
「がんばるぞー」
-ブルーペガサス ジェニー
「今度こそ負けないんだから!」
-マーメイドヒール リズリー
「人魚をなめちゃいけないよ!」
-フェアリーテイルB ジュビア
「水といったらジュビア!これはジュビアの独壇場」
-セイバートゥース ミネルバ
「この競技は都合がいいな……さて……どちらにしようか……」
-フェアリーテイルA ルーシィ
「あたしも負けられない!…アクエリアスに有利の場所だしね」
『これはまた華やかな絵になったー!!各チーム女性陣が水着で登場ーー!!』
『ありがとうございます、ありがとうございます~』
実況のチャパティとゲストのシェラザート劇団座長ラビアンが興奮の声をあげる。男性客も興奮に包まれている。
-クワトロパピー ロッカー
「あのー俺もいるんですけど…ワイルドに」
『外に出たら負け。ナバルバトル開始!!』
「早速だけど…みんなゴメンね!開け宝瓶宮の扉…アクエリアス!!」
「オオオオオッ!水中は私の庭よ!!」
試合開始直後にアクエリアスを呼び出したルーシィ。そのアクエリアスは両手に持つ壺より渦巻く水流を生み出した。水流に巻き込まれないように参加者は散らばるが一人だけその場に留まっている者がいた。
「させない!
二つの同系統の魔法がぶつかり合い力比べの形になる。その余波で周囲の選手達は吹き飛ばされないようにこらえる。
「互角!?」
「ジュビアは絶対に負けません!!」
二人は相手の魔法を押しきろうと魔力を込める。
-フェアリーテイルB観覧席
「ジュビアがんばって~!ルーシィもその次にがんばって~!あ、あとジェニーもちょっとだけがんばって~!」
「ややこしい応援してるね……」
「ガジルはどっちが勝つと思うよ?」
「ふん…水中戦でジュビアに勝てる奴がいるとは思えねぇな……お前も水中じゃ戦えねーだろ?」
ツナにそう質問するがツナは首を横に振る。
「死ぬ気の炎は超圧縮されたエネルギーが炎の形になってるものだからね。水中で使えないということにはならないよ」
「マジか……」
「それよりよく見ていよう。少し嫌な予感がするんだ」
ここ数日でツナの勘の正確性をおもい知っているBチームの面々は緊張しながらも闘技場に目を戻した。
-闘技場
アクエリアスとジュビアが互角の戦いをしている間にも試合は進んでいく。
「まず一人!」
「ワイルドォォッ!」
ジェニーが一瞬の隙をついてロッカーを場外に蹴りだした。さらにシェリアがリズリーに迫る。
「その間にあなたも!」
「ぽっちゃりなめちゃいけないよ!」
黒い風を纏ったシェリアの攻撃をリズリーはほっそり体型になって躱す。ミネルバは戦況を見ながら怪しい笑みを浮かべている。
「そろそろデートの時間だ!私は戻るよ!」
「ち…ちょっと待って!水中じゃアンタが一番頼りになるのに!!」
「悔しかったらお前も彼氏作れ。じゃあな」
「ふざけるなあーー!!」
「隙アリ!!」
アクエリアスが消えたのでジュビアの攻撃を防げずに場外へと飛ばされそうになるルーシィ。
「ひぇえええぇっ!バルゴ!アリエス!」
「セクシーガードです。姫」
「もこもこですみませ~ん」
バルゴとアリエスを緊急召喚することによりなんとか場外にでなくてすんだ。新たな美女の登場に男性客の歓声が会場を包む。
『水中での激戦が続いています!ガンバれ!シェリアたん!!それにしてもフェアリーテイルA!なぜウェンディたんを出さなかったのか!?』
「うるさい!」
実況のチャパティに文句を言ったところでジュビアが動く。
「全員まとめて倒します!今こそ見せます!
フェアリーテイルA観客席よりヤメローという叫びが聞こえたがハート型の衝撃波を生み出しながら水中を荒れ狂う。
ジェニー、リズリー、シェリアの順で場外に投げ出された。ミネルバは腕に魔力を集めて相殺しているようだ。ルーシィはバルゴとアリエスに引っ張られて何とか残っている。
『ここでジュビアが三人まとめて倒してしまったー!!水中戦では無敵の強さだー!!』
-ジュビアを見て萌えてくれましたか?グレイ様?-
フェアリーテイルAの観覧席の方へ視線を向けるジュビアだったがそこには…ドン引きしているグレイの姿があった。ショックを受けるジュビアだがいきなり訳も分からず場外に出てしまった。
残るはルーシィとミネルバのみ。ミネルバは唇を歪めながらルーシィを見ていた。
-フェアリーテイルB観覧席
「あのバカ!」
「何で?」
「どーなってやがる?」
「あの人の仕業みたいだね……」
ツナは厳しい目でミネルバを見ている。
「あのセイバーの女がやったってのか?」
「多分空間を入れ替えたのかな?」
「ちょっと待てよ!そんなこと出来んなら全員場外に出せばいいじゃねえか!?」
「分かんないけど嫌な予感は消えてない……」
「ルーシィ……」
-闘技場
『残るはミネルバとルーシィの二人のみ!勝つのはセイバートゥースか!?フェアリーテイルか!?ここで5分間ルールを発動します!この5分の間に場外に出た方は最下位となります!』
『何の為のルールかね?』
『最後まで緊張感を持って見るためですよ!』
「フフ…そなたは運がないな……我らの為に餌になってもらおうか」
「餌?アンタいったい何を……」
聞き返そうとするルーシィのすぐ側の空間が歪んだと思ったらいきなり爆発した。そして頭の上の空間が歪むと今度は鉛のような重さへと変質してルーシィを襲う。反撃の為に星霊の鍵を手に取ろうとするが……
「あれ!あたしの鍵が……いつの間に!!」
鍵がないことに気付き、次いでミネルバを見るとルーシィに見せ付けるように鍵を持っていた。
こうなるとルーシィには反撃の手段はない。鍵を取り返すか、5分間耐えて2位を狙うかだ。
なすすべもなく攻撃を食らうルーシィにミネルバは空間を様々な属性に変化させてルーシィを痛め付ける。まるで誰かに見せ付けるように……
しかしルーシィの目からは光は消えていない。ミネルバの苛烈な攻撃を受けながらも自分を鼓舞するように叫ぶ。
「アタシは…どんな攻撃も耐えて見せる!こんな所で負けたらつないでくれたみんなに合わせる顔がない!絶対に…諦めない!」
その言葉はフェアリーテイルメンバーの心に響くがミネルバはまるで関心がないように攻撃を加えていく。
……そしてルーシィにとって長い5分間が過ぎて後は順位をつけるだけとなった。ルーシィの意識は既に朦朧として気を抜くと意識を失いそうになっている。
Aチームからはもういいから場外に出ろとの声が聞こえる。負けたくはないが鍵を取られていては勝ち目がないので自ら場外に出ようとするが……
「どこへ行く?」
「なっ!?」
後少しで場外だったはずなのに気が付くと水球の中央、ミネルバの目の前にいた。
「言ったであろう。そなたは餌だと…さあ存分に踊ってもらおうか!!」
「きゃああああっ!!」
ルーシィが歪んだ空間に捕らわれるとそこに発生した衝撃波によって叫び声をあげるルーシィ…さらに追撃されて吹き飛ばされる。
『これは…さすがに場外……って消えた!と思ったらミネルバの目の前へ!?』
腕を掴まれて動きを封じられてなすすべもないルーシィに自らの肉体で攻撃を加えるミネルバ。惨劇は終わらない……
-フェアリーテイルB観覧席
「ルーシィ!」
「痛め付ける為か……」
「もう勝負はついてんだろ……」
怒るBチームの面々だが何かが壊れる音がしてそちらを見ると、石造りの手摺りを壊して怒りに顔を歪ませるツナがいた。
-フェアリーテイルA観覧席
「やめろぉぉっ!!」
「まずい!」
「ちくしょう!アイツら」
「もうやめてー!!」
セイバートゥースの面々は嘲笑するような顔と態度でナツ達を見るのが分かった。
「「「セイバートゥースゥゥゥッ!!!」」」
怒りと共にセイバートゥースを睨み付けるナツ達だがそれどころではない。このままではルーシィの命が危ない。ナツ達は観覧席から飛び出した。
-闘技場
執拗なミネルバの攻撃にルーシィは既に意識を失い虫の息だ。観客はあまりに凄惨な光景に声もあげられない。
-頃合か…そろそろレフリーストップがかかるな……ならば……-
ミネルバはピクリとも動かないルーシィを手離し水球の端まで移動して両手をあげると、そこに今まで以上の魔力を込めて空間を歪ませる。
「「「ヤメロー!!!」」」
走ってくるナツ、グレイ、エルザを目の端に捉えるがそれを無視して魔力を放とうとする。アルカディオスがマトー君にレフリーストップを要請するがその宣告がされる前に無慈悲にも魔力が放たれた。
爆発の属性だったのか水球の中央で轟音と大爆発が起こり、水球は泡と煙によって何も見えなくなる……
「「「ルーシィー!!!」」」
ルーシィの名を呼ぶ3人は何も見えなくなった水球の前で立ちすくむ。遅れているウェンディも立ち止まって水球を見ていた。ミネルバはさらに唇を歪めて呟く。
「……予想通り」
煙が晴れるとそこには……
気を失ってピクリとも動かないルーシィと……
怒りに顔を歪ませてミネルバを睨み付け……
ルーシィをマントで守るように抱え込むツナの姿があった…………
今回のミネルバは書いててムカつきました。ツナが助けに入るのも予想済み!