-クロッカスの公園
大魔闘演武三日目の夜クロッカスにある公園でマカロフとラクサスが話をしている。
「ジジイ……ルーメン・イストワールってなんだ?」
「イワンから聞いたのか?」
「欲しがってるみてぇだったな。フェアリーテイルの闇とか言ってたぞ」
マカロフが口を閉ざしているとメイビスがやってきてラクサスに告げる。
「闇ではありません。
「いけませんぞ!初代!」
「分かっています。これはギルドマスターとなった者しか知る権限のないもの。分かっていただけますか?」
「変なもんじゃねーなら別に詮索しねーよ」
イワンはどこから情報を得たのか…二代目マスターのプレヒトが教えたのだろうという結論になった。以前グリモアハートのマスターハデスとしてフェアリーテイルに戦争を仕掛けてきた者だ。
自分の人選がギルドに危機をもたらし、情報の漏洩までしてしまったことにメイビスは涙を流す。
「ふぐぅ…えぐっ…泣いてなんか…ないです…全然泣いてなんか……」
「初代がー!ラクサス!あやせ!ホレッ!!」
「ハードル高すぎんぞソレ!!」
初代をあやす為に祖父と孫はある決断をすることになった……
-BAR SUN
「「「「「かんぱーい!!!」」」」」
今日も1位と2位を守りきったフェアリーテイルはいつも通り大騒ぎをしている。
「マジで優勝出来そうだな!!」
「今日は全員凄かったからな!」
マカオとワカバが嬉しそうにジョッキを合わせて今日の試合を振り返っている。
「なんといってもエルザさんが凄かったわ!」
「いやツナの一撃には度肝を抜かれたよ!」
「ラクサスの武勇なくしては語れんだろう」
「ウェンディのバトルには感動したぜ!!」
ビスカとアルザックの夫婦とフリードとビッグスローの雷神衆コンビが今日の試合で活躍した者達を誉め称えていた。
ラクサスを除いた今日の主役の3人は同じテーブルで談笑していた。ルーシィ、ミラ、リサーナ、シャルルも同席している。
「せっかくエルザさんが快勝したのに私勝てなかったなぁ……」
「なに言ってんの、よくやったわよ」
「そーだよ!あの相手の奥義を防いだときとか本当に凄かったわ!」
シャルルとルーシィが落ち込むウェンディを励ますように声をあげる。
「確かに…滅神魔導士相手によくやった」
「シェリアの方が魔力はかなり上だったから引き分けに持ち込めたのは凄いわ」
「そうね!さすがウェンディだよ」
「それに今日は勝ち負けよりもシェリアと友達になった事の方が大事じゃない?」
「ツナさん……そうですね!」
ツナが頭を撫でてウェンディが元気になった所でエルザはツナに話し掛ける。
「ツナの一撃は本当に凄かったな」
「ああ…X BURNERね。ジュラさんが手伝ってくれて助かったよ」
「イクスバーナーっていうんだ?」
「確かに真っ直ぐ撃ってたら大変な事になってたわね……」
「アンタってホントに人間?」
「シャルル酷い!?」
「まあ……ギリギリだな……」
「エルザまで……」
「「「「アハハハッ!!」」」」
ツナが二人の言葉にうなだれると周りで笑いがおこる。ナツやグレイは酒樽サーフィンをやっている。周りは大騒ぎだがそれでも楽しそうに笑っている。カナも先程ツナに酒の制限を解除されたので嬉しそうに樽で飲んでいた。
宴の最中レビィから提案があった。
「プール?」
「そう。フィオーレ有数のサマーレジャースポットのリュウゼツランド!この近くなんだ」
「行くしかねぇだろ!」
「暑いからな!」
「みんなで行こう!!」
結局酒場にいたフェアリーテイルの全員で向かうことになった。
-リュウゼツランド
「着いたー!!」
「広いですね」
「んー気持ちがいいな」
「エルザ傷大丈夫なの?」
「まぁエルザだし……」
みんな思い思いに楽しんでいた。ナツは水上機関車に後先考えずに乗って乗り物酔いをして、エクシード組とガジルとレビィは水族館へ、カナは普段着からして水着のようなものなのに水着がないということで下着姿でプールに来ている。
ちなみに医務室にいたはずのエルフマンとエバーグリーンも来ていた。フェアリーテイルのメンバーから隠れるがフリードとビッグスローにしっかりと目撃されていた。
そしてツナが今いるのはラブラブスライダーと呼ばれるところの出発点だ。目の前で3人の女性が言い争っているのを遠い目で見つめていた。
「ツナ!一緒にこれやろうよ!」
「ツナさん!私と一緒に……」
「あらあら……困ったわね」
幸い他の客が居なかった為迷惑にはならないがあまり長い時間ここで揉めているのも後から来る人の迷惑になる。しかし、このスライダーは抱き合った形で滑るらしい。……ツナにとってはとても恥ずかしい。
その時ミラが何か思い付いたようにツナの後ろから抱きついてきた。そのまま前にいたルーシィを押し倒すような形になり、さらには腕にしがみついていたウェンディも巻き込んで四人ひとかたまりになってスライダーに突入してしまった。
「うん。こうすれば良かったわね」
「ちょっとミラさんーー!?」
「あわわ!落ちちゃいますーー!!」
「ウェンディ!手放しちゃダメだよ!」
長いスライダーをルーシィが頭を下に仰向けに、その上にツナがうつ伏せに、その右手にウェンディが抱え込まれ、ツナの背中にミラがおぶさる形で進んでいく。
「ちょっ!動いちゃダメ!ツナ…んっ…」
「この状況じゃ無理だって!」
「ひゃあああっ!怖いですー!!」
「ツナの背中暖かいわぁ」
「今それどうでもいいよ!」
「だから動いちゃ……」
カーブの度に大騒ぎしながらも滑り続けた一同はやがて終点へとたどり着き、大きな水飛沫と共にプールへと投げ出された。
「うう…ひどい目にあった……」
「とっても怖かったですぅ……」
「ミラ……あのね……」
「あら、だってとっても私達らしいじゃない」
この言葉に3人は苦笑した。いきなり疲れたルーシィはエルザに誘われてゆっくりとすることにした。
「ウェンディー!!」
「シェリアさん達も来てたんですか?」
「また敬語ー!」
「あ、癖でつい……」
周りを見るとリオンもいてグレイとジュビアとの三角関係が勃発していた。シェリアはウェンディに誘われて一緒に遊ぶことにしたようだ。それをミラと共に見送る。
「隙アリ!!」
「きゃあ!」
いきなり横にいたミラの上の水着が剥ぎ取られた。犯人はブルーペガサスのジェニーだった。ツナはミラを見ないようにしながらも一瞬で近くにいたマカオとワカバの視界からミラを隠す位置へ移動する。二人からの文句は黙殺した。
「やったわねジェニー!お返しよ!」
「下はやめて!」
ミラは手で胸を隠しながらお返しとしてジェニーの下の水着をずり下ろした。今度は二人からジェニーを隠す為に移動する。
またしても邪魔された二人はツナを野次るがツナの睨みにスゴスゴと退散していった。それを見たリサーナがその紳士的な行動に感嘆していたとか……
ミラはジェニーとリサーナとお茶をするらしく出店へと向かっていった。ツナはというとアスカに捕まりコネル夫妻と共に一緒にビスカの作ってきた弁当を食べることになった。
ルーシィはエルザと共に寝そべっているところにブルーペガサスの男連中がやってきて絡んでくるのに辟易としていた。
「邪魔だな……コイツら」
「そうね……」
思い思いに口説いてくるブルーペガサスの連中にエルザの怒りが爆発する。
「今日のMPFの数値はなんだ!?気合いが足らん!」
「お前にはシェリーがいるだろう!」
「そんな大怪我で遊びに来るな!」
ヒビキ、レン、イヴをそれぞれ怒鳴り付けると、さあ次は自分の番とスタンバイしている一夜に目を向ける。
「行こうルーシィ」
「メェーン!私もなじって下さい!」
無視して去ろうとするエルザにすがりつく一夜を他の3人とまとめて蹴り飛ばした。
苦笑するルーシィは水底から浮かび上がってくるメイビスを見つけて驚いた。プールサイドにはマカロフとラクサスが腰掛けている。
「何してるの?」
「見ての通り……」
「あやしておる……」
泣いてしまったメイビスをあやす為にここに連れてきたらしい……準備運動を忘れていたメイビスがマカロフとラクサスを誘って体操を始めた。
エルザは顔を隠したジェラールの怪しさに呆れ返り、ルーシィはレイヴンテイルのフレアから謝罪されたりしていた。ルーシィはフレアは本当は悪い娘じゃないんだと認識を改めた。
他のギルドも一時大会のことは忘れて楽しんでいた。ツナも弁当を食べた後は浅いプールでアスカと遊んでいた。コネル夫妻は並んで座りながらそれを見ている。
「ツナお兄ちゃん!肩車ー!!」
「よし!ほ~らこれでいい?」
「うわぁ!高~い!」
「……」
「アル?どうしたの?」
「これが娘を取られた父親の心境かなって……」
「フフ……早すぎるわよ。でもツナって子供の面倒見るのが上手いわね」
「次は水鉄砲ね!」
「うん。いいよアスカちゃん……って何だ!?」
ツナの超直感が嫌な予感を伝えるとラブラブスライダーの方から氷が広がって来る。とっさにリングに火を灯して保存用のボックスの中に入れていたグローブを装備するとアスカの前に出て炎で壁を作る。
アスカとコネル夫妻はツナによって守られたがプール中が凍りついてしまった。
「これはグレイと……リオンの仕業か?」
「ツナ!上を!」
アルザックの叫びに上を見るとナツが炎を纏って空中にいた。ナツが何をしようとしてるのか一目瞭然だった。
破壊→弁償という答えを一瞬で導きだしたツナはナツのいる場所まで瞬時に飛ぶと説明してる暇もなかったのでそのまま殴り飛ばした。
着地したツナは人間や器物に被害を出さないように慎重に炎をコントロールして氷のみを溶かした。
「グレイ、リオン、出てこい……」
「ツ……ツナ……」
「すまん……」
ツナは二人の肩に手を置くと冷たい声で死刑宣告をする。
「少し……頭を冷やそうか……」
「ま……待ってくれ!ツナ!」
「頼む!話を……」
「零地点突破、初代エディション……」
「「ぎぃやぁぁぁ…ぁ……」」
氷の魔導士が凍りついていくのを周囲の観客は信じられない目で見ていた。ほどなく二つの氷像が完成した。二人を凍らせたツナは一仕事やり遂げた顔で周囲に向かって言い放った。
「さあまだまだ時間はあるしせっかく来たんだから楽しもう!」
「「「「「「「あ…あい……」」」」」」」
その後みんなはなかなかテンションは上がらなかった。ジュビアとシェリアは想い人の氷像に涙を流してツナに懇願するが、結局帰るまで放置されていた。
また、マカロフとメイビスだけは始末書も弁償もしなくて良かったのでツナに感謝していた。
-???
-今でも目を閉じれば思い出せるよルーちゃん…みんなで騒いで歌って、食べて踊って、プールでは散々な目にあっちゃったけどそれでも楽しかった三日目の夜-
-それぞれの想いが交錯する夜……私達は
遅くなって本当にすみません。書く時間がほとんど取れずにチョコチョコ書いてました。あと10日くらいは忙しいのでなかなか書けないと思います。