妖精達と歩む大空   作:グリーン

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競技パートが長くなったので二話に分けました。あの技の出番です!


X!!

-闘技場

 

大歓声が闘技場を包む。フェアリーテイルAエルザ・スカーレットが成し遂げた偉業が会場中にエルザコールを巻き起こしていた。

 

「す…すげぇ……」

 

「私…覚えてる…フェアリーテイル最強の女魔導士、エルザ・スカーレット!!」

 

「ああ、ティターニアのエルザ!!」

 

『未だに鳴りやまないこの大歓声!!』

 

『こりゃ参ったね……』

 

『言葉もありませんよ……』

 

観客席でも実況席でも傷だらけになりながらも凛としたエルザに対する賞賛と歓声は消えない。

 

「「「「エルザ~!!」」」」

 

感極まったAチームの全員が闘技場へと進入してくる。

 

「やっぱスゲーよエルザ!!」

 

「後で俺と勝負しろー!!」

 

「アタシ感動しちゃった!」

 

「私…感動で胸がいっぱいで……」

 

「おいおい…まだ優勝した訳じゃないぞ……」

 

大騒ぎするAチームのメンバー達を見ながら参加者達もエルザを称える。セイバーとレイヴン以外は……

 

応援席を見るとフェアリーテイルのメンバーはお祭り騒ぎだ。まるで優勝したかのように騒いでいる。

 

エルザの実力を見たこの大会屈指の女性魔導士達はエルザに興味深い視線を送っていた……

 

 

-セイバートゥース観覧席

 

エルザの活躍を見たスティングは未だに口を開けて固まっている。

 

「た…大したことありませんよ。うちだってあのくらい出来ますって!」

 

「フ…フローもそう思う……」

 

レクターとフロッシュが強がりを言うが二匹とも声が震えている。

 

「面白い…口先だけではないと言うことか、フェアリーテイル……ツナヨシ・サワダだけではないな」

 

ミネルバは不敵な笑みを消さない。

 

 

-マーメイドヒール観覧席

 

「スゴいねあの人…アチキこんなの初めて見たよ……」

 

「ティターニアって呼ばれるだけのことはあるね……」

 

-エルザ・スカーレット…ジェラールをよく知る者……-

 

カグラの視線が鋭くなる。その心中を察する者はこの場にはいなかった……

 

 

-闘技場

 

エルザは高々と拳をあげるとフェアリーテイル応援席へと向ける。未だにエルザコールは鳴りやまない。

 

『パンデモニウム完全制覇!!フェアリーテイルA10pt獲得ー!!』

 

より一層歓声が大きくなる。エルザは傷の手当てのために医務室へと下がっていった。

 

「俺達どうなるんだろうね?」

 

「ニャー…もう一回とか?」

 

「それは考えにくいな。あれほどの魔力を再び用意するのは無理があるであろう……」

 

「ですよね……」

 

その時協議していたマトー君が戻ってきて残りの競技に関する説明を始める。

 

「えー協議の結果残りの7チームにも順位をつけないとならないということになりましたので、いささか味気ないのですが簡単なゲームを用意しました……マジックパワーファインダー通称MPF」

 

「つまり測定器?」

 

「そうです。この装置に魔力をぶつける事で魔力が数値として表示されます。その数値が高い順に順位をつけようと思います」

 

簡単なルールなのでこれ以上の説明はいらなかった。説明を聞いてツナは考える。

 

-アレで行くか…でも真横に撃ったら観客席に飛び込むし上から撃ったら闘技場壊れるしな。やっぱ上に撃つしかないよな-

 

「純粋な力比べか…これはちょっと分が悪いかな?」

 

「よ~し!がんばろ~!元気最強~!!」

 

「パワー勝負か…願ったりだ!これで勝てるぜ!」

 

「ふふっ…ツナヨシ殿今回は勝たせてもらいますぞ」

 

自信が無い者、自信満々の者様々だが先程の順番通りとなった。順番はミリアーナからだ。

 

「じゃあ私からだね!行っくよー!キトゥンブラスト!!」

 

ピピッと機械的な音がして数値が表示される。その数値は365。しかし観客達はざわめいている。比べる基準がないとこの数値が高いか低いか分からない。

 

しかしゲストのラハールがこの数値は部隊長を任せられるほどに高いと宣言した。

 

『続いてクワトロパピーのノバーリ!数値は124!ちょっと低いか?』

 

「僕の番だね」

 

ブルーペガサス観覧席では知力タイプのヒビキには厳しいという意見が出ていた。戻ってきた一夜が友を信じるように諭していたが……

 

『数値は95!これは残念!!』

 

「あ~ドンマイ…」

 

「ライバル……」

 

『続いてはレイヴンテイル、オーブラ!』

 

肩に乗っていた使い魔が測定器に体当たりした。そしてその数値は…4…マトー君がやり直しはきかないと言うがオーブラは気にした様子はない。

 

-あの使い魔を通して誰かが見ているような気がする-

 

現在のトップはマーメイドヒールのミリアーナだ。ミリアーナはツナの手をとって跳び跳ねて喜ぶ。ツナに想いを寄せる三人はまた女の子と仲良くなって…と黒いオーラを垂れ流していた。

 

「やったー私が1番~!ツナ~!」

 

「ハイハイ…俺もまだだからね」

 

「そいつはどうかな?」

 

『ここでオルガ登場ー!!すごい歓声です!』

 

オルガが両手を構えてその手に黒い雷が集まる。

 

「120mm黒雷砲!!!」

 

表示された数値は3825。当然トップに立つ結果となった。セイバートゥースの観覧席ではレクターとフロッシュが盛り上がっている。スティングも薄い笑みを浮かべている。ナツとグレイは目を見開いて大声でなんじゃそりゃーと突っ込んでいる。

 

「ニャー!私の10倍ー!?」

 

「どうだい?ツナヨシ・サワダ?この数値を越せるかい?」

 

ドヤ顔でツナを挑発した後、勝手に歌いだした。ツナはその挑発に耳を貸さず次のジュラを見て考えをまとめる。

 

-そうだ!ジュラさんに頼もう!!-

 

『さあ…それに対する聖十のジュラはこの数値を越せるかどうか注目されます!!』

 

「本気でやってもいいのかな?」

 

「もちろんカボ」

 

ジュラは掌を合わせて精神を集中している。強大な魔力が集中して地鳴りが響く。閉じていた目を開くと魔力を解放する。

 

「鳴動富嶽!!」

 

地面に溜められた魔力が轟音と共に装置を貫いて天に昇る。その数値はなんと8544という驚異的な数値を叩き出した。

 

「は?」

 

オルガの間抜けな声が聞こえるがツナは自分の考えをマトー君とジュラに伝えるために二人に声をかける。

 

 

-フェアリーテイルA観覧席

 

エルザはすでに手当てをして戻ってきている。ジュラの一撃を見てナツとグレイは驚きの声をあげる。

 

「何ーー!!」

 

「オッサンおかしいだろそれーー!!」

 

「さすがの一言だな」

 

「後はツナだけね……」

 

「ツナさん勝てますでしょうか?」

 

「ツナはパワーよりスピードって感じだしな…」

 

「ツナならやるさ!!」

 

「そうね……それより何でツナとミリアーナが仲良くなってるのかな?エ・ル・ザ?」

 

「私も気になります……」

 

「お…落ち着け!ツナはナッツを貸して懐かれただけだ!!…多分…」

 

「おいおい…それよりツナが審判とジュラのオッサンと何か話してるぞ」

 

「「え?」」

 

 

-フェアリーテイルB観覧席

 

「いよいよツナの番ね……」

 

「ジュラさんがすごい数値を出しましたからね」

 

「この前の試合じゃアレだけの溜めは出来なかっただろうからな。やっぱすげぇパワーだな」

 

「流石にむりじゃねえのか?」

 

「ガジル……?」

 

「イヤ…だってよう……」

 

「まあまあミラさん。応援しましょう」

 

「そうね。ツナ~頑張って~!!」

 

 

-闘技場

 

「……分かったカボ。許可するカボ」

 

「ありがとう。ジュラさんもよろしいですか?」

 

「フム、任せておけ」

 

ジュラが腕を振るうとMPFが置かれている地面がせりあがっていく。観客席よりも上に上がりこの闘技場のどこよりも高くなったところで停止した。

 

「これで良いのかな?」

 

「バッチリです!ありがとうございます!」

 

ツナは死ぬ気の炎を灯して浮かび上がる。ある程度の所に来たら静止して斜め上にあるMPFを見る。全ての人の視線が集中するなか久しぶりの言葉を呟く。

 

「……オペレーション(イクス)!!」

 

左手はMPFへと向け斜め上に、右手は対角線上に斜め下に向ける。右手から斜め下に向けて炎を放つ。

 

 

-フェアリーテイル応援席

 

フェアリーテイルのメンバーもツナの行動に疑問を感じていた。マカオが疑問を口にする。

 

「ツナの奴何やってんだ?逆方向に炎を出してんぞ?」

 

「あの炎は今までの炎とは違って何と言うか柔らかい感じがしますな?」

 

「柔の炎と言うわけですね……恐らく右手で後ろに放つ柔の炎を支えにして左手で最大級の炎を放つつもりではないでしょうか?空に向かって放つ為に頼んでいたのでしょう」

 

マカロフの疑問に予想を組み込む形でメイビスが答える。

 

「…ということはまっすぐ撃ったら危険なほどの威力ってことね」

 

「期待出来そうね」

 

レビィとリサーナの予想と同じことを他の者達も考えていた。

 

 

-闘技場

 

『さあ、逆方向に炎を放つツナヨシ!どんな技を繰り出すのかー!?』

 

『ものスんごい魔力だね……』

 

『これは右手の炎で体を支えて左手で攻撃するようですね……支えが必要なほどの攻撃ということでしょうね』

 

ツナは上手くバランスを取りながら鬼畜家庭教師の訓練を思い出していた。コンタクトとヘッドフォンなしでこの技を放てるのは間違いなく彼のお陰だがその地獄の訓練は凄まじかった。

 

家庭教師曰くボスたる者いつまでも便利な道具に頼ってんじゃねえとのことで地獄の訓練が始まったのだった……

 

-感謝するぞ……先生!-

 

心の中にで家庭教師…リボーンに礼を言いながら左手に集めた最大級の炎を放つ。

 

X BURNER(イクス バーナー)!!!」

 

ツナの左手から極太の熱線が放たれる。その熱線はMPFを一瞬で飲み込み、その向こうの雲を吹き飛ばして空の彼方へ向かっていく。

 

その光景を見た者は揃って目を見開き、口をあんぐりと開く……熱線が消えた後にはMPFは存在せず、9999という数字だけが浮かんでいた。

 

観客達は目を疑い、一拍後に会場中から今日一番の大歓声が巻き起こった。フェアリーテイル応援席は総立ちでツナに声援を送る。

 

『な…何ということでしょう……聖十の全力に傷一つ付かなかったMPFが破壊!カンストしています!!な…何なんだこのギルドは!?競技パートワンツーフィニッシュ!!もう誰もフェアリーテイルを止められないのかー!?』

 

「止まらないさ…フェアリーテイルの名に懸けて!」

 

静かに…しかし確かに宣言するツナに会場は興奮のるつぼと化していた。

 

 

 

 




最後の台詞はカナの引用です→多少変更しました
各ギルドの反応などは次回。

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