妖精達と歩む大空   作:グリーン

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競技だけで二話使いました。次の話は一時間後に投稿予定です。


ティターニア、舞う!

-大魔闘演武三日目 クロッカス

 

宿を出て歩いていたユキノは町民の話に足を止める。

 

「おい、聞いたか?セイバーの泊まってる宿が何者かに襲われたらしいぜ」

 

「セイバーに喧嘩売ったのか?どこのバカだ?」

 

「知らね。まぁ場外乱闘もいつものことだからな」

 

「祭なんだ。もっと派手にやれ!」

 

-ツナヨシ様?ナツ様?……まさかね……-

 

 

-ドムス・フラウ

 

実況席には今日のゲストとして魔法評議院の強行検束部隊大隊長であるラハールがゲストとして招かれていた。ナツ達とも面識がある。

 

客席にはかつてS級魔導士昇格試験に潜入していたドランバルトも来ている。彼はアクノロギアからフェアリーテイルを見捨てた事を悔いていた。今回ラハールに無理矢理連れてこられた。

 

今日の競技パートは『伏魔殿(パンデモニウム)』各ギルド1名ずつとのことだ。

 

 

-フェアリーテイルA

 

「俺が行く!!」

 

「だめだ。セイバートゥースに喧嘩売りそうだしな。私が行く」

 

「頑張ってねエルザ!」

 

「ファイトです!」

 

「俺を出せー!!」

 

「落ちつけよ」

 

フェアリーテイルA エルザ・スカーレット

 

 

-フェアリーテイルB

 

「今日は俺が出るよ」

 

「ちょっと待て!そろそろ俺にもやらせろ!」

 

「ガジル君は昨日出たじゃないですか」

 

「出たうちに入るか!」

 

「なら俺は?」

 

「俺の勘では今日のバトルに来そうだよ」

 

「ならツナに決まりね!」

 

「納得いかねーぞ!」

 

フェアリーテイルB ツナヨシ・サワダ

 

 

-マーメイドヒール

 

「エルちゃんとツナが出るなら私に行かせて」

 

「許可しよう」

 

「いつの間にあの男とも仲良くなったんだい?」

 

「えへへ…昨日ネコネコと遊ばせてくれたの」

 

「ライオンだと言っている。(うらやましい…)」

 

マーメイドヒール ミリアーナ

 

 

-セイバートゥース

 

「俺が行く!全員まとめて黒雷のチリにしてやる」

 

「どのような競技か分からんぞ?ツナヨシ・サワダもいるのにか?」

 

「パワーなら楽勝だろうよ!」

 

「そうか……(愚かな…実力差も分からんとは)」

 

「ナツさんが出るなら俺が行くんだけどな……」

 

セイバートゥース オルガ・ナナギア

 

 

-ラミアスケイル

 

「ツナヨシ殿が出るならワシが行こう」

 

「頑張って!ジュラさん!」

 

「怪我はよいのですか?」

 

「シェリアのお陰で大事はない」

 

ラミアスケイル ジュラ・ネェキス

 

 

-ブルーペガサス

 

「天馬からは僕が行こう」

 

ヒビキの登場に女性客が沸く。

 

ブルーペガサス ヒビキ・レイティス

 

 

-レイヴンテイル

 

「評議員の前だ。余計なことはするなよオーブラ」

 

「……」

 

レイヴンテイル オーブラ

 

 

-クワトロパピー

 

「パピー……」

 

クワトロパピー ノバーリ

 

 

-闘技場

 

闘技場に8名の選手が出揃った。

 

「エルちゃん!ツナ!負けないよ~」

 

「ああ……(いかんな、集中せねば)」

 

「元気だね。ミリアーナ」

 

「ツナヨシ殿、今回は負けませんぞ」

 

「ジュラさん!怪我はいいんですか?」

 

「ツナヨシ殿と競えるならば血が滾りますのでな」

 

「やあツナヨシ君!昨日は負けたけど今日は負けないよ」

 

「ヒビキさん…その設定まだ続いてるんですか?」

 

「パピーってなんとかしてくれねっすか?」

 

「バッカスさんが悪い」

 

友好的なギルドとは交流を交わすツナ。セイバーとレイヴンは近寄って来ない……

 

審判のマトー君より競技の説明が行われる。と同時に巨大な城が具現化した。このパンデモニウムには合計100体のモンスターが巣食うらしい。内訳はSランク1体、Aランク4体、Bランク15体、Cランク30体、Dランク50体とのことだ。

 

「ちなみにSランクは聖十の魔導士やそれを倒した御方でも倒せるか分かりませんカボ」

 

ジュラとツナがピクリと反応するが特に何も言わず先を促す。

 

一人ずつ順番に挑戦権が回ってくるのでモンスターの数を指定する。その数のモンスターがパンデモニウムに現れる。倒せばその数の分点数が入る。負ければその回の点数は0になる。

 

但し、モンスターのランクはランダムなので1体を選んでもSランクが出ることもあるらしい。100体倒すか全員倒れたら競技終了となる。

 

1体ずつでは高得点は望めず、欲ばるとやられてしまう。自分の魔力回復も計算にいれないといけない。知的戦略ゲームらしい……

 

順番を決めるくじ引きをするときエルザから、お前は勘が良すぎるから一番最後に引けと言われ最後に残ったくじを取ると…………

 

「ちょっとエルザ……」

 

「いや……すまん、まさか最後とは……」

 

「で、エルザは1番か……」

 

「ふう…私が責任を取るさ」

 

「そーゆうことか…まあこっちの為にもがんばってね」

 

「任せておけ」

 

マトー君より挑戦権の数を聞かれたエルザは特に気負いもなく答える。

 

「これは最早ゲームにならんな…100体全て私が相手をする。挑戦権は100だ」

 

ツナ以外の闘技場のメンバーはエルザの答えに驚愕して、他のメンバー達は目を見開き、観客達もざわめきだす。フェアリーテイルのメンバー達は驚きながらもエルザらしいと納得していた。

 

「む…無理ですよ~一人で全滅させるようにできていません!!」

 

「かまわん」

 

思わず口調が元に戻っているマトー君を無視してエルザはパンデモニウムの中へと進んで行く。ヒビキが疑問を尋ねてくる

 

「しかし51体のモンスターを倒せば1位確定なのになぜわざわざ100体も?」

 

「エルザが51体倒すとこのメンツじゃあ俺まで順番が回ってこないだろうからね……」

 

「なるほどね。そういうことか……」

 

エルザが高らかに名乗りをあげるとモンスターが次々と現れる。エルザはまず天輪の鎧を換装していくつもの剣を周りに浮かべる。

 

「天輪・繚乱の剣(ブルーメンブラット)!!」

 

 

-フェアリーテイル応援席

 

『あ~っと!!全方位からの先制攻撃!Dランクモンスターが次々と削られていく~!!』

 

応援席で見ていたロメオの疑問にメイビスが答える。

 

「一気に全滅させようとしたのか?」

 

「いいえ、全方位から攻撃することにより個体ごとの反応、防御力などを確かめたのでしょう」

 

「そしてどのモンスターにどんな換装で挑むのかを確認して瞬時に判断する」

 

マカロフが補足するとエルザは黒羽の鎧に換装していた。

 

「黒羽の鎧!一撃ごとに攻撃力が上がるんだよ!」

 

「まずは力押しってわけね」

 

何気にフェアリーテイルメンバーの魔法に詳しいハッピーの解説にシャルルが納得する。敵が炎を吐いてくれば炎帝の鎧に換装して炎を防ぐ。メイビスが感嘆の声をあげる。

 

「素早い判断力、それを支える精神力……すばらしい魔導士ですね」

 

ダメージを受けても飛翔の鎧に換装して一瞬で敵を切り刻む。エルザの挑戦は続く……残り50体。

 

 

-闘技場

 

『早くも半数を切りましたーー!!』

 

「まじかよ……」

 

「スゴいね……」

 

ノバーリとヒビキが揃って呆然としている。舞うように敵を屠っていくエルザに見とれているようだ。

 

「ショウとウォーリーも見てるかな……」

 

ミリアーナの呟きの後、オルガが吐き捨てるように悪態をつく。

 

「下らねえ…騒ぐようなレベルかよ。見ろよ。ザマアねえ」

 

見るとエルザはかなりの疲労とダメージを負っているのか肩で息をしている。ミリアーナは心配そうな表情を見せる。

 

「近いうちに倒れるぜありゃ……」

 

「エルザは折れないよ」

 

「あんなにボロボロになってんだ。所詮その程度ってことだ」

 

「君達には絶対に分かんないだろうけどね。どんなにボロボロになろうとエルザの心は折れないよ。だから……黙って見てなよ」

 

オルガは舌打ちしながらラクリマビジョンに視線を戻す。そこにはAランクのモンスターを粉砕するエルザの姿があった。

 

エルザは止まらない。次々に換装を繰り返しながら向かい来るモンスターを切り伏せる。受けたダメージも大きくいくつもの武器や鎧が壊された。それでも妖精女王(ティターニア)は止まらない。

 

会場の一般客は興奮し喝采をあげる。選手達は驚愕、フェアリーテイルのメンバーは信頼。形は様々だが共通して妖精の舞いに魅せられていた。

 

ツナはエルザの舞いを見ながらも要所要所でエルザの足元でバランスを崩させる小さなモンスターを見ていた。残すモンスターはあと4体……

 

 

-Aチーム観覧席

 

『お…恐るべしティターニアー!!次々と換装を繰り返し体力、魔力の消耗が激しいものの残すはあと……4体!!』

 

「よっしゃ行けーエルザ!!」

 

「でも強いのばっかり残ってる……」

 

「Sクラスのモンスターさんもまだ出てきてないんですよね?」

 

「なーにがSクラスだ!」

 

「S級のエルザの凄さは俺達が1番よく知ってるぜ」

 

エルザと付き合いの長いナツとグレイはエルザの勝利を全く疑っていない。攻撃してきたAランクのモンスターを妖刀・紅桜で真っ二つに切り裂いて左右から同時に襲ってきたBランクのモンスター2体を瞬殺する。残りのモンスターはSランクが1体を残すのみ……

 

 

-フェアリーテイル応援席

 

『遂に……遂に残すは後1体!!Sクラスのモンスターそれはいったいどのような……ってあれ?』

 

残ったのは先程ツナが見ていた小さいモンスターだった。

 

「「「「「ちっさ!!!」」」」」

 

会場全員の気持ちが一つになった。しかしエルザは油断しない。もう一本刀を取り出し二刀流となる。

 

「紅桜から二刀流?あのちっこいの相手に?」

 

「何かあるのね……」

 

ハッピーとシャルルの呟きが嫌な予感を掻き立てる……

 

エルザとモンスターの姿が消え決戦場に移動する。モンスターは比べ物にならないほど巨大化していた。

 

『だ~から無理だと言ったんですカボ…Sクラスのモンスターが最後に残ると強さが3倍になるよう設定されてますカボ……』

 

「何だよ!その裏ルール!!」

 

「エルザー!!」

 

「大丈夫!エルザなら……」

 

フェアリーテイル応援メンバーに動揺が走るが、それはすぐに収まる。エルザがモンスターの攻撃を躱しつつその両手を切り刻んだ。応援席は歓声をあげる。レビィはこの闘いを心に焼き付けるために言葉を刻む。

 

 

-大魔闘演武三日目パンデモニウム……私はこの日の事をずっと忘れないと思う……-

 

 

両手の痛みに苦しむモンスターの背後より二刀を降り下ろし顔の半分を切り裂いたと思ったらその巨大な足に蹴り飛ばされ粉塵の中へと姿を消すエルザ。

 

 

-傷だらけになりながらも地に墜ちたはずの妖精が舞う……-

 

 

粉塵の中から飛び出したエルザが両手を振るい、モンスターの核に剣閃が走る。

 

 

妖精女王(ティターニア)ここにあり!!-

 

 

ルーシィとウェンディが泣きながら抱き合う。ナツとグレイは拳を合わせる。ミリアーナやドランバルトも思わず涙を流す。そしてエルザはゆっくりと右手の刀を掲げる。

 

 

-それはまるで凛と咲き誇る緋色の花……-

 

 

『し…しし…信じられません!!たった一人で100体のモンスターを全滅させてしまったー!!これが、7年前最強と呼ばれていたギルドの真の力なのか!?フェアリーテイルAエルザ・スカーレット圧勝ー!!文句なしの大勝利!!』

 

パンデモニウムが消えてエルザが闘技場に戻った瞬間大歓声が会場を包む。それはまるでフェアリーテイル完全復活を祝う凱歌のようだった……

 

 




次話のタイトルは「X!!」 あの技が遂に……

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