妖精達と歩む大空   作:グリーン

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一度間違って、途中まで書いた分を予約投稿せずにアップしてしまいました。すぐ消しました。申し訳ありません。


本戦出場ギルド出揃う!

-フェアリーテイルAチーム控え室

 

 

ナツ達Aチームは控え室にいた。ここまで聞こえる大歓声、年に一度の最強魔導士ギルド決定戦に数多くの観客が集まっているようだ。予選をギリギリで通過したとはいえ、スタートは同じ。それぞれ気合いを入れていた。

 

「つーか何だよこの服?」

 

「マスターがお揃いのチームカラーで出ろってさ。」

 

「私は結構気に入っているぞ。」

 

「おい…まさか俺にこれを着ろと…?」

 

この三ヶ月でさらに体の大きくなったエルフマンは絶対に入らない小さな少女用の服を持って途方にくれる。当たり前だが彼に用意された服ではない。本来この服が良く似合うであろうここにはいない少女に用意されたものだった。

 

先程リサーナから連絡があり、駆け付けた医務室にはウェンディとシャルルが寝かされていた。ウェンディの話によると、黒い小さな生物に襲われたとのことだ。応援に来ていたポーリュシカの診断によれば、魔力欠乏症。一度に大量の魔力を消費したことにより全身の筋力が低下しているとのことだ。ウェンディは涙ながらに、謝罪する。

 

「みんな…ごめん…なさい…せっかく修行したのに…私出られなくて…エルフマンさん…私の代わりにお願いします…」

 

エルフマンはウェンディの分も闘うことを誓う。ナツ達が去った後、シャルルを抱きながら涙を流すウェンディに、ポーリュシカはフェアリーテイル顧問薬剤師の名に懸けて本戦復帰させてやると告げた。

 

そしてナツ達は係員に呼ばれ、闘技場へと向かう。もし出場ギルドの中にウェンディを傷つけた者がいるなら許さないという誓いと共に…

 

いよいよ選手入場となり、会場の盛り上がりは留まるところを知らない。実況席にはチャパティ・ローラと元評議員でマカロフの親友のヤジマ、ゲストとして昨日ツナが会ったジェニー・リアライトの姿があった。そのチャパティの声が響く。

 

「さあいよいよ選手入場です。まずは予選8位、過去の栄光を取り戻せるか!フェアリーテイル!」

 

気合いを入れて入場したナツ達を迎えたのは激しいブーイングだった。毎年最下位のギルドがすでに8位以内という成績を確定させたからだ。さすがのナツ達も困惑し、ルーシィは落ち込むがエルザの言葉にフェアリーテイルの応援団を見る。仲間の応援があればそれだけでいいと元気を取り戻す。何故か初代の幽霊も来ておりみんな驚愕するが、ルーシィはそれより気になることがあった。

 

-ツナがいない。どこにいるの?早くウェンディのところへ行ってあげて…-

 

 

-フェアリーテイルBチーム控え室

 

ツナ達は出番を待ちつつAチームの入場するのをラクリマで見ていた。

 

「ギヒッ、ブーイングかよ…嫌われたもんだなウチも…」

 

「ジュビア達の時はもっとひどいでしょうね…」

 

「優勝候補のセイバートゥースを抜いて予選1位だからしょうがないけどやっぱり嫌ね…」

 

「ま、大会が終わる頃にはどこが強いかハッキリしてるさ。ん、ツナどうした?」

 

「…ウェンディの代わりにエルフマンが出てる。」

 

「本当ですね…まさか何かあったんでしょうか?」

 

「取り敢えずAチームに聞くしかないか…」

 

ツナはそう言ってラクリマに目を戻した。

 

-闘技場

 

「さぁどんどん紹介していきましょう!7位、地獄の猟犬軍団四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)!」

 

「ワイルド~フォ~!!」

 

「6位、女性だけのギルド、大海原の舞姫!人魚の踵(マーメイドヒール)!」

 

男性客の視線と歓声がすごい。そしてマカオとワカバのフェアリーテイル親父コンビも食い入るように見ていた。…ロメオはそんな親父共に冷たい視線を送っていた。

 

「5位、漆黒に煌めく蒼き翅、青い天馬(ブルーペガサス)!」

 

やはり無駄な決めポーズを取って入場した彼らに女性客達が熱狂的な視線と歓声を送る。それはヒビキ、イヴ、レンに対してで、そんな中で一夜とウサギの着ぐるみだけが異色に見える。

 

「4位、愛と戦いの女神聖なる破壊者!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)!」

 

聖十の称号を持つジュラの登場に会場が大歓声に包まれる。見覚えのない少女の姿があることに疑問を持つ。シェリーの従姉妹のシェリアだと紹介される。

 

「グレイ、賭けは覚えてるな。俺達が勝ったらジュビアをもらう。」

 

「賭けなんざした覚えはねぇがお前らには負けねぇよ。」

 

兄弟弟子達の掛け合いにブルーペガサスの面々も誰を貰うとか言い出し、選手達は試合前とは思えないほど交流していたが…

 

 

-フェアリーテイルBチーム控え室

 

「あいつら…金ならともかく女性を賭け事の景品にしようとするなんて…全員大会が終わったらネッチョリ教育してやる!!」

 

「素敵よ!ツナ!」

 

「あの、グレイ様は巻き込まれただけで…」

 

「ギヒッ、つか金はいいのかよ?お前の勘は賭け事にも働くのか?」

 

「ああ、もちろんだ。」

 

「なぁツナ…この大会が終わったらカジノに行こうぜ。」

 

「ラクサス!ツナに悪い遊びを教えないで!」

 

「あ、この世界ではカジノ出入り禁止になってないんだ。久しぶりに潰し回るかな。」

 

「「「「潰し回る?!!」」」」

 

元の世界では荒稼ぎし過ぎてカジノを潰すことで有名で、どこにも入れてもらえなくなったツナだった。

 

 

-闘技場

 

「続いて第3位、おおっと!これは凄い!初出場のギルドだ!真夜中遊撃隊!大鴉の尻尾(レイヴンテイル)!」

 

「な…マスターの息子イワンのギルド…」

 

「闇ギルドじゃっ!!」

 

マカロフの叫びに周囲の観客もざわめき出したが、7年間大人しくしていたため正規ギルドとして認定されたとの実況があった。マカロフは歯噛みしている。

 

「フェアリーテイル…小娘は挨拶代わりだ…」

 

アレクセイの言葉と、オーブラの使い魔がウェンディの人形に変化して倒れる姿を見せられたことにより、ナツ達の怒りは頂点に達したがなんとか自制し、睨み付けるに留める。

 

 

-フェアリーテイルBチーム控え室

 

「レイヴンテイルだと!」

 

「ギヒッ!動き出しやがったか!」

 

ラクサスとガジルが驚き、事情を知らないツナとジュビアにはミラが説明する。ラクサスはラクリマを睨み付けながら低い声で呟く。

 

「何を考えてやがるくそ親父…」

 

 

-闘技場

 

残すギルドは残り二つ。主要ギルドは全て出揃った。一つはセイバートゥースとしてもうひとつは?出場者も観客もおそらく二位のそのギルドの登場を待つ。

 

「いよいよ第2位!おおっと!これは意外!誰が予想したでしょう!なんと…剣咬の虎(セイバートゥース)だぁ!!信じられません!天下無敵、絶対王者のセイバートゥースがまさかの予選2位!!」

 

出場者も観客も目を見開き、歓声よりも困惑が多い。この会場の誰もが当然セイバートゥースが1位と思っていた。

 

「くそっ、とんだ恥さらしだ…」

 

「仕方ないだろう…」

 

「こんな展開は記憶にないね…」

 

「マスターの機嫌も最悪だしよぉ…」

 

「いったいどこが1位なんでしょう…」

 

スティング、ローグ、ルーファス、オルガ、ユキノが肩を落として入場する。スティングに口元を押さえながらナツが声をかける。

 

「ププ…あれだけ大口叩いて2位とか…」

 

「ぐっ!8位には言われたくねーなぁ!ナツさん!」

 

「つーか1位はどこだよ?」

 

「俺達も知らん。まぁすぐ出て来るだろう…」

 

ローグが入場口に視線を向ける。つられて会場の全ての人がその入場口を見つめる。

 

「ではいよいよ第1位の入場です。予選では2位のセイバートゥースに大差を付けました!しかし、これは意外!堕ちた羽が再び羽ばたくのかぁ!!まさか!まさかの…」

 

「「「「んなっ!!」」」」

 

現れたメンバーに会場のほとんどが驚愕する。

 

「フェアリーテイルBチームだぁ!!!」

 

「「「「なにーーっ!!」」」」

 

「姉ちゃん!!」

 

「ガジル!!」

 

「ジュビア!!」

 

「ツナとラクサスのコンビなんて反則でしょーっ!!」

 

「お…お前達…」

 

会場の至るところより驚きの声が上がるが、一番驚いているのはナツ達Aチームの面々だろう。

 

「ガッハハ!これがフェアリーテイルの力じゃー!」

 

狂喜乱舞しているマカロフを中心にフェアリーテイル応援席は大盛り上がりをしている。他の観客はまだ呆然としている。実況より今年からニチームまで出場が許されるということが明かされた。もちろんニチーム残ったのはフェアリーテイルのみ。ここで1位のチームだからだろう選手紹介が入る。

 

「さあ、では1位のフェアリーテイルBチームの選手を紹介していきましょう。」

 

「何でお前らだけ…」

 

「1位だからな。」

 

ナツの文句を一言で切り捨てるラクサス。

 

「さあ、まずは元幽鬼の支配者(ファントムロード)最強の男!鉄のドラコンスレイヤーガジル・レッドフォックス!!」

 

「ギヒッ!」

 

「ぐぬぬ…」

 

「ガジル…」

 

ガジルの満更でもない笑みに悔しがるナツと、睨むローグ。

 

「水を操るその美しき姿はまさに水の妖精!ジュビア・ロクサー!!」

 

「グレイ様を愛する女と言って欲しかったです。」

 

「ヤメロー!!」

 

「ジュビア…」

 

「あの人がリオンの愛する人?」

 

紹介文に文句を付けるジュビアとそれを止めるグレイ。ジュビアに見とれるリオンと気にくわないシェリア。

 

「マスターマカロフの孫にしてその力はギルドの最強候補!神速の雷!ラクサス・ドレアー!!」

 

「ふっ…」

 

「ラクサスー!!」

 

「その力を見せてくれ!」

 

「決まってるわよ!ラクサス!」

 

以前は嫌っていた紹介に口元に笑みを浮かべるラクサスと、応援する雷神衆。

 

「先日7年振りにモデル復帰!しかしその美貌はまったく色褪せず!実力はS級!魔人ミラジェーン・ストラウス!!」

 

「ちょっと恥ずかしいわね。」

 

「さすが姉ちゃん!」

 

「ミラ姉~!頑張って~」

 

紹介に少し恥ずかしがるミラと応援するストラウス兄妹。会場の特に男性客も歓声を送る。

 

「ギルドの新人でありながら大会に出場!その力は未知数!先日イケメン魔導士ランキング初登場1位に輝いたツナヨシ・サワダ!!ミラジェーンとの関係も気になるところですが…」

 

「実況!何言ってんの?!」

 

「ふふ…ナイショ♪」

 

「ミラさん!てか女の観客騒ぎすぎ!」

 

「ほう…やはり出てきたか…」

 

「やはりただのイケメンではないか…」

 

「カグラちゃんあの人かわいいネコネコ飼ってる人だよね。雑誌に載ってたし、見せてくれないかな?」

 

「あれはライオンだ…頼むのは大会が終わってからだ…」

 

実況に突っ込むツナと微笑むミラ、ミラと観客に噛みつくルーシィ。興味津々のジュラと訳の分からないことを真剣に呟く一夜。マーメイドヒールのマントを被った女と実はかわいいもの好きのカグラがナッツについて話しているようだ。

 

実況からはフェアリーテイルが有利になったと言われるが、ナツから別チームとして出たからには敵だと啖呵を切られ、Bチームもそれを受ける形となった。

 

大魔闘演武本戦が遂に始まる…

 

 




いよいよ本戦が始まります。

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