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―フィオーレ王国首都、花咲く都クロッカス
ツナ達Bチームの面々と応援メンバーの一部はクロッカスに到着した。ミラがツナの腕を取って組んでいるのはもはや誰も突っ込まない。
「ここがフィオーレ王国の首都か…流石に人がすごく多いね。」
「そうね。特に今は大魔闘演武のためにフィオーレ中から魔導士と観客が集まっているから…」
「どうでもいいが俺達は一度宿に行くぞ。チーム毎に宿が振り分けられているらしいからな。」
ラクサスの言葉にBチームのメンバーは頷く。一応Bチームのサポートは雷神衆がしてくれるらしい。
「ところでなぜ私達のことを内緒にしなくてはならないのでしょうか?」
「知るかよ…マスターの思い付きじゃねぇのか?ま…サラマンダーの驚く顔を見るのも悪かねぇ。」
「そうね。面白そうだし内緒のままにしときましょ♪」
チーム全員が頷く。その時フリードが宿の場所を確認してきたので案内に着いていくことにする。ミラがエルフマンとリサーナに後でAチームに差し入れを持って行ってあげるように指示を出して自然に別れた。
「便利だな…そのボックス…」
全員分の荷物をボックスから出したツナにガジルが少し羨ましそうに言う。それに全員が同意する。Bチームは取り敢えずルールの確認をする。ルールブックを読んでいたフリードが言うには、特に重要なことは競技は直前まで分からないことと、今夜12時までにチーム全員が揃っていることらしい。それまでは各自自由行動をすることになった。
「ジュビアはグレイ様に会いに行きます!」
「会いに行くのはいいが、Bチームのことは黙っとけよ。」
「分かってますけど…グレイ様に隠し事は…」
「まあまあ…大会で会った時のグレイの驚く顔が見たくない?でもグレイの居場所知ってるの?」
「分かりませんがジュビアの愛の力で…」
「この辺りに行けば会える気がするよ。」
ツナは地図のある一点を指差してジュビアに伝える。合宿でツナの勘について聞いていたジュビアはそれを信じて出かけて行った。
「そんなことまで分かるのかよ?」
「まぁ代々のボンゴレのボスはこの超直感を使って組織を裏社会のトップまで発展させてきたからね。」
ラクサスの問いに答えるが、ツナの超直感は歴代のボスたちの中で最強の超直感を持つ初代以上とまで言われていた。
「じゃあツナ。せっかくだから私達も散策に出かけましょう。」
「いいよ。二人はどうするの?」
確認のためにラクサスとガジルに聞いた時ツナの後ろでミラが凄い目で見ていた。それを見たからではないがラクサスと雷神衆は宿にいる。ガジルはリリーと適当に見て回るという答えが返ってきた。別にミラの目にビビった訳ではない。好き好んでラブラブカップル(周囲視点)と一緒に行動したいとは思わない。そんな訳でツナとミラは出かけることにした。
クロッカスは花で溢れていた。まさに花咲く都という名に相応しい街だった。途中で花の冠をミラに買ってあげたり、軽いものを食べたりしながら歩いていた。そんな時ツナはあることに気付いた。
「何か結構視線を感じない?」
「そうね。」
「そんなの当たり前じゃない?」
後ろからの声に振り返ると1人の女性と三人の男性がいた。
「7年振りねミラ。それにしても本当に歳を取ってないのね。」
「…もしかしてジェニー?わぁ久し振りね。私にとっては半年振りくらいだけどね。」
「ミラの知り合い?」
「うん。彼女はジェニー。
後ろの男達に目をやると無駄にポーズを取って自己紹介を始める。
「我らはブルーペガサスのトライメンズ、百夜のヒビキ。」
「聖夜のイヴ。」
「空夜のレン。」
「ミラさんの時の呪縛からの帰還を心から祝わせてもらうよ。」
ブルーペガサスといえばフェアリーテイルの友好ギルドだったと思い出し、ツナはヒビキ達のキャラの濃さに若干引いていたが、取り敢えず名乗られたのだからこちらも名乗らなければと思い、
「は…始めまして。ツナヨシ・サワダと言います。呼びにくければツナと呼んでください。フェアリーテイルの新人です。」
「それでジェニー?何で当たり前なの?」
「ミラがツナくんと一緒に撮影したグラビアがとても好評だったの。ミラも7年振りに帰ってきたのに歳をとってないし、ツナくんに至っては初登場でウチの男共を押さえてイケメン魔導士ランクトップ。そんな二人が腕組んで歩いてたら視線を集めて当たり前なのよ?」
懐かしい呼ばれ方をして初恋の少女を思い出していたツナに男三人はビシッと指を指して告げる。
「「「そう!君は!新たなライバル!」」」
はは…と乾いた笑いを浮かべるツナに何やらやたらと甘い声が聞こえる。
「その辺にしておきたまえ、君達。」
「「「一夜様!」」」
登場したのは二頭身くらいで顔が大きい小さな男性だった。さらに濃いキャラの登場にブルーペガサスって一体…と考えたツナは悪くないだろう。この上マスターを見たらどうなるやら…
「この人はブルーペガサスのエースの一夜さん。エルザのダーリンなの。」
「えっ!!!」
今日一番の驚きを込めて聞き返す。
「だってエルザのことをマイハニーって呼ぶのよ。」
自称ダーリンかと結論付けるツナ。他の人と同じように自己紹介をする。
「諸君、マスターが呼んでいる。残念だが一度戻らなくてはいけない。旧交を暖めるのはまたの機会にしようではないか。」
「では俺達はここで失礼しますね。」
「ジェニーまたね。」
去って行くツナ達を見ながらヒビキが一夜に問う。
「一夜さん。マスターが呼んでいるんじゃ?」
「あれは嘘だよ。諸君、覚えておきたまえ。真なるイケメンは空気を読むことも大事なのだ。」
「「「押忍!先生!」」」
「それにしてもあの少年、只者ではないな…何というイケメンの
「ツナくんか…確かにウチの男共を押さえて1位になるだけはあるわね。」
「くそっ、一夜さんにそこまで言わせるなんて、どんだけイケメンなんだよ。」
ブルーペガサスの連中はツナとミラが去った後、ツナが聞いたら心底どうでもいいと思うであろう話をしていた…
12時少し前、Bチーム全員が宿に揃っていた。ジュビアが憂鬱そうだったのでミラが声をかける。
「どうしたのジュビア?」
「いえ…ツナさんの言う場所に行ったらグレイ様に会うことができたんですが…そこにリオン様まで乱入されて結局三人で食事を…」
「あらら…」
「そんな話はどーでもいい。」
「ガジル…ジュビアにとっては大事なことなんだよ。」
「そ、そーじゃねーって!もうすぐ12時だからそれどころじゃねぇって話だよ!!」
「確かにそろそろだな…何があるんだ?」
12時の鐘が鳴り響く。同時に宿が変形し、これより、113あるチームを8つまで絞る予選を行うことが通達される。
「予選なんてあるんだ。」
「今からかよ!」
大魔闘演武予選『
「よっしゃあ!絶対にサラマンダー達より先にゴールするぞ!」
「ふふ…楽しみね。」
「ゴールは西の方ですね。」
「だが迷宮っつーくらいだ。色々仕掛けがあるだろ。」
「ここは俺に任せて!こういうのは大得意だ!」
超死ぬ気モードになり、自信満々のツナを先頭にスカイラビリンスへ突入して行くBチームの面々。入ってすぐにあった分かれ道にツナは躊躇わずに通路を選ぶ。ガジルが思わず、
「おい!ゴールはあっちだぞ!」
「大丈夫!俺を信じて!」
「いいのかよ!?」
「ツナを信じましょう。」
「だな…俺は身を持って知ってるからな。」
「ジュビアも今日グレイ様に会うことができましたし…」
「くそっ、どうなっても知らねーぞ!」
そのままツナが選んだ通路を走る5人。その後もツナが選ぶ道を進んで行くと、ツナが叫ぶ。
「通路の左端に寄って走って!」
いう通りにすると迷宮が回転し、左の壁が床になる。どうやら方角も変わったようだ。
「2分後に上から敵が来るよ!迎撃準備!」
ラクサスが雷で一蹴する。
「預言者かコイツは…」
「頼もしいでしょ?」
「凄すぎますね…」
「何にしてもこのまま行くぞ!」
その後もツナが指示を出して数々のトラップを避けながら迷宮を走りながら進んで行く。これまでまったく止まっていない。走りながらツナが、
「空飛べる人、準備!飛べない人、挙手!」
ミラがサタンソウルで変身し、ラクサスが雷を纏う。ガジルとジュビアが挙手をする。
「ラクサスさん!ガジルをお願い!ジュビア!ゴメンね!」
「えっ?」
隣にいた戸惑うジュビアを脇に抱えて飛ぶ。ラクサスもガジルを連れて飛ぶ。ミラも続く。
「あそこに飛び込んで!」
壁の上の方にある通路に飛び込むツナ達。そのまま着地せずにそのまま通路を飛ぶ。すると…
「ゴールだ!」
ゴール手前に大会公式マスコットキャラのマトー君がいた。その手前で着地してジュビアを離す。他の三人も着地して魔法を解除する。マトー君は早すぎる到着と、1位はセイバートゥースだと思っていたので黙ったままだ。ツナが声をかける。
「どうしたの?」
「はっ!すみません!予選1位通過です。おめでとうございます。」
「よっしゃ!」
「やったわね!」
「ま、当然だな。」
「むしろあれで1位じゃなかったらおかしいです。」
「ふう。自信はあったけど役に立ててよかったよ。ジュビア、さっきはいきなり抱えてゴメンね。」
「あ…いえ、ちょっと恥ずかしかったですけどちゃんとゴール出来ましたし。」
「…ガジルでもよかったんじゃ…」
「ミラ?」
「ううん、何でもない。さすがツナね!」
そう言って腕にしがみつくミラ。5人はそのままゴールをくぐって行った。マトー君は呆然とそれを見つめていた。
余談だがルーファスの魔法を駆使して迷宮を攻略したセイバートゥースは、2位だったことにひどく驚きマトー君に1位はどこだと詰め寄るが当然教えてくれなかった。ノータイムで進んだツナ達が止まって魔法使うセイバートゥースに勝つのは当然の結果だった。
チートツナ本領発揮!!
別にジュビアにフラグたてた訳じゃありません。