妖精達と歩む大空   作:グリーン

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今回はツナは出ません。


大魔闘演武予選 ―Ateam―

―フィオーレ王国首都、花咲く都クロッカス

 

 

年に一度開かれる魔導士たちの宴大魔闘演武が行われるこの街は、出場する多くの魔導士達と、それを見る観客達で溢れ返っていた。それに出場するフェアリーテイルAチームの面々は街中でぐったりしていた。ウルティアに施された時のアークによる魔力の器を成長させる処置がまだ完全に終わってないようだ。

 

「おい…まだ調子悪いぞ。」

 

「でも魔力は上がってるよ。体はまだ痛いけど…」

 

「情けないぞ。お前達しっかりしろ!」

 

「エルザは何で平気なの?」

 

「元から第二魔法源(セカンド・オリジン)があったんだろ。…ツナもな。」

 

「そーよ!ツナはまだ来てないの?」

 

「まだ山にいるんでしょうか…」

 

そんな風に会話をしていると、マカロフと、チームシャドウギア、コネル一家がやってきて、大会参加の手続きを済ませてきたと話す。Bチームのことは内緒にしている。その時、周りの民衆からフェアリーテイルをあざ笑うような嘲笑が起きる。毎年最下位のフェアリーテイルは民衆からの支持も失っているようだ。ナツが激昂しかけるがマカロフが、笑いたい奴は笑わせとけと諭す。

 

「よいか、三千万ジュ…フィオーレ一のギルドになるために全力を出すんじゃ。このままでは我らを救ってくれた初代に申し訳がたたん。」

 

Aチーム全員が頷く。選ばれた時を思い出していた。ルーシィとウェンディはツナやラクサスがいるのに何で自分達が…と思ったがチーム力を優先して選ばれたのだというエルザの言葉にやる気を出す。その時マカロフが呟いた言葉は聞こえていなかったようだ。

 

「ガチで挑むなら…ギルダーツとラクサス、ツナとミラジェーン、そしてエルザで挑みたかったなぁ…とか思ったり…」

 

「「口に出してんぞ!!!」」

 

ナツとグレイにはしっかりと聞こえてたが…まぁ全員S級の最強チームと言えるだろう。

 

まぁそんなこんなでルールの確認をすることになった。分厚いルールブックだったが、大まかにはギルドマスターは参加できない。紋章をつけてない者を客人として出場させない。競技内容は開始直前まで不明とのことだった。尚、注意書きに夜中の12時までに指定された宿にチーム全員集合することとあった。

 

「マスターあの…ツナさんはまだ戻ってきてないんですか?」

 

「そーよ。ツナ知りませんか?」

 

「む…もう来とるぞい。特に集合場所なんて決めとらんかったからのう…観光でもしとるんじゃないかのう。」

 

「「ミラさんと?」」

 

ズイっと詰め寄る二人にそこまでは知らんと惚ける。同じチームだし、同じ宿になるし、おそらく一緒じゃろうなぁ…と思ってるが口には出さない。怖いから…

 

とりあえずエルザは宿で待機することになった。ナツとハッピーとルーシィ、グレイは一人で、ウェンディはシャルルと共に街の散策に出かけた。もっともルーシィとウェンディは散策ついでにツナを探そうと思っていたが…

 

グレイは散策中にジュビアと出会った。(ジュビアもBチームであることをばらすのは禁じられている。)一緒に二人で食事をというジュビアにちょうどお腹が空いていたこともあり、承諾しようとするがそこに兄弟子でもあるラミアスケイルのリオンが乱入し、自らとの食事に誘う。

 

自分達のギルドが勝ったらジュビアをよこせというリオンにグレイもさすがに反発する。結局3人でまったく楽しくない食事をする羽目になり、グレイとジュビアは憂鬱になった。

 

ウェンディとシャルルは街を散策しながら、(ウェンディはツナを探しながら)王城である華灯宮メルクリアスまで来ていた。その王城の雄大さに感激し、まだ見ぬ国王を想像していた。そこに黒い小さな悪魔のような影が忍び寄る…

 

ナツとハッピーとルーシィは、花にあふれる城下を散策していた。(ルーシィはツナを探しながら)ところが街中で喧嘩が起こり、野次馬として見物に行くとそこにはフィオーレ最強ギルド、セイバートゥースの双竜の異名を持つ、スティングとローグが絡んできた魔導士達を一蹴していた。

 

ナツに気づいた双竜は驚いていたがアクノロギアを倒せなかったドラゴンスレイヤーに意味はあるのかと挑発してくる。そして、自分達ならアクノロギアを倒せると…それは現実を知らないが故に出た言葉だったが二人にはそれを口にする理由があった。双竜は語る。自分達は竜に滅竜魔法を教わり、体にラクサスのように滅竜魔法の使えるラクリマを埋め込んだ第3世代のドラゴンスレイヤーであり、そして育ての親である竜を自らの手で殺したと…親を尊敬するナツには許せるものではなかった。

 

 

12時少し前、不愉快な思いをしたフェアリーテイルAチームメンバーは宿に集まっていた。しかし、ウェンディが未だに戻ってきてなかった。

 

「「あいつらだけは許せん!!」」

 

ナツとハッピーが異口同音で口にする。ハッピーも双竜がつれていたエクシード達に馬鹿にされたようだ。

 

「ウェンディはまだか?」

 

「そういえば…」

 

「はっ!!まさかツナと会ってそのまま…」

 

「いや…さすがにツナと会ってもちゃんと戻ってくるだろ…小説書きはみんなこーゆー想像力なのか?」

 

グレイが辟易していると、エルフマンとリサーナが差し入れを持ってきた。エルフマンが自分も出たかったと嘆き、ルーシィはリサーナにツナを知らないか訊ねるが、街についた途端ミラやラクサス達とどこかへ行ったと知り、機嫌を急降下させていた。まぁラクサスの名前が出た為そこまでではなかったが…

 

二人にウェンディの捜索を依頼したところで12時の鐘が鳴り響く。同時に宿が変形し、これより、113あるチームを8つまで絞る予選を行うことが通達される。多すぎるギルドの数に疑問を抱くエルザとルーシィだが、考える暇もなく予選はスタートする。5人揃ってゴールしないと失格なので、このままウェンディが来なければスタートすらできない。万事休すかと思われた時、

 

「ウェンディがいなくとも(おとこ)がここにいる!!メンバー変更じゃ~い!!」

 

強引にメンバーチェンジしたエルフマンを加わり、四人を抱えて階段を駆け上がる。エルザは変更を了承し、リサーナとハッピーにウェンディを探すように告げる。

 

大魔闘演武予選『空中迷宮(スカイラビリンス)』が始まった。ゴールは本戦会場であるドムス・フラウである。ナツ達の宿から見て東の方角がゴールだ。

 

方角を見失わないようにマッピングをしながら慎重に進むAチーム。そこに現れたのは黄昏の鬼(トワイライトオウガ)の連中だ。このギルドは天狼組のいなくなったフェアリーテイルに対して高利子で金を貸し、それを利用し様々な嫌がらせをしていた連中だ。しかし、ちょうど帰還した天狼組に嫌がらせしていた連中はボコボコにされ、後日マカロフ、エルザ、ミラの三人に事務所に殴り込まれマスターもろとも全員やられたという過去がある。

 

しかしその描写すらなかったような連中がナツ達に勝てるはずもなく、瞬殺された彼らがマッピングしていた地図を手に入れたナツ達は、この試験は他のチームの地図を奪いより正確な地図を完成させてゴールを目指すものと判断した。

 

「地図を奪え~!!!」

 

出会ったチームを片っ端から倒して地図を奪う。まさに盗賊や海賊のやり口だった。率先してナツ、グレイ、エルザ、エルフマンの四人は殴り、倒し、奪うを繰り返している。…エルザはボンテージ姿に換装して、女王様状態で自ら地図を譲り受けている。

 

-ツナ…こいつら何とかして…-

 

ツナがいればこんな手段は取らせなかっただろうな。とこのチーム唯一の常識人を自称するルーシィは心の中でツナに助けを求めながら他のチームが落とした地図を回収していった。

 

順調に地図を集めゴールにたどり着いた5人。ゴールには大会公式マスコットキャラのマトー君がいた。ここまで来ればルーシィも吹っ切れたのか笑顔だ。みんなドヤ顔で拍手するマトー君を見つめる。

 

「おめでとうございます。予選通過決定です。」

 

「すんげー順調だったしな。」

 

「もしかしてあたし達1位なんじゃ?」

 

ルーシィが期待を込めて尋ねるが、

 

「いえ。8位です。ギリギリ予選通過です。」

 

「「「「「え…」」」」」

 

現実は甘くなかった…

 

 

その頃ウェンディとシャルルを探すリサーナとハッピーは、華灯宮メルクリアスのそばで道端に落ちているウェンディのバッグを見つけていた…

 

 




次回はBチームサイド

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