堂島金一の華麗なる食卓   作:神田瑞樹

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薙切仙左衛門は服を脱ぐ

           Ⅰ

……奇縁なり。

 

 学園が手配した従者がフルコース最後の品を運んでくるまでのわずかな間、薙切仙左衛門は厨房に並ぶ二人の若人に目を落とした。

 片やこの遠月の頂点に立つ十傑の第一席、片や天稟に恵まれながらもその不真面目な学習態度と意欲から不適合の烙印を押された問題児。学年、立場は違えど“素材の味を活かす”料理を得意とする両者。

 

……食祭開始より30余年。これまで幾人もの頂点と次代を担う生徒を見てきたが、これ程までに近くも遠いペアは初めてよな。

 

 高みに上れば上るほど多種多様な個性に溢れる料理界において、その才能が重なり合うことはほとんどない。実際十傑クラスともなれば皆が皆独自の感性と感覚を持ち、それぞれオリジナルティに溢れた自分だけの世界を持っているもの。

 この食祭は今と次代の才能を測ることは勿論のこと、そんな異なる才能と世界観をどこまで擦りあわせることが出来るのかを試すものでもあった。どちらか一方に傾けばそれは個人の品に過ぎず、才能がぶつかることを恐れれば平凡な品へと成り下がる。

そのギリギリの境界線を参加者達に見出させるための試験。

 

……だが今年度に限りそれは無意味。

 

 本来異なる筈の世界観が極めて近しいのだから衝突など起きよう筈もない。

 料理人としての『武器』は同じ。

 にもかかわず、その料理に対する在り方は全くの真逆であった。

司瑛士は素材の味を引き出すために“個性”を排することを選択し、堂島金一は素材の味を引き出すために“個性”を活かすことを選んだ。

 

……まこと奇縁よな。

 

 限りなく近く、けれど決して同一ではない才ある二人の料理人。

 彼らが同じ時代に生まれ、こうして同じ場所で並び立っているという事実に仙左衛門は世の不思議を感じずにはいられなかった。

 

……調和ではなく進化。才能を組み合わせるのではなく、昇華させることによって新たな境地を開いたか。

 

 100年を数える長い遠月の歴史の中には堂島銀や四宮小次郎を初めとして、目の前の二人と同格以上の才能を備えた料理人は決して多くはないものの確かにいた。

けれどペアとしてこの二人を凌駕する組み合わせは一つとして存在しないと、仙左衛門は声を大にして断言することが出来た。

 それ程までに完成され過ぎている。

 

……遠月の双子龍。その呼称に偽りなしと見た!

 

 カッと仙左衛門が目を見開くと同時にフルコース最後のデザートの皿が音を立てることなくテーブルへと置かれた。

 それまでの8皿同様に見た目、匂い、共に申し分なし。

 仙左衛門は添えられていた匙を使い、色鮮やかな果実のテリーヌを口へと運んだ。

 

「ぬっ!?」

 

 瞬間、この上なく繊細かつ柔らかな甘みが日々の鍛錬によって鍛え抜かれた巨躯を包み込んだ。砂糖やシロップなどといった人工的な甘さではなく、濃縮された複数の果実による純粋な自然の甘み。ともすれば個々の主張が強すぎて味がぼやけてしまうそれらを絶妙なバランス感覚で纏め上げ、小さな皿の中に広大な果物の世界を作り出している。

 確かな甘さを感じるにもかかわらず決して後に残すことのない、まるで燦々と輝く陽の光を浴びているかのような爽快感。

 正にコースの締めとして極上の一皿。

 ゆっくりと、仙左衛門は匙を置く。

 本来これ程の美味を感じればいつもの『おはだけ』がでるものだが、既に身に纏っていた和服は邪魔だとばかりに脱ぎ捨ててしまっていた。故に今は褌一つ。

 老齢にそぐわぬ逞しい肉体を衆目に晒し、仙左衛門はすっと息を吸い込んだ。

 ここでいくつも言葉を重ねるのは余りにも無粋。

 ゆえに、たった一言に全てを籠めることにした。

 

「―――真、見事なり」

 

 

 

          Ⅱ

 

―――食祭を見に行かないかい?

 

 そんな軽い言葉で幸平創真が寮の先輩である一色から誘いを受けたのは6月の中旬。

 昨日から続く雨が上がり、薄らと雲の隙間から日が差し始めた昼前のことだった。

 その日は休日ということでかなり遅い起床を果たした創真は、寮のリビングに入るなり先輩から発せられた突然の誘いに目を白黒させた。

 

「食祭―――っすか?」

「うん、梅雨の食祭だね。田所ちゃん達から聞いてないのかい? 彼女達はもう寮を出たようだけど」

「そういや昨日の晩に出かけるとか何とか言ってたような……」

 

 ただその時は連日の徹夜で余りにも睡魔が酷くて殆どまともに内容も聞かずに断ったのだが。後で田所に謝らないとなぁと眠気眼で創真がぼんやり考えていると、一色はにっこりと微笑んだ。

 

「食祭っていうのはいわば身内だけで行う僕達十傑のお披露目会みたいなものでね。毎年代表として第一席がパートナーとなる後輩と一緒に料理を作って総帥に振る舞うんだよ」

「一席がっ!?」

「創真君が遠月の頂点を目指すのなら見ておいて損はないと思うよ? 一般生徒じゃ第一席が料理する姿なんて中々見れないからね」

「一席の料理……」 

 

 それは見てみたいと創真は思った。

 明らかに興味を持ち始めた後輩の姿に一色は「じゃあ行こうか」と爽やかに促した。

 

 半纏から制服へと着替えた創真が一色に連れてこられたのは高校の建物とは思えぬほどに巨大な会館だった。まるで日本武道館を彷彿とさせる外観に、万単位の人員を余すことなく収容可能な無数の観客席。

 

……前に肉魅と食戟した会場の何倍あんだ?

 

 改めて遠月の出鱈目さに圧倒されながら、前を歩く一色を見失わぬようせっせと足を動かす。人混みをかき分けて階段を上り、関係者専用のプレートが掲げられたゲートをくぐると真っ直ぐに伸びたカーペットと6つの扉が二人を出迎えた。

 

「誰もいないっすね」

「特別な許可がないと入れない場所だからね。さぁ、ここだよ」

 

 一色は一番手前の青い扉を開くと、創真を中へと通した。

 扉の中はいかにも高そうな個室になっていた。

 入室した途端に視界に飛び込んでくる巨大なガラス窓が印象的で、少し目を凝らせばそこから擂り鉢状になっている客席や会場中央に聳える厨房施設が一望できた。

 染み一つない真っ白な壁紙や毛足の長い絨毯に創真が目線を配っていると、一色はガラス窓の前に置かれた革張りのソファーにゆったりと腰を下ろした。

 

「ほら。創真君も早く座りなよ」

「はぁ~。また高そうなソファーっすね」

「今日は僕の名前で予約してるけど本来ここは外部から訪れたVIPのための特別室だからね。それなりに気を払っているんだよ」

 

 なるほどと創真もまたソファーへと腰を沈めた。

 

「開始まで後もう少しだけ時間があるから楽にしていていいよ?」

「ども。けど食祭ってこんな人集まるんすね」

 

 驚き半分、呆れ半分と言った感じで創真はガラス窓に顔を向ける。

 食祭開始まであと5分を切った会場には休日にもかかわらず数多くの制服に身を包んだ生徒達の姿があった。

 

「これ全員第一席の料理を見に来たんすよね?」

「半分正解だね」

「えっ?」

「料理を作るのは二人だってことだよ。さぁ出てきたよ」

 

 一色の言葉通り、中央舞台の厨房前にコックコートに身を包んだ二人の生徒が並ぶ。

 一人は白銀の髪が眩しいやや線の細い美少年、もう一人は凛とした顔立ちをした黒髪の少年。どちらも初めて見る顔。だというのに創真は黒髪の少年に不思議な既視感を抱いた。

 

「あれ? あの顔はどっかで……」

「白銀の彼が今の遠月第一席である司瑛士、もう一人の黒髪の彼が今回パートナーとして選ばれた堂島金一だよ」

「どうじま? それって極星にいたっていう金一先輩っすか?」

「うん、その金一君だよ」

「あの先輩が……」 

 

 通りで見覚えがある筈だと創真は頷く。遠目ではあるものの、顔の造形が地獄合宿で出会った堂島銀によく似ているのだ。やっぱ親子って似るんだなぁと呑気なことを考えている間にも総帥による訓示が終わり、本日の主役である二人が厨房の中へと入っていく。

 

「創真君。決して見逃したら駄目だよ?」

「へ? それってどういう―――っつ!?」

 

 二人が厨房へと入り包丁を握ったその時だった。

ぞわりと、創真の背筋に冷たいものが走る。

 具体的に何が変わったわけではない。

 けど間違いなく“何か”が変わった。

 

「―――双子の龍が、目覚めるよ」

 

        ◇

 

 それは初めての経験だった。

 これまで凄いと思う料理人は何人もいた。

 

 例えば物心ついた時から高い壁として立ち塞がる父、幸平城一郎。

 例えば未だ底を見せない十傑にその名を連ねる先輩、一色慧。

 例えば美食の本場フランスパリで活躍する遠月OB、四宮小次郎。

 

 遠月に入学してからの2か月、創真は実家に籠ったままでは決して出会わなかったであろう才能、個性を知った。多種多様に輝く玉を知った。

でもこれは知らない。個として確たる輝きを放ちながらも、交わることで一つ上の次元の輝きを放つ玉など幸平創真は知らない。

 ここまで高い次元で完成されたペアなど、知らない。

 

「……すげぇ」

 

 この数時間の間にいったい何度、感嘆の声が零れただろう。

 いったい何回、息を呑んだだろう。

 創真がガラス越しに見詰める先、遥か遠方の厨房では最後の皿を完成させるべく二人の料理人が仕上げを行っている。

 その動きは繊細で、流麗で、そしてどこまでも静かで。

 無駄のない洗練された所作には一切の慌ただしさを感じさせない。まるで二人のいる厨房だけが世界の時間軸から切り離されていうような不思議な感覚を創真は覚えた。

 そして遂にフルコース最後の品が完成する。

 張りつめていた“何か”が元に戻るのを感じながら、創真はこの数時間の間ずっと前方に乗り出していた上半身をソファーの背に預けた。

 脳裏にはつい今しがたまで行われていた“芸術”が朗々と焼き付いている。

 

……息が合ってるとか、相性がいいとか、そんなレベルじゃなかったよな。

 

 以前に合宿で見たアルディーニ兄弟の連携よりも更に上。それこそ本当に二人で一人だと言われても納得してしまいそうになるほど極々自然で滑らかな連携だった。

 きっと少しでもそこに乱れがあったのならあの膨大な作業量をこなすのは不可能だったに違いない。創真がまた一つ感嘆の息を零すのに合わせて、一色もここ数時間の間付けていた真面目な仮面を取り外した。

 

「あれが司瑛士と堂島金一。この遠月で最高と謳われるペアだよ」

「最高のペア……」

「わかってるとは思うけど彼らは決してペアだから強いんじゃない。悔しいけど二人とも僕より―――そして今の君よりもずっと上の段階にいる料理人だ」

 

 第一席を務める司瑛士は勿論のこと、立場上は一般生徒である堂島金一も純粋な実力だけなら十傑上位―――それこそ司に次ぐ席を与えられていてもおかしくない料理人。

 境界の向こう側、天賦の才をその身に宿した選ばれし実力者達。

 

「創真君。もしも君が本当にこの遠月で頂点を目指すというならあの二人に立ち向かい、そして打ち倒さないといけない。彼らを見た後でもまだ頂点を目指す気持ちは残っているかい?」

 

 例年この食祭を機に上を目指すことを諦める生徒は少なからずいる。才能という分厚い壁を直視し、自分には無理だと立ち止まってしまう“普通”の料理人は意外にも多い。

 けれど、

 

「へっ。当たり前じゃないっすか。むしろ今すぐ闘いたいぐらいっすよ!」

 

 良くも悪くも幸平創真は“普通”ではなかった。

 創真は決して恵まれた料理人ではない。こと才能という意味では遇遇平凡、料理エリートが全国から集う遠月では精々が並かそれ以下だろう。

 しかしそんな彼にも唯一許された才能があった。

 諦めを知らないという才能が。

 戦意を失うどころかより滾らせた後輩の姿に一色は優しく微笑んだ。

 

「ふふ、いらない心配だったみたいだね。余り長居していると帰りの混雑に巻き込まれるしそろそろ出ようか」

 

 今年度の食祭に対する総帥の総評を聞き終えると二人は腰を上げる。

 そして帰路につくべくドアノブを捻って廊下へと出た時、自分達のものではない扉を開く音が彼らの耳に届いた。

 

「あれ、薙切じゃん?」

 

 二人の左隣、赤い扉の奥から現れたのは創真が見知った顔だった。

 

 

 

           Ⅲ

「お前も見に来てたんだな」

「幸平創真……」

 

 彼の顔を見た瞬間、薙切えりなは露骨に顔を顰めた。そしてすぐに視線をずらすと、部外者をこの場所に連れてきたであろう元凶を睨んだ。

 

「一色先輩。ここは一般生徒の立ち入りを禁止している筈ですが?」

「はは、僕と一緒なんだしいいじゃないか。薙切君だってお付きの子と一緒だろ?」

「それはそうですが、やはり彼の様な品位の欠片もない―――」

「いやあの二人の連携はマジで凄かったよな。どうやったらあんな風に出来んだろうな?」

「―――非常識な人間が入っていい場所ではないと思いますが?」

 

 いつに増して冷たい声でえりなは切り捨てた。同じ十傑の先輩の前だということで多少取り繕ってはいるものの、その全身からは不機嫌なオーラがこれでもかと滲み出ている。

 突き抜けた美人の怒りというのはえてして怖いもの。例え薙切えりなのことを知らずとも少しでも空気が読めるならそそくさとその場から立ち去ろうとするだろう。

 ただ、

 

「なんか薙切のやつ機嫌悪くないっすか? こう、いつもの8割増しぐらいで」

「薙切君と金一君は長い付き合いだからね。多分だけど幼馴染としてあの完璧な連携には思う所があったんじゃないかな?」

「それって嫉妬ってやつっすか? へぇ、薙切にも意外に可愛いとこあるんすね」

「それは失礼だよ創真君。彼女だって青春の中にいる一人の少女なんだから感情の起伏があって当然というものさ。離れるのが寂しくてわざわざ自分の敷地の中に住まわせるあたりなんて何とも意地らしいことじゃないか。ねっ、薙切君?」

「今すぐその口を閉じていただけませんか、一色先輩」

 

 変わり者が集う極星の中でも群を抜いて変人度合いが高いツートップには関係なかったりする。面白いものを聞いたとばかりにじろじろと不躾な視線を送ってくる創真と、いつもの無駄に爽やかな笑みを崩すことなく地雷を踏み続ける一色にただでさえ高かったえりなの不機嫌メーターは更に急上昇。

それこそ先輩後輩など関係なく今にもこの場で爆発しそうな主の様子に後ろで控えていた緋沙子はおろおろと戸惑いを隠せていなかった。

 後は切欠一つ。

 最後の火種さえ投下されれば薙切えりなという火山はたちまち噴火しただろう。

 

「あっ。薙切が同じとこに住んでんなら丁度いいや。わりぃけど帰ったら堂島先輩に聞いといてくれね? 俺と食戟しないっすかって」

 

 だが火口に投げ入れられたのは噴火のための火種ではなく、煮え滾るマグマをも一瞬にして凍りつかせる絶対零度の劇薬だった。

 すっと、えりなの顔からそれまであった不機嫌な色が消える。代わりに浮かんだのはどこまでも冷たい顔。背後で控えていた緋沙子が思わず口を開こうとするのを制し、えりなは一歩後ずさった創真に昏い瞳を落とした。

 

「幸平君」

「お、おう」

「もう今更あなたが遠月でどんな貧相な料理を作ろうと、そしてどんな問題を起こそうと私のあずかり知る所ではありませんし興味もありません。けれどあなたの身勝手な行動に金一を巻き込まないでちょうだい」

「巻き込まないでって……」

「話はそれだけです。一色先輩、ここで失礼します」

 

 軽く頭を下げてえりなは二人の横を抜けていく。慌てて主を追いかける緋沙子の後ろ姿を唖然と見送りながら、創真は呟いた。

 

「……なんすか、あれ?」

「う~ん。どうも薙切君は以前にもまして金一君への執着が強いみたいだ。これぞ青春、やっぱり幼馴染という関係は特別だね」

「いや特別つってもあれは――――」

 

―――どう考えてもいき過ぎでしょ?

 

         ◇

 

 二人とのやり取りを終えた後、一般席へと降りたえりなは従者である緋沙子を連れて出口へと続くメイン通路を歩いていた。オーダーメイドの学生靴が速いテンポで音を鳴らし、細い指の通った黄金の髪が後ろへと靡く。

 

……なぜかしら?

 

 えりなはさっきの自分の発言を思い返していた。確かに分や礼儀をわきまえず食戟を挑もうとした幸平創真の態度は決して褒められたものではない。

 元々良くは思っていない相手だけに金一の幼馴染として怒りを覚えるのもまぁ妥当だろう。けれど現実に彼女の心中を占めたのは怒りなどではなかった。

 

……関わらせたくなかった。

 

 幸平創真が気に食わないだけならむしろ食戟をやらせてみればいい。

 金一が受けるかどうかは不明だが、もしも行われるならばきっと金一はその料理で生意気な編入生の鼻をへし折ったことだろう。編入試験や丼ぶり研究会の件などで多少なりとも道を阻まれてきたえりなにしてみれば、そっちの方が余程スッキリとしたに違いない。

 だが実際にえりなが覚えたのは貧相なB級グルメで金一を汚したくないという嫉妬にも似たある種の独占欲。

 そしてその欲は『遠月の双子龍』を見ている際にも顔を覗かせていた。

 

……金一と司先輩のコンビは間違いなく理想的なもの。でも私は……

 

 確かに去年からあの完璧息の合い様に全く思う所がなかったわけではない。わけではないが、こうもハッキリと心を乱すなど――――司瑛士に嫉妬を抱くことなどなかった。

あの宿泊研修を終えてから度々こういう時がある。

 金一が誰かと仲良くしている姿を見ると妙に心が乱れ、不快に思ってしまう時が。

 そしてそんな時に限って脳裏にふと思うのだ。

欲しいと。堂島金一の全てを独占し、管理してしまいたいという暗い考えが薙切えりなの脳裏に過るのだ。

 そう。かつての自分がそうされていたように―――

 

「えりな様?」

「えっ?」

「どうかされましたか? 何やら思い悩んでいらっしゃるようでしたが……」

「いえ、何でもありません。それよりも今日の夕食はあなたが用意するんでしたね?」

「は、はい。その、金一兄様がこの前私の薬膳料理を食べてみたいと仰っていましたので」

 

 恐縮そうにハニカム緋沙子の顔には隠しきれない“喜”で溢れていた。

 また一つ、えりなの心に小さな波が立った。

 

「……私も手伝います」

「えっ? え、えりな様が私の料理をですかっ!? そんな、えりな様の御手を煩わせる必要など……」

「私直々にあなたの料理を観てあげると言っているんです。何か問題でも?」

「いえ決してそのようななことはっ!? ありがとうございます、えりな様!」

 

 慌てて緋沙子は感謝の言葉と共に頭を下げた。

 そんな従順な従者の姿を見ても、一度立った波は中々引いてはくれなかった。

 




10万字くらいで完結できたらいいなぁ。

追記:作者の個人的なソーマの女子キャラランキング(以前ブログでも書きました)

1位 薙切えりな(断トツ)
2位 新戸緋沙子(尽くしてくれそう)
3位 薙切アリス(やっぱし可愛い)
4位 乾日向子 (声の力ってやっぱ偉大だよね)

 これが何を意味してるのかは……わかるよね?


更に追記:ファフナーやべぇよファフナー。鬱になったりテンションあがったりでもう休む暇がないよ!(褒め言葉です)

最後に一言だけ。『人類軍は滅びろっ!』

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