ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第七話 =共同戦線=

「単刀直入に訊くヴァーリ。俺達と協力する理由は?」

 

「・・・ロキとフェンリルと戦ってみたいだけだ。美猴達も了承済みだ。この理由では不服か?」

 

それを聞いたアザゼルは怪訝そうに眉を寄せる。

 

「まあ、不服だな。だが、戦力として欲しいのは確かだ。

 今は英雄派のテロの影響で各勢力ともこちらに戦力を割けない状況だ。

 英雄派の行動とお前の行動が繋がっているって可能性もあるが・・・。

 お前の性格上、英雄派と行動を共にする訳ないか」

 

「ああ、彼らとは基本的にお互い干渉しない事になっている。

 俺はそちらと組まなくてもロキとフェンリルと戦うつもりだ。

 組まない場合は、そちらを巻き込んででも戦闘に介入する」

 

要約すると組むなら共闘、組まないならまとめて攻撃すると言う意味だ。

アザゼルは両腕を組んで頷く。

 

「まあ、ヴァーリに関しては一旦置いておく。

 さて、話はロキ対策に移行する。

 ロキとフェンリルの対策をとある者に訊く予定だ」

 

「ロキとフェンリルの対策を訊く?」

 

「そう、あいつらに詳しいのがいてな。そいつにご教授してもらうのさ」

 

「そいつは誰なんだ?」

 

「五大龍王の一匹、『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)』のミドガルズオルムだ」

 

―――ミドガルズオルム。

ヨルムンガルドとも呼ばれており、ロキとアングルボダが生み出し三人の子供の一つ。

その姿は蒼い鱗を持った巨大な蛇か氷山を背負った二足歩行の亀。

ラグナロクの時には激しい津波を起こし、口から毒を吐きながら大地に攻めあがってくると言われている。

 

「順当だが、ミドガルズオルムは俺達の声に応えるだろうか?」

 

「二天龍、ファーブニルの力、ヴリトラの力、タンニーンの力で≪龍門(ドラゴン・ゲート)≫を開く。

 そこからミドガルズオルムの意識だけを呼び寄せるんだよ。本来は北欧の深海で眠りについているからな」

 

「・・・ならば、俺の力も必要だろう」

 

「んっ?どういうことだ?」

 

「俺も龍族と契約を果たしている。それも最高位の存在である龍神コウリュウをね」

 

その言葉を聞いて、アザゼルとヴァーリは驚いたのだ。

 

―――黄龍。

四つの方角、四つの季節を守護している四神の青龍、白虎、朱雀、玄武の中央を守護する龍。

五行思想において、青龍が雷、朱雀が炎、白虎が風、玄武が水、黄龍が大地を司る。

魔界にある霊山へと修行した時に出会った龍神。

契約したければ、力を証明しろと三日三晩と戦い続けた。

結局は引き分けに終わったが、コウリュウは久々に強き意志を持った者と出会えた、と納得したのか契約を結んだ。

勿論、この仲魔を呼び出すときは本当に力を振るう時に使う事にしている。

 

「まさか、神や魔王に匹敵するドラゴンと契約するとは本当にとんでもない奴だな・・・。

 いいぜ。多いに越した事は無い。鋼弥、頼むぜ」

 

「無論だ」

 

「もしかして、お、俺もですか?正直、怪物だらけで気が引けるんですけど・・・」

 

匙も一応、五大龍王の一角ヴリトラの魂が宿る神器を所有している。

 

「まあ、要素の1つとして来てもらうだけだ。大方の事は俺達や二天龍に任せろ。

 とりあえず、タンニーンと連絡が付くまで待っていてくれ。

 俺はシェムハザと対策について話してくる。お前らはそれまで待機。バラキエル、付いてきてくれ」

 

「了解した」

 

そう言ってアザゼルとバラキエルは大広間から出ていく。

残されたのはオカルト研究部と生徒会、ヴァーリチームとなった。

 

「おい、赤龍帝!」

 

「な、なんだよ」

 

「この下にある屋内プールに入っていいかい?」

 

軽い質問に一誠は返す言葉もなかった。

すると、リアスが美猴に指を突き付ける。

 

「ここは、私と一誠の家よ。勝手な振る舞いは許さないわ」

 

「まーまー、いいじゃねぇか。スイッチ姫」

 

ゴスッ!!

 

リアスは美猴の頭に思いっきり叩いた。

美猴は頭を押さえながら涙目になって抗議をする

 

「いってええええええっ!!何すんだぃ!?」

 

「あなたね!貴方のせいで私は冥界で変な名称をで呼ばれているのよ!!」

 

「いいじゃねぇか。おっぱいドラゴン、俺も見ているぜ。俺の名付けたのが使われているから光栄だぜ」

 

カラカラと楽しそうに笑う美猴、リアスは全身ワナワナと震わせて紅いオーラを纏っていた。

祐斗、ゼノヴィア、イリナはアーサーが所持ている最後のエクスカリバーについて話していた。

アーシアは一誠の裾を掴んでおり、視線はヴァーリに向けていた。

どうやら、次元の狭間に飛ばされた時のお礼が言いたいようだ。

 

「ヴァーリ、ちょっといいか?」

 

「なんだ?」

 

「あの・・・先日は助けて下さいまして、ありがとうございました」

 

「いや、君を助けたのは≪布を身に纏った男≫だ。

 俺たちはたまたま通りがかってついでに回収しただけた。

 お互い、気にしないでいこう」

 

ヴァーリは淡々と喋った後、読書に戻った。

次元の狭間にいた、≪布を纏った男≫が気になるけど・・・。

 

「・・・・・・」

 

「・・・にゃん♪」

 

小猫が警戒しながら姉の黒歌を睨み、黒歌は妖艶に笑みを浮かべていた。

小猫の後ろにはギャスパーがブルブル震えて隠れている。

それに見かねた鋼弥は近づいて両者の間に入った。

 

「黒歌。まだ小猫を無理矢理連れて行こうとする気なら、俺が許さん」

 

鋼弥は黒歌に睨みを利かせて言うと黒歌は悪戯な笑顔でジロジロ見る。

 

「へー。最初に会った時よりお顔が凛々しくなっている様な気がするにゃん。

 女の子の味を知って、そんな風に変わっちゃうのかにゃん?」

 

「そういうわけじゃない。あれから、試練に挑んで新しい仲魔と契約したからな」

 

「なーるほどね」

 

ペロッ

 

黒歌は鋼弥の頬を舐めた。

不意の出来事に思わず驚き、舐めた頬を手に当てる。

・・・猫特有の舌なのかザラザラしていた。

 

「う~ん♪大人の味にゃん。益々かっこよくなってくれて私は嬉しいにゃん♪」

 

「・・・いきなり舐めるとは、どういうつもりだ?」

 

「ねねね、物は相談だけど、私と子供作ってみない?」

 

「・・・突然、何を言い出すんだ」

 

「私ね、貴方の様な強い人の子供が欲しいの。

 君は半人半魔だけど、≪業魔化身≫という特別な能力の持ち主でしょ?

 きっと強い子供が出来るにゃん♪だから、私とエッチしないかにゃ?」

 

なんだか、プールの時のゼノヴィアを思い出しきた。

最も、相手は裏がありそうなネコショウだけど。

前に小猫から聞いたが、ネコショウは少なく異種族と交わって、子孫を増やす。

それも、相手が強力かつ特別な能力ならば、万々歳だと。

 

「悪いがそんな事は興味ない」

 

「じゃあ、お買い得サービス。妊娠するまでの関係で良いからどうかにゃ?」

 

「あのね・・・」

 

鋼弥が呆れながら反論しようとしたその時、小猫がグイッと抱きしめて黒歌を睨む。

 

「・・・姉さまに鋼弥先輩の・・・・・・は渡しません」

 

鋼弥は小猫が何を言ったのか聞き取れなかった。

黒歌はにんまり笑って2人に手を振り、ヴァーリのところへ行った。

朱乃を見ると、ため息をついていた。

無理もない。母が敵となって現れたんだ。そのショックは大きいだろう・・・。

 

 

◇◆◇◆

 

 

アザゼルとタンニーンが待っている白い空間へと辿り着く鋼弥、一誠、匙、ヴァーリ。

ミドガルズオルムを呼び出すにはここでないと駄目だとか。

魔法陣が描かれており、一誠達はそれぞれの配置に立つ。

鋼弥が黄色、一誠が赤、ヴァーリが白、アザゼルは金色、匙は黒、タンニーンが紫色と光輝く。

これは各ドラゴンの特徴を反映しており、ここにはいないティアマットは青、玉龍(ウーロン)は緑と司っている。

すると、巨大な立体映像が映し出されると、其処には巨大な蛇がとぐろを巻いている。

 

「ドラゴンの中では最大クラスの大きさを誇るからな。グレートレッドの6倍はある」

 

タンニーンがそう説明するが、ミドガルズオルムからいびきが聞こえる。

 

「案の定、寝ているか。起きろミドガルズオルム」

 

『・・・・懐かしい龍の波動がするね。タンニーンじゃないかぁ?

 それに・・・ドライグとアルビオン、ファーブニルにヴリトラまで・・・?

 後一つ、強力な力を感じるけど・・・世界の終末でも来たのかい?』

 

「いや、そうじゃない。お前に訊きたい事があって、意識のみ呼び寄せた」

 

タンニーンがそう説明するが、ミドガルズオルムはまた眠り始めた。

 

『・・・・ぐごごごごごごごごごごごごごごん・・・・』

 

「寝るな!!全く、貴様と玉龍(ウーロン)だけは怠け癖がついていて敵わん!!」

 

タンニーンが憤る中、鋼弥の中から声が響く。

 

(・・・小僧。少しだけ意識を借りるぞ)

 

(・・・解った)

 

鋼弥は目を閉じて自分の意識を眠らせる。

 

【ミドガルズオルム。久々に会えたと思ったら相変わらず怠惰な態度をしておるな】

 

鋼弥の声が、重く威厳にみち溢れた声が響く。

ミドガルズオルムはビクッとして、鋼弥の方を見る。

 

『ま、ま、まさか・・・コウリュウ!!?』

 

【ウム】

 

『で、でも、人間の姿をしている!?』

 

【フフフッ、この小僧と戦い契約を結んだのだ。全く魔界のヨルムンガルドは活発的なのに貴様は・・・】

 

『い、いや・・・だって、終末まで眠っている事になって・・・』

 

【黙れ、小童!!!!】

 

コウリュウの言葉で大気が震え出し、一誠達の身体がビリビリ響いた。

 

【良いか。我ら龍族は"誇りを持つ"こと。それなのに貴様は惰眠しおって全く情けない】

 

『あううう・・・ごめんなさい・・・』

 

ミドガルズオルムを説教で縮こませた。

あの巨大な龍王を説教で説き伏せるほどの実力の持ち主だと言う事に肌で感じた一同だった。

 

【貴様の説教は後にしてだ。ロキとフェンリルの対策を訊きたい】

 

『ダディとワンワンのことね。あー・・・コウリュウ、一つだけ聞きたいけど、ドライグとアルビオンは争わないの?』

 

【そんな事か。見れば解るが今度のドライグとアルビオンはロキとフェンリルを打倒するため共同戦線をする】

 

『そうなんだ・・・この二人っていつも戦っているから、並んでいるのが不思議だったよ。

 話を戻すけど、ワンワンは牙で噛まれたら即死は確実。

 でも、弱点はあるよ。ドワーフが作った魔法の鎖のグレイプニルで捕獲できるよ』

 

「だが・・・北の報告ではグレイプニルが効かなかった。お前なら何か知っているのではないかと思ってな」

 

タンニーンがそう質問すると、ミドガルズオルムは考えてこう答えた。

 

『ダディが強化したんじゃないかな・・・?

 だったら、北欧の地にいるダークエルフにに相談するといいよ。

 長老がドワーフの加工品を強化する術が仕えた筈だよ』

 

住んでいる場所はヴァーリに送っておいた。

なにせ、一誠では覚える事は出来ないと、アザゼルが返事をした。

 

『ダディはミョルニルを叩き込めば倒せると思うよ』

 

「うーん・・・オーディンのジジイがトールに頼めば貸してくれるかな・・・」

 

『それなら、ドワーフとダークエルフに頼めば、ミョルニルのレプリカをオーディンから預かっていた筈』

 

【情報提供を感謝するぞミドガルズオルム】

 

『たまにこういうおしゃべりも楽しいからね。それじゃあ僕はまた海の底で眠るよ。また、何かあった起こしてね』

 

【全く・・・少しは身体を動かすんだぞ】

 

ミドガルズオルムの映像が少しずつ途切れて、ついには消えた。

龍王が一つのミドガルズオルムからロキとフェンリルの対策を得て、準備に取り掛かった。


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