ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

82 / 174
第十一話 =真なる赤龍帝≪アポカリュプス・ドラゴン≫=

第十一話 =真なる赤龍帝≪アポカリュプス・ドラゴン≫=

 

 

一方の一誠も元に戻っていた。

サーゼクスとアザゼルが作った≪おっぱいドラゴンの歌≫を流し、リアスの胸に触れた事で治ったという。

 

「・・・・うーん。あれ?何がどうなったんだ?」

 

一誠が目を覚まし、号泣するリアスに抱きつかれる。

記憶がない分は祐斗から説明を受けたが、覚えていなかった。

アーシアも無事でゼノヴィアに抱きつかれている。

 

「兵藤一誠、無事だったようだな」

 

「ああ、なんだか、世話になっちまったようだな」

 

「たまには良いだろう。それよりもそろそろだ。空中を見ていろ」

 

鋼弥と一誠が訝しげに空を見ていると―――――。

空間に巨大な穴が開き、そこから巨大な何かが姿を現す。

 

「よく見ておけ、兵藤一誠。涼刀鋼弥。あれが俺が見たかったものだ・・・」

 

空中をとてつもなく巨大な真紅のドラゴンが雄大に泳いでいく。

タンニーンよりも遥かに大きく100メートルは超えている。

 

「『赤い龍』と呼ばれるドラゴンは二種類いる。

 1つはキミに宿るウェールズの古のドラゴンであるウェルシュ・ドラゴンこと赤龍帝だ。

 白龍皇もその伝承に出てくる同じ出自のものだ。

 しかし、もう一体だけ『赤い龍』がいる。それが目の前に居る『黙示録』に記されし、赤いドラゴンだ」

 

「『黙示録』と言う事は、アポカリプスか・・・」

 

「ああ、『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』のグレートレッド。

 『真龍』と称される偉大なるドラゴンだ。

 自ら次元の狭間に住み、永遠に飛び続けている。今回、俺達はあれを確認する為にここへ来た。

 レーティングゲームのフィールドは次元の狭間の一角に結界を張ってその中で展開している。

 今回、オーフィスの本当の目的もあれを確認する事だ。作戦は俺達にとって、どうでも良い事だった」

 

「グレートレッドを倒す事が真の目的だったと言う事か?」

 

鋼弥が訊くと、ヴァーリが真っ直ぐな瞳で言った。

 

「俺が最も戦いたい相手、『D×D(ドラゴン・オブ・ドラゴン)』と呼ばれし『真なる赤龍神帝』だ。

 俺は『真なる白龍神皇』になりたいんだ。赤の最上位がいるのに、白だけ一歩前止まりでは格好がつかないだろう?

 だから、俺はそれになる。いつか、グレートレッドを倒してな」

 

ヴァーリは自身の夢を語る。

テロ組織に身を置いているのもグレートレッドと言うドラゴンを倒すため。

 

「グレートレッド、久しい」

 

鋼弥達のすぐ近くに黒髪黒ワンピースの少女が立っていた。

 

「あの子は誰なんだ・・・?」

 

ヴァーリがその少女を確認して苦笑した。

 

「オーフィスだ。『禍の団』のトップだ」

 

「なっ!『禍の団』のトップ!?あの子が!?」

 

「―――我は、いつか必ず静寂を手にする」

 

オーフィスは指鉄砲の構えでバンッと撃ちだす格好をした。

その直後、アザゼル、タンニーン、シンディが降ってくる

 

「先生、おっさん!」

 

「師匠・・・」

 

「おー、イッセー。元に戻ったようだな。

 俺もどうなるか怖かったが、お前ならあの歌や女の胸で『覇龍』から戻るかもなんて思っていた。

 乳をつついて禁手に至った大馬鹿野郎だからな。あの歌の作詞をした甲斐があったぜ」

 

「鋼弥、リオとドルキーから聞きました。あの力に飲まれたのですね・・・」

 

「・・・はい」

 

「・・・貴方が無事で良かった」

 

シンディは鋼弥を優しく抱きしめて、背中を撫でる。

アザゼルとタンニーンは空を飛ぶグレートレッドに視線を向ける。

 

「懐かしい、グレートレッドか・・・」

 

「タンニーンのおっさんも戦った事あるのか?」

 

「いや、俺なぞ歯牙(しが)にもかけてくれなかったさ」

 

タンニーンでも相手にならないドラゴンと言う事は余程強さがあると解る。

 

「久しぶりだな、アザゼル。クルゼレイ・アスモデウスは倒したのか?」

 

「旧アスモデウスはシンディが片付けた。

 まとめていた奴らが取られれば配下も逃げ出す。

 もっともシャルバ・ベルゼブブは今回来なかったのが、残念だが・・・」

 

「お兄さまは?」

 

「結界が崩壊したからな。観戦ルームに戻ったよ。

 さてと、オーフィス。各地で暴れ回った旧魔王派の連中は退却及び降伏した。

 事実上、まとめていた末裔共を失った旧魔王派は壊滅状態だ」

 

「そう。それもまたひとつの結末」

 

オーフィスは特に驚く様子も無く言った。

1つの派閥が消えたのに痛くも痒くも無いと言った様な感じだ。

 

「お前らの中でヴァーリ以外に大きな勢力は、人間の英雄や勇者の末裔が集まった『英雄派』だけだな」

 

『英雄派』はカテレアから引き出した情報で、主に神器が使える者たちで構成されたメンバーだ。

その実力は未知数、近いうちに相まみえる事だろう。

 

「さーて、オーフィス。やるか?」

 

アザゼルが光の槍をオーフィスに向けるが、オーフィスは踵を返した。

 

「我は帰る」

 

どうやら戦う気は無いらしい。

すると、オーフィスは鋼弥の方を向き言葉を発する。

 

「涼刀鋼弥。原初の悪神アンリ・マンユは再び姿を現す」

 

オーフィスの言葉に誰もが驚いた。

アンリ・マンユは鋼弥の父とシンディ達が封印した最悪の悪神。

そんな恐ろしい神が再び、蘇えようとしているのか?

鋼弥はオーフィスを睨んで声を荒げる

 

「オーフィス。アンリ・マンユが再び現世に現れると言うのか?答えろ!!」

 

「いずれ、その時が来れば解る」

 

オーフィスは意味深な言葉を言い残して消え去っていった。

ヴァーリ達も退散しようと聖王剣使いが作った次元の裂け目に入ろうとしていた。

 

「兵藤一誠、俺を倒したいか?」

 

「・・・倒したいさ。けど、俺が超えたいものはお前だけじゃない。

 同じ眷属の木場も超えたいし、ダチの匙も、鋼弥も超えたい。

 俺には超えたいものがたくさんあるんだよ」

 

「俺もだよ。俺もキミ以外に倒したいものがいる。涼刀鋼弥とその兄の嶺爾。

 おかしいな者だ。現赤龍帝と現白龍皇は宿命の対決よりも大切な目的と目標が存在している。

 きっと、今回の俺とキミはおかしな赤と白なのだろう。そういうのもたまには良い筈だ。

 ――――だが、いずれは」

 

「ああ、その時が来たら決着つけようぜ。部長のおっぱいを半分にされたら困る事だからな」

 

一誠が拳をヴァーリに向けて言い放った。

 

「やっぱりキミは面白い。強くなれよ、兵藤一誠」

 

ヴァーリはフッと笑う。

 

「木場祐斗くん、ゼノヴィアさん。

 私は聖王剣の所持者であり、アーサー・ペンドラゴンの末裔。

 アーサーと呼んでください。いつか、聖剣を巡る戦いをしましょう。それでは」

 

聖王剣使いが自分の名前を紹介し、先頭で次元の裂け目に入る。

 

「じゃあな!おっぱいドラゴン!銀牙の!スイッチ姫!」

 

「なっ!何よその呼び名は!」

 

「へへっ、良い呼び名だろ!この呼び名は俺っちが考えたんだぜ?」

 

ヴァーリと美猴も次元の裂け目へと消えていった。

リアスの顔が最大に赤くなり、頭から湯気が出ていた。

戦いが終わり、一誠はアーシアの手を取る。

 

「今度こそ、帰ろうアーシア。俺たちの家へ」

 

「はい。お父さんとお母さんが待つ家に」

 

皆が無事に揃い帰ろうと思ったその時、鋼弥がフラリッと倒れたのだ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。