ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第六話 =ドラゴンと修行・前篇=

第六話 =ドラゴンと修行・前篇=

 

 

オカルトメンバーの服装はジャージで集まった(鋼弥の服装はハンター時の服装)

資料やデータらしき物を持ったアザゼルが口を開く。

 

「先に言っておく。今から俺が言うものは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。

 すぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。

 ただ、お前らは成長中の若手だ。方向性を見誤らなければ良い成長をするだろう。

 まずはリアス、お前だ」

 

アザゼルが最初に呼んだのはリアスだった

 

「お前は最初から才能、身体能力、魔力全てが高スペックの悪魔だ。

 このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。

 だが、将来よりも今強くなりたい、それがお前の望みだな?」

 

「ええ、もう二度と負けたくないもの」

 

アザゼルの問いにリアスは力強く頷く。

リアスのトレーニングメニューが記された紙を渡すが、リアスはその内容を見て首を傾げた。

 

「これって、特別凄いトレーニングとは思えないのだけれど?」

 

「基本的な基本的なトレーニング方法だからな、お前はそれで良いんだ。

 全てが総合的にまとまっているから基本的な練習だけで力が高められる」

 

アザゼルはその言葉を肯定した

 

「鋼弥の言った通り、お前には『王(キング)』としての資質が欠けている。

 王は時と場合によっては、力よりも頭脳が求められる。

 フェニックス家との一戦は見せてもらったが、鋼弥が怒るのも解る。

 他にもリタイヤしていった奴もいるってのに、必死で勝ちを持っていくのも王の務めだ。

 お前は戦況を見ずに勝手に投了(リザイン)しやがった。

 そんな事じゃあ、これからのゲームには絶対勝てねぇ。

 ましてや、命の奪い合いになる禍の団やゾロアスターと戦うとなればな」

 

名目上ゲームと言っても実際は殺し合い。

リアスはフェニックス戦での自分の不甲斐なさを思い出した。

冷静になって、自分でも情けないと思っているのだろう。

 

「次に朱乃」

 

「・・・はい」

 

朱乃は不機嫌な様子で返事をした

父は堕天使のバラキエル、つまり総督アザゼルの部下であるから。

それ絡みでアザゼルを苦手と言うか嫌っているようだ。

 

「お前は自分の中に流れる血を受け入れろ」

 

「!!」

 

ストレートに言われたせいか、朱乃は顔をしかめた

 

「お前のフェニックス家との一戦も、記録した映像で見せてもらったぜ。

 何だありゃ、本来のお前のスペックなら、敵の『女王(クイーン)』を苦もなく打倒出来た筈だ。

 何故、堕天使の力を振るわなかった?雷だけでは限界がある。

 光を雷に乗せ、『雷光(らいこう)』にしなければお前の本当の力は発揮出来ない」

 

朱乃は堕天使の血を引いているので、光の力を使う事が出来る。

特に悪魔が相手となると絶大な効果を発揮する。

更に得意の雷に光を乗せれば威力と速度は格段に上がる。

けど、朱乃は複雑極まりない様子だった

 

「・・・私は、あの様な力に頼らなくても・・・」

 

「否定するな。

 自分を認めないでどうする?最後に頼れるのは己の体だけだぞ?

 ツラくとも苦しくとも自分を全て受け入れろ。

 お前の弱さはお前自身だ。決戦日までにそれを乗り越えてみせろ。

 じゃなければ、お前は今後の戦闘で邪魔になる。『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろよ」

 

アザゼルの厳しい言葉に朱乃は応えられなかったが、少なくともやらなくてはならぬ事だ

その後も各トレーニングメニューを告げていくアザゼル。

 

祐斗は禁手(バランス・ブレイカー)の状態維持を向上+基本トレーニング

 

ゼノヴィアはデュランダルを使いこなす事と、もう一本の聖剣に慣れる特訓

 

ギャスパーは専用の『引きこもり脱出計画!』なるプログラムの実践

 

アーシアは神器(セイクリッド・ギア)の範囲拡大および回復のオーラを飛ばせるようになる基本トレーニング

 

どれも身体と魔力の向上も兼ねているが、メインは神器の強化にある(神器マニアということだけはある)

今度は子猫の番だ。

 

「次は小猫」

 

「・・・はい」

 

小猫はこの日、何故か気合いの入った様子でいた。

昨日までは調子が悪そうだったのに今日は妙に張り切っている。

 

「お前は申し分ない程、オフェンス、ディフェンス、『戦車(ルーク)』としての素養を持っている。

 身体能力も問題ないが、リアスの眷属には『戦車』のお前よりもオフェンスが上の奴が多い」

 

「・・・分かっています」

 

ハッキリ言うアザゼルの言葉に小猫は悔しそうな表情を浮かべていた

 

「リアスの眷属でトップのオフェンスは木場の禁手、ゼノヴィアのデュランダル、更にイッセーの禁手が加わる。

 まぁ、部員として見る場合はトップクラスは鋼弥だな。解ると思うが切り札とも言える『業魔化身』を持っている事だな」

 

アザゼルの言う通り、鋼弥、祐斗、ゼノヴィアのパワーはこの中でもズバ抜けている

特に鋼弥は『業魔化身』を持っており、戦の状況を切り替える事が出来るからオールラウンダータイプになる。

7つはその姿を見てたが、残り4つはまだその姿を見ていない。後の1つは契約していないからだという。

 

「小猫、お前も他の連中同様、先ずは基礎の向上をしておけ。

 その上で、"お前が自ら封じているものを晒け出せ"。朱乃と同じように。

 自分を受け入れなければ大きな成長なんて出来やしねぇのさ」

 

「・・・・・・」

 

アザゼルの言葉に小猫は一気に消失したのだ。

鋼弥は小猫の様子と目を見て、ある事が解った。

それは"自身の封じている力"に恐怖を抱いてる様子だった。

 

(子猫が封じている力とは一体・・・)

 

「さて、最後はイッセーと鋼弥だが・・・そろそろ来る筈だ」

 

アザゼルがそう言うと影が出来る。上を見ると空から15mはある巨体だった。

大きく裂けた口、凶暴そうな牙が生え揃い、太い腕と脚には鋭く伸びた爪、横に広がる巨大な両翼。

それは伝承や伝説などで登場する最強の生物である―――――。

 

「ド、ドラゴンッ!!」

 

「俺たちの修業の相手はこのドラゴンか」

 

「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」

 

巨大なドラゴンは口の端を吊り上げて言った。

どうやら言葉が喋れるようだ。

 

「ハッ、ちゃんと魔王さま直々の許可をもらって堂々と入国したぜ?文句でもあるのか、タンニーン」

 

アザゼルはこのドラゴンを知っているようだ。まるで旧友と言う感じで話している

 

「ふん、まあいい。

 サーゼクスの頼みだというから特別に来てやったんだ。

 その辺を忘れるなよ、堕天使の総督殿」

 

「ヘイヘイ。というわけだイッセーと鋼弥の先生がこのタンニーンだ」

 

「えええええええええええっ!この巨大なドラゴンが!?」

 

「相手にとって不足は無い」

 

一誠は驚愕するが鋼弥はドラゴンが修行相手なのが嬉しいようだ。

鋼弥が臆さない態度を見てタンニーンはフムッと頷いていた。

 

「良い眼をしているな銀色の小僧」

 

「こいつは悪魔となる前は≪六大龍王≫として君臨していた≪""魔龍聖"("プレイズ・ミーテイア・ドラゴン")"≫のタンニーン。

 その火は隕石の衝撃に匹敵するほどの威力を持つという現役で活躍している伝説のドラゴンだ。

 まぁ、悪魔になってから≪六大龍王≫から≪五大龍王≫になっちまったけどな」

 

「つまり、一誠の神器はドラゴン系だから同じドラゴンのタンニーンを相手にすれば使いこなせるという訳か」

 

「本来ならばドライグから教えて貰えば早いが、やはり実戦での修行が一番だな」

 

タンニーンは嘆息しながら、これから行われる事を内容を話す。

一誠を掴み、鋼弥は手に乗る。目指すは、大きな山だ。

期間は二十日間だ。それまでにタンニーンと修行だ。

 

「イッセー、気張りなさい!!」

 

「部長ォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」

 

一誠は絶叫に近いほどの声を上げて、タンニーンに連れ去られて山へと向かった。


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