ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第三話 =白龍皇との邂逅=

第三話 =白龍皇との邂逅=

 

 

「さて、あなた達、今日は私達限定のプール開きよ」

 

サーゼクス・ルシファー来訪から数日が経過し、待ちに待ったプールの日

プールを一番最初に使っていい事を条件にリアスは掃除を快諾していた

懸命に苔を洗い落とし、一誠はリアスの水着姿を妄想しまくっていた

そして掃除が終わり、待ちに待ったプールだ

 

「ほら、イッセー。私の水着どうかしら?」

 

「イッセーさん。わ、私も着替えました」

 

比較的、布面積が少ない赤いビキニを着たリアスとスクール水着を着ていたアーシアもそれに負けじと加わっていった。

イッセーはだらしなく鼻の下を伸ばしていた。

 

「あらあら部長とアーシアちゃん、張り切ってますわ。鋼弥さん、私の水着はどうでしょうか?」

 

リアスとは逆に白いビキニを着た朱乃、なかなかのプロモーションである。

 

「あ、ああ、綺麗だよ・・・。」

 

少し顔を赤めて、返事をする。どうも、女性の肌を直視するのができん。

 

「うふふ、よかったわ」

 

ニコニコと喜んでいる朱乃。リアスが鋼弥の肩を叩いている

 

「鋼弥、貴方にお願いがあるけど、良いかしら?」

 

「?」

 

リアスの頼み事とは子猫の泳ぎを手伝ってほしい事だ

一生懸命に泳いでいる子猫を見ていると、なんだか、和む

 

(妹を持つと、こんな感じになるのかな・・・?)

 

そうこう考えていると、25メートルまで到達した

隣りを見ると、一誠がアーシアの手を引いて泳ぎを教えていた

 

「・・・鋼弥先輩は優しいですね。いつもは冷たそうな感じですから」

 

「俺も、のんびりとした気分を味わいたいからね」

 

フフッと笑い、頭を撫でる。

子猫は顔を少し赤めてそっぽ向いた。

 

「後は自分でできそうか・・・?」

 

「はい、もう大丈夫です。コツは掴めました」

 

鋼弥はゆっくり頷くと、反対のコースへと入り遊泳を楽しんだ。

子猫は、自分の頭をそっとあてて、鋼弥の手の温もりを思い出す。

 

(・・・先輩の手、とても温かかったです)

 

 

◇◆◇◆

 

しばらく泳いで咽喉が渇き飲みモノを取り、戻る途中、ゼノヴィアと出会った

 

「おや、鋼弥。どうしたんだ?」

 

「飲み物を取ったから戻る途中だ。ゼノヴィアは用具室で何を?」

 

「初めての水着だから着るのに時間が掛かってしまって。似合うか?」

 

体の凹凸を強調しやすいビキニ水着だ。

鍛えているのか、引き締まった体である。

 

「水着を初めて着るのは、やはり教会の規則は厳しかったのか?」

 

「そうだね。と言うよりも、こういう物に私自身興味が無かったんだ」

 

「確かに、君は戦闘職というのが似合っているね」

 

ペットボトルを開けて飲む、ゼノヴィアは何やら畏まった表情を見せる

 

「涼刀鋼弥、君に折り入って話がある」

 

「鋼弥と呼んでも構わないよ。もう仲間なんだからね」

 

「そうか。では鋼弥、私と子供を作らないか?」

 

・・・・・・。思考が停止しかけた。

少し疲れていたのだろうか、幻聴でも聞こえたんだろう

ゼノヴィアは怪訝そうな表情をして、再度口走る

 

「鋼弥、私と子供を作らないか?」

 

・・・・・・。空耳でも幻聴でも何でもなかった。

眉間に指を添えて、息を吐く

 

「いきなり、子作りの話を持ち掛けたんだ?そこから説明を頼む」

 

「私は子供の頃から、これと言って夢や目標は全て神や信仰に絡んだ物だったんだ。

 主の為、ヴァチカンの為だと信じて疑わなかったさ。

 悪魔となった今、私は目標を夢がなくなったと言えるんだ」

 

「なるほど。それで、どうして子作りという話になるんだ?」

 

「神に仕えていた時は女の喜びを捨てる事にしてた。神の為に封印したんだ。

 けれど、悪魔となった今、何をして良いか最初は分からなかった。そこでリアス部長に訊ねたら―――」

 

≪―――悪魔は欲を持ち、欲を叶え、欲を与え、欲を望む者。好きに生きてみなさい≫

 

「だから、今まで封印していた女としての喜びを味わいたいと?」

 

「そう。そして私の新たな目標、夢は―――子供を産む事なんだ」

 

ゼノヴィアはズイッと鋼弥に近づき、真剣な眼差しで訴える

 

「安心してくれ、子供は基本的に私が育てるから。悪魔の出生も知っている。なかなか子供が出来ないそうだ。

 運よく君は半人半魔、私は転生悪魔でベースは人間だ。毎日やれば妊娠出来るんじゃないかと予想している。

 どちらにしろ学校を卒業出来るはずだ。その後で子供を産めば何の問題も無い。

 子供は男の子と女の子1人ずつが良いかな?さっきも言ったように私が育てるが、子供が父からの愛を望んだ時は遊んでやってくれ。

 やはり子供に父と母は必要だからな」

 

既に壮大な未来予想図まで描いているゼノヴィア。

鋼弥はついこの間までは、神の為に信じて戦った者とはお前無い豹変っぷりに驚愕していた。

悪魔に転生するとこうまで本能に忠実になるのか?

 

「ゼノヴィア、落ち付け。君の夢は解った。だが、俺では君を幸せにする事は出来ん」

 

「何故だ?私の体では不満があるのか!?」

 

「違う。もっと、自分の事を大切にするんだ。君を好いてくれる人は必ず現れるからその時まで大事に取って置くんだ」

 

俺はそう告げて、その場を立ち去るが・・・

 

「私は諦めた訳ではないからな!隙があればまた子作りをしよう!必ずだぞ!」

 

「大声で叫ぶんじゃない!!」

 

◇◆◇◆

 

プールが終わり、一誠と一緒に他の奴らが来るのを待っていた。

校門の近くに、銀色の髪の美少年が立っていた。銀と言ってもダークカラーが強い。

校舎を見上げているだけの行為だが、不思議な感じがする

それに、この気配は、確か・・・

 

「やあ、良い学校だね」

 

「え、えっと・・・まあね」

 

話し掛けられた一誠は無理矢理、笑顔を作って返答するが、鋼弥は警戒しながら銀髪の少年を睨む

 

「君はどうして、そんなに警戒心を出しているのかな?」

 

「質問を返すようで悪いが、白い龍(バニシング・ドラゴン)が何の用だ?」

 

銀髪の少年は感心してクスクスと笑う

 

「君は凄いね。流石は魔界の半魔というべきかな」

 

「鋼弥、こいつ誰なんだ?」

 

「俺はヴァーリ、白龍皇(はくりゅうこう)の≪白い龍(バニシング・ドラゴン)≫だ」

 

一誠は驚いていたのに対し、鋼弥はいつでも攻撃を仕掛ける準備をしていた

コカビエル事件の際に現れた、白銀色の鎧龍の正体が目の前にいる

何をしでかすか解らないからだ

 

「目的は何だ?」

 

「そうだな。例えば、俺がここで兵藤一誠に魔術的な物をかけたり・・・」

 

ヴァーリの手が一誠の鼻先に迫った瞬間、二本の剣が彼の首元に突きつけていた

聖魔剣を持つ祐斗と聖剣デュランダルを持つゼノヴィアだった

 

「何をするつもりか分からないけど、冗談が過ぎるんじゃないかな?」

 

「ここで赤龍帝との決戦を始めさせる訳にはいかないな、白龍皇」

 

2人はドスを効かせた声音でヴァーリに警告するが、全く動じない

逆に祐斗とゼノヴィアの方が手元を震わせ、表情を強張らせていた

 

「誇って良い。

 相手との実力差が分かるのは強い証拠だ。俺とキミ逹との間には決定的な程の差がある。

 コカビエルごときに勝てなかったキミ逹では、な」

 

視線を、一誠と鋼弥に戻す。

 

「兵藤一誠、涼刀鋼弥。キミ逹はこの世界で何番目に強いと思う?」

 

ヴァーリが突然そんな質問をしてきた

 

「この世界は強い者が多い。

 ≪紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)≫と呼ばれるサーゼクス・ルシファーでさえ、トップ10内に入らない。

 だが、1位は決まっている。不動の存在がな」

 

「悪いが俺はそんなものに興味は無いし、知りたくもない」

 

「いずれ分かる。ただ、俺じゃない。

 兵藤一誠、涼刀鋼弥は貴重な存在だ。充分に育てた方がいいぞリアス・グレモリー」

 

後ろを見てみると、リアス、アーシア、朱乃、小猫がいた

アーシアは対応に困っている様子だったが、他の3人は既に臨戦態勢だった

 

「白龍皇、何のつもりかしら?あなたが堕天使と繋がりを持っているのなら必要以上の接触は・・・」

 

「≪二天龍≫と称されたドラゴン。≪赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)≫と≪白い龍(バニシング・ドラゴン)≫。

 過去、関わった者はロクな生き方をしていないらしい。あなたはどうなるんだろうな?」

 

ヴァーリの言葉にリアスは言葉を詰まらせる

 

「今日は別に戦いに来た訳じゃない。ちょっと先日訪れた学舎を見てみたかっただけだ。

 アザゼルの付き添いで来日していてね、ただの退屈しのぎだよ。

 ここで≪赤い龍≫や魔界の半魔とは戦わない。それに、俺もやる事が多いからさ」

 

それだけを言い残し≪白い龍≫ヴァーリはこの場をあとにした。

僅かな時間だったが、鋼弥達にとっては長い時間であった。


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