ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

43 / 174
≪第4章 禍、動き出す≫
第一話 =総督と師匠と授業参観=


堕天使コカビエルの事件から数日が立ったある日。

その日は久々に仕事を休めて、公園でのんびりとしていた鋼弥

屋台のクレープの前で、二十代くらいの人がいたが≪ある気配≫を感じてその男に近づく

 

「やべ・・・財布忘れたわ」

 

「おいおい、兄ちゃん。そりゃないぜ」

 

クレープ屋のおっちゃんもあきれ顔をしていた。

すると、鋼弥がスッと1000円を出した。

 

「俺はバナナチョコ味を頼む。ついでにこの男の分を払う」

 

「毎度あり~。」

 

クレープ屋のおっちゃんは二十代くらいの男はイチゴクレープ、鋼弥にバナナチョコクレープを渡す

男はクレープをモグモグと食べて礼を言う

 

「ワリィな、助かったぜ。」

 

「・・・≪上級の堕天使≫がこんな町中にいるのか興味を持ったからな」

 

「ほぅ・・・俺の気配を感じ取るとは、中々やるな」

 

クレープを食べながらフフンッとニヒルな笑いを浮かべている男。

 

「・・・もしかすると思うが、名は?」

 

「俺はアザゼル、堕天使どもの頭をやっている。まぁよろしくな。魔界のハンターさんよ」

 

その瞬間、アザゼルの背中から、6対の12枚の黒翼が広げ、黒羽をばら蒔きながら不敵に笑っていた

 

 

◇◆◇◆

 

 

次の日のオカルト研究部・・・。

 

「冗談じゃないわ!!」

 

昨日の件に関して怒りを露わにしていたリアス。

 

「確かに悪魔、天使、堕天使の三勢力のトップ会談がこの町で執り行われるからと言って、

 突然堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害をしていたなんて・・・!」

 

リアスは怒りで身を震わせていた。

営業妨害というのは、イッセーの方にもアザゼルと出会ったようだ。

しかし、害はなかったから、良い堕天使だと思うが・・・

 

「しかも私のかわいい一誠と鋼弥にまで手を出そうだなんて、万死に値するわ!

 アザゼルは神器(セイグリッド・ギア)に強い興味を持つと聞くわ。

 大丈夫よ、二人とも。私が絶対二人を守るから」

 

前からだが、リアスは下僕の眷属悪魔を大切に可愛がるタイプのようだ

特に自分の所有物が誰かに触れられたり、傷つけられたりするのをひどく嫌うようだ。

一誠はまるで躾けられた犬のようになっている。

 

「やっぱ、俺の神器(セイクリッド・ギア)を狙ってんのかな、堕天使の総督なんだろう?」

 

一誠が不安を口にする。

当然だろうな。『白い龍』と敵対する『赤い龍』の持ち主がどんな人物なのか見に来たんだろう。

だが、一つだけ解せない部分がある。

 

「なんで、アザゼルは神器所有者では無い鋼弥にも接触をしたんだ?」

 

「・・・恐らく、契約した悪魔が使えるという所に興味を示したんだろう」

 

「しかし、どうしたものかしら・・・。あちらの動きが分からない以上、動きづらいわ。

 相手は堕天使の総督、下手に接する事も出来ないわね。」

 

「アザゼルは昔から、ああいう男だよ、リアス」

 

リアスが考え込んでいると、突然誰かの声が響いた

声がした方向へ視線を移すと、紅髪の若い男性がにこやかに微笑んでいた

リアスは膝枕している一誠の頭を落として立ち上がった

ご愁傷様、イッセー・・・

 

「お、お、お、お兄様!?」

 

「現魔王のサーゼクス・ルシファー殿か」

 

「先日のコカビエルのような事はしないよ、今回みたいな悪戯はするだろうけどね」

 

銀髪のメイド、グレイフィアも同伴しており、今日はプライベートで来たらしい

 

「やあ、我が妹よ。しかし、この部屋は殺風景だ。年頃の娘達が集まるにしても魔方陣だらけと言うのはどうだろうか・・・」

 

「お兄様はどうしてここへ?」

 

リアスが怪訝そうに訊くと、魔王様は一枚のプリントを取り出した

 

「何を言っているんだ。授業参観が近いのだろう?

 私も参加しようと思っていてね。是非とも妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」

 

サーゼクスの知らせを聞いて、鋼弥は何かを思い出しのと同時に、携帯電話が鳴り響く。

ディスプレイの表示を見ると、やはりかと思い電話に出る。

 

「もしもし」

 

(久しぶりですね、鋼弥。元気にしておりましたか?)

 

「・・・それよりも、何の用ですか?」

 

(その言い方はなんですか。授業参観があると聞いて、私が参加しようと思いましてね)

 

「そんな気遣いはいいですから・・・」

 

(遠慮はしないでください。今からそっちへ向います)

 

抗議しようとしたが、プツリッと通話が切れた

鋼弥がスタスタと、部屋から出ようとする

 

「リアス、すまないが帰る」

 

「どうしたのよ?一体何があったの?」

 

リアスが鋼弥を呼びとめるが、その最中に・・・

教室の床から魔法陣が描かれると、その中から筋肉質で、白髪のポニーテール女性が現れたのだ

鋼弥以外、その者に目を向けた

 

「ふむ、久々の地上の空気も良いですね」

 

「あらあら、どちらさまでしょうか?」

 

「・・・俺の師匠だ」

 

鋼弥が目を瞑り、溜め息を含めて答える。

 

「「「「「「えええええっ!!!?」」」」」」

 

サーゼクスとグレイフィア以外の皆は驚きの声を上げた

鋼弥の師匠は軽くお辞儀をする

 

「申し遅れました、私の名はシンディ・ハラオンです。以後、お見知りおきを」

 

「久しぶりだね、シンディ殿」

 

「これはサーゼクス殿。お久しぶりです」

 

かつての親友と再会して、フフッと笑うシンディ。

リアスはシンディに質問したのだ。

 

「サーゼクス様とはお知り合いなので?」

 

「彼女とは私が魔王に就く前に知り合った仲でね。戦友という真柄だったよ」

 

「ええ、懐かしいですね。アジュカ殿も元気ですか?」

 

「ああ、彼も元気にしているよ。相変わらず研究などに没頭しているがね」

 

和気藹々と昔の事に花を咲かせていたサーゼクスとシンディ。

と、シンディは思い出して、鋼弥の方へと近づく。

 

「鋼弥、授業参観の事だが、私は出るぞ。弟子がどれほどの勉学に励んでいるのか見る必要があるからな」

 

「御意、シンディ師匠」

 

 

◇◆◇◆

 

 

その夜。

鋼弥は一誠の家に呼ばれた。

サーゼクス・ルシファーがアザゼルについて話があるとのことだ

 

「2人とも、アザゼルに会ったそうだね」

 

「「はい」」

 

「何かされた訳ではなさそうだれど、何かは言われたのかな?」

 

「・・・『今度、改めて会いに行く』、と」

 

「右に同じく」

 

「そうか。アザゼルは神器(セイクリッド・ギア)に強い興味を持つ。

 キミのブーステッド・ギアも例外じゃないだろう。現にキミと同じ≪神滅具(ロンギヌス)≫を持つ者が彼のもとへ身を寄せている」

 

「しかし、俺の≪業魔化身≫は神器ではないが、それも興味対象として見ているのだろうか?」

 

「それは分からない。アザゼルは天界、冥界、人間界に影響を及ぼせるだけの力を持った組織の総督だ。

 利用しようとすれば多岐に亘るだろうね。しかし、彼はコカビエルの様な戦好きではない。

 過去の大戦で一番最初に戦から手を引いたのは堕天使だったぐらいだからね」

 

確かにコカビエルは自分たちのリーダーであるアザゼルを軽蔑していたような態度をしていた。

だからこそ、新たな戦争を起こそうとあんな事件を起こしたという訳か・・・。

 

「それに、鋼弥君の兄も気になる。コカビエルを倒して以来、姿を見せなくなったからね・・・。」

 

「アイツの事だ、和平を結ぶ会議に集まると思います。それに、俺の不始末で迷惑をかけてしまったから・・・」

 

「安心しなさい、私がキミ達の身の保障を約束するよ。

 せっかく伝説のドラゴンとシルバーハンターが味方に来てくれたのだから、優遇させてもらうよ。

 それに妹はキミ達の事を大切にしている。あんなに楽しそうなリアスは冥界でもそう見れなかった。

 きっと、今は毎日楽しいのだろう。それはキミ達のお陰だと私は思っている」

 

ウンウンッと頷くサーゼクス。

冥界を治める者の一人でも妹が元気にしているのが嬉しい様だ。

 

「ところでイッセーくん、鋼弥くん。話は変わるが、キミ達は女性の大きな乳が好みかい?」

 

「はい!大好きです!」

 

待て、先程のシリアス話は何処へ行った!?そして、イッセーも普通に答えるな!!

 

「・・・すまない、俺にはまだそういうのは解らん・・・」

 

「リアスの胸は兄の私から見ても豊かなものだと思う」

 

「はい、部長の・・・主のお乳さまは最高の物だと思います!」

 

「これは可能性の話なんだが、イッセーくんのブーステッド・ギアで高めた力を、リアスの胸に譲渡したらどうなるんだろうね?まあ、気にしないでくれたまえ」

 

サーゼクスがイタズラの笑みを浮かべてそう言うと、一誠の背後に雷のエフェクトが見えた気がする。

そんな事をしたら、どうなるのだろうかと真剣に考えている。

というか、自分の妹にそういう考えをするのは些か問題な気がするよ・・・。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。