ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第八話 =聖と魔の剣=

「・・・バルパー・ガリレイ。あなたを滅ぼさない限り、第二、第三の僕達が生を無視される」

 

「ふん、研究に犠牲は付き物だと昔から言うではないか。ただそれだけの事だぞ?」

 

バルパー・ガリレイ、貴方という人は・・・!!

 

「木場ァァァァァッ!フリードの野郎とエクスカリバーをぶっ叩けェェェェェッ!」

 

「祐斗、魂を込めて己の過去とエクスカリバーを叩き斬れ!!」

 

「祐斗!やりなさい!自分で決着をつけるの!エクスカリバーを超えなさい!あなたはこのリアス・グレモリーの眷属なのだから!私の"騎士"はエクスカリバーごときに負けはしないわ!」

 

「祐斗くん!信じてますわよ!」

 

「祐斗先輩!」

 

「ファイトです!」

 

一誠、鋼弥、リアス、朱乃、小猫、アーシアからも飛んでくる激励に、祐斗は大きく頷く

 

「ハハハ!何泣いてんだよ?幽霊ちゃん達と戦場のど真ん中で楽しく歌っちゃってさ。

 ウザいったらありゃしない。もう最悪。俺的にあの歌が大嫌いなんスよ。

 聞くだけで玉のお肌がガサついちゃう!もう嫌、もう限界!てめぇを切り刻んで気分を落ち着かせてもらいますよ!この四本統合させた、無敵の聖剣ちゃんでな!!」

 

「・・・僕は剣になる」

 

祐斗が一歩出て、同志逹の魂に手を添える。

あの時、達せなかった想いと願いを、いまこそ!!

 

「部長、仲間達の剣となる!今こそ僕の想いに応えてくれ!魔剣創造(ソード・バース)ッ!!」

 

祐斗の神器(セイクリッド・ギア)と魂が混ざり合い、剣を創っていく

魔の力と聖なる力の融合、神々しい輝きと禍々しいオーラを放ちながら、手元に一本の剣が完成した。

 

「禁手(バランス・ブレイカー)、双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)。聖と魔を有する剣の力、その身で受け止めるといい」

 

祐斗は『騎士』特有のスピードで走り出し、一撃を見舞う

その一撃をフリードは受け止めるが、エクスカリバーを覆うオーラが聖魔剣によってかき消される

 

「ゲッ!本家本元の聖剣を凌駕すんのか!?その駄剣が!?」

 

「真のエクスカリバーだったら勝てなかっただろうね。でも、僕と同志たちの想いは絶てない!」

 

「チィィィィ!伸びろぉぉぉぉ!!」

 

彼のエクスカリバーがうねり始め、宙を無軌道に動きながら迫ってきたが、全て防ぐ

 

「なんでさ!なんで当たらねぇぇぇぇぇぇ!!

 無敵の聖剣さまなんだろう!昔から最強伝説を語り継いできたんじゃねぇのかよぉぉぉぉ!」

 

フリードが徐々に焦りが出で来る。

今度は『透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)』の力だ。

だけど、殺気の飛ばし方を変えなければ、いくら刀身がみえなくても―――。

 

ギィイン!ギィィン!ギィィン!

 

透明な刀身と祐斗の剣が火花を散らす、彼の攻撃をすべていなした。

 

「――――ッ」

 

フリードは目元を引きつらせる。

 

「そうだ。そのままにしておけよ」

 

ゼノヴィアが介入し、右手に宙に広げる

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ・・・」

 

空間が歪みだし、その中心にゼノヴィアが手を入れる

そして、次元の狭間から一本の剣を引き出した

あの剣は、まさか・・・

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する。デュランダル!」

 

「デュランダルだと!?」

 

「貴様!エクスカリバーの使い手ではなかったのか!?」

 

バルパーだけでなく、コカビエルも驚きを隠しきれなかった

 

「残念、私は元々聖剣デュランダルの使い手だ。エクスカリバーの使い手も兼任していたに過ぎない」

 

デュランダルとエクスカリバーの二刀流を構えるゼノヴィア

 

「そんなバカな!私の研究ではデュランダルを扱える領域まで達してはいないぞ!?」

 

「それはそうだろう。人工的なデュランダル使いは創れていない。イリナや他の奴らと違って、私は数少ない天然の聖剣使い。

 つまり、最初から聖剣に選ばれた者だったんだよ。そしてデュランダルは想像を遥かに超える暴君でね。

 触れた物質を全て斬り刻むし、私の言う事もロクに聞かないから、こうして異空間へ閉じ込めておかないと危険極まりない聖剣さ」

 

「そんなのアリですかぁぁぁ!?ここに来てまさかのチョー展開!クソッタレのクソビッチが!そんな設定いらねぇんだよォォォォ!」

 

フリードが殺気をゼノヴィアに向け、枝分かれした透明の剣を放つが、

 

ガギィィィィン!!!!

 

ゼノヴィアのたった一撃で、透明となっていたエクスカリバーが砕かれた

 

「やはり、所詮は折れた聖剣か。このデュランダルの相手にもならない」

 

ゼノヴィアはつまらなそうに嘆息する。

名匠の鍛えた業物(わざもの)であり、強靭かつ鋭い斬れ味を誇り、不滅の刃と呼ばれる聖剣。

フリードはこの状況に狼藉をしたのだ

 

「マジかよマジかよマジですかよ!!伝説のエクスカリバーちゃんが木っ端微塵の四散霧散ッ!?

 これは酷い!かぁーっ!!折れた物を再利用しようなんて思うのがいけなかったのでしょうか!?」

 

殺気の弱まったフリードに祐斗が一気に詰め寄る

祐斗の聖魔剣はエクスカリバーを砕き、フリードを斬り払った

 

「見ていてくれたかい?僕らの力は、エクスカリバーを超えたよ・・・」

 

「せ、聖魔剣だと?あり得ない、反発し合う2つの要素が混じり合うなんて事はある筈がないのだ・・・」

 

表情を強張らせるバルパー。

祐斗は聖魔剣をバルパーへ向けて斬り込もうとする

 

「バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらう」

 

「・・・そうか!分かったぞ!

 聖と魔、それらを司る存在のバランスが大きく崩れているとするならば説明はつく!

 つまり、魔王だけではなく神も―――――」

 

ドスッ!!!!

 

光の槍がバルパーの腹を貫いた。

そして、口から血を吐きだすとその場に倒れ付した。

 

「お前は優秀だったよバルパー。だがな、俺はお前がいなくとも最初から一人でやれる」

 

そして宙に浮かぶコカビエルが嘲笑っていた。

 

「ハハハハ!カァーーーハッハッハッ!!」

 

哄笑を上げて地に降り立つ堕天使の幹部コカビエル。

ビシビシと感じるこの殺気。

 

「とうとう、大将のお出ましか」

 

「お前が、お前が・・・イリナをやったんだな!?」

 

「あの教会の小娘か?俺に敵対した報いだ。それに力がないやつはああなって当然だ」

 

「ふざけんなぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

『Boost!!』

 

イッセーはブーステッド・ギアを身に付け、力を倍増させるとコカビエルに向かって

『ドラゴン・ショット』を放つがコカビエルは翼で弾いたのだ

 

「こんなものか、赤龍帝の力は・・・?」

 

「雷よ!!」

 

朱乃が加勢するように天雷をコカビエルに向けて放った。

しかし、彼女の雷はコカビエルの黒い翼の羽ばたき一つで消失した。

 

「俺の邪魔をするか、バラキエルの力を宿すもの」

 

「私を・・・あの者と一緒にするな!!」

 

朱乃はらしくないように激しく反応し、

再び雷の砲撃を放ったが全てコカビエルの翼に薙ぎ払われてしまう

 

(バラキエルと言えば、堕天使幹部一人で"雷光"の二つ名を持つ堕天使。ずっと気になっていたが朱乃の正体は・・・)

 

「ハハハ!全く愉快な眷属を持っているな?リアス・グレモリーよ!!

 赤龍帝、禁手に至った聖剣計画の成れ果て、そしてバラキエルの力を宿す娘!

 お前も兄に負けず劣らずのゲテモノ好きのようだ!!」

 

「兄の、我らが魔王への暴言は許さない!!何よりも私の下僕への侮辱は万死に値するわ!!」

 

「「はぁああああああっ!!」」

 

祐斗の聖魔剣、ゼノヴィアのデュランダルで斬りかかるが、

難なく防がれ拳を入れられ、二人は吹き飛ばされる。

 

「仕えるべき主を亡くしてまで、お前達は神の信者と悪魔はよく戦う」

 

「・・・どういうこと?」

 

リアスが怪訝そうな口調で訊く。

コカビエルは大笑いしながら話を続けた。

 

「フハハ、フハハハハハ!そうだったな!お前達下々まで真相は語られていなかったようだな?

 ついでだ、教えてやるよ。先の三つ巴の戦争で四大魔王だけでなく、神も死んだのさ!!」

 

「なん・・・ですって・・・」

 

「戦後、残されたのは神を失った天使、魔王全員と上級悪魔の大半を失った悪魔、そして、幹部以外のほとんどを失った堕天使。

 どこの勢力も人間に頼らねば種の存続ができなくなったのだ」

 

「うそだ・・・そんなの、うそだ・・・」

 

真実を突き付けられたゼノヴィアは力が抜けて項垂れる。

アーシアもショックを受けたのか気を失い、倒れそうになったがイッセーがギリギリの所で受け止めた。

 

「アーシア!しっかりしろ!アーシア!」

 

「俺は再び戦争を始める!これを機に!!おまえたちの首を土産に!俺だけでもあの時の続きをしてやる!

 我らが堕天使こそが最強だとサーゼクスにも、ミカエルにも!!フフフッ・・・ハーッハハハハハハハハハ!!」

 

「・・・言いたい事はそれだけか?」

 

「なに?」

 

「貴様は自分の欲望の為に、多くの人の幸せと笑顔を奪う気ならば、貴様を倒す!!」

 

強大な魔力と怒りを溢れだし鋼弥は、業魔化身を発動させようとするが・・・

 

パチパチッ――

 

拍手が響き渡る。

皆はその方向を見ると、驚くべき人物が其処に居た。

 

「・・・全く、相変わらずの正義論だ、鋼弥」

 

ライザーを完膚無きに叩きのめした――――涼刀嶺爾だ。

 

「お前、何故ここに・・・!?」

 

「結界の事か?確かに強力だったが・・・ダッキの力で持ってすれば造作もない事だ」

 

そうだ。

ダッキはありとあらゆる術を会得している大妖狐。

結界の構造さえ調べてしまえば、簡単に侵入するといわけか。

 

―――最悪な状況だ。

 

前門には堕天使コカビエル、後門は涼刀嶺爾だ

いや・・・この場で一番の脅威は嶺爾だろう

鋼弥は嶺爾と対峙し、リアス達に話しかける

 

「嶺爾は俺が相手をする、その隙にコカビエルを・・・」

 

「・・・何を勘違いをしているんだ?今回は貴様たちとは戦わん」

 

嶺爾はスッと指を指す、その方向はコカビエルだ。

 

「グリゴリの堕天使コカビエルは、俺が倒す」

 

不敵な笑みをし、宣言するのだった。


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