ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第六話 =再戦!!フリード・セルゼン=

「・・・今日も収穫はなし、か」

 

破壊団を結成してから、数日が過ぎた。未だにフリードを見つけていない。

因みに、今の俺達は神父やシスターの格好をしている。

そうじゃないと、悪魔祓い狩りをしているフリードを見つけることはできない。

 

「なぁ、一誠・・・。そろそろ部長たち気づいているんじゃないか?」

 

「ああ。俺達の行動が気づかれるのは時間の問題だな」

 

そんな事を話していた時、祐斗と鋼弥は歩みを止めた。

ビシビシと感じる殺意・・・。

 

「上だ!」

 

匙が叫んだ、全員上を見上げると神父が長剣を振り下ろしながら降ってきた。

 

「神父の一団にご加護あれってね!」

 

ギィィィィィン―――!!

 

祐斗が素早く魔剣を取り出して、フリードの一撃を防いだ。

鋼弥はフリードの顔面に蹴りを入れようとしたが、避けられた。

 

「むっ、避けられたか」

 

「三度も同じ手はくらいませんよーだ!!

 ほうほう、イッセーくんに鋼弥くんですか、これまた珍妙な再会劇ですなぁ

 この前のリベンジといきましょうか!!」

 

「ああ、今度ばかりは手加減はしない」

 

鋼弥は召喚の陣を描くと、風が吹いて風の渦に飲まれるとスィームルグへと変身した。

 

【さて、久々の登場だから張り切って行くよ!!】

 

「あれが、鋼弥の"業魔化身"という奴か・・・」

 

初めて見る匙は鋼弥の能力に驚く、フリードは口笛を吹いて構える。

 

「いいねぇ、その美しい羽根をバラバラに刻む姿が目に浮かぶねぇ!!」

 

【ほぉ・・・人間如きが偉くほざいたな】

 

スィームルグの周りに風が渦巻き、今にも風刃を放つ雰囲気だ。

所が、不穏な空気が襲ってきた。

スィームルグはその場所を察知すると魔界の瘴気が溢れだし、召喚の陣が出現したのだ。

そこから、二本の刀を持った骸骨兵士、馬の頭を持った獣人、牛の頭を持った獣人が出現したのだ。

 

「な、何だこいつ等は!?」

 

【妖鬼トゥルダク、妖鬼メズキ、妖鬼ゴズキ、地獄の鬼どもか・・・】

 

「なんで、こんな忙しい時に来るんだよ!!」

 

【魔界の悪魔どもには我々の事情に関係なく襲ってくるからね】

 

「わぁお!!なんというスペシャル・ゲスト!!いいねぇ、いいねぇ、盛り上がって来たぜぇ!!」

 

【祐斗、イッセー、匙はフリードを頼む。私と小猫は獄卒の鬼どもを相手にする】

 

「おっし、解った!!」

 

「気を付けろよ!ブーステッド・ギア!」

 

『Boost!!』

 

匙とイッセーは祐斗の所へ加勢しに行き、スィームルグと子猫は獄卒の鬼たちと向き合う。

 

【さて、私はゴズキとメズキを相手にするが、小猫はトゥルダクを頼みたいが大丈夫か?】

 

「・・・問題ありません」

 

腕をグルグルと回してやる気の現れを出す小猫はトゥルダクと対峙する

メズキは鼻息を荒くし、槍を振り回す

 

【ヒヒーン!!俺たちを相手に勝てると思ってんのかぁ!?】

 

ゴズキも鼻息を荒くし、斧を地面に叩き付ける

 

【ブモーッ!!なめんじゃねぇぞ!!ゴルァ!!】

 

ゴズキは斧を横に振りかざすがスィームルグは上へと跳び、顔面蹴りをする

メズキは槍を振り回して、串刺ししようとかかるが、これをヒョイヒョイと避ける

蹴飛ばしたゴズキが起き上り、足を掴みスィームルグを地面に叩き付けようとするが・・・

 

【甘いっ!!】

 

身体を回転させると、ゴズキも回転し地面へと叩きつけられる

一方の小猫は、トゥルダクと相手にしている

振り翳してくる剣を避けて、反撃のパンチを入れる

 

「・・・遅いです」

 

【調子に乗るな、マグナス!!】

 

剣を地面に叩くと岩の破片が小猫に降り注がれる

子猫は大きめの岩をキャッチし、それを投げ返すがトゥルダクは避ける

 

【ちっ!!小さいくせにやるな、小娘】

 

「・・・小さい?」

 

小猫の禁句を言ってしまったトゥルダクは、拳を鳩尾に打ち込まれた

 

【グオッ!?何処から、こんな力が!?】

 

「・・・フン」

 

更に、腹に回し蹴りを入れて、吹き飛ばし、ワンバウンドに叩きつけられて転がりながら倒れた。

だが、トゥルダクは何事も無かったかのように起き上がり、剣で頭を拾い上げて付けたのだった。

 

【よくも、やりおったな・・・。回転斬り!!】

 

トゥルダクは駒の様に回転しだし、小猫へと襲い掛かる

小猫は避けつつも反撃の糸口を探すが、迂闊に近寄れなく追い詰められていく

 

【小猫・・・!!】

 

【よそ見している暇はねぇぞ!!】

 

ゴズキとメズキの猛攻を回避するスィームルグ。

流石にバカげた体力と頑丈さを誇る妖鬼族に物理攻撃は通用しない。

 

【其処を、どきな!!真空刃!!】

 

羽根を広げて、風の刃を放ちメズキとゴズキを切り刻む

二体は血を噴き出しながら倒れていく。

直ぐに小猫を助けようと、低空飛行をする。

 

【死ねッ!!】

 

「っ!!」

 

剣の刃が振り下ろされて、小猫に迫る。

スィームルグは鉤爪でトゥルダクを鷲掴みをして地面に思いっきり叩き付ける

 

ゴガシャン――!!

 

割れる音が響き渡ると、トゥルダクは粉々に砕けていた。

獄卒の鬼たちは光の粒子となり、消え去った

スィームルグは一息つき、小猫の安否を確認する

 

【大丈夫だったかい?】

 

「はい、大丈夫です。ありがとうございます」

 

【さて・・・一誠たちを援護するよ!!】

 

 

◇◆◇◆

 

 

「ンフフフ~。こいつで斬られると悪魔くんは消滅確定ですぜぇ?

 死んじゃうよ!死んじゃうぜ!死んじゃえよぉぉぉ!!」

 

フリードは聖剣を振りかざして祐斗を追い詰めてゆく。

このままでは、やられてしまう!!その時、一誠に浮遊感が襲う

それは、小猫は一誠に近付き、豪快に持ち上げていたのだ

スィームルグは風向きと角度をチェックしていた

 

【風向きよし、角度よし、思いっきり投げな!!】

 

「・・・イッセー先輩。祐斗先輩を頼みます」

 

大きく振りかぶって・・・一誠を投げ飛ばす!!

 

ブゥゥゥゥン!

 

「うおおおおおおっ!小猫ちゃぁぁぁぁん!」

 

一誠は悲鳴をあげながら、祐斗へ一直線に飛んでいく

そして『Transfer!!』と言う音声が発せられ祐斗と接触する

ブーステッド・ギアの能力の≪赤龍帝からの贈り物≫が祐斗に魔力を与えた

 

「・・・もらった以上は使うしかない!"魔剣創造(ソード・バース)"ッ!」

 

祐斗の創る魔剣が路面、電柱、壁など、あらゆる場所から剣が出現する

更に神速で縦横無尽に動き回り、魔剣を次々とフリード目掛けて飛ばす

 

「うははは!これは面白サーカス芸だね!

 だ~け~ど、俺様のエクスカリバーは『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』!

 速度だけなら負けないんだよッ!」

 

フリードの聖剣の切っ先がブレ出し、神速で飛んでくる及び周囲の魔剣を全て破壊していく

最後は祐斗が両手に持っていた魔剣を粉々にして、聖剣を振り下ろそうとした

 

「やらせるかよ!」

 

サジが自身の手の甲に装備しているトカゲの顔らしき物の口から伸ばした舌を引っ張る

フリードの体が引っ張られて体勢を崩す

更にトカゲの舌が淡い光を放ち、それがサジの方へ流れていく

 

「・・・これは!クッソ!俺っちの力を吸収するのかよ!」

 

「へっ!どうだ!これが俺の神器!『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』だ!

 こいつに繋がれた以上、お前さんの力は神器に吸収され続ける!そう、ぶっ倒れるまでな!」

 

なるほど、一誠と同じドラゴン系の神器の持ち主だったのか。

しかし、妙な気配だ。匙の神器は幾つにも分けられているような感じがする。

 

「木場!!文句は言ってられない!! エクスカリバーよりもソイツは物凄く危険な感じがする!!

 このまま放置してたんじゃ、会長たちにも被害がありそうだ!!俺の神器で弱らせているから、一気に叩け!!」

 

「・・・不本意だけど、ここでキミを始末するのには同意する。

 奪われたエクスカリバーはあと二本ある。そちらの使い手に期待させてもらうよ」

 

「キヒヒヒ、いいのかな~?

 俺を倒した瞬間、満足な相手はいなくなるってことでございますよ!

 殺したら満足できる聖剣バトルはなくなるぜ?」

 

フリードの言葉に迷いが生じ止めを躊躇う祐斗

その時、第三者の声が響く

 

「ほう、魔剣創造か。使い手の技量次第で無類の力を発揮する神器か」

 

声の方を向くと神父の格好をした初老が立っていた。

 

「・・・バルパーのじいさん」

 

あの神父が木場たちを処分した神父か・・・

こんな所で出くわすとは、なんという偶然だろうか

 

「何をしているんだ?フリード」

 

「じいさん、この訳の分からねぇトカゲくんのベロが邪魔で逃げられねぇんスよ!」

 

「なら、聖なる因子を篭めろ。そうすれば切れ味も上がる」

 

説明を受けたフリードは聖剣に力を込めると輝きが増した。

切れ味の増した聖剣で匙の神器を断ち切った。

 

「しまった!!」

 

「逃げさせてもらうぜ!次に会う時こそ、最高のバトルだ」

 

捨て台詞を吐くフリードだが・・・

 

「逃がさん!」

 

ギィィィィィン―――!!

 

フリードの聖剣と火花が散らす。ゼノヴィアとイリナが駆けつけていた。

 

「やっほー、イッセーくん」

 

「イリナ!」

 

「フリード・セルゼン!バルパー・ガリレイ!神の名の下断罪してくれる!!」

 

ゼノヴィアがそう言うとフリードがしかめっ面をして言い返した。

 

「俺の前で憎ったらしい神の名を出すんじゃねえ!

 バルパーのじいさん!ここは引くぜ!!コカビエルの旦那に報告だ!!」

 

「致し方あるまい」

 

そう言うとフリードは閃光玉を地面にぶつけ視界を奪ったその隙に消えていた。

 

「追うぞ、イリナ!!」

 

「うん!!」

 

「僕も追わせて貰おう!逃がさないぞ!バルパー・ガリレイ!!」

 

三人はあっという間に、フリードとバルパーの後を追う

 

「鋼弥先輩、どうします・・・?」

 

「ここは、リアスとソーナに協力してもらうしかないな・・・」

 

「そ、それだけは勘弁してくれ!!このことがソーナ会長にばれたら俺は確実に殺されるぅぅぅ!!」

 

「・・・残念だが、囲まれているな。怖いお嬢さんたちに」

 

「「えっ?」」

 

「こんな夜中に何をしているのかしら?」

 

「全く、困った子たちですね」

 

イッセーと匙が壊れたブリキ人形見たく振り向くとリアスとソーナが仁王立ちで立ってた。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「エクスカリバーの破壊って、貴方達ね・・・」

 

額に手を当て、極めて機嫌がよろしくない表情のリアス

イッセー、子猫は正座させられていた。

 

「サジ、貴方まで勝手な事をしていたのですね?」

 

「す、すみません、会長・・・」

 

サジはガクガクと震えながら土下座している。

本当にソーナが怖いという訳か・・・。

 

「鋼弥、冷静な貴方ならどうして止めなかったのよ?」

 

「俺達はどうしても祐斗を助けたかったんだ。こんな事をするのは大きな影響を与えるリスクは承知の上だ」

 

「・・・祐斗先輩がいなくなるのが嫌です・・・。」

 

リアスはため息をついて、ニコッと笑う

 

「・・・使い魔を祐斗探索に出させたから発見次第、部員全員で迎えに行きましょう。いいわね?」

 

俺たちは同時に頷く。

さて、あちらの方は・・・うわ、酷い事になっている

 

ベシッ!!ベシッ!!ベシッ!!ベシッ!!

 

「会長、許して下さぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」

 

「ダメです。お尻を千叩きです」

 

よく見ると手に魔力がこもっている、あれは肉体的にも精神的にも痛そうだ・・・。

リアスの方を見ると、手に魔力がこもっている。

 

「さてと・・・イッセー、鋼弥、尻を出しなさい。下僕の躾は主の仕事。あなた達も尻叩き千回よ♪」

 

イッセーは「終わった」という顔をしているが、鋼弥はため息をつく

 

「悪いが下僕になった覚えは無いから、尻叩きは無効だ」

 

「そんな理由が通ると思うのかしら?」

 

「無理矢理、通らせてもらうよ」

 

リアスは駆け出して、鋼弥の背後へと回り尻へと叩きこもうとするが、

鋼弥はその一撃を避けて、リアス達とは反対の方向へと着地した。

 

「・・・まだまだ、だね。」

 

フッと不敵に笑い、姿を消した。

 

「・・・いつか本当に解らせないといけないわね」

 

リアスから紅いオーラを立ち上らせていた。

今なら、どんな悪魔でも逃げだしそうなくらいだ。

 

「鋼弥がいなくなってしまったから・・・イッセーの番ね♪」

 

その日、俺の尻は死んだ・・・。鋼弥の奴、覚えていろよぉぉぉぉ!!


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