ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第三話 =教会からの使者=

祐斗の過去、聖剣計画、過去に教会達が行った非道の数々。

盲目的に信じてきた信者は悪魔を滅ぼす為に非人道的な行いは平気でする。

教会に行けば何か手掛かりが得られるかと思うが、リアスは絶対に近づくなと言われた。

だが、そんな事を気にしても仕方ない。

祐斗があんなに悩んでいるのを黙っている訳にもいかない・・・。

 

(さて、どう調べるか・・・)

 

「神のご加護を受けに来たのですか?」

 

背後から聞こえてきた声の主は、白いローブを羽織った青い髪の女性。

もう一人は同じローブを羽織る栗毛の女性だった。

二人の首には十字架を下げている。

 

「いや・・・立ち寄っただけだ」

 

そう言って立ち去ろうとするが、袋に入った物から聖なる力を感じ取る。

 

「イリナ、この男から悪魔の波動を感じる」

 

青髪の女性が袋から何かを取り出す。それは悪魔の滅ぼす武器―――"聖剣"だ。

 

「滅せよ悪魔」

 

そう言うと同時に青髪が聖剣を持って斬りかかってくるが、鋼弥はバック転して回避した。

 

「問答無用で斬りかかってくるか・・・」

 

「相手が悪魔なら容赦はしない。今すぐ神の名のもとに断罪してやる」

 

鋼弥はため息をついて、キッと睨む。

 

「神か・・・。法の犬どもはそればかり、神を盲目的に信じるとは哀れだな」

 

スッと構えだして、淡々と喋れる

 

「俺は、神を信仰したくなしする気もない。特に、自分たちにとって邪魔になる者たちを追放する様な真似をする神は大嫌いなんだよ」

 

「何だと!貴様、神を愚弄する気か!!」

 

「なんて愚かな悪魔なの!神よ!この悪魔に聖なる裁きを!」

 

「裁ける物なら裁いてみろ、女だからと言って容赦はしない・・・!」

 

そう言いながら、鋼弥は相手の間合いに入り、青い髪の女性に正拳中段突き、二連の手刀鎖骨打ち、二連の正拳中段突きと撃ち込み、右足で蹴り飛ばす。

しかし、蹴られる直前に剣でガードしていた。

 

「悪魔なのに中々、やるな・・・」

 

「こう見えても、色々と鍛えているんでね。このまま、戦うのも良いが・・・」

 

スッと鋼弥は拳を降ろした。

 

「どういうことだ・・・?」

 

「・・・興味が失せた」

 

背を向けて、立ち去ろうとするが・・・青い髪の女性に呼び止められた。

 

「待て!!・・・貴様の名は?」

 

「自分から名乗る方が礼儀ではないのか?」

 

「・・・私の名はゼノヴィア。こっちが紫藤イリアだ」

 

「涼刀鋼弥、通りすがりのハンターだ」

 

鋼弥は今度こそ、二人の前から立ち去った―――――。

 

「あっ!!待ちなさいよ!!ゼノヴィア、追い掛けて・・・」

 

「待てイリナ。追うのは危険だ・・・」

 

「な、なんでよ・・・?」

 

「一瞬だったが、あの男から底知れぬ怒りを感じた。奴には幾つ物の魔の者たちが宿している・・・」

 

 

◇◆◇◆

 

 

後日。オカルト研究部へ入るが、そこには見慣れた部活メンバーと・・・

 

「む?貴様は・・・」

 

「あー!!アンタはあの時の!!」

 

あの時、教会前で出会ったゼノヴィアとイリナに出くわした

 

「鋼弥、知ってるの?」

 

「・・・昨日、教会で出会ったと言えばいいかな」

 

「教会に行った!?何でそんな事をしたのよ!?」

 

「部長の話を聞いて、教会に何かあるのかと思い調べていたら・・・あの二人と出会ってしまったんだ」

 

「もう・・・これ以上問題を起こさないでよ。」

 

「あの時の拳は中々、良い筋をしていたぞ。悪魔だけどな」

 

「・・・それはどうも。言っておくが俺は半分は人間の血は流れている。悪魔扱いをするのはやめて欲しい」

 

少し不機嫌そうな顔になる鋼弥。

 

「それで、ここに来た理由は?悪魔祓いさん」

 

朱乃が二人に要件を聞きだす。

 

「それは・・・教会から聖剣エクスカリバーが三本奪われたんです。」

 

エクスカリバーは大昔の戦争で折れたが、その破片を拾い集めて錬金術によって新しく八本のエクスカリバーが作られた。

 

ゼノヴィアが持っているのはカトリックが管理している""破壊の聖剣"("エクスカリバー・デストラクション")"。

 

イリナが持っているのはプロテスタントが管理している""擬態の聖剣"("エクスカリバー・ミミック")"。

 

それらを含む八本のエクスカリバーはカトリック、プロテスタント、正教会でそれぞれ管理されているのだが・・・、その内の三本が盗まれ、犯人はこの地に持ち運んだらしい。

エクスカリバーを奪ったのは犯人は、"神の子を見張る者"、堕天使の幹部コカビエル。

古の戦いから生き残っている猛者だった。

 

「私達の依頼、いや、注文とは・・・。

 堕天使のエクスカリバー争奪の戦いにこの町に巣食う悪魔が一切介入してこない事。

 つまり、そちらに今回の事件に関わるなと言いに来た」

 

「自分たちの手で、始末をつけると言う訳か・・・。

 たった2人だけで堕天使の幹部からエクスカリバーを奪い返すのは無謀過ぎる。

 死ぬと解っているのか?」

 

「そうよ」

 

「私もイリナと同意見だが、出来るだけ死にたくはないな」

 

「・・・死ぬ覚悟でこの日本に来たというの?相変わらず、あなた逹の信仰は常軌を逸しているのね。」

 

「我々の信仰をバカにしないでちょうだい、リアス・グレモリー。ね、ゼノヴィア」

 

「それに教会は堕天使に利用されるぐらいなら、エクスカリバーを破壊しても構わないと決定した。

 私達の役目は最低でもエクスカリバーを堕天使の手からなくす事だ。

 そのためなら、私達は死んでもいいのさ。エクスカリバーに対抗出来るのは同じエクスカリバーだけだよ。」

 

神を盲目的に信仰している者たちだからこそ、こういう事を言うか・・・。

なんとも浅ましく愚かな考えだ。命を何だと思っているんだ。

会話が途絶したところでイリナとゼノヴィアは帰ろうとしたが、アーシアに視線を集中させた

 

「もしやと思ったが、魔女のアーシア・アルジェントだな?まさかのこの地で会おうとは」

 

その言葉を聞いて、アーシアは身体を震わせていた。

イリナもそれに気づいてマジマジと見る。

 

「あなたが、噂になっていたと言う元聖女さん?

 悪魔・堕天使も癒す力を持っていたらしいわね?

 追放されてから、何処かに流れたと言うけど、悪魔になるなんてね・・・。」

 

「・・・あ、あの・・・わ、私は・・・」

 

「聖女と呼ばれていた者が堕ちるところまで堕ちたものだな。まだ我らの神を信じているか?」

 

「ゼノヴィア、悪魔になった彼女が主を信仰している筈はないでしょう?」

 

「いや、その子から信仰の匂い、香りがする。

 抽象的な言い方かもしれないが、私はそういうのに敏感でね。

 背信行為をする輩でも罪の意識を感じながら、信仰心を忘れない者がいる。

 それと同じものがその子から伝わってくるんだよ」

 

「そうなの?アーシアさんは悪魔になったその身でも主を信じているのかしら?」

 

「・・・捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから・・・」

 

「そうか。それならば、今すぐ私達に斬られるといい。

 今なら神の名の下に断罪しよう。

 罪深くとも、我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださる筈だ」

 

その言葉を聞いた、一誠はアーシアを庇うように立った

 

「アーシアに近づいたら、俺が許さない。あんた、アーシアを魔女だと言ったな?」

 

「そうだ。少なくとも今の彼女は聖女ではなく魔女と呼ばれるだけの存在ではあると思うが?」

 

「ふざけるなッ!救いを求めていた彼女を誰一人助けなかったんだろう!?

 アーシアの優しさを理解出来ない連中なんか、ただのバカ野郎だ!

 友達になってくれる奴もいないなんて、そんなの間違っている!」

 

「聖女に友人が必要だと思うか?大切なのは分け隔てない慈悲と慈愛だ。

 他者に友情と愛情を求めた時、"聖女"は終わる。

 彼女は神からの愛だけがあれば生きていけた筈なんだ。

 最初からアーシア・アルジェントに"聖女"の資格は無かったのだろう」

 

ビシッ――!!

大きな音が響き、全員が見ると鋼弥の足元に亀裂が入っていた。

そして、瞳が赤く輝いている

 

「お前たちも見限られたら今と同じ言葉が言えるのか?

 もしも、神がいるのなら、この少女を助けるなら俺は神を信じてたかもしれない。

 たった一人の少女を救う事が出来ない神は・・・神である資格はない!!」

 

「な、なんですって!?今のは神に対して最大級の侮辱よ!!」

 

「それは私達に対する挑戦と受け取って良いんだな・・・?」

 

「ああ、その通りだ。」

 

「鋼弥、お止め・・・っ!?」

 

リアスは鋼弥を止めようとしなかった。

なぜなら、鋼弥の顔を見て・・・恐ろしいほどの怒りを見せていたからだ。

朱乃、子猫、祐斗は今の鋼弥の顔を見て覚えている。

それは・・・兄の嶺爾と対峙した時と同じ顔だった。

 

「リアス、止めようとするな。こういう頭の固い連中には負けないと解らないよ」

 

「貴様っ!これ以上の愚弄は許せん!表に出で戦え!」

 

「ああ、良いだろう・・・」


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