ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第二話 =球技大会と聖剣計画=

さて、球技大会が始まった。

一番の注目ともいえるテニス試合、支取とリアスの対決が始まる

 

「おくらいなさい!支取流スピンボール!」

 

「甘いわ!グレモリー流カウンターをくらいなさい!」

 

両者激しい、打ち合いが始まる。

先に得点を取ったのは会長の方だった。

 

「やるわね、ソーナ。さすが私のライバルだわ」

 

「うふふ、リアス。負けたほうが小西屋のトッピング全部つけたうどんを奢る約束、忘れてないわよね?」

 

「ええ、私ですらまだ試していないそれを先を越されるなんて屈辱だわ。絶対に私が勝たせてもらう!私の魔動球は百八式まであるのよ?」

 

「受けて立つわ。支取ゾーンに入ったものは全て打ち返します」

 

あの二人、上級悪魔なのにそんな賭け事をしてたのか。

結局、勝負はつかず同位優勝という形で終わった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「皆!これを巻いてチーム一丸になろうぜ!」

 

もうすぐ部活対抗戦が始まろうと言う時に、急にイッセーが数枚の長い布を取り出した。

≪オカルト研究部≫と刺繍が施されている鉢巻きだった。

 

「あら、準備がいいのね」

 

「全部手作りか?」

 

「うん、イッセーって以外に器用ね。うまく出来てるわ。」

 

「実はこっそり練習してました」

 

テヘヘッと照れて笑う一誠

 

「・・・予想外の出来映え」

 

子猫も好評の様だ。

 

「あらあら、たしかに他の部活動のチームではチーム一丸になるためのアイテムを着用していますわね。」

 

「そうです、朱乃さん!そんなわけで俺も作ってみました!」

 

というわけで、額に鉢巻きを巻く。

なんだか闘志が上がったような気がする。

 

「ほら、木場」

 

「・・・うん。ありがとう」

 

「・・・いまは勝つことに集中しろ」

 

「・・・勝つか。そうだね・・・・・・。勝つことが大事だ」

 

・・・何やら様子が変だな?

 

 

◇◆◇◆

 

 

「狙え!兵藤一誠を狙うんだ!」

 

「うおおおおおっ!てめぇら、ふざけんなぁぁぁぁ!」

 

イッセーが必死に飛んでくる剛速球を避けている。

球技大会の部活対抗戦。

種目はドッジボールで初戦の相手は野球部。開始早々何故かイッセーだけが狙われていた。

 

リアス―――駒王学園の二大お姉様の一人。大人気の学園アイドル。当てられない。

 

朱乃―――リアスと同じく二大お姉様の一人。学園のアイドル。当てられない。

 

アーシア―――二年生ナンバー1の癒し系美少女。しかも金髪。当てられない。

 

小猫―――学園のマスコット的なロリ美少女。当てたらかわいそう。

 

祐斗―――全男子の敵だが、当てたら女子に恨まれる。当てられない。

 

鋼弥―――同じく全男子の敵だが、当てたら女子に恨まれるか、カウンターを喰らいそうで怖い。

 

一誠―――アーシアを独り占めしているのはおかしい!当てても問題ないだろう。いや、当てるべきだ!

     エロ三人組の一人出し当てても文句は言われない!死ね!ヘッドショットで行くぜ!ブッ殺してやる!

 

こんな感じで、恨みごとの念が聞こえる。

更にギャラリーからは一誠の「死ね死ねコール」が響く。

どんだけ、一誠が嫌いなんだよ・・・。

 

「イッセーにボールが集中しているわ!

 戦術的には『犠牲(サクリファイス)』ってことかしらね!これはチャンスよ!」

 

それは一誠を囮にして斬り捨てる様な物じゃないか?

思いつつも、相手の数を着実に減らす。

すると豪胆な野球少年が・・・祐斗に狙いを定めていた

 

「恨まれても良い!!イケメン、覚悟ぉぉぉ!!」

 

ボールが祐斗に当たりそうになるが、鋼弥はすかさずボールをキャッチして、投げ返した。

投げた相手は顔面に直撃しのびた。

 

「・・・祐斗、どうしたんだ?」

 

「・・・」

 

この頃の祐斗はなんだか上の空だった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

雨の音に混じって乾いた音が響く、祐斗がリアスに叩かれたからだ。

今日は球技大会で、競技はオカルト研究部の優勝に終わったのだが祐斗だけは協力的じゃなかった。

いつもの事だったら回避して反撃するのに今回は"心、ここにあらず"という感じが続いていた。

リアスに叩かれても祐斗は無表情だった。

 

「もういいですか?球技大会も終わりました。

 球技の練習もしなくていいでしょうし、夜の時間まで休ませてもらってもいいですよね?

 少し疲れましたので普段の部活は休ませてください。

 昼間は申し訳ございませんでした。どうにも調子が悪かったみたいです」

 

「木場、お前マジで最近変だぞ?」

 

「・・・君には関係ないよ。」

 

「俺はお前の事が心配で・・・」

 

「心配?誰が誰をだい?

 基本、利己的なのが悪魔の生き方だと思うけど?

 まあ、主に従わなかった僕が今回は悪かったと思っているよ」

 

「チーム一丸でまとまっていこうとしていた矢先でこんな調子じゃ困る。

 この間の一戦でどんだけ痛い目に遭ったか、俺ら感じ取った事だろう?

 お互い足りない部分を補うようにしなきゃこれからダメなんじゃねぇかな?

 仲間なんだからさ」

 

一誠の言葉に祐斗は陰りの表情を見せる

 

「仲間、か・・・」

 

「そう、仲間だ」

 

「君は熱いね、・・・イッセーくん。

 僕はね、ここのところ、基本的な事を思い出していたんだよ」

 

「基本的な事?」

 

「ああ、そうさ。僕が何のために戦っているかを」

 

「リアス部長のため、じゃ無さそうなのは顔を見て分かった。じゃあ何のために?」

 

「僕は復讐のために生きている。"聖剣エクスカリバー"、それを破壊するのが僕の戦う意味だ」

 

この時、一誠と鋼弥は初めて、祐斗の本当の顔を見た

まるで――復讐鬼という感じだった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「聖剣計画?」

 

「そう、祐斗は聖剣計画の生き残りなの。祐斗は、まだ忘れていなかったのね・・・」

 

一誠の家で祐斗の過去を話すリアス。アーシア、鋼弥、朱乃、子猫も同席している。

 

「数年前まで、キリスト教内で聖剣エクスカリバーをが扱える者を育てる計画が存在したの。

 聖剣は対悪魔にとっては最大の武器、私たち悪魔が触れたら、たちまち身を焦がし斬られれば消滅させられる。

 神を信仰し、悪魔を敵視する使徒にとっては究極とも言える兵器よ」

 

「一つ気になる点があるのだが、祐斗は魔剣を作り出す神器の能力者だが・・・反対に聖剣を創り出す神器も存在するのか?」

 

「ないわけじゃないわ。現在する聖剣と比べるといまのところ、聖なる神器はいまひとつという感じね。

 でも、弱い訳じゃないわよ?一誠の神器は"神滅具"と呼ばれる代物なのよ。

 イエス・キリストを刺した者が持っている神器――黄昏の聖槍(トウルー・ロンギヌス)が有名ね。

 神滅具の代名詞となったとも言われているわ」

 

(黄昏の聖槍)

 

魔界では、その槍を手にした者は、世界の覇者になれると言われている伝説の武器。

ただ、イエス・キリスト磔刑の際に槍を刺したローマ兵で、その際に使われたとされる槍がロンギヌスの槍と呼ばれている。

盲目だったがイエスの血が眼に入り視力を取り戻し、このことから彼は改心、その後洗礼を受けたとされる。

 

「じゃあ、木場は・・・聖剣を使えるんですか?」

 

一誠の質問に、リアスは首を横に振るう。

 

「彼は聖剣に適応できなかったわ・・・。

 それどころか、祐斗と同時期に養成された子たちも全員適応できなかった・・・。

 教会関係達は聖剣に適応できなかった、という理由で殺されたわ」

 

「そ、そんな・・・。主に仕える者たちがその様な事をするなんて・・・。」

 

アーシアはその事を聞いて目元を潤ませていた。

無理もない、自分が信じていた者が裏切られたショックは大きいだろう。

一番恐ろしいのは堕天使や悪魔では無い、人間の悪意だろう。

彼らは、発展の為に自然を汚し、破壊する、同族同士の争いのために多くの兵器を作り出した。

 

「じゃあ、部長と木場が出会ったのは・・・・」

 

「その時にね、あの時の祐斗は瀕死の中、強烈な復讐を誓っていたわ。

 あの子の剣の才能を生かす為に悪魔としての生を有意義を使って貰いたかったけど・・・

 どうやら、忘れてはいなかったようね・・・」

 

祐斗が聖剣で思い出した切っ掛けは一誠のアルバムの写真を見ていた事だ。

一応、一誠の身内には教会の関係者はいなかったようだ。

今夜はここで、お開きとして、俺と朱乃は家へと戻ろうとしたんだが・・・。

 

「・・・涼刀先輩の家に住む事になりました」

 

「・・・。」

 

どうやら、朱乃は俺に内緒で子猫も住むませる様に家を改築したらしい。

やれやれだぜ・・・。


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