ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第十二話 =誓い=

ライザー戦が終わった数日後、鋼弥は捜査報告のため魔界へ戻った

 

其処は幾つ物の高層ビルや巨大建造物が並ぶ大都市。

この国は貴族のみが生活を許される事が出来る魔界中央の国である。

言わば6つの国の中心部となっている。

そして、魔界の王たちが住んでいる黒城--パンデモニウム。

その内部で会議が行われていた。

 

【では、これより・・・調査報告を行う。】

 

中央の席に座っている金髪の髪、一対の角、六枚の天使の翼を持つ悪魔は魔界を治める魔王の中の魔王(キング・オブ・デーモン)のルシファーである。

右にルシファーに次ぐほどの実力の持ち主である蝿王ベルゼブブ、左に魔界の富や財宝を管理する大臣のルキフグス。

更にフードを身に纏った8人の魔王達が席についていた。

ここには後一人、軍事関連の魔王がいるのだが、急用のため留守であった。

 

【さて、鋼弥くん。君は地上世界で色々と活躍をしているそうだね。】

 

「はい。」

 

【嶺爾と遭遇したが逃げられてしまったようだね。】

 

「・・・申し訳ありません」

 

【なに、別に君を責めていると言う訳ではない。やはり彼を倒すのはそれほど困難なのかね?】

 

「いつも、あと一息という所で逃げられてしまうんです」

 

【果たしてそうかね?犯罪者の嶺爾と君は兄弟関係と聞く。肉親だから殺せないのではないのかね?】

 

そう言うが、フードを被った一人の男が言う

周りの人達もザワザワと騒ぐがルシファーは右手を上げて静粛を求めた。

 

【鋼弥くん、引き続き調査をしてくれ。最近、地上世界からどうも怪しい動きが目立っている。】

 

「怪しい動きですか?」

 

【うむ、そうすれば嶺爾が何の目的で地上世界へ行った理由が解るかも知れん。】

 

「・・・了解しました。」

 

鋼弥は一礼すると、その場から立ち去った。

 

【ルシファー様、鋼弥殿にあの事は伝えなくても良かったのですか?】

 

【ルキフグス、時には自分の目で見るのも新しい発見があるのだよ。

 赤龍帝の力を宿した少年、魔の者へと変生する銀牙、・・・白龍皇との接触は近いな】

 

◇◆◇◆

 

場所は地上世界の駒王学園のオカルト研究部

一誠、リアス、アーシアにもあの会場で起きた出来事を全て話した。

リアスは鋼弥に問い詰めていた。

 

「鋼弥、貴方が追っていた人物が自分の兄とは、どういうことなの?」

 

「余計な心配はかけたくないからだ」

 

「・・・その言い方だと、最初から知っている感じね」

 

「なぁ・・・鋼弥、教えてくれないか?お前の兄貴と何があったんだ?」

 

「鋼弥さん・・・私達に話してくれないでしょうか?」

 

鋼弥は深くため息をついて目を瞑ったまま喋る

 

「・・・5年前。俺と嶺爾はその時までは兄弟だった」

 

―父さんと母さんが事故で亡くなってから俺たち兄弟は師匠の所で育った。

 

―だが、嶺爾は師匠にも俺にも何も告げずに立ち去った

 

―俺がハンターの資格を持った時、あるニュースが流れた

 

―名のある悪魔とその部下が殺された事件。

 

―目撃者の情報によれば、銀髪の青年が屈強の悪魔達を殺したという話だ。

 

―指名手配犯の顔は布で覆われていたが、目元を見て解った・・・兄の嶺爾だったと言う事を。

 

「そんな事が・・・。」

 

「魔界中央の国の魔王達は犯人の事は解っていて、嶺爾を討伐しろという命令が下された。

 俺は幾度も嶺爾を探しては戦うが・・・結局は決着がつかないと言う繰り返しだった。」

 

「その嶺爾がなんで、貴方が立ち去った理由と凶行をした理由は解らないの?」

 

「何故、俺の前から立ち去った理由は教えてはくれなかった。

 だが・・・あの凶行を取ったのは"更なる力を求める為"と・・・」

 

自分の力を強くする為に、名のある悪魔達の所へ襲撃し殺害した。

はぐれ悪魔、はぐれ悪魔祓いよりも始末が悪い。

 

「もしも・・・また嶺爾が現れたら、皆は手を出さないでくれ。

 これは俺だけの問題なんだ。・・・迷惑をかけたくない。」

 

自分一人で抱え込もうとする鋼弥の態度に納得がいかない一誠は鋼弥の肩を掴む。

 

「鋼弥、俺たちは仲間だろう、一人でそんなに抱え込むなよ!!」

 

「だけど、イッセー・・・」

 

「ライザーと再選する時、不安はあったさ。

 でも、お前が励ましてくれたから、俺は部長を取り戻す事が出来た。

 今度は、俺たちが鋼弥を助ける番だ」

 

イッセーがニッと笑う。

周りの皆を見ると、喜んで力を貸してくれると言う顔だった。

 

「ありがとう・・・皆」

 

仲間か・・・。

魔界で契約を交わした仲魔だけではなく、この世界に来てから仲間ができたんだな

 

―性欲権化だが、仲間の為に拳を振るうイッセー

 

―少しドジだが、心優しき聖女アーシア

 

―強引な所はあるが、誰よりも仲間を思っている紅髪姫のリアス

 

―怒らせると怖いけど、笑顔を絶やさない朱乃

 

―いつも涼しげそうだが、友情には厚い祐斗

 

―無表情なだが、可愛い面がある子猫

 

こんなにも心配してくれる人が居て、俺は幸せなのかもしれない・・・。

だからこそ、俺は改めて心の中で誓う。

この掛け替えのない仲間たちを護る!!


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