ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第九話 =花嫁奪還作戦=

~魔界・狩猟と闘技場の国~

 

 

闘技場内部の酒場にて鋼弥がそこにいてコーラを飲んでいた

レーティングゲームで負けてコーラの自棄飲みをしていた

 

「もう一杯頼む。」

 

「おいおい、それで6杯目だよ?いくらコーラでも飲み過ぎると身体に毒ですよ」

 

「・・・いいから、コーラを早く」

 

ダンダンッとジョッキを叩く鋼弥、マスターはため息をついて

 

「あー、解った解った。でも、これで最後にしときな」

 

マスターはコーラをジョッキに入れて鋼弥に渡す。

 

「一体どうしたんだ?入ってくるなり不機嫌そうな顔してさ?」

 

「レーティング・ゲームは知っているだろう?」

 

「冥界でのスポーツゲームだっけ?・・・まさかお前、参加したのか!?」

 

「ああ、補充員としてな。」

 

「凄いじゃないか!!魔界で有名な君が冥界のレーティング・ゲームに出場しているなんて!!

 いやー、大したもんだよ、これでここの酒場も有名になるかもな~。」

 

うんうんと喜び頷くマスター、しかし、鋼弥はため息をついていた。

 

「俺が敵の大将をあと一歩だったのに、グレモリーが降参したんだよ。

 これが、本当の戦いだったら、命乞いをしても無駄なのに。

 助かったとしても、奴隷の様に使われるか惨たらしく痛めつけられるかしかないのに・・・。」

 

「そりゃあ、危険な仕事をしてきたお前の考えと一緒にされてもなぁ」

 

ポリポリと頭をかく、マスター。

鋼弥のとなりに誰か座って来た――レイナーレだ。

 

「マスター、一杯貰える?」

 

「おう。レイナーレちゃん、お疲れー。今直ぐ用意するからな」

 

マスターはカクテル作りをしている中、レイナーレは鋼弥に話しかける。

今回の仕事は『夜盗退治』という仕事だった。

行商人隊を目当てに襲ってくる夜盗を退治して欲しいという事で苦戦する事無く倒す事が出来たと言う。

おかげで報酬金がガッポリ貰えて喜んでいた所だった。

すっかりハンター職にはまっているな。

レイナーレはあれから何があったのか全て、話した。

 

「それで、グレモリー達を完全に見限りつもり?」

 

「・・・そうするべきなのか、悩んでいる。」

 

「・・・本当は、納得できてないでしょ?」

 

「なんでそう思う?」

 

「イッセーの事を考えているでしょ?あの子はグレモリーに惚れているし危険だって絶対やらかしそうよ」

 

「それとどう関係があるんだ?」

 

「イッセーとグレモリーの事を助けに行きたいと思っているんでしょ?」

 

「・・・そこまで言われると言い返せない、な。」

 

もしかしたら、俺は相当な『お人好し』かもしれない。

レイナーレを助けた本当の理由は彼女がもう一度、真っ当な生き方をして欲しいと言う願いがあったから助けた。

現に彼女はこうして仕事もしているから、俺の思いが叶った。

でも、神様に感謝はしたくないけどね、何もせず諦観者の様な感じだしな。

じゃあ、今回も助けるのか?まぁ・・・答えはYESだけどね。

ここで見捨てる様な真似すると男が廃るし、師匠から拳骨喰らいからな・・・

 

「・・・助けに行くとするか。イッセーとリアスを」

 

「それでこそよ。・・・全く、あの時はカッコよかったのに・・・」

 

「なんか言ったか?」

 

「な、何でもないわよ!!」

 

顔を赤くしてワタワタとするレイナーレ。

マスターはクククッと笑いを堪えて、レイナーレにカクテルを渡す。

 

「鋼弥、お前のやる事は決まったのか?」

 

コーラを一気に飲み干し、ジョッキと代金を置き、マントをはおり、ニッと笑う。

 

「・・・ああ、行ってくるよ。」

 

 

◇◆◇◆

 

 

一方、一誠は自分の部屋でグレイフィアからレーティングゲームの結果を聞いた。

 

「納得されていませんか?」

 

「・・・勝負がついたとしても俺は納得はできません」

 

「お嬢様は、御家の決定に従ったのですよ?」

 

「解っています!!それでも俺は―」

 

親同士が決めた事に嫌々従う部長なんて・・・見たくない!!

部長をあんな奴に絶対に渡したくない!!

 

「ふふふ、貴方は本当に面白い方ですね。

 貴方の様な思った通りに駆け抜ける悪魔は初めてです。

 我が主のサーゼクス様も貴方の事を≪面白い≫と仰っていたのですよ?」

 

グレイフィアさんが懐から、一枚の紙切れを取り出した。

そこには魔法陣が描かれていてた。

 

「この魔法陣は、グレモリー家とフェニックス家の婚約パーティー会場へ転移できるものです」

 

「な、なんでそんなものを?」

 

「サーゼクス様が『妹を助けたいなら、会場に殴りこんできなさい』、だそうです。

 そして、鋼弥様にも送っております。」

 

「鋼弥にもか?」

 

「はい、ドラゴンの力を宿した貴方と人と魔の間に生まれし鋼弥様に大変興味を持っています。

 貴方達の持ってすれば、あるいは・・・。」

 

そう言うとグレイフィアさんは俺の部屋をあとに、去って行った。

入れ替わりにアーシアが入ってきて、俺の胸に飛び込んできた。

 

「イッセーさん!!よかった、本当によかったです。もう目を覚ましてくれないんじゃないかって・・・」

 

「心配掛けたな・・・。アーシア、俺はこれから部長を取り返しに行く」

 

「また、血だらけになってボロボロになっていく、イッセーさんを見たくありません・・・。」

 

アーシアの目からポロポロと涙が零れ俺を行かせないよう抱きしめる。

俺は満面の笑みを浮かべ、アーシアの手を握る。

 

「俺は絶対に死なない。部長と一緒に帰ってくるよ。生きて、アーシアと一緒にこれからも過ごすよ」

 

「・・・はい」

 

アーシアは涙を拭いて笑顔で俺を見る。

この子には絶対に悲しい思いはさせない、必ず部長を取り返してやるぜ!!

 

「話は決まったようだな」

 

不意に声が聞こえた。

窓を見ると、黒いマントが風になびいていた。

月の光が輪郭をうつしだす――鋼弥だ。

懐から取り出すとグレイフィアさんから貰った紙と同じ物だ。

 

「リベンジタイムと行こうぜ」

 

 

◇◆◇◆

 

 

結婚式会場に繋がる扉の前へと到着する二人。

扉を開けると会場に居る悪魔達が何事なのかざわめき出した。

衛兵たちは二人を取り囲んだ。

 

「おい!貴様等は何者だ!」

 

「俺はオカルト研究部の"兵士"、兵藤一誠です!!」

 

「同じくオカルト研究部の魔界ハンター、涼刀鋼弥だ」

 

さて、衛兵を黙らせようかと思いきや、祐斗、子猫、朱乃が衛兵たちを食い止めている

 

「イッセーくん!涼刀くん!ここは僕達に任せて!」

 

「・・・遅いです」

 

「やっと、来たんですね」

 

全員が俺たちの邪魔をしようとする輩を足止めしていた。

 

「ありがとう、皆!!」

 

「恩にきる」

 

二人はライザーとリアスのもとへ向かい、一誠はスゥーと深呼吸して、

 

「部長の処女は俺のものだーーーーーーーー!!」

 

堂々と宣言した。うん、最低な発言だが力強い。

リアスは顔を赤くし、顔から火が出ている感じがする。

すると紅髪の青年が歩み寄ってくる、もしかしてこの人が――。

 

「サーゼクスお兄様」

 

冥界を治めし四大魔王が一人サーゼクス・ルシファーだ。

イッセーは物凄く驚いている顔だった。

 

「ドラゴンの力を宿した少年と魔の者へと変生する少年の力が見たくグレイフィアに頼んでね。

 それにゲームの経験が無い妹がフェニックス家の歳児にであるライザーくんと戦うのは、少々分が悪かったかなと」

 

「では、サーゼクス様はこの間の戦いが解せないと?」

 

「いえいえ、魔王の私があれこれ言ってしまったら旧家の顔が立ちますまい。交流は大切なものですからね」

 

なんとも、食えない魔王だ・・・。

いや、全ての魔界を治めし"アノ御方"も真相も言わないし、意味深い言葉は残す。

本当に似ているかもな、このサーゼクスさんと"アノ御方"は・・・

するとあれこれ話していると皆が黙り込んでいた。

 

「さて、ドラゴン使いくんと魔界のハンターくん、もう一度戦う許しが出たよ。

 ライザー、リアスと私の前で今一度、見せてくるかな?」

 

「いいでしょう。このライザー、身を固める前に最後の炎をお見せしましょう!!」

 

ライザーはやる気だ。これで闘いの舞台はそろった、後は俺たちが勝つだけだ

 

「一誠、この戦いは絶対に勝つぞ」

 

「ああ、勿論だ!!」


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