ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
新校舎へと飛行しているコノハナサクヤ、新校舎の屋上に複数の人が見える。
―そこには炎の翼を広げ余裕の顔をしているライザー。
―身体中が血だらけとなり、ボロボロの一誠。
―傷ついた一誠を、涙を流しながら抱きしめるリアス。
―結界の中に閉じ込められ、泣いているアーシア。
「一誠・・・あなた、こんなになってまで・・・」
「さぁ、どうするんだ?もう、戦える駒はいないんだぜ?」
【いいえ、まだ私がいますわよ。】
声のする方へ向くと、満月を背にコノハナサクヤは屋上へ降り立つ。
「もしかして、魔界の小僧か?俺の下僕たちを倒した事は褒めてやる。だが、俺を倒す事なんか・・・」
ズドンッ!!
ライザーが話をしているにも関わらずコノハナサクヤは弾幕を撃つ。
しかし、彼は不死鳥フェニックスの力を持っている
すぐに撃ち抜かれた部分から炎が広がり、ライザーは元の状態に復活した
「お前も頭が悪い奴だなぁ~。
俺は不死鳥フェニックス、灰の中から甦るフェニックスは、何度でも肉体を再生出来る。
だから何度、俺を殺そうが俺は死な・・・。」
ズドンッ!!ズドンッ!!ズドンッ!!!
今度は、顔面、腹部、両足を魔力レーザーで撃ち貫くが元の状態に戻る。
流石に最後まで言わせずに攻撃を仕掛けてくることに激怒するライザー。
「人の話を聞け!!
お前が何度俺を殺しても、俺は何度でも復活するんだ!!最初からお前らに勝ち目なんて物は無いんだよ!!」
【あら、ごめんなさいね~。
でも、肉体の再生は追いついても、精神の再生が追いつかなければ勝てるわよ】
「その前にテメェがギブアップするかもしれないぜ?女だからって容赦はしねぇぞ!!」
ライザーの背中から炎の翼が現れると同時に周りの温度が急激に熱くなるのが解る。
【確かに普通の人間や下級悪魔だったらこの温度には耐えきれないでしょうね】
「そうやって余裕な顔をしているのもいまのうちだぞ!!」
ライザーは炎を放ちコノハナサクヤを焼き尽くそうとするが、炎が掻き消されたのだった。
「なにっ!?」
【未生天閃(みしょうてんせん)】
ライザーが戸惑っている隙を逃さず、計10の魔力レーザーが放たれライザーの身体を撃ち貫く
だが、撃ち抜かれた傷が修復するが少しだけあいつの表情は苦しんでいた。
多少は堪えていると言う事だ。炎が効かないならば、この魔法で・・・
【マハザンダイン×6】
風の塊を6つ作り出し、それらを合わせると頭上に竜巻が出現した。
風の大渦はバチバチッと稲妻が奔っていた。
【ヴァーヤヴィヤ!!】
巨大な竜巻を放ちライザーが飲み込まれるとズタズタに切り裂かれる音が響き渡る。
風が止むとバラバラとなったライザーが降ってきた。
これが不死身の物でなければ直視は出来ないレベルほどだ。
ライザーはゆっくりと再生していく。
「調子に乗るなよ!この最大レベルの炎を受けて・・・燃え尽きろぉぉぉっ!!」
ライザーの体から放出された特大の豪炎がコノハナサクヤを包み込む
しかし、コノハナサクヤはその炎をモノともせずにライザーへ向かい腕を掴み一本背負いで叩き付けて放り投げる。
ライザーは炎の翼で反転し地面に立つ
「何故だ!?あれだけの炎を喰らって何故、立っているんだ!?」
【私は火を司る姫でもあるからよ。
つまり・・・貴方の炎を喰らっても平気という訳よ。(少しだけ熱いけどね。)】
「だが・・・俺の炎が効かなくても俺を倒す事は永遠に不可能だ。」
【だから、どうしたの?貴方を精神的にまで追いつめれば逆転勝ちはできるわよ】
両手に扇子を持ち、舞い踊る。
彼女の足元から緋色の光りが溢れだし、そこから無数の赤と青の蝶が出現する。
【死蝶乱舞(しちょうらんぶ)!!】
赤と青の蝶たちはサークル状を描きながらライザーに襲い掛かる。
あっという間に蝶の波に飲み込まれたライザーは身を削られる様な感覚が襲い掛かる。
「ぐうううううっ!!」
堪え切ったが明らかに再生の速度が弱まっていた、明らかにライザーの心と精神が折れかかっている。
勝てる―!!そう確信し次の攻撃に移ろうとしたが―
・
・
・
・
・
『リアス・グレモリーさまの投了(リザイン)を確認。ライザー・フェニックスさまの勝利です』
【えっ・・・?】
この放送を聞いて我が耳を疑った。・・・負けた?
振り向いて、俯いてるリアスを見た。
コノハナサクヤの姿を解き鋼弥へと戻り、リアスの所まで歩く
「何故、投了(リザイン)をしたんだ?」
「・・・・・・・。」
「何故、諦めたんだ?ライザーを倒すと自分で言ってたんじゃなかったのかよ?」
「・・・もう、これ以上、傷付いて欲しくないの・・・。」
「・・・一誠が瀕死になったから投了したのか?」
リアスは肯定の頷きをした。
グレモリーは慈愛や寵愛に深い所がある。だが・・・あまりにも甘過ぎる。
命を奪いあう戦いだったら一人の仲間が重傷だからと言って闘いを止めても、
敵側は相手を殺すまで止めはしない。
「リアス、君は言ったよね。
このゲームで絶対に勝つと。皆はそれを信じて修業をした。
だが、君は許されない事をした・・・。
それは、皆の思いを裏切り踏み躙った!!」
リアスの胸ぐらを掴み、更に強く言う。
自分でもあり得ないほど怒っているのが解る。
「小猫、朱乃、祐斗がどんな思いでリタイヤしていったか考えたか!?
あの三人の為にも、勝つのが"王"としての役目だろ!?」
リアス何も言い返さない、ただ黙っているだけだった。
この女は、こうまで精神的に弱かったのか。
鋼弥はリアスを離し、ゆっくりと屋上の扉へ歩いていく
「失望したよ、リアス・グレモリー・・・」