ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第七話 =幽雅に踊る桜姫=

「騎士、撃破」

 

空に浮かぶライザー眷属の女王ユーベルーナはクスクスッと笑っていた

 

「あの女魔導師が子猫を、祐斗を、朱乃を倒したのか・・・。」

 

「朱乃さんと木場をやったのもてめぇか!降りてこい!

 朱乃さんの!小猫ちゃんの!木場の仇を取ってやる!降りてきやがれぇぇぇぇっ!」

 

一誠が拳を向けて『女王』を挑発するが、相手はただ嘲笑するだけだった

更に悪い事にアーシアから連絡が入り、リアスと共に敵本陣である新校舎の屋上に侵入し、ライザーと一騎討ちをしていると報告を受ける。

今直ぐに、リアスの元へ行きたいのだが、ユーベルーナが見逃す訳ではない。

 

「一誠、お前はリアスとアーシアの所へ行け」

 

「俺だってあいつを許せねぇんだ!ここは2人で――――」

 

「無駄な戦いをしていたらリアスとアーシアがやられてしまう。

 ここは俺に任せて、お前はリアスとアーシアを助けに行け!!」

 

「・・・解った。気をつけろよ!!鋼弥!!」

 

一誠はリアスとアーシアがいる新校舎へと駆け出す。

ユーベルーナが行かせまいと一誠を攻撃しようとするが、鋼弥は魔力で作った投剣を放つが爆散させた。

更に鋼弥の足元を爆発させようとするが、バック転して避ける。

 

「爆発系の魔法か・・・」

 

「その通り、私は気に入らんが爆弾王妃(ボム・クイーン)と呼ばれている」

 

「爆弾王妃か、それは恐ろしい異名だね」

 

手を上に翳すと召喚の陣が浮かび上がる。

 

「では、こちらもそれ相当の礼で返してあげるよ」

 

呪文を唱え、それに呼応するのか召喚の陣が緋色に輝き、名を告げた。

 

「――コノハナサクヤ」

 

桜吹雪が舞い踊り、鋼弥を包みこむ。

吹雪が晴れると其処に居たのは桜色の髪、紺色の和服を身に付け、帽子を被った女性が現れた。

おっとりとした感じで母性が溢れる様な雰囲気が漂わせる。

目をゆっくりと開き緋色の瞳がユーベルーナを見る

 

【ウフフフッ、久々に呼び出されたと思ったら良い場面を用意してくれたわね】

 

「姿が変わった?何者なんだ・・・?」

 

【初めまして、私は幽玄と桜花を司る姫コノハナサクヤ、よろしくね】

 

ゆっくり淡々と喋る和服女性のコノハナサクヤはゆっくりと自己紹介する。

 

【貴女に恨みは無いけど、鋼弥の仲間の仇を取らせて、ライザーの首を取るわね】

 

「できるものならな!!」

 

ユーベルーナは爆発魔法を連続で放つが、コノハナサクヤは踊りながら避ける。

まるで蝶の様に踊り見る者を魅了されてしまうほどの優雅な舞い。

 

「くっ・・・当たらないだと!!」

 

【終わりかしら?それじゃあこちらの番ね】

 

右手に炎と左手に桜色の魔力が渦巻き、それを両手で合わせ詠唱する。

 

【メガインフェルノ!!】

 

螺旋に渦巻く炎球をユーベルーナに向けて放つがギリギリのところで避ける。

後ろを向くと木々が黒こげとなり、地面が焦げていた。

 

「なんという威力だ・・・!!」

 

【よそ見をしている暇は無くてよ?】

 

いつの間にかユーベルーナの背後にいた。

直ぐに攻撃しようとするが、コノハナサクヤは左手をユーベルーナの胸に付ける。

 

【烈風波(れっぷうは)!!】

 

ゼロ距離から放たれた衝撃波を喰らい、地面へと叩き落されるユーベルーナ。

ゆっくりと地面に降りるコノハナサクヤ

 

「ゴホッゴホッ!」

 

【幽炎胡蝶(ゆうえんこちょう)!!】

 

両手をかかげると、無数の青白い炎が現れた。

手を前に突き出すと炎が蝶の形なりユーベルーナへと襲い掛かる。

 

「こんなもの!!」

 

爆発系の魔法で蝶を破壊するが数が多過ぎて対処しきれず、

炎の蝶たちがユーベルーナに直撃し、その身を蒼い炎に飲み込まれた。

 

「きゃああああああああっ!!」

 

グラリッと倒れるのと同時に、蒼い炎は消え服も所々、焼け焦げていた。

一誠を追おうとした時、レイヴェルがユーベルーナに近づき、何かを飲ませた。

すると、ユーベルーナの傷が完全に消え、立ち上がったのだ。

 

「まさかユーベルーナをここまで追い込むとは予想外でしたわ。ですが、結局あなた方の負けになりますわ」

 

【あらあら?何を使ったのかしら?】

 

「フェニックスの涙。魔界出身の悪魔がこれを知っているかは解りませんが・・・一応説明はしますわね。」

 

使用すれば如何なる傷も、体力も回復するアイテム。

魔界に似た様な物があるとすればソーマ、生玉などの霊薬や宝玉。

瀕死の状態の物にはちえがえしの玉、反魂香といったものがある。

 

【朱乃さんを倒せたのは、そのフェニックスの涙を使ったからね】

 

「卑怯と仰らないで下さるかしら?そちらだって、聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)を持つ者がいるでしょう?レーティングゲームのルールにも記載されてますわ。

『フェニックスの涙はゲームに参加する悪魔二名までしか所持できない』っと。

 あまりに強力なので規制されてしまいましたけど、かなりの高価で取引されてフェニックス家の財政はとっても潤ってますわ。

 そして今、あなた方が相手をしてるのは・・・『不死鳥』。

 どんなに絶対の力を持っていても不死身が相手ではどうしようもありませんわ」

 

【ふーん、それは厄介ね。】

 

「ご理解がはやくて助かりますわ。だから、諦めて【でも、それってさ・・・】・・・?」

 

レイヴェルが言い終わる前に、コノハナサクヤが遮り、レイヴェルを冷淡な目で見る

 

【もっと、痛めつけても良いと言う意味で良いわよね?ボロボロになるまで?】

 

その言葉とともにコノハナサクヤから膨大な魔力が溢れだす。

 

「な、何なんですの!?あの人には底が見えないと言うの!?」

 

「レイヴェル様!下がってください!我が全魔力をもって、あの者を打ち砕きます!」

 

ユーベルーナが全力の爆発魔法を放つ。

渦巻く爆炎がコノハナサクヤに迫るが彼女は冷静な表情だった

スッと人差し指を爆炎に向ける。

 

【未生閃(みしょうせん)】

 

指先から緋色のレーザーが放たれ、爆炎の渦が四散しそのままユーベルーナを貫く。

魔力でできた光線だから外傷はないもののそれでもかなりのダメージを喰らった。

 

「ぐっ・・・!!」

 

【ほらほら、逃げないと・・・痛いわよ?】

 

フワリッと宙に浮かび指先から緋色のレーザーが連射される。

さらに、周囲には桜色の大小様々な球体を作り出しそれも発射させる。

レーザーと魔力弾が休むことなく放たれる続ける、まさに弾幕の嵐だ。

ユーベルーナは弾幕の嵐を何とか掻い潜り、攻撃に移ろうとしたが・・・

コノハナサクヤの両手に持つ扇を振りかざす。

 

【妖華烈風塵(ようかれっぷうじん)!!】

 

放たれた花弁と風の渦がユーベルーナを飲み込み、ズタズタに切り裂く音が響く。

風が無くなると服が切り裂かれ、脚や、胸など所々見えていた。

 

「申し訳ありません・・・ライザー、様・・・」

 

そう言うと、ユーベルーナは切れた操り人形の様に落ちて行き、消滅した。

 

『ライザー・フェニックスさまの「女王」一名、リタイヤ』

 

「ユ、ユーベルーナが・・・負けるなんて・・・。

 危険すぎますわっ!早く、お兄さまの所へ行かなければ・・・」

 

【何処へ逃げようと言うのかしら・・・?】

 

目の前に緋色の羅刹女が立ちはだかっていた。

あまりの恐怖に動けなく、レイヴェルはなす術もなく捕まってしまった。

 

「わ、私をどうする気なの!?」

 

【このまま、貴女を肉体的にも精神的にもズタズタにしようかしら?死すら懇願するまで徹底的にね】

 

凍り付きそうな眼をしながら残酷な笑みを浮かべる。

ユーベルーナを残酷なまでに痛めつけた人だ本当にやりかねない。

レイヴェルは恐怖を感じ、膝がガクガクと震える

スッと手が伸びて、目をギュッと堅く閉じ痛みに備える。

しかし、目を開けると頭を撫でられているだけだった。

 

【・・・なーんて、そんな事をする訳ないわよ。そんな事したら鋼弥に嫌われちゃうもの】

 

ウフフッとイタズラに笑う。

痛めつけないと言う事が解ると安堵したのか、ペタリッと地面に座るレイヴェル、少し涙目になっていた。

 

【あらあら?泣いちゃったのかしら?】

 

「な、な、泣いていませんわよ!!」

 

【さてと、ライザーの所まで行こうかしらね。バイバイ、お嬢ちゃん】

 

「お待ちください!!」

 

【なにかしら?】

 

「・・・止めを刺さないの?」

 

【そうね、敵意の無い人とは無駄に戦わない、かしらね?倒すのは貴方達の王(キング)のライザーだけよ】

 

手を振ってコノハナサクヤは一誠とライザーが戦っている校舎へ飛ぶ。

 

「・・・規格外な人ですけど、素敵な人かもしれませんわね・・・。・・・鋼弥さん、か」


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