ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第三話 =修行・前篇=

ライザー達が現れた、その日の夜。

これからの事に、アヌーンとジャックフロストに説明している

 

「合宿ですか?」

 

「ああ、十日後のレーティングゲームに備えるから、しばらくは帰れん。」

 

【なんだか面白そうだホー。オイラも行くホー。】

 

「遊びじゃない。それにアヌーンと店番しなければいけないだろ?」

 

【ヒーホー・・・・】

 

ションボリとするジャックフロスト。

 

「大丈夫ですよ。レイナーレさんと一緒に魔界で店番しますからジャックちゃんも連れて行ってあげて下さい。」

 

「そうか?それならいいけど・・・。」

 

レイナーレは魔界に着いてから色々と仕事をしている。

酒場のウェイトレス、アヌーンと一緒に菓子作り、用心棒など。

だけど、俺の顔を見れば顔を赤くして憎まれ口を叩くんだよな・・・。

そんな訳で明日に備えて、ベッドに入り就寝する

 

 

◆◇◆◇

 

 

次の日。

 

「ひーひー・・・」

 

「ほらイッセー、早くなさい。鋼弥は私達よりずっと先にいるのよ」

 

一誠は巨大なリュックを背負わされ、両肩に荷物をかけて山を登っていた

行く時も修行の一環と言う物だろう。

鋼弥も一誠と同じ様に荷物を背負わされたが、ズンズンッと登って行ったのだ。

疲れて歩けないと思ったが、後ろから押されている

 

【ヒホ~・・・オイラも手伝うホ~。】

 

うーんうーんと重い荷物を精一杯押しているジャックフロスト。

こいつだって、頑張っているんだから俺も頑張らないとな。

そう決意したのか、一誠は歩き始めるが、ジャックフロストは急に動いた荷物に空振りしてこけた。

そんな事があって木造の別荘に到着。

この建物は普段は魔力で隠蔽されていて、人前には表れない仕組みになっているようだ。

女性人は着替えのために二階に、男子は一階でジャージに着替える

一誠はリビングで大の字になって倒れこんでいた

 

「覗かないでね」

 

「マジで殴るぞ、バカヤロー!」

 

なんか祐斗と一誠が漫才やってたが・・・そっとしておこう。

 

 

◆◇◆◇

 

 

修行その1 祐斗と修行

 

 

祐斗は剣を構え、アンヴァルを追っていた。

騎士の特性はスピード。

ならば高速戦闘を得意とするアンヴァルと戦ってみようと鋼弥が提案したものだ。

勿論、二人はOKだ。ちなみに一誠はあんまりの速さについてこれず、一発でダウンした。

 

「・・・!!」

 

背後に気配・・・今だ!!

祐斗は振り向きざまに剣を振りかざすが、そこには何もいなかった。

ポンッと頭を軽く叩かれた。

 

「参りました・・・。」

 

【いや・・・あの時に気配を感知し反応したのは素晴らしい事だよ。】

 

その後は一誠にもやったが、全然成果は出ずボロボロにされた

 

 

◆◇◆◇

 

 

修行その2 子猫と修行

 

 

今度は子猫と組み手。

見掛けによらず立ち技、寝技、と多種多様な技を使いこなす

見習い悪魔な上、ド素人の一誠では、当てるだけでも難しい。

更に小柄な体格を活かした俊敏性も備わっているので、普通に強い

 

「どあああああっ!!」

 

大木に投げ飛ばされてのびる一誠。ジャックフロストがズルズルと引き摺って回収する。

 

「・・・打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉り込むように打つんです。では涼刀先輩。」

 

呼ばれた事に応じて、構える

 

「・・・準備は出来てます。」

 

「お手柔らかに頼むよ。」

 

鋼弥の拳が、子猫に入り込むかと思いきや、子猫はしゃがみ後ろへと回り鋼弥の背中に殴打し様とする。

しかし、鋼弥は子猫を飛び越え後ろを取る。

振り向こうとするが、鋼弥の鋭い蹴りが目の前に来ていたが、寸止めしていた。

 

「・・・強いですね。」

 

「子猫も中々やるな。」

 

 

◆◇◆◇

 

 

修行その3 アーシア&朱乃と一緒

 

 

「魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのです。」

 

丁寧な説明を受けているが、一誠の手には全く魔力が集まらない。

アーシアは緑色の緑色の魔力を手のひらに出現させている。

鋼弥は、グーグーと寝ていた。

 

「あらあら、鋼弥さんはやらないのですか?」

 

「基本中の基本はやらない主義なんだけどね。」

 

そう言いながら、また目を閉じて寝る。

一方のジャックフロストはイッセーをからかっていた。

 

【イッセーは全然、ダメダメだホー】

 

「うるせいやい!!そういうお前はどうなんだよ?」

 

チッチッと指を振るうジャックフロストは・・・

 

【ヒーーーホーーー!!】

 

人差し指をくるくる回すと蒼いリングが生まれ、両手を前にかざすとツララが飛び出し全て樹に命中する。

 

【どうなもんだホー!!】

 

「ぐぬぬぬ・・・」

 

エッヘンと胸を張るジャックフロスト、対してイッセーは悔しがっていた。

鋼弥は二人のやり取りを見て・・・

 

(まぁ・・・威力は最下だけど人間や寒さが弱点の悪魔には効果は抜群だけどね。)

 

 

◆◇◆◇

 

 

修行その4 一誠VSジャックフロスト!?

 

【というわけで、オイラと勝負だホー。まぁ、勝つのは無理だと思うけど。】

 

「コテンパンにしてかき氷にしてやる!」

 

事の始まりは、鋼弥が一誠とジャックフロストと戦わせて実戦練習を行ってみてはどうかとという話だ。

一誠は不満そうだったがジャックフロストが【ダメダメ悪魔に負ける気は無いホー。】という挑発をしたからだ。

 

「一誠、ジャックフロストは強いから気合入れて戦えよ。」

 

「こんな雪ダルマ野郎に負けるもんか!!」

 

【それじゃあ、オイラと一緒に・・・ゴートゥーヘルー!!】

 

ジャックフロストが腕をグルグル回してパンチを放つが、一誠は"赤龍帝の篭手"でガードするが吹き飛ばされた。

以外にも力がある事に皆は驚くが鋼弥だけは驚いてはいない。

 

「ジャックくんって、あんなに強いとはね。」

 

「当たり前だ。

 俺と一緒に依頼事に付いて行ってアイツは足手まといにならない様に自分を磨いたんだよ。

 今のあいつの強さなら、中級悪魔の相手でも戦えるほどだな。」

 

「一体どれだけで、強くしたのよ?」

 

もう一度、一誠とジャックフロストの戦いを見る。

ジャックフロストは余裕があるのか、一誠の攻撃をヒョイヒョイと回避している。

当然、一誠の攻撃は見え見えの大振りのため、全然当たらない。

 

「このこのこのっ!!」

 

【ヒホホー、殴りのコツは相手がどっちの方へ避けるのを予測+スピードが命だホー。】

 

避けつつもアドバイスをするジャックフロスト。

どうせ、直ぐには覚える事が出来ない相手だから余裕こいてそう言ったのだが・・・

 

「相手の動きを予測して・・・殴る!!」

 

【ヒホホホー!!?】

 

左に避け様としたジャックフロストだが、一誠はジャックフロストの顔面を捉えて殴り飛ばす。

 

【アイタタタ・・・まさか、当てるなんて、すごいホー】

 

「や、やったー!!」

 

ガッツポーズをする一誠。

ジャックフロストのアドバイス(?)をその通りにやったら本当に当てる事が出来きた

一誠にも成長の兆しが見えたのだ。

 

 

◆◇◆◇

 

 

修行初日の夜。

皆が寝静まっている中、鋼弥は起きて部屋を静かに閉めて外へと出かける。

トイレに行って自分の部屋へと戻ろうとした朱乃が彼の姿を見た。

 

「何処へ行くのかしら・・・?」

 

黄金に輝く満月。

その光に照らされている姿の鋼弥はオカリナを取り出し奏でる。

透きとおるような優しい音色。

草が優しく揺れ、水面が波紋し、夜風が優しく頬を染める。

演奏が終わると、ホゥとため息をつく

パチパチと拍手が聞こえ、振り向くと朱乃がいた。

 

「鋼弥さんって、オカリナを吹けるのですね。」

 

「・・・意外だと思ったか?」

 

「いいえ。なんだか、そういうのが好きなのだと気づいてましたわ。」

 

見ただけで解るなんて、朱乃はやっぱり只者ではない。

なんというか勘が鋭い。

そう考えつつも、朱乃は隣りに座りこんだ。

 

「その曲は自分で作ったものですの?」

 

「これは母さんが、よく俺に聞かせて貰った曲だ。とても、温かく癒される曲でね・・・。」

 

「鋼弥さんにとっては思い出の曲なんですね。」

 

「・・・これが、母さんが残した形見とも言える物だからね。決して忘れてはいけないからね・・・。」

 

鋼弥の事をもっと知りたい。

朱乃はそう思い、言おうとしたが、いずれ話してくれる事を信じる。

今は、この時だけ甘えようと思っていた。

 

「ねぇ、もう一度、聴かせてくれないかしら?鋼弥さんの大切な曲を」

 

「・・・いいよ。」

 

鋼弥はオカリナをもう一度奏で始める

笛からは優しい音色が溢れてくる。朱乃は鋼弥に寄り添って、音楽を聴いていた。

黄金に輝く満月が二人を優しく優しく照らしていた


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