ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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久々の投稿!!原作の23巻目も面白く激戦、次巻も楽しみ!!

今回は明かされていく真実。


第四話 原初の遺産

「………んん?ここは………」

 

身を起こす、一誠。

不思議な夢を見ていた、仲間たちが負けそうになった時にアスカロンを祐斗に渡したような……。

辺りを見渡すと、どこまでも続く赤い大地。

 

『目が覚めたようだな。一時はどうなることかと思ったぞ』

 

「ドライグ……?ああ、俺は気を失って……あれ?」

 

一誠は自分の体に異変を感じた。

触覚がないのだ、鎧を身に着けているのにもかかわらずその感覚がないのだ。

一体どうしてなのかと慌てふためくがドライグが説明をする。

 

『お前の肉体はサマエルの毒で滅びかけていた。

 魂だけ抜き取り、鎧に定着させてなんとか生き延びれた。

 成功するかはかなり危ない橋だったぞ。

 ……歴代勝者の残留思念たちがおまえに託してな』

 

「ま、まさか……」

 

ドライグの言葉に一誠は助かった理由を知る。

体はサマエルの毒で消滅したが、歴代勝者たちが一誠の魂を護り赤龍帝の籠手に込めることで何とかなったらしい。

だが、歴代の赤龍帝たちが犠牲になって毒を防いでくれたからだ。

せっかく怨念から解放されたばかりなのにと思おうと、素直に喜べない。

 

『………気持ちは解る。彼らが残した最後のメッセージを聞いてくれないか』

 

勿論、一誠は聴きたかった。……けど、なんだか嫌な予感はしたが……。

籠手の宝玉から映像が映し出された。

歴代所有者たちが晴れやかな笑顔で―――――

 

『『『『『ポチっとポチッと、ずむずむいやーん!!』』』』』

 

最早返す言葉がなかった。

想像通りであり、やはり、これだったのだ。

 

「どんだけあの歌が好きなんだよ!!」

 

映像の隅で白龍皇の先輩も映っており―――。

 

『おケツもいいものだよ。現赤龍帝』

 

「んなもん、ヴァーリのヤロウに言えよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

映像がここで終わっていた。

ありがたい言葉も残さずに、ただのツッコミで疲れる一誠。

 

「今回の赤龍帝は面白いようだね」

 

第三者の声が聞こえた。

一誠は振り向くと全身、布を纏った男が立っていた。

そういえば……アーシアを助けてヴァーリに託したのがこの男だったような?

傍には、眠り続けている鋼弥と地面を叩いているオーフィスだ。

 

「心配はしなくてもいい。鋼弥は治療を済ませたところだよ。

 全く、無茶な事をするのは似ているな」

 

男は頭を優しく撫でている。

何故だろうか、まるで親子の様なやりとりだ。

 

「えいえい」

 

オーフィスはまだ地面をペチペチと叩いていた。

 

「な、なぁ……オーフィス。何をしているの?」

 

「グレードレッドを倒す」

 

何を言っているのか解らなかったが―――周りをよーく見ると、大きな翼を羽ばたかせていた。

もしやと思い、果てを見ると、角が見えていた。

 

「な、なんで……俺たちグレードレッドの上にいるんだよ!!?」

 

一度きりだったが、ヴァーリと共に見た夢幻を司る真赤龍帝グレードレッドの背中にいる一誠たち。

 

「偶然、グレードレッドが通りかかってね。

 そしたら……オーフィスがボロボロになっていた君と息子(……)を連れてきてね。

 既に幾日は経っているんだよ」

 

男がそう説明して、納得する一誠。

しかし、気掛かりな言葉を残していた。

 

「あの……息子って?」

 

男が答えようとした時、鋼弥は目をゆっくりと開けて上半身を起こした。

 

「鋼弥!!」

 

「一誠、なのか……?どうやら無事というわけじゃないか、肉体の気配が感じない」

 

鋼弥は布を纏った男を見ると、驚愕した顔になる。

まるで……死んだモノを見たという表情をしているのだ。

男は布をとると、黒髪の短髪に顔と身体に悪魔の文様、なによりも鋼弥と似ているのだ。

 

「俺は――――涼刀仁。鋼弥と嶺爾の父親だ」

 

「えええええええええええええええええええええええええええええ!!!?」

 

次元の狭間で一誠の驚愕の声が響き渡る。

勿論、鋼弥も夢なのかと思ってたが、まぎれもなく現実である。

仁はせき払いして、真剣な顔で二人に話す。

 

「さて君たちに話をしよう。ゾロアスターの真の目的を……」

 

ゾロアスター筆頭者であるアンリ・マンユの真の目的が明かされる。

 

「魂だけとなった僕はゾロアスターの動向がどうしても気になった。

 アマラ経絡のマガツヒの流れがおかしく、アマラ深界へと向かってわかったよ。

 封印したアンリ・マンユを復活するためのエネルギーを送っていた」

 

「マガツヒって?」

 

「マガツヒというのは、精神エネルギー。このマガツヒが食らえば食らうほどより力が増す」

 

「それだけでは飽き足らず京都に封印されていた必殺ノ霊的国防兵器に狙いをつけた。

 善神たちが封印した光を闇に変換し、遂に復活してしまった。

 だが、アンリ・マンユはそれだけでは留まらずアフラ・マズダと一つになる"完全融合"を目的としている」

 

「何故、対極の存在であるアフラ・マズダと一つに?」

 

「ゾロアスターに関する情報を探して、ある一つの文献が見つかった。

 アフラ・マズダとアンリ・マンユを生み出した絶対なる存在にして、二柱のあるべき姿。

 

 ――――――――創世神ズルワーン」

 

「……ズルワーン?」

 

聞いたことの言葉に首を傾げる一誠、仁がそれがなんなのか答える。

 

「時間と空間を司る創造の神と呼ばれるほど。

 あらゆる神話体系の神々はズルワーンを相手にしても敵わない絶対神。

 アンリ・マンユの考えたことは、二つに解れたのならば一つに戻れるのではないか、と」

 

「だが、アフラ・マズダは……」

 

「アフラ・マズダは利用されるのを恐れて何処かへと消えた。

 しかし、彼女が遺した結晶は何処かにあるといわれている。

 それか、他の神話から転じた者へとなった可能性もある」

 

「他の神話って……」

 

「たとえば、ライドウが所持しているアスラ王。

 もとを辿ればアフラ・マズダが別の見方として解釈されたということもある。

 だが、アフラ・マズダではなかったようだ」

 

「じゃあ、アフラ・マズダは何処かにいるという事ですか?」

 

「それこそ、誰の手にも届かない高次元にあるかもしれない。ゾロアスターも手が出せない所にある、と言っておこう」

 

仁から語られるアンリ・マンユの最大の目的。

それは善と悪から別れた全能なる神に戻ること。

 

「そして、もう一つ。鋼弥。兄―――嶺爾の事を誤解している」

 

「誤解だと……アイツは魔界の名のある者たちを殺害した。

 いや、それ以前に……何も言わずに俺の前から消えて……」

 

「……その理由は、嶺爾が殺害した悪魔たちは、自分と鋼弥を殺すゾロアスターの刺客だからだ」

 

その衝撃の言葉に鋼弥と一誠は驚くが仁は続けて話す。

 

「驚くのも無理はないだろう。

 あの悪魔たちはゾロアスターの忠誠の証――"入れ墨"が彫られていたんだ。

 何かあった時に消えてしまうというおまけ付きのね」

 

「そ、それじゃあ……嶺爾が、罪を被った理由は!?」

 

「……そういうことになる。例えそれが、魔界全土を敵に回し、弟に恨まれる結果だとしても」

 

鋼弥はその言葉を聞いてあの時、サイラオーグ戦で出現した嶺爾の行動と言葉を思い出す――――。

あれは挑発ではなく、強くなれという言葉だという事に理解する。

黒歌が主を殺してまで小猫を守った時と同じように、嶺爾もまた鋼弥を守ったのだ。

それに、ゾロアスターの真の目的を知った以上、なんとか元の世界に戻ろうとしたいが……。

 

「だけど、今の俺は肉体が無い……どうすれば……」

 

「心配はいらない。アレを見てごらん」

 

仁が指さす方向に繭みたいなものがあった。

ドクンドクンッと脈をうっている。

 

「あれは…………!?」

 

『あれは繭というよりも、培養カプセルだ。お前の新たな肉体だ。

 グレードレッドの体の一部とオーフィスの力を拝借して新生させているところだ』

 

「………なんだと?」

 

驚く一誠だが、ドライグは愉快そうに笑い。

 

『お前の肉体は真龍と龍神によって再生される。―――反撃の準備と行こうじゃないか』

 

 

◆◆◆◆

 

 

=冥府 ハーデスの神殿=

 

冥界の下層に位置する死者の魂が選別される場所――冥府

アザゼルは複数人連れてハーデスに事前連絡なしで訪問してきたのだ。

祭儀場らしきところへ入り、その奥から複数の死神を引き連れて司祭の祭服をきたハーデスが姿を現した。

 

「冥界の魔王ルシファーことサーゼクスでございます。急な来訪を申し訳ございません」

 

アザゼルの隣に立つのは冥界の四魔王が一人、サーゼクス・ルシファーだ。

進撃する巨大魔獣や巨人の群、旧魔王派の残党、民衆の保護を優先を配下の者たちに伝達した後、冥府へと赴いたのだ。

ハーデスがこれ以上の妨害すると予想を付けて。

 

『貴殿らが直接ここに来るとは……これまた虚を突かれたモノだ。

 それにそちらの天使もどきは?尋常ならざる波動を感じてならぬが』

 

神父服を身に纏いブロンドにグリーンの瞳、背には十枚の天使の翼を持つ

 

「これはどうも。"御使い"のジョーカー、デュリオ・ジェズアルドです。

 ルシファー様とアザゼル様の護衛でして。おそらくはいらないでしょうが、ミカエル様に命じられたものですからね」

 

飄々(ひょうひょう)と軽く挨拶する転生天使のデュリオ

だが、神滅具が一つ"煌天雷獄"の所有者にして、空を支配し、ミカエルのジョーカーなのだ。

 

『噂の天界の切り札か。天候を自在に操ると聞く。この老人を相手にするにイジメが過ぎるのでは?』

 

「……先日、冥界のグラシャラボラス領で事件がありました。

 我が妹とその眷属、魔界の友人、アザゼル総督が"禍の団"と"ゾロアスター"の襲撃を受けたのです。

 そこで、死神にも襲われたと聞き汲んでいます」

 

『そこの総督がウロボロスと結託したと耳をしてな、調査を頼んだのだよ。

 どの勢力も協力態勢している最中に、裏切り行為があっては全勢力の足並みが乱れるというからな。

 仮に裏切り行為が本当なら、最低限の警告をするようにも命じただけのこと』

 

わざとらしい敬意を払った説明をしてアザゼルは腸が煮えくり返りそうだった。

 

「………それが冥府の神の言葉とは思えんな」

 

その言葉と共に、待機していた死神たちが斬り飛ばされた。

何事かと思い、見ると銀色の短髪の男――――涼刀嶺爾だ。

いつも以上に怒りの表情をしていたのだ。

 

『ほう……大罪人の貴様もここに乗り込むとの』

 

「貴様が虚言を吐いているか真実を吐いているのか、俺にとってはどうでもいい。ただ、貴様は俺の怒りを買ったのだ」

 

怒りのオーラによる神殿が震え、猛獣、いや……竜の眼でハーデスを睨む。

 

「俺の弟に―――――手を出したことだ」

 

その言葉と同時に、嶺爾に巨大な方陣が描かれる。

この大きさだとかなりの大物クラスだ。

 

「紹介しよう、俺が14番目に契約した悪魔を」

 

嶺爾の足元から闇が溢れ出してくる、ただ純粋な黒と闇。

 

「―――エレボス」

 

名を告げると同時に、闇が嶺爾を飲み脈動をうち徐々に形を成していく。

真っ赤な目、刃の様な二本の角、白い牙が並び、体全体が闇でできた怪物がいた

 

【我は……神霊エレボス。常闇を受け止められるか?】

 

嶺爾の14番目に契約した悪魔を見てサーゼクス、アザゼル、デュリオは驚く

 

「おいおい、洒落にならない奴を……!!」

 

「闇、いや……幽冥かよ!!」

 

「エレボス、原初神か……!!」

 

原初神カオスから生まれた幽冥を神格化させたもの

大神ゼウスが敵わない存在がいるとすれば―――夜の女神ニュクスと幽冥の神エレボス。

それを半人半魔である嶺爾は契約したのだ。

 

「鋼弥もそうだが、その兄も更にとんでもない奴だな……!!」

 

アザゼルは苦笑いしながらも嶺爾の実力に驚愕する。

エレボスはサーゼクス、アザゼルの間をゆっくりと通り、ハーデスと向かい合う。

 

『幽冥を治めし貴様が、半魔の軍門に下るとは、堕ちた者だなエレボスよ』

 

【我は底なしの闇に魅入られて契約を交わったのだ。

 我でさえでも、感服するほどの大きな闇をな。

 だからこそ……好き勝手にしたお前に忠告してやろうと思ってな】

 

エレボスの前に闇黒の球体が生まれ、球体はドンドン膨れ上がり―――――。

 

【オリジン・ダーク―原初ノ闇黒―】

 

破裂した闇黒球体は黒い爆炎と衝撃波が巻き起こり、ハーデスの神殿を半壊させる。

 

『エレボス、貴様……!!』

 

【威力は軽減して、半壊させておいた。全力だったらお主も消滅していた。

 それに……サマエルだってゾロアスターに奪われてしまったのは貴様の自業自得であろう?】

 

『……っ!!』

 

エレボスの発言にハデスは憤り、アザゼル、サーゼクスは驚愕する。

 

「おい、今の話は本当なのか!?」

 

【サマエルを戻そうとした時、帰還の術式にゾロアスターが書き換えたのだろう。

 情けない話だな。大方、ゾロアスターとも協力してゼウスの座を奪おうと考えていたのだろう

 だが……サマエルはあの時よりも強くなるぞ】

 

「どういうことだ……?」

 

【あのサマエルは解析し魔界のサマエルと組み合わせるのだろう。

 欲を出し過ぎて、自分の首を絞める結果になったなハーデス。

 それと……冥界のルシファーよ。お前の真の力は知っておるよ。

 悪魔と呼んでもいいのかというくらい力を持つ者だからな】

 

「……!!」

 

そうエレボスの言葉は本当なのだ。

サーゼクスとアジュカ、この二人は悪魔というカテゴリーから大きく外れた"超越者"と呼ばれる存在なのだ。

突然変異、イレギュラーとも呼んでもいいほどである

 

(まさか、嶺爾がここに現れたのはサーゼクスを護るためにか?)

 

アザゼルは薄々だが嶺爾がただの戦闘狂とは考えられない点が幾つかあった。

あの時、サイラオーグとの闘いだって、暴走していた鋼弥に諭すような行動をして、直ぐに撤退した。

本当に鋼弥を殺すならば、暴走しかけていた所でも止めを刺すチャンスがあるのにだ。

どうやら、外の方でもヴァーリチームが暴れ出して外にいる死神連中と戦闘を始めたようだ。

 

【お前さんはここに留まって我らの相手にしなければならない。雑魚の死神ども指揮するものがいなければなぁ?】

 

『‥‥‥‥‥ッ!!!!』

 

エレボスの辛辣な言葉にハーデスは激情のオーラを身に纏った。

おそらく、これも狙っていて姿を現したのだろう。……悪魔の頭脳の持ち主だな嶺爾は。

サーゼクス、アザゼルは嶺爾の本当の姿――――弟想いの兄なのだと感じたのだ。

ならばと思い、サーゼクスとアザゼルは前に出る。

 

「ハーデスよ。我が妹と我が義弟に向けた悪意、万死に値する。

 私は手加減も躊躇も棄ててこの世から滅び尽くす」

 

サーゼクスは滅びの魔力を解放させて、凍り付くような視線でハーデスに向ける

 

「骸骨神さまよぉ。俺も一応、キレていることを忘れんなよ。俺の教え子どもを泣かすんじゃねむぇよ」

 

アザゼルは光の槍を出現させて、切っ先を向ける。

大人が子供たちに任せるわけにも行かないから。

ハーデスがただ一つのミスがあるとすれば、この三人を憤怒させたことだ。

 

(イッセー、鋼弥。帰って来いよ。いい場面、全部取られちまうぜ?)




この仁は真・女神転生3の"人修羅"だが……完全な悪魔になったが人の心を持ち続けた人修羅と考えてください。

遂に登場した、嶺爾の最後の契約悪魔……エレボス。
ペルソナ3FESをプレイした人ならば、極悪過ぎるラスボス。

次回、反撃の始まり!!

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