ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第十二話 =群青色の魔犬=

「じゃあ、これからについて話すけど、堕天使の連中はアーシアを必ず取り戻してくるはずよ。」

 

「アーシアを取り戻そうとしてくる連中は鋼弥くんが片づけたから、

 連中が混乱しているからこの隙に叩いた方がいいかもね」

 

「堕天使も何処かに潜伏しているから、教会を叩いてもこちらが不利になるかも知れん」

 

「そこで、二手に分かれるわ。イッセー、祐斗、子猫、アーシアは教会へ行き悪魔祓いたちを叩く事」

 

「解りました。」

 

「・・・了解」

 

「は、はい!!」

 

「あのー、部長と朱乃さんと鋼弥は?」

 

「フフッ、私達はこの街に潜伏している堕天使を叩きますわ。」

 

朱乃さんの目が笑っていない、あれは絶対に嬲るという感じだ。

最終確認をすませて、いざ行動開始―!!

 

 

◆◇◆◇

 

 

教会近くまでやってきたが、今の所・・・誰もいない。

 

「イッセーたちは無事に潜入できたようだな」

 

「じゃあ、私達は私達の仕事を終わらせようかしら?」

 

リアスがそう言うと三人の堕天使が現れた。

一人目はイッセーを殺そうとしたロングコートとシルクハットで黒尽くめの大柄な男性、ドーナシーク。

金髪と黒と白のフリルドレスの少女ミッテルトと長い髪の胸元を大きく開いた上着とミニスカートの女性カラワーナがいた。

 

「ふふふ、またお会いしたな。グレモリー家の娘と銀髪の少年。」

 

「なんだ、ドーナシーク?あの銀髪の奴とは知り合いか?」

 

「ていうか、あいつ一人でレイナーレ様に挑んでるみたいだけど勝てるわけないじゃん!

 だって元カノだもん!レイナーレ様にあいつの事聞かされたけどもう大爆笑!!」

 

ミッテルトがそう発言すると、カラワーナとドーナシークがクスクスと笑っていた

ああ、こいつがイッセーの想いを踏み躙ったレイナーレの仲間か。

リアスの表情が怒りに満ちていた。

 

「貴方達、今すぐその口を閉じなさい・・・。」

 

「待った。ここは俺一人で片づけてやる。」

 

「大丈夫ですの?」

 

「あんな、三流の堕天使なら楽勝だ。それよりも、後ろのゲストをどうにかしてくれ。」

 

後ろを振り返ってみると、バイザーが根城にしていた廃墟と同じ召喚の陣が出現したのだ。

そこから現れたのは、赤い体に蛇の尾を持った犬達が召喚されたのだ。

 

「こいつらは・・・!?」

 

「妖獣ガルム、ニブルヘイムを治める女王ヘルの番犬だ。

 どうやら、堕天使たちの魔力に惹かれて現れたか。

 というわけで、そいつらの相手を頼む。二人でなら楽勝で勝てる相手だ。」

 

「全く、あの時の条件がこう言う事だったなんてね。」

 

「契約は契約だろ?じゃあ、頼む。」

 

「まぁ・・・堕天使を相手にするよりはマシな方かもね。」

 

「ウフフッ。同意ですわ部長。」

 

リアスと朱乃は赤い魔犬―ガルムの群れを睨む。

ガルム達はグルルッと咽喉を鳴らして口からファイヤーブレスを放つ。

朱乃は水を呼び寄せて火炎を相殺し、電撃を放ちガルムたちを感電死させる。

残ったガルム達はリアスを狙って火炎弾を放つが、リアスは魔力球を放ち火炎弾を破壊し消し飛ばした。

鋼弥は空に居る堕天使と対峙している

 

「ふむ、これはまたイレギュラーの展開だが、たった一人で我々と立ち向かうのかね?」

 

「・・・・・・。」

 

「アンタの様な悪魔じゃあ、私達に勝てる訳ないじゃない。」

 

「・・・・・・。」

 

「どうしたのかしら?怖くて動けないのかしら?」

 

「・・・18回か。」

 

「ああっ?何の話だ?」

 

「・・・貴様らと対峙している間に、お前らを倒せた数だ」

 

「「「・・・・・・っ!?」」」

 

本人はあくまで事実を言っただけだろう。

だが、三人の堕天使たちにしてみれば、はらわたが煮えくりかえるような辛辣(しんらつ)な挑発だ。

 

「さて、やるとするか」

 

いざ参ろうかと思いきや、声が聞こえた。

 

(おう、戦うのか?じゃあ、オレ様が外に出ても良いよな?良いよな?)

 

(俺なら大丈夫だよ。こんな堕天使に負ける事は・・・)

 

(違う違う。アンヴァルやスィームルグが出たんだからオレ様だって出たいんだよ。それに美味そうだし。)

 

(解ったよ・・・だけど、後ろに居る二人は襲うなよ。)

 

(OKーOKー。)

 

鋼弥の脚元にあの召喚の陣が出現する。

色が群青色に輝いており、僅かだが炎が出ている。

そして、鋼弥は名を告げた。

 

「――ヘルハウンド。」

 

瞬間、群青色の炎が鋼弥の身を包む。

その光景を見る、リアスと朱乃と堕天使三人。

炎が消えると、両手両足に千切れた鎖が繋がっている群青色の狼がそこにいた。

金色の目は三人の堕天使を睨む

 

【HAHAHAHA!!なんとも、美味そうな連中だなぁ?二回も食い損なったが、今度は逃がさんぞ!!】

 

口を開くと鋼弥の声とは全然、違うワイルドな男の声が聞こえた。

ダンッと大地を蹴って堕天使の三人の元へと跳ぶ。

 

「ふざけるなっ!!」

 

カラワーナが光の槍を造り、投擲するが、ヘルハウンドの前足の爪に炎が奔り振りかざした。

 

【爆熱の爪(イグニス・クロー)!!】

 

爆炎の爪が光の槍を破壊し、そのままカラワーナを地面へ叩き落とす。

 

「グハッ!!」

 

起き上ろうとするが、目の前に狼の顔があった。

 

【さぁ・・・ディナータイムだ。】

 

大きく口を開きカラワーナの頭を食い千切る。

首から鮮血が吹き出し身体が痙攣した後、パタリッと静かになった。

それだけでも飽き足らず、腕、脚を噛み千切り胴体を捕食する。

 

「い、いやあああああああっ!!」

 

仲間が無残にも食い殺されたのを目にして逃げようとするが、猟犬は見逃してはくれるほど甘くは無かった。

 

【何処へ逃げようと言うのかね?】

 

「ひぃっ!!」

 

なんで!?距離があるのに、なんでここにいるの!?

ミッテルトは錯乱して光の槍を無造作に投げまくる。

だが、ヘルハウンドはその攻撃を掻い潜り、腕を噛み千切る。

 

「ぎゃあああああああ!!」

 

【ククククッ・・・その悲鳴が何とも心地いいぜ。じゃあな。】

 

擦れ違いざまに頭を噛み砕く。

頭を亡くした堕天使は地面へ落下し、群青色の狼は死体を貪り喰らった。

 

「ミ、ミッテルトまで・・・」

 

【さて残ったのは、あんただけだぜ?】

 

口の周りには返り血を浴びており、ベロリッと舌を回す。

ドーナシークは恐怖し、黒い翼を羽ばたかせて逃走する。

 

「く、来るな!!」

 

【背を向けてんじゃねぇよ・・・マハラギダイン!!】

 

口から巨大な火炎球が放たれ、ドーナシークを飲み込んだ。

叫び声を上げることなく、ドーナシークは塵と化したのだった。

 

――アォォォオオオオオオォォォンッ!!

 

遠吠えを上げ、渦がヘルハウンドを飲み込み、鋼弥の姿になった

リアスと朱乃は恐る恐る近付く。

 

「・・・どうやら、そっちは片付いたようだな。」

 

「え、ええ・・・。貴方、鋼弥よね?」

 

「ああ、正真正銘の涼刀鋼弥だ。まぁ・・・ヘルハウンドの戦いを見れば引くだろうな。」

 

「アンヴァルやスィームルグみたいに穏やかという訳じゃないのね。」

 

「まぁ、魔界の悪魔も色々といるんだよ。」

 

「それよりも、イッセーさん達と合流しましょう。あの子たちでも危ないと思うわ。」

 

「そうね。堕天使レイナーレが残っているし、急がないとね。」

 

三人は教会へと突入する


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