ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第八話 ドルキー最後の日!?

=狩猟と闘技場の国・アラクスロード=

 

ドルキーは依頼を終えて、自宅に帰ろうとしているところだった。

 

「……曇り始めたな」

 

空を見ると雲が集まりだし、太陽が隠れてしまった。

雨が降る前に急いで帰ろうとしたが、目の前に誰かが立っている。

 

「ドルキー・サーティンだな?」

 

「そうだけど、あんたは誰だ?俺のファンか?」

 

ドルキーは冗談めいたことを言うが、次に真剣な表情となる。

 

「いいや、殺し屋だ」

 

ドルキーがいた場所に電撃が帯びている鞭が叩きつけられた。

岩場に乗って、風を生み出す。

 

「悪いが恨まれるような事はしてないけどな」

 

「恨みはない。だが、我々の計画の為に貴様を抹殺する」

 

電気鞭を縦横無尽に振りかざすが、ドルキーの速さでは捕まえることはできない。

 

「なろっ!!」

 

風手裏剣を放つが、電気鞭で薙ぎ払われ掻き消されてしまう。

 

「では、この攻撃はどうだ?」

 

6つの鞭を地面に突き刺し、下から攻撃を仕掛ける。

どこから来るのか解らず、避けるが――――。

 

ビシッ!!

 

ついに捕まってしまい、脚をやられてしまった。

これでは素早く動くかとができない。

 

「くくくく……良い声をあげな」

 

6つの鞭を使いドルキーを締め上げ、電気を送る

 

「ぐああああああああああああああああああああ!!」

 

電気のダメージを与え、ドルキーは悲鳴を上げ、グッタリとし地面に放り投げる。

なんとか意識は保っているが痺れて動けない。

 

「終わりだ」

 

四つの棘から電気を充電し、狙いを定める。

 

「ライトニングダスト!!」

 

ジンライから、無数の雷が降り注ぎドルキーは眩い閃光の中へ消えていく。

残されたのは、彼が被っていた帽子だけだった。

 

「任務完了」

 

ジンライは帽子を拾い、次なる獲物を求め空へと飛び立つ。

 

 

◆◆◆◆

 

=風と森林の国・フィーナの城=

 

 

魔界へと到着し、フィーナの城へと合流する鋼弥たち。

捕獲したホムラとサンカイも連れてきている。

フィーナも今回の事件を知って守りを固めているようだ。

 

「話は解りました。この問題は我々だけではなく三勢力にも被害が出てしまうでしょう」

 

「私たちも機械兵士たちが襲撃して、なんとか対処はしているけど元を叩かないと限がないわ」

 

珠樹がそう言い、他のメンバーたちも同じような反応だ。

 

「ところで、ドルキーさんは?」

 

ドルキーの姿がなく、一誠は伺う。

 

「まだ、アイツだけ来てないんだよ。呑気にナンパでもしてるかもな」

 

望紅はやれやれと言いながら、ドルキーの事を言う。

 

「クレサレですが、全員で突入するのは止めたほうがいいです。

 突入部隊と守備部隊と編成したほうがいいでしょう」

 

「つまり二チームで構成するというわけね」

 

「ええ、クレサレがあるのはディープホールという闇黒界。何かあるかは解りません」

 

「なぁ、鋼弥。そのディープホールって一体何だよ?」

 

「人間界で言う地獄と呼んでもいい場所だよ。

 其処には魔界から追放された悪魔たちが跋扈している広大な世界だ。

 あまり踏み入りたくない場所でもあるからね」

 

地獄のような世界。

そして、ディープホールにクレサレがあるのだ。

突入部隊の準備に取り掛かろうとしたその時、外から爆発音が聞こえる。

窓から見ると、近衛兵士たちと侵入してきた機械兵士たちと戦っている。

皆は外へと向かう。

 

 

◆◇◆◇

 

 

「ほぉ、裏切者もここに集まっていたのか。都合がいいな」

 

機械兵士たちの中からフブキやナギと同じ機械娘が姿を現す。

黄を基調としたボディースーツ、黄色の髪にポニーテールに纏めている。

 

「ジンライ……!!」

 

「あれも貴方達と同じマシンナリードライバーなの?」

 

「彼女は雷のマシンナリードライバー・ジンライ。マシンアーム・ボルトウィップを使うわ」

 

リアスの問いに答えるナギ、ジンライはニヤリッと笑う。

 

「お前たちもこいつと同じように抹殺してあげるよ」

 

ジンライが一誠たちの目の前に何かを投げつける。

それは、ボロボロとなった赤い帽子だった。

 

「この帽子は……まさか!?」

 

鋼弥はこの帽子に見覚えがあった。

それはドルキーがいつも被っている赤い帽子だ。

ジンライから信じられない言葉が飛び出す。

 

「貴様たちの仲間ドルキーは私が始末した」

 

その言葉に一誠たちは驚愕した。

 

「デタラメ言ってんじゃないわよ!!」

 

「そのボロボロになった帽子が何よりの証拠だ」

 

確かにそうだ。

敵が似たようなものを持ったフェイクという可能性がある。

だが、この帽子はドルキーが肌身離さず被り続けていた帽子だ。

つまり、ドルキーは目の前の敵に殺されたという事だ…………。

 

「ドルキーさん……」

 

「そんな…ことって…」

 

リオと彗華は風に関することを教えてくれた彼が死ぬなんて信じられなかった。

 

「嘘…でしょ…?」

 

「あいつが、死ぬなんて……」

 

リーザと珠樹はいつもスピードを自慢していた彼が死ぬなんてありえないと思いたかった。

 

「ドルキー……」

 

鋼弥は信じたくなった。

修行の時、いつだって張り合って共に歩いてきたドルキーが死んでしまったのが……。

 

「お前が死ぬなんて、信じたくないよ。アタシは……」

 

望紅はボロボロとなった帽子を拾い、抱きしめる。

 

「誰とケンカすればいいんだよーーーーー!!」

 

涙を流し、いなくなったケンカ友達に泣き吼える。

 

「てめぇ、許さねぇ!!」

 

一誠の怒りに皆はジンライを睨みつけ闘志を燃やす。

それぞれの得物を持ち、向かおうとするが……。

 

「待てっ!!」

 

望紅が皆を呼び止め、ジンライの方へ向かう。

 

「お前が……お前が……ドルキーを殺したんだって?」

 

「だったら、どうしたの?」

 

「決まっている…。あんたを叩きのめす!!」

 

涙を振り払い、炎の翼を広げる望紅。

ジンライは望紅の熱と炎をものともしないようだ。

 

「そうだ。その怒りと憎悪こそが私たちの力となる。傷つき無力を呪いながら死ぬがいい!!」

 

ジンライは電撃が帯びている鞭を振りかざすが、望紅は体を捻る要領で回避し、炎をまとった脚で蹴りを放つ。

右フック、左フック、上段蹴りとコンボを決めて、回し蹴りでジンライを蹴り飛ばす。

 

「なるほど、怒りが込められているが、まだまだ!!」

 

マシンアーム・ボルトウィップを駆使し望紅を捕縛しようとかかる。

だが、避けるのもだんだん辛くなり、遂には捕まってしまった。

 

「サンダーボルト!!」

 

電気を流し込み、望紅を電流攻めをする。

 

「望紅!!今、助けるわよ!!」

 

珠樹が刀を抜き、助けに入ろうとするが―――。

 

「来るんじゃねぇ!!こいつは…アタシが倒すんだ!!」

 

電気が流れていても、両手で掴みジンライを持ち上げて地面に叩き付けようとするが―――

 

「バカめ!!」

 

逆に望紅を振り回して城壁に叩き付ける。

 

「がっ!!」

 

電撃と叩きつけのダメージにフラフラと立ち上がる望紅

 

「心配しなくても殺してあげるわ。そうね……串刺しにしてあげるわ!!」

 

鞭を頭、腹、四肢目掛けて突き刺そうとするが――――。

 

――――ガキガギカギィィィィン!!

 

望紅を護るかのように巨大手裏剣が鞭を弾いたのだ。

 

「あれって…ドルキーのトゥインクルスライサー!!」

 

飛んできた方向を見ると、其処にはスピード自慢の男が立っていた。

 

(BGM:桜散花)

 

「ワリィな、遅れちまったぜ」

 

「ドルキー!?」

 

「無事だったのか!?」

 

皆がドルキーの生存に驚くが、次に喜びに変わる

 

「バカな!?確かに始末したはずなのに!?」

 

「確かに、ダメかと思ったがあいつが助けてくれたんだよ」

 

ドルキーの後ろに、白を基調としたボディースーツ、灰色の髪、背中にマシンアームを身に着けた機械娘がいた。

その隣に白衣を着た女性もいたのだ。

 

「メビウス博士、ミヤビ。フブキ、ナギとともに組織から抜け出た裏切者め」

 

ジンライはミヤビを憎々しげに睨む。

 

「ジンライ。私たちの目的は本当に正しい事なの?すべての生き物を絶滅させて本当にそれが幸せなの?」

 

「当然だ、オリジンとアポリトがその答えを導き出したのだ」

 

ジンライはそう言うが、メビウスは前に出で否定的な答えを言う

 

「違うわ。あの二人は何かがおかしい。誰かに操られているわ」

 

「間違いはない。そいつらを始末した後、貴様らも博士も連れていくとしよう」

 

ジンライは機械兵士たちに命令を下すと、機械兵士たちは動き出し襲い掛かってくる。

 

「反撃開始だ!!」

 

鋼弥の言葉に戦闘が始まる。

機械兵士の数にも憶さず、全て叩き潰していく。

ドルキー、望紅、ミヤビはジンライと対峙する。

 

「今度こそ、仕留めてあげるとしよう」

 

ジンライの両籠手に電気が帯びているフック状の武器が出現する。

 

「アックスボマー、展開」

 

ミヤビは背中のマシンアームを展開、背中の両アームに戦斧が付けられている。

 

「私をホムラやサンカイと同じだと思うなよ。サンダークロー!!」

 

チェーンフックが発射され三人に襲い掛かってくるが、しゃがんで駆け出す。

ドルキーは風手裏剣、望紅は火炎弾を放つが電気鞭で弾かれる。

 

「アックス・スピン!!」

 

ミヤビは駒のように回転して、ジンライの方へと進む。

サンダークローを放つが回転で弾かれて、直撃し吹き飛ぶ。

 

「ならば…ライトニングダスト!!」

 

無数の雷を放とうとした時だった。

 

「させない!!」

 

ミヤビはダブルアックスを外し、ジンライのマシンアーム目掛けて投擲する。

アックスは刺さり、スパークして逆にジンライは雷に飲まれる

 

「あああああああああああああああ!!」

 

電撃により、ショートして足元がおぼつかないジンライ。

そのチャンスを逃さないドルキーと望紅は一気に攻める。

 

「合わせろよ!!望紅!!」

 

「任せな!!」

 

ドルキーはトゥインクルスライサーを持ち構え、風を集め、望紅は炎を集め同時に放つ

 

「「バーニング・ストーム!!」」

 

火炎の竜巻は地を奔りジンライを飲みこみ焼き尽くす

 

「うああああああああああああああああああああああああ!?」

 

ドルキーと望紅はジンライの懐に入り―――。

 

「「落ちろっ!!」」

 

ダブルボディーブローで止めを刺す。

ジンライは悶絶し、2、3歩下がり後ろに倒れた。

ドルキーと望紅はハイタッチして、勝利を掴んだ。

 

 

◇◆◇◆

 

 

ジンライと機械兵士たちを退けた一行。

アザゼルが魔方陣で会話し終えたようだ。

 

「ヴァーリの所も襲われたそうだ。鎌とか爪を使っていたそうだ」

 

「闇機トコヨね。光機コウカと同じ暗殺と拠点防衛を任されているマシンナリードライバーの一機」

 

「ヴァーリの手も借りたいところだが……あいつらもあいつらで動けないようだ」

 

冥界も天界も応援に駆けつけるのは難しい所だ。

動きを見せてない禍の団やゾロアスターの襲撃に備えて割ることはできない。

それどころか魔界も機械兵士たちが人間世界から出で来れない様に他世界へ通じるゲートを封鎖したのだ。

つまり、自分たちでなんとか止めなければならない。

 

「それで、博士。教えてくれないか?マシンナリードライバーの事を」

 

「彼女たちを造ったのは二人の娘を助けるために行ったの……」

 

メルアは過去を話す、―――遡ること10年前の事だ。

 

サーシャとリアナと二人の娘がいたが、事故に巻き込まれ二人は死んでもおかしくない状況だった。

<対シャドウ少女型殲滅兵器>の設計図と自身の技術を使い、二人を蘇生させたが、国一つを滅ぼすほどの兵器でもあった。

彼女たちが戦わせない様に、様々な属性や状況に応じた武器を持つ8機のマシンナリードライバーを作成した。

この事を魔界の政府たちに報告したが残酷な報せだった。

 

――マシンナリードライバーの凍結――

 

せめて、娘だけでもと言ったが何かの刺激で暴れてしまう可能性があると言われたのだ。

凍結命令を聞けないのなら、彼女たちを廃棄処分と言われたのだ。

彼女がとった行動は凍結命令だった。二度と現実から目を覚ますことの無い永遠の眠り―――。

 

「彼女たちのメンテナンスをしようとした時、黒い霧が二人の娘に取り囲み、目覚めた。

 私は嫌な予感がして他のマシンナリードライバーを目覚めさせようとしたけど、フブキ、ナギ、ミヤビだけしか」

 

「それで、今の状況になった、と」

 

「その黒い霧のせいで二人の娘がおかしくなったというわけか……」

 

なんにせよ、止めなければ取り返しのつかないことになるのは目に見えている。

鋼弥は気になることがあった。

 

「そういえば、ホムラとサンカイから音楽が出できたんですが何か知りませんか?」

 

「音楽……?」

 

鋼弥はオカリナを吹くと、メロディーが奏でるが二つしか出で来ない。

音楽を聞いた途端、メルアは驚いていた

 

「……どうして、その音楽が?私が歌っていた子守唄の?」

 

「子守唄?」

 

メルア博士はもしかしてと思い、ジンライの胸を調べると黄色の音符が出できた。

更に、フブキには青、ナギには緑、ミヤビには灰色の音符が出できた

それらは鋼弥のオカリナに吸い込まれて、音が流れる。

途切れ途切れだったところが、続けて奏でるが……まだ足りない。

 

「メルアさん、これは……?」

 

「私が昔歌っていた子守歌ね、幼いあの子たちが寝れなかった時に歌っていたわ。

 確か、8つの音を全て繋げれるとそれで完成するようになってて」

 

8つの音……最初の2機を覗く8機のマシンナリードライバーが持っている。

 

「しかし……全ての音が揃えたら何か起きるのだろうか?」

 

果たして、その関連性は何なのか解らず。

一行はマシンナリードライバーを止める大作戦を始める。




<対シャドウ少女型殲滅兵器>というのはアトラス作品の一つであるペルソナシリーズをプレイしている人なら解る単語かもしれません。

いよいよ、敵の本拠地に突入作戦!!
次回はシンディたちと合流&新たなキャラが登場し修行同期組が勢揃い!!

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