ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
堕天使の気配はしないが、8人の悪魔祓いがこの部屋へと向かっているだろう。
『追手が来たの!?』
「そうだな、非常に厄介な事になってきた。」
パンッと両手を合わせて音を鳴らすと家具が消滅した。
これは、家具に印を付けて実家へと送りつけるという引っ越しには便利な術だ。
呼び出すときには両手を合わせると、呼び寄せる事が出来る。
「心配はするな、俺が片づけておく。」
『片づけるって・・・相手が悪魔祓いだと貴方が不利よ!!今直ぐそっちにジャンプするから!!』
「悪いが、ここで振り切っても、連中はまた探すから始末はしておく。というわけで、電話終わり」
『あっ、ちょっ――』
携帯電話を切り、胸ポケットへ仕しまう。
アーシアは今の会話を理解しており、肩を震わせ怯えていた。
「・・・私、教会へ戻ります!!これ以上、迷惑をかける訳には・・・」
「駄目だ。君を教会へ戻ったとしても俺と接触したと言う事で見逃すような連中では無い。
まして、教会へ戻ったとしても君は死ぬかもしれない。
だから、俺がここで迎え撃つ。アーシアは俺の傍から離れるなよ。」
「は、はい・・・」
アーシアは俺の後ろへと隠れる。次の瞬間、マンションの扉が破壊された。
「派手に壊してくれたね・・・。」
どうせ、引っ越ししようかと考えていた所だからいいか。
弁償代は後で払っておこう。
悪魔祓いたちは剣、斧、槍など持ってジリジリと近づく。
足元に召喚の陣を描き、名前を呟く
「―――スィームルグ。」
次の瞬間、強風が巻き起こり悪魔祓いたちは警戒し、構える。
風の渦が止むと赤と橙の二色の鳥翼を生やした美女が姿を現した。
胸がやや大きめで黒いスポーツブラと装着しており膝から脚元までが鳥の鋭い鉤爪となっていた
「こ、鋼弥さん、貴方は一体・・・?」
【・・・アーシアといったな、今はスィームルグと呼んでくれ。】
口を開くと、鋼弥の声ではなく女性の声だった。
スィームルグは鷹の様な鋭い目つきで悪魔祓いたちを睨む。
【さて、か弱い女の力を目当てに狙う下賤な者どもよ。我が風の前で散るがよい!!】
バサッと両翼を広げ、舞う様に羽ばたくと無数の羽根が手裏剣となり、二人の悪魔祓いへと集中的に刺さり、絶命する
残りの悪魔祓いたちは怯むことなく斬りかかろうとする。
【真空刃!!】
無数の風の刃を飛ばすと、悪魔祓いたちの後ろがズタズタに裂ける。
外れたのかと思ったが片足を上げてダンッと床へ叩くと、悪魔祓いたちが細切れとなり、
辺りは血と肉片の海となった
【まぁ、こんなものでいいだろう。大丈夫かい?アーシア】
「は、はい・・・ですが・・・」
細切れとなった悪魔祓いを見て少女は怯える。
無理もないだろう、人を殺すという最低な行為を今目の前で行われたのだ。
心優しき少女はこんな私をなんと思うのだろうか?軽蔑の眼として見られるだろうな
「・・・・・・。」
【いや、別にいいさ。あんたを護りたいとは言え・・・人間を殺したんだ、軽蔑されたって構わないよ。】
「・・・鋼弥さんが私を助けてくれたり、
今でもスィームルグさんに変身してこうして助けてくれました。
だから・・・貴方を信じてます。」
【・・・そうか。鋼弥が聞いたらきっと喜ぶよ。】
微笑み翼で優しくアーシアを優しく抱きしめる。
抱擁をといて、ベランダを見る。
【これから、イッセー達の所へ行くけど、高い所は大丈夫かい?】
「はい、大丈夫です!!」
アーシアは背中に乗ってしっかりとつかむ。ベランダから飛び立ち、夜空の中へ飛ぶ。
◆◇◆◇
「この子が、アーシアだ。」
「は、初めましてアーシア・アルジェントともうします。」
「・・・とりあえず幾つか聞きたい事はあるわ。どうして、アーシアを助けたのかしら?」
「あのまま教会に置いたとしても、アーシアの中にある神器が目的だろう。俺はこの子を助けたと言う訳だ。」
「・・・そう解ったわ」
フゥーと一呼吸をするリアス。
「アーシアから、貴方は馬の獣人になったり窓から侵入して来る時なんかは鳥人になった。それは一体何なの?」
「悪魔と契約を結び、その力を使う。これが、俺の能力、"業魔化身(デモニアック・チューナー)"だ」
「業魔化身・・・それが、鋼弥さんの能力ですのね」
「ちなみに馬人の方は神馬アンヴァルで鳥人の方は霊鳥スィームルグだ。
その名の通り、契約を結んだ者達の力を借りてその能力を使える事が出来る。
それは魔神、破壊神、女神、地母神、邪神、魔王、威霊と呼ばれた者達でも。」
最大で12は転身することはできるけどね、っと追加して言う。
「それほどまで、強力な能力という訳なのね・・・。」
「そして、これがリアスの誘いを断った理由でもあるからだ。
俺の余りにも強大過ぎる能力を悪用されないために、見極める必要があったからだ。
だが・・・どうやら、リアスはその心配は無いと確信したよ。」
「じゃあ、最初から信用されてないといういい方じゃない。失礼しちゃうわね。」
「すまん・・・。」
「それで、話を戻すけど、今後どうするかだね・・・」
祐斗の発言で皆は本題に戻る。
アーシアを取り戻してくるはぐれ悪魔祓いと堕天使の対策だ。
「み、皆さん・・・私の為にこれ以上、迷惑をかける訳には・・・」
「何を言う、友達がピンチなのを放っておけない」
「そうだぜ!!俺だってアーシアとは友達だ!!」
鋼弥と一誠はアーシアの前に進み出る
「僕も会うのは今日が初めてだけど友達になりたいな」
「・・・私もです」
「あらあら、私も今日からアーシアちゃんとお友達よ」
祐斗、小猫、朱乃も入ってくる
「リアス、君は?」
「・・・もう、ここで断ったら私が悪者になるじゃないの。貴女を歓迎するわ、アーシア。」
最後にリアスが入ってくる
アーシアの目には段々と潤みだし、それが零れ落ちる
「・・・本当に私とお友達になってくれるんですか?」
アーシアの言葉に全員が頷く
「・・・みなさん、よろしくお願いします!ありがとうございます!」
涙を流しながらも笑顔を浮かべるアーシア。
ずっと孤独だった少女にこの日に、たくさんの友達が出来た。