ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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お待たせしました、後編のスタートです!!


第二話 不思議の平行世界・後編

【お兄ちゃんたちは沢山、友達がいるんだね。アリスも沢山、友達いるよ!!】

 

アリスがクルリッと回ると、屍鬼と悪霊の混成軍勢が現れた。

恐らく、アリスに殺害された者たちだろう。

 

「さぁーて、やるとしますか」

 

壁役となっている屍鬼の軍勢へと向かう鋼弥と望紅。

鋼弥は構えをして、屍鬼を殴り蹴り飛ばす。

一方の望紅は屍鬼たちに囲まれているが余裕の表情だ。

 

「ったく、死人が友達というのは趣味が悪いな。死者には火葬してやらんとな」

 

両手から炎が噴き出して、屍鬼たちへ向かう

炎の手刀、ローキックなどで屍鬼たちを撃破していく。

 

「マハラギオン!!」

 

火炎魔法を唱えて一気に焼き払う。

 

「望紅、あまり魔法は連発するなよ」

 

「わーっているよ!!」

 

崇仁とレイナーレの護衛を任されている紫は鎌を取り出し、構える

 

「・・・元の世界へ帰りなさい」

 

紫は鎌をすれ違いざまに屍鬼たちを次々と切り裂いていく。

糸が切れた人形のように倒れ込み、灰となって還る

悪霊たちが襲い掛かってくるが、鎌を水平に待ち構える。

刃に闇のオーラが集まりだす

 

「ダークスライサー!!」

 

一気に振りかざすと、黒刃が無数に生まれて悪霊たちを次々と切り裂いていく。

三人の実力をただ凄いと感じる崇仁とレイナーレ。

 

(す、すごい・・・。あれだけの悪霊やゾンビを三人で蹴散らすなんて!!)

 

「・・・二人は隠れてなさい。流石に巻き来れるわよ」

 

崇仁とレイナーレは紫の指示に従い、隠れる

残るはアリスだけとなる。

 

【あーあ、せっかくの友達がいなくなっちゃった。今度はアリスが相手にしてあげるね!!】

 

アリスの魔力が一気に膨れ上がる。

 

「これが、アリスの魔力なのか?こいつはすげぇな」

 

「やっぱ、魔人とよばれるだけあるか・・・」

 

三人は警戒しつつアリスの出方を見る。

アリスの右手に紫電の球体――メギドを生み出す。

それをボールの様に投げ飛ばす。

 

――ボンッ!!

 

着弾した場所が爆発し、地面がえぐれていた。

 

【きゃははははははははは!!】

 

メギドを連続で撃ち続けるアリス。

着弾した場所が円状に抉り取れていく。

 

「現世と切り離していなかったら、確実に騒ぎになるわね」

 

「確かにな。おまけにメギドを連発で撃つとは、底がねぇのかよ」

 

「だが、闇雲に撃っているだけで狙いを定めてはいない。三人同時に仕掛けるぞ」

 

鋼弥の作戦に紫と望紅は頷く。

メギドが飛んできて、それぞれ別の方向へと飛ぶ。

紫は右、望紅は左、鋼弥は真ん中と攻撃を仕掛ける。

 

「シャドーダンス!!」

 

舞い踊るように鎌でアリスを連続で斬りつける紫。

 

「フレアウィング!!」

 

望紅は炎の翼を飛ばして、アリスは炎に包まれる

 

「真覇風斬脚!!」

 

鋭い蹴りにより風の大砲が放たれ、アリスは吹き飛ばされる。

怒涛の三連撃で放つが・・・アリスはムクリッと起き上がる。

あれだけの攻撃を受けても大したダメージは受けていない。

 

【うふふふ、今度はアリスの番ね】

 

そういうとアリスは瞬時に紫の前に現れる。

紫は防御をとろうとするが、アリスのマハザンダインにより吹き飛ばされる

 

「きゃああああ!!」

 

続いて、望紅の背後をとりマハブフダインを放つ。

 

(動きが・・・全然、見えない・・・!!)

 

「望紅!!」

 

アリスは鋼弥の前に現れて、マハラギダインとマハジオダインを同時に放つ。

間一髪のところで、避けるがアリスは動きに合わせてゼロ距離メギドを放ち鋼弥を吹き飛ばす。

 

「ぐああああっ!!」

 

三人が瞬く間に、傷つき倒れた。

鋼弥は痛む身体を起こして、アリスの実力を分析する。

 

(マタドールのスピード、ディビットの精密、だいそうじょうの魔力、ヘルズエンジェルのパワー、

この4つが合わさった強さというわけか・・・!!)

 

人を狩るイスパニアの死神マタドール。

心を狂わせる旋律者ディビッド。

死の僧侶だいそうじょう。

地獄の爆走者ヘルズエンジェル。

 

黙示録に関する魔人が上位クラスならば、この者たちは中位クラス。

ただし、それは魔人という種族という枠で視ればだ。

並の悪魔が束でかかっても倒すことは不可能というレベルの力を持つ。

アリスの場合は黙示録の魔人と四つの魔人――その中間クラスの実力に当てはまる。

 

【うふふふふふ、そろそろ終わりにするね】

 

アリスは無邪気な笑みで宣告する―――――。

 

【死んでくれる?】

 

アリスがそう言葉を発すると彼女の影が蠢く。

真っ黒のナイフとフォークが幾つも生み出し鋼弥、望紅、紫に襲い掛かる

 

「強力な呪殺を感じる・・・!!」

 

「あれに当たったら、確実にやられる・・・!!」

 

絶体絶命と思われたその時だ、三人の前に崇仁とレイナーレが立つ。

転生天使と堕天使では、強力な呪殺の前に命を散らす。

 

「バカ!!なにしてんだ!!早く、逃げろ!!」

 

望紅が言うが二人は逃げない。

 

「レイナーレ・・・行くよ!!」

 

「ええっ!!」

 

二人は互いの手を握り、手を前へ翳す。

 

「「水鏡の盾(シールド・オブ・リフレクション)!!」」

 

二人の前に水鏡が出現し、アリスの呪殺魔法を跳ね返したのだ。

 

「凄い・・・」

 

「これが、あの二人の・・・」

 

望紅と紫は二人の神器の威力を見て息をのむ。

鋼弥はやってくれると信じている表情をしていた。

 

【・・・どーして、死なないの?生きてたらアリスと友達じゃなくなるよ?

 死んでいれば永遠にアリスと友達になれるのに、どーして、死んでくれないの?】

 

(生きてたら友達になれない・・・。死んだら友達になれる・・・)

 

崇仁はアリスの特徴やさっきの言葉である点が分かった。

 

「鋼弥さん、このアリスはもしかしたら・・・。

 自分と同じよな者たちを作るためにあんなことをしたんだと思います」

 

「どういうことだ?」

 

「昨日の鋼弥さんの説明とアリスの言葉で解ったんです。

 アリスは・・・生前、不幸な境遇をして亡くなった。

 だから孤独を恐れていたんじゃないかと思います」

 

「老いる事もなく大怪我しても死ぬこともないゾンビにさせようとした理由が・・・」

 

「ただの友達作りという事なのか?だとしても、人間を殺したことには変わらないだろう」

 

「きっと、子供だからそういう善悪や論理も解らないと思います」

 

いくら、恐ろしい魔人とはいえアリスは人間の年齢で例えれば10歳ぐらいだ

 

「だが、アリスを止めなければ多くの人間が犠牲となる。可愛そうだが、倒すしかない」

 

【今度は、お兄ちゃんがアリスと殺戮ごっこしてくれるの?】

 

「・・・ああ、本気で相手にしてやろう」

 

鋼弥の足元に召喚の陣が生まれる。

虹色のオーラが鋼弥を包み込む。

光が晴れると、魔人法師ヒジリが顕現した。

 

「えっ!?あれって鋼弥さん!?」

 

「姿が変わる神器の持ち主なの?」

 

「あれは神器じゃないわ。鋼弥が持っている能力―――業魔化身よ」

 

「その中の一つのヒジリだ。この勝負は私たちが手を出しちゃいけないね」

 

紫と望紅は崇仁とレイナーレの二人を庇うように前に出る。

アリスやヒジリの攻撃の余波を防ぐためだ。

 

「お前たちは私たちをアリスの攻撃から救ってくれた……だからお前たちの身は必ず守る!」

 

「望紅さん……」

 

【お姉ちゃんが私の相手をしてあげるの?楽しみー♪】

 

【幼子に手を上げるのはすすみませんが、止む御えません。

 いざ―――南無参!!】

 

ヒジリは先手にアギダイン、ジオダイン、ブフダイン、ザンダイン、マグダインとアリスに向けて放つ。

アリスは軽やかに避けて、メギドを連続で撃つ。

ヒジリは物理技も持っているが、魔法がメインである。

対してアリスは物理技は一切ないが、魔力に特化しているため詠唱無しでも連続で撃つことができる。

こうなると魔法の撃ち合い合戦となるのだが熟練度で勝っているのは―――。

 

【キャッ!!】

 

ヒジリの放ったメギドを受けて、倒れるアリス。

ここぞと見逃さず、追撃をする。

 

【スターソーディアン!!】

 

指で星の陣を描くと、8つの光剣が出現しアリスを閉じ込める。

眩い光が解き放たれて、アリスに特大ダメージを与えた。

勝負がつき、アリスは地面に座り込んで泣く。

 

【なんで、アリスの邪魔をするの・・・ただ、友達が欲しいだけなのに・・・】

 

ヒジリの姿を解いて、鋼弥は泣いているアリスの頭を撫でる

 

「・・・アリス。ゾンビの様な操り人形じゃなくても俺たちが友達になってやる」

 

「そうよ。音楽や本だって読めないもの」

 

「ああ、一緒に飯食えないし楽しくないじゃん」

 

「僕もアリスの友達になるよ」

 

「私もよ。だから、泣かないで」

 

紫、望紅、崇仁、レイナーレもアリスを慰める。

 

【本当に・・・友達になってくれる?】

 

「「「「「勿論!!」」」」」

 

その言葉で、アリスは泣き止んで笑顔になった。

これで任務達成となり、鋼弥、紫、望紅、アリスは元の世界へ戻ることになる。

次の日―――。

 

「もう少し、ゆっくりしててもよかったんですが・・・」

 

「ありがとう。

 しかし、俺たちは元の世界へ戻らなければならない。

 待っている人がいるからな」

 

「色々とお世話になったわ」

 

「その、悪かったな。お前のことナヨナヨした男とか足手まといとかバカにして」

 

望紅は難しそうな表情をして、後頭部をかきながら謝る。

 

「もう、大丈夫ですよ。気にしないでください」

 

「・・・そっか、ありがとう」

 

紫、望紅、アリスと紫色の穴へ入り込む。

 

「崇仁、強くなれ。今後もレイナーレを護れるほどに、な」

 

「・・・はい!!」

 

崇仁と鋼弥は握手する。

名残惜しそうに鋼弥は手を振って穴へと入り込む。

ゲートが閉じて、何もなくなった。

 

(鋼弥さん、紫さん、望紅さん・・・またいつか!!)

 

崇仁とレイナーレはもう一度、再会できることを信じてその場を後にする。

 

 

◆◇◆◇

 

 

元の世界に戻り、魔界で任務の報告を済ませてアリスをベリアルとネビロスに引き渡そうとしたが―――。

 

【アリス、鋼弥お兄ちゃんと契約結びたい】

 

という言葉で、ベリアルとネビロスは説得するのだがアリスは絶対に帰りたくないようだ。

アリスの熱意に負けたのかベリアルとネビロスは諦めたようだ。

しかし、業魔化身で契約できるのは12体までだ(四騎士の様な、4つで1つというのは問題なく契約できる)。

そこに同じく任務を終えたシンディは鋼弥の魔力をチェックしている。

 

「ふむ・・・鋼弥の力が向上したのか13体目の枠ができてますね。

 コウ、イシュタル、アマテラスとランクアップした者たちの影響かもしれません」

 

「・・・ふむ、それなら大丈夫か」

 

【やったー♪それじゃあ、改めて・・・】

 

アリスはクルリッと回り、スカートの両端をつまんで挨拶する

 

【私の名前は魔人アリス。今後ともよろしくね】

 

新たな仲魔―――魔人アリスと契約完了した。




鋼弥の能力が向上してアリスとの契約が成功しました。

本当は12体までにしようかと考えましたが、強化のフラグで13体までになりました。

ちなみに嶺爾も同じく13体目の悪魔と契約していますが、それはお楽しみという事で。

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