ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第十話 =悲しき過去=

どうにか、追手から逃れて自分のマンションへ戻り窓から入る。

アーシアは怖くて目をギュッと瞑っていた。

 

【アーシアさん。もう、大丈夫だよ】

 

優しく諭すとアーシアはゆっくりと目を開ける。

同時に月の光が優しく照らされ輪郭が映った。

 

「鋼弥さん、その姿は・・・」

 

そう、鋼弥の姿が先程の人間の姿では無かったからだ。

下半身が馬脚、黒い長そで服、茶色の長髪と馬の耳、顔が美男。

しかし、何処か神性と優しさが溢れており怖がるような事は無い。

アーシアをゆっくりと降ろし、魔力の渦が獣人を飲み込むと同時に鋼弥に戻った

 

「驚かせてしまってごめんね」

 

「いいえ、大丈夫です。それに・・・カッコよかったです!!」

 

「・・・ありがとう」

 

アーシアの頭を優しく撫でる。

嬉しいは嬉しいのか照れているのかアウアウと困っていた。

だが、表情が暗くなった・・・

 

「・・・鋼弥さんとイッセーさんは悪魔なんですよね。」

 

「ああ、最も一誠はある事情で命を落とし、悪魔へ転生したけどね。それに、俺は半分は人間の血が流れている」

 

「そう、なんですか・・・」

 

「君は一誠と俺が悪魔と知ったら、嫌いになるか?」

 

「そんな事はありません!!イッセーさんと鋼弥さんは、良い悪魔だと思っています。だから・・・嫌いになんかなりません!!」

 

強くはっきりと言うなこの娘は、将来は絶対にいい嫁になるな。

本題に戻って、少しだけ気になる事がある。

 

「アーシアは何故、あの神父と一緒に行動をしていたんだ?」

 

「・・・それは、私の過去にあるんです」

 

――私は、生まれてすぐに両親から捨てらたんです。

 

――教会兼孤児院で育てられたんですが、八歳の頃に不思議な力、神器が宿ったんです。

 

――そこからカトリック教会の本部に連れて行かれ、「聖女」として担ぎ出されたんです。

 

――ですが、皆が裏で自分の力を異質なものを目で見ていたんです。

 

――そんなある日の事でした。怪我をしていた悪魔を助けたんですが、悪魔祓いを殺して逃げたのです。

 

――それが原因で私は「聖女」ではなく、「魔女」と恐れられ、カトリックから追放されたんです。

 

「それから私は"はぐれ悪魔祓い"の組織と堕天使に拾われたんです・・・」

 

「そんな事があったのか・・・」

 

いつの時代でも、どの世界でも、神に仕えしモノ達はロクな考えをしない。

アーシアを聖女として崇められたのに、魔女へと貶める。

神の使徒たちは身勝手なものだ。だから、神は嘆き見捨てられる。

一生そんな事は解らないだろう・・・。

 

「私は夢があるんです。普通にお友達とお買い物したり・・・お喋りしたり・・・お友達といっぱい・・・」

 

アーシアは止め処なくポロポロと涙が流れた。

いくら、神器を持つ聖女とは言えまだ年端もいかぬ少女。

普通に女の子としての生活に憧れていたんだ。

俺は、アーシアをギュッと抱きしめた。

 

「大丈夫だ。俺がアーシアの友達になってあげるよ。俺だけじゃない、一誠もさっきの人達も友達になってくれないか頼んでみる」

 

「!!・・・鋼弥さん・・・」

 

小さな聖女は俺の胸の中で泣いた。

さて、これからどうするかだ・・・、教会に戻しても、アーシアはきっと神器欲しさに殺される可能性がある。

その時、携帯電話が鳴りだした。着信には一誠と表示されていた。

 

「もしもし」

 

『鋼弥ーー!!大丈夫かーー!?』

 

「大声で叫ぶな、五月蝿い。」

 

『わ、悪りぃ・・・アーシアは無事なのか?』

 

「アーシアは無事だ。俺の部屋で保護している」

 

・・・反応が無い?

 

『お、お、お前、アーシアを部屋に連れ込んだのか!!?』

 

「何をそんなに叫ぶ必要がある?緊急事態だから仕方ないだろ?」

 

『それはそうだけど・・・。まさか、鋼弥!!お前、ロリコンだったのか!!?』

 

「貴様の様な性欲権化ではない」

 

これでは話が進まん。

 

『もしもし、鋼弥?聞こえるかしら?』

 

どうやら、リアスが電話に替わったか。これで話が進められる。

 

『貴方、部屋にシスターを連れているそうね。まさか、そんな趣味があったなんてね』

 

前言撤回、こいつも楽しんでいやがる。ハァーと息を吐いて人差し指を眉間に置く。

 

「・・・楽しいかい?そうやって人を弄るのは」

 

『フフフ、冗談よ冗談♪それより貴方は自宅マンションに居るのよね?だったら結界はしているかしら?』

 

「結界?なんでそんな話をするんだ?」

 

『イッセーから事情を聞いたんだけど、フリード神父がアーシアを傷つけないように保護している。

 でも、それはアーシアの神器が狙いでしょうね。あのシスターには癒しの力を持っている事もイッセーから聞いたわ。

 だから、堕天使やはぐれ悪魔祓いたちはアーシアを取り戻す為になんらかの措置はとっていると思うわ』

 

そう聞くと、致命的な判断ミスしてしまった。

今更、結界しても間に合わないだろうし、もう嗅ぎつけていると思う。

ベランダから下を見ると、複数の人がこちらへ向かっているのが解る。

 

「どうやら、連中がここを嗅ぎつけた様だ・・・逃げるのは無理かも知れん。」


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