ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
どうにか、追手から逃れて自分のマンションへ戻り窓から入る。
アーシアは怖くて目をギュッと瞑っていた。
【アーシアさん。もう、大丈夫だよ】
優しく諭すとアーシアはゆっくりと目を開ける。
同時に月の光が優しく照らされ輪郭が映った。
「鋼弥さん、その姿は・・・」
そう、鋼弥の姿が先程の人間の姿では無かったからだ。
下半身が馬脚、黒い長そで服、茶色の長髪と馬の耳、顔が美男。
しかし、何処か神性と優しさが溢れており怖がるような事は無い。
アーシアをゆっくりと降ろし、魔力の渦が獣人を飲み込むと同時に鋼弥に戻った
「驚かせてしまってごめんね」
「いいえ、大丈夫です。それに・・・カッコよかったです!!」
「・・・ありがとう」
アーシアの頭を優しく撫でる。
嬉しいは嬉しいのか照れているのかアウアウと困っていた。
だが、表情が暗くなった・・・
「・・・鋼弥さんとイッセーさんは悪魔なんですよね。」
「ああ、最も一誠はある事情で命を落とし、悪魔へ転生したけどね。それに、俺は半分は人間の血が流れている」
「そう、なんですか・・・」
「君は一誠と俺が悪魔と知ったら、嫌いになるか?」
「そんな事はありません!!イッセーさんと鋼弥さんは、良い悪魔だと思っています。だから・・・嫌いになんかなりません!!」
強くはっきりと言うなこの娘は、将来は絶対にいい嫁になるな。
本題に戻って、少しだけ気になる事がある。
「アーシアは何故、あの神父と一緒に行動をしていたんだ?」
「・・・それは、私の過去にあるんです」
――私は、生まれてすぐに両親から捨てらたんです。
――教会兼孤児院で育てられたんですが、八歳の頃に不思議な力、神器が宿ったんです。
――そこからカトリック教会の本部に連れて行かれ、「聖女」として担ぎ出されたんです。
――ですが、皆が裏で自分の力を異質なものを目で見ていたんです。
――そんなある日の事でした。怪我をしていた悪魔を助けたんですが、悪魔祓いを殺して逃げたのです。
――それが原因で私は「聖女」ではなく、「魔女」と恐れられ、カトリックから追放されたんです。
「それから私は"はぐれ悪魔祓い"の組織と堕天使に拾われたんです・・・」
「そんな事があったのか・・・」
いつの時代でも、どの世界でも、神に仕えしモノ達はロクな考えをしない。
アーシアを聖女として崇められたのに、魔女へと貶める。
神の使徒たちは身勝手なものだ。だから、神は嘆き見捨てられる。
一生そんな事は解らないだろう・・・。
「私は夢があるんです。普通にお友達とお買い物したり・・・お喋りしたり・・・お友達といっぱい・・・」
アーシアは止め処なくポロポロと涙が流れた。
いくら、神器を持つ聖女とは言えまだ年端もいかぬ少女。
普通に女の子としての生活に憧れていたんだ。
俺は、アーシアをギュッと抱きしめた。
「大丈夫だ。俺がアーシアの友達になってあげるよ。俺だけじゃない、一誠もさっきの人達も友達になってくれないか頼んでみる」
「!!・・・鋼弥さん・・・」
小さな聖女は俺の胸の中で泣いた。
さて、これからどうするかだ・・・、教会に戻しても、アーシアはきっと神器欲しさに殺される可能性がある。
その時、携帯電話が鳴りだした。着信には一誠と表示されていた。
「もしもし」
『鋼弥ーー!!大丈夫かーー!?』
「大声で叫ぶな、五月蝿い。」
『わ、悪りぃ・・・アーシアは無事なのか?』
「アーシアは無事だ。俺の部屋で保護している」
・・・反応が無い?
『お、お、お前、アーシアを部屋に連れ込んだのか!!?』
「何をそんなに叫ぶ必要がある?緊急事態だから仕方ないだろ?」
『それはそうだけど・・・。まさか、鋼弥!!お前、ロリコンだったのか!!?』
「貴様の様な性欲権化ではない」
これでは話が進まん。
『もしもし、鋼弥?聞こえるかしら?』
どうやら、リアスが電話に替わったか。これで話が進められる。
『貴方、部屋にシスターを連れているそうね。まさか、そんな趣味があったなんてね』
前言撤回、こいつも楽しんでいやがる。ハァーと息を吐いて人差し指を眉間に置く。
「・・・楽しいかい?そうやって人を弄るのは」
『フフフ、冗談よ冗談♪それより貴方は自宅マンションに居るのよね?だったら結界はしているかしら?』
「結界?なんでそんな話をするんだ?」
『イッセーから事情を聞いたんだけど、フリード神父がアーシアを傷つけないように保護している。
でも、それはアーシアの神器が狙いでしょうね。あのシスターには癒しの力を持っている事もイッセーから聞いたわ。
だから、堕天使やはぐれ悪魔祓いたちはアーシアを取り戻す為になんらかの措置はとっていると思うわ』
そう聞くと、致命的な判断ミスしてしまった。
今更、結界しても間に合わないだろうし、もう嗅ぎつけていると思う。
ベランダから下を見ると、複数の人がこちらへ向かっているのが解る。
「どうやら、連中がここを嗅ぎつけた様だ・・・逃げるのは無理かも知れん。」