ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第六話 大混戦

「あれだけ喰らっても、傷一つもついてないのかよ!?」

 

一誠だけではなく、祐斗、ゼノヴィア、イリナも曹操の実力に驚愕する。

 

「・・・1つ訊きたい。貴様ら英雄派が動く理由は何だ?」

 

アザゼルが曹操に問い、曹操は目を細めながら答える

 

「堕天使の総督殿。意外に俺達の活動理由はシンプルだ。

 『人間』として何処までやれるのか知りたい。そこに挑戦したいんだ。

 悪魔、ドラゴン、堕天使、魔物、超常の存在を倒すのはいつだって人間だった。

 ――――いや、人間でなければならない」

 

「英雄になるつもりか?・・・って、英雄の子孫だったな」

 

曹操は人差し指を青空に真っ直ぐ突き立てた

 

「――――弱っちい人間のささやかな挑戦だ。

 蒼天のもと、人間のまま何処までいけるか、やってみたくなっただけさ」

 

【白龍皇や嶺爾とは、違う思想を持っておるようだな、曹操よ。

 だが、人間としての限界を超える心意気は良い】

 

一誠逹も英雄派も改めて身構える。

未だに出現が止まらないアンチモンスター。

英雄派には神器所有者が多く、その殆どが禁手になれる

ここから本格的に戦闘が始まりそうだった

 

―――パァァァアアアッ

 

グレモリー眷属陣営と英雄派の間に魔方陣が輝きながら出現する

見た事が無い紋様の魔方陣から現れたのは、魔法使いの格好をした可愛らしい女の子だった

魔法使いの格好をした少女は一誠逹の方を向いて深々と頭を下げ、笑顔を見せる

 

「はじめまして。私はルフェイ・ペンドラゴンです。

 ヴァーリチームに属する魔法使いです。以後、お見知りおきを」

 

「ヴァ、ヴァーリチーム!?」

 

一誠は驚愕し、アザゼルが少女――――ルフェイ・ペンドラゴンに訊く

 

「・・・ペンドラゴン?お前さん、アーサーの何かか?」

 

「はい。アーサーは私の兄です。いつもお世話になっています」

 

【兄が剣士で妹は魔法使いか・・・バランスの取れているものだな】

 

すると、ルフェイ・ペンドラゴンが目を爛々と輝かせながらコウリュウに視線を送る

 

「あ、あの・・・私、『乳龍帝おっぱいドラゴン』に出てくる銀牙のファンです!

 差し支え無いようでしたら、握手とサインをしてください!」

 

【ふむ】

 

緊迫した戦場の中で握手を求められたコウリュウは反応に困るが、握手をしてサインを書く(鋼弥名義で)

 

「やったー!ありがとうございます!噂の銀牙と握手が出来て光栄です!」

 

さっきまで呆気に取られていた曹操が頭を掻きながらルフェイに問う

 

「ヴァーリのところの者か。それで、ここに来た理由は?」

 

曹操の問いにルフェイは屈託の無い笑顔で返した

 

「はい!ヴァーリさまからの伝言をお伝え致します!

 『邪魔だけはするなと言った筈だ』――――だそうです♪

 うちのチームに監視者を送った罰ですよ」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 

突然、地震の様に大地を揺るがす震動がこの場を襲ってきた

大地が割れ、そこから巨大なものが土を巻き上げながら姿を現した

 

『ゴオオオオオオオォォォォォッ!』

 

雄叫びをあげる巨人らしき巨大な物体

無機質な物質で構成されたようなフォルムで、10メートルぐらいの体躯だ

 

「こいつは――――ゴグマゴグか!」

 

アザゼルが叫び、その言葉にルフェイが頷く

 

「はい。私達のチームのパワーキャラで、ゴグマゴグのゴッくんです♪」

 

【ほうゴグマゴグか。魔界のとは随分、違うな】

 

「先生、あの石巨人は・・・?」

 

「古の神が量産した破壊兵器だったらしいが、全機が完全に機能停止だった筈だ」

 

「ヴァーリさまは次元の狭間でこのゴッくんを探していたのです。

 オーフィスさまが以前、動きそうな巨人を次元の狭間の調査で感知した事があるとおっしゃられまして、改めて探索した次第です」

 

「次元の狭間・・・そうか。

 ヴァーリが以前、次元の狭間で彷徨いていたのはグレートレッドの確認だけじゃ無かったのか」

 

アザゼルがヴァーリの行動に気付いた様に言い、ゴグマゴグと呼ばれる巨人が英雄派の方を向いた

 

「ゴッくん。英雄派の皆さんにお仕置きしちゃって」

 

ルフェイが命令を下すが、大量の悪魔たちが出現した。

そこに、アカ・マナフとタローマティが出現する。

 

「なんのつもりだタローマティ殿、アカ・マナフ殿?」

 

【ふむ・・・聊か余計な手出しかもしれんが、我々も働いておかねばと思ってな。

 一応、貴様たちとは協力体制をしているので】

 

【曹操、悪魔を退治しておくと言いながらもゾロアスターと協力しているのか?】

 

コウリュウの問いに曹操は軽く答えた。

 

「彼らが封印している者の中に我々と同じく英雄が含まれているのでね。そのために協力をしているのさ」

 

【利害一致というわけか・・・】

 

【そういうことよ。ここで死んでちょうだいな】

 

タローマティは悪魔の群を一誠たちへと向かわせる。

 

「こんな時に、ゾロアスターの悪魔たちが攻めてくるのかよ!」

 

【我がゾロアスターたちをやる。リオ、お前は一誠たちとルフェイと共に英雄派を食い止めてくれ】

 

「了解」

 

リオは杖を構えて、魔方陣を次々と描く。

様々な属性魔法が放たれ、英雄派の構成員を食い止める

一方、ゾロアスターが呼び出した悪魔たちを相手にするコウリュウ。

 

【ラクチャランゴ、バイブ・カハ、フンババ、ベナンガル、ウェンディゴ、オーガが多数。

 そして、タロスが一機か・・・】

 

臆することもなく、楽しそうな顔となり眼前の敵に立ち向かう。

 

 

(BGM:通常戦闘~アマラ経絡~(真・女神転生Ⅲより))

 

 

ラクチャランゴ×3は鼻息を荒くして、猛スピードでコウリュウに突進する。

コウリュウは蒼の宝玉を出してマハザンダインを放ち、ラクチャランゴを吹き飛ばす。

バイブ・カハ×4とベナンガル×4は周りを旋回して、攻撃を仕掛けるが、朱の宝玉を呼び出しマハラギダインで焼き払う。

フンババが飛び掛かり、鋭い爪で引っ掻きにかかるがコウリュウは掴み、投げ飛ばす。

ウェンディゴ×4はマハブフーラを放つが、白の宝玉を顕現させて両手に白い籠手となり払いのける。

オーガ×4は巨大な包丁を持って振りかざしてくるが、籠手で包丁を弾く。

片足を軸に、ローリングキックを繰り出して、オーガたちを蹴り飛ばす。

ウェンディゴの群へと、飛び込み掌打、肘鉄、二段蹴りと攻撃する。

 

【さて、あとは主だけだな】

 

青銅の巨兵タロスが拳を振り下ろし、潰しにかかるがコウリュウは避けて、反撃に出る。

 

【白虎猛爪撃!!】

 

籠手から闘気でできた白虎の爪が出現し、タロスを連続で引き裂く。

一旦距離を離してから―――。

 

【ハッ!!】

 

両爪を前に出して、ドリルのように回転しながらタロスの胴体に風穴をあける

タロスはグラリッと後ろに倒れ、轟音が響き粒子化し、魔界へと還った。

このまま、有利に運ぶかと思いきや―――。

 

【そこまでよ】

 

なんと、九重が捕まっていた。

アーシアとリオの方を向くと、いつの間にか連れ去られたようだ。

直ぐに助けに入ろうとしたが、タローマティは鎌を出して、九重に近づける。

 

【卑怯な・・・】

 

【正攻法であんたを倒せるわけじゃないからね。

 それにアタシ達は悪魔だから、手段は選ばないしね。

 このお嬢ちゃんを助けたければ、化身を解いて、おとなしく私たちと来な】

 

一誠たちも助けに入ろうとするが、アカ・マナフが立ちはだかり炎を出す。

ルフェイもゴグマゴグも戦いをやめている。

 

【・・・止むおえぬか】

 

コウリュウは姿を解いて、鋼弥へと戻る。

タローマティは首と両手首に封具を施した後、九重を突き飛ばす

 

【まぁ、あんたは殺さず英雄派どもがいいように使うはずだよ】

 

タローマティは邪悪な笑みを浮かべて、曹操へ渡す。

 

「・・・祭りの始まりとしては上々だ。アザゼル総督!

 我々は今夜この京都と言う得意な力場と九尾の御大将を使い、二条城で大きな実験をする!

 是非とも制止するために我らの祭りに参加してくれ!銀流星の身柄も預からせてもらう!」

 

霧が濃くなり、やがて視界が霧に包まれた

 

「お前ら、空間が元に戻るぞ!武装を解除しておけ!」

 

霧が晴れた時、何事も無かったかの様に橋を往来する観光客逹の姿と、元の風景が広がる

いつの間にかルフェイとゴグマゴグもいなく、鋼弥は英雄派に拉致されてしまったのだ。

鋼弥がいない事について松田が訊いてきたが、一誠は誤魔化すしか出来なかった

 

「どいつもこいつもふざけた事を言いやがって・・・!

 京都で実験・・・?アンリ・マンユが目覚めるだと・・・?

 舐めるなよ!」

 

マジギレするアザゼルと体を震わせる九重。

一誠逹の修学旅行は思いがけない展開を迎えようとしていた・・・。


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