ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第五話 魏の武帝VS無敵黄龍

「戦闘だ。始めよう」

 

曹操が開戦の言葉を上げ、アンチモンスターの軍勢は雄たけびをあげて鋼弥逹に向かってくる

祐斗とゼノヴィアが前線に立つ。

 

「木場、悪いが聖剣を一振り創ってくれ」

 

「了解。君は二刀流の方が映えるからね」

 

祐斗が聖剣を創り、ゼノヴィア目掛けて放り投げ、ゼノヴィアは聖剣をキャッチしてアンチモンスターを斬っていく

 

「曹操、お前は俺がやらしてもらおうか!」

 

アザゼルはファーブニルの宝玉を取り出し、人工の神器である黄金の鎧を身に纏う

12枚の黒い翼を展開して高速で曹操に向かっていった

 

「これは光栄の極み!聖書に記されし、堕天使総督が俺と戦ってくれるとは!」

 

曹操は桂川の岸に降り立ち、不気味な笑みで槍を構える

すると、槍の先端が開いて光り輝く金色のオーラが刃を形作る

2人は攻め合いながら下流の方へ向かって駆けていった

曹操の相手はアザゼルが担当しているので、残りの構成員とアンチモンスターはアーシア、九重を除いたメンバーでやるしかない

一誠は何とか振り絞って導き出した答えを発する

 

「ゼノヴィア!アーシアと九重の護衛をしてくれ!

 それと聖なるオーラを飛ばす攻撃でこちらに近づく敵を倒してくれ!」

 

「了解だ!」

 

ゼノヴィアは一誠の言葉に応じて、素早く後方へ下がりアーシアの護衛に入った

 

「一誠、今回は頭を働かせているね」

 

「いつかは上級悪魔になるんだ。

 分からないとか、出来ないのままじゃ、"王"になれやしない!

 部長がいない今、俺が何とかするしかないんだ!」

 

「なら、俺とリオはどうすればいい?」

 

「鋼弥もアンチモンスターと相手してくれ!光を出す魔獣は厄介極まりないからな!

 リオさんは、ゼノヴィアと一緒にアーシアと九重の護衛してくれ!!」

 

一誠は再び頭を回転させ、今度は祐斗に指示を出す

 

「木場!お前、光を喰う魔剣が創れたよな?」

 

「え?うん。――――そうか!」

 

一誠の問いを理解した祐斗は足下に光を喰う魔剣『光喰剣』を何本か創り、仲間逹に放り投げる

 

「その剣は普段、柄のみだ!闇の刀身を出したい時は剣に魔力を送ってくれ!」

 

「ゼノヴィア、危なくなったらそいつを盾代わりに光を吸え!

 アーシアも不慣れかもしれないが、そいつを持っているんだ!無いよりマシだ!」

 

「は、はい!」

 

祐斗からの補足説明と一誠の追加指示を聞いた2人はすぐに応じた

一誠はアスカロンが抜けた籠手の穴に『光喰剣』を差し込み、闇の盾らしきものが出現した

 

「イリナ!悪いがゼノヴィアの代わりに前線に立ってくれ!

 天使のお前なら光は弱点じゃないよな?」

 

「じゃ、弱点じゃないだけでダメージは受けるんだけど、悪魔ほどの傷は貰わないわ。

 分かった!私、やってみるよ!ミカエル様のA(エース)だもん!」

 

イリナは白い翼を羽ばたかせて前衛ポジションに行った

一誠もリアスの代わりとなったアーシアから合意を得て『僧侶』に昇格

ドラゴンショットの乱れ撃ちをアンチモンスターと英雄派の構成員目掛けて撃ち込む

英雄派の構成員は避けるが、アンチモンスターはドラゴンショットを受けて消え去っていく。

アンチモンスターは難なく霧散していくが、レオナルドと呼ばれる少年は足下の影から次々とアンチモンスターを生み出す

 

「これだと、限がないわ・・・」

 

「任せろ。―――アンクー!!」

 

陣を描き、親指を齧り、血の滴を召喚の陣へと落として呼び出す。

だが、いつものように二丁の銃や鎌は取り出さない。

 

 

(BGM:ICE MAN)

 

 

【・・・まとめて、吹き飛ばす】

 

アンクーの左手に鎖が出現し、思いっきり引っ張ると何かがアンクーの隣に落ちた。

一同は何なのかと思い見るとそれは―――。

 

「か、棺桶!?」

 

アンクーは棺桶の蓋を蹴っ飛ばし、中を探る。

二丁の三連式ガトリングを取り出し、アンチモンスター目掛けて撃ちまくる。

次に二丁のフリーガーハマーを出して、トリガーを引き撃ちまくる。

アンチモンスター達を蜂の巣にして、爆炎に飲まれていく。

 

「ならば、こちらを狙うまで!!」

 

アンクーの銃撃から逃れた英雄派の女性数名が剣や槍を携えてアーシア、九重、リオに襲ってきた。

 

「接近戦ならば、魔法は使えない!!」

 

だが、リオは前に出で杖を棒術の如く敵の攻撃を防いでさばいていた。

 

「な、なに!?」

 

「バカな!?報告では魔法しか使えんのに!?」

 

「コーくんに少しばかり接近戦闘の基本を教わりました。それに杖に魔力を込めて、振り払うと」

 

杖の先端に淡い魔力が集まり、横薙ぎ払いで振りかざすと魔力波が出てきて構成員を吹き飛ばした。

 

「・・・こうすることもできます」

 

「なるほど、赤龍帝だけではなく、魔界から来た者たちも驚異のようですね。流石だよ」

 

腰に何本も帯剣した白髪の優男が前に出でくる。

 

「まずは自己紹介といこう。

 初めまして、グレモリー眷属。僕は英雄シグルドの末裔、ジーク。

 仲間からは"ジークフリート"と呼ぶけど、そちらも好きなように呼んでくれて構わないよ」

 

ジークフリート、北欧神話の"ニーベルンゲンの歌"で悪竜ファーフニルを倒した英雄

ずって怪訝そうに見ていたゼノヴィアが何か得心したようだった

 

「・・・何処かで見覚えがあると思っていたが、やはりそうなのか?」

 

「ええ、。あの腰に帯刀している複数の魔剣から考えて絶対にそう」

 

ゼノヴィアの言葉にイリナが頷き、何か知っているような雰囲気だった

 

「どうした、2人とも?あのイケメンに覚えがあるのか?」

 

一誠の問いにゼノヴィアが答える

 

「あの男は悪魔祓い――――私とイリナの元同胞、『魔帝ジーク』。

 白髪なのはフリードと同じ戦士育成機関の出だからだろう。

 あそこ出身の戦士は皆白髪だ。何かの実験の副作用らしいが・・・」

 

ジークフリートと言う男の正体は元教会関係者だった

イリナは直ぐに問い詰めた

 

「ジークさん!あなた、教会を、天界を裏切ったの!?」

 

「裏切ったって事になるかな。現在、"禍の団"に所属しているからね」

 

「なんて事を!教会を裏切って悪の組織に身を置くなんて万死に値しちゃうわ!」

 

「・・・少し耳が痛いな」

 

元教会の戦士で悪魔となったゼノヴィアは頬を掻く

 

「良いじゃないか。僕がいなくなったところで教会にはまだ最強の戦士が残っているよ。

 あの人だけで僕とデュランダル使いのゼノヴィアの分も充分に補えるだろうし。

 案外、あの人は『御使い』のジョーカー候補なんじゃないかな?

 紹介も終わったところで剣士同士やろうじゃないか。

 デュランダルのゼノヴィア、天使長ミカエルのAの紫藤イリナ、聖魔剣の木場祐斗」

 

教会関係者だった3人に宣戦布告するジークフリートは剣にオーラを纏わせる。

祐斗が神速で斬り込むが、ジークフリートは正面から聖魔剣を受け止めた。

 

「魔帝剣グラム。魔剣最強のこの剣なら、聖魔剣を難なく受け止められる」

 

鍔迫り合う両者はすぐに後方へ飛び、体勢を立て直してから再び剣戟を繰り広げる。

禁手状態の祐斗が押されている現状に、アンクーも目が離せなかった

 

【・・・あのジークフリート、相当の手練れだな】

 

「我々の組織では派閥は違えど『聖王剣のアーサー』と『魔帝剣のジークフリート』と呼ばれている」

 

英雄派の構成員がそう言い放つ。

あの時のはアーサーはスコルを相手に余裕で戦っていた。

ジークフリートがアーサーと同じ実力者なら、幾ら木場でも厳しい戦いになる。

 

「木場!お前1人では無理だ!悔しいかもしれないが、私も加勢する!」

 

「私も!」

 

「――――ありがとう!」

 

祐斗はゼノヴィアとイリナの参戦に乗り、3人でジークフリートを攻撃していく

ジークフリートは魔帝剣グラムで全ての剣をいなす。

祐斗は神速で分身を生みながら撹乱し、ゼノヴィアは上空からオーラを纏った聖剣で斬りかかり、

イリナは滑空しながら背後から光の剣で突き刺そうとする。

ジークフリートは振り返らずにイリナの攻撃を後ろ手に回した剣で防ぎ、ゼノヴィアの剣を空いた手に握った剣で破壊した。

 

「バルムンク。北欧に伝わる伝説の魔剣だよ」

 

ジークフリートが余裕の表情で言うが、まだ祐斗の攻撃は終わっておらず、横薙ぎの聖魔剣が横腹に入る刹那―――。

 

ギィィィィンッ!

 

ジークフリートが新たに鞘から抜いた魔剣が聖魔剣を受け止めた。

 

「ノートゥング。こちらも伝説の魔剣」

 

3本めの魔剣、ジークフリートの両手は塞がっているから、普通は持てる筈が無い。

だが――――。

 

「な、何なんだありゃ!?背中から腕が生えてる!?」

 

一誠だけでなく、祐斗、ゼノヴィア、イリナが驚愕した。

ジークフリートの背中から生えた3本めの腕がノートゥングを握っていたのだ。

その腕は銀色で鱗の様なものに包まれていたドラゴンの腕だった。

 

「この腕かい?これは『龍の手』さ。

 ありふれた神器の1つだけれど、僕のは亜種だよ。

 ドラゴンの腕みたいな物が背中から生えてきたんだ。

 ついでに、まだ禁手にもなっていないよ」

 

残酷な報せがジークフリートの口から出る

殆ど素の状態で祐斗、ゼノヴィア、イリナの3人を圧倒している事になる

困惑する一誠逹の前にアザゼル、曹操が戻ってきた。

アザゼルの鎧は所々崩壊しており、翼もボロボロだった

一方、曹操は制服や漢服に破れた箇所があるだけだ。

堕天使総督とやり合って負傷がこの程度、一誠は少し震えてしまう

 

「心配するな、イッセー。お互い本気じゃない。ちょっとした小競り合いだよ」

 

「そのちょっとした小競り合いで下流の地域が崩壊しているんですけど!?」

 

一誠がツッコミを入れ、曹操は聖槍を肩に乗せて少し笑む

 

「流石は聖書に記されし堕天使の総督。

 小競り合いなのに光の力が半端じゃなかったよ。

 次は・・・君と勝負がしたいな?」

 

曹操は槍をアンクーに向ける。

アンクーの姿を解いて、鋼弥は何も言わずに構える

 

「君が最も強い悪魔を呼び出して相手にしたいよ。倒せてこそ英雄だからね」

 

「いいだろう」

 

鋼弥は足元に陣を描きはじめる。

今までのよりも、強力な魔力や霊力が帯びている。

 

「―――コウリュウ」

 

足元に陰陽太極図が出現し、金色の龍が飛翔し天へと昇る。

雷が落ちると、中華風の服、黄土色の髪、腰に龍の尾、三本の角を持つ青年顔の龍人がいた。

 

【我が名は龍神コウリュウ。我が主の盟約に従いここにて顕現!!】

 

一誠とアザゼルはこの声に聞き覚えがあった。

ミドガルズオルムの時に、鋼弥から発せられた威厳に満ちた声の主。

四神を束ねし、頂点に君臨する森羅万象の龍神コウリュウである。

 

「あれが、鋼弥の最後の契約悪魔か・・・」

 

「私も見るのは初めてだけど、あれほど上位悪魔と契約していたなんて・・・」

 

リオも鋼弥が契約した最後の悪魔を見て息を飲む。

魔界において最上級ドラゴンはほんの一握り、コウリュウはその中に入る。

コウリュウは印を結ぶと、蒼い宝玉が出現し、宝玉が太刀となり、頭上に掲げると、雷雲を呼び寄せた。

 

【雷火将来!!】

 

頭上から雷の嵐で曹操の動きを止める。

翼を広げて周囲を高速で移動しながら、中段薙ぎ払い斬りをするが、曹操は聖槍を真っ向から受け止めに入る。

高速の剣戟と槍戟の攻防が繰り広げられ、地面が削れていく。

 

「これが、コウリュウとやらの力か!!素晴らしいよ!!だからこそ、倒すべき存在だ!!」

 

【ふんっ、ただ英雄の名を受け継いだものかと思っていたが、実力は本物のようだな】

 

コウリュウは一度離れて、太刀を基の宝玉に戻し、朱、白、黒の宝玉を呼び出す。

 

【森羅万象、その身でしかと、受けよ!!】

 

蒼の宝玉からザンダイン。朱の宝玉からアギダイン。

白の宝玉からブフダイン。黒の宝玉からマグダイン。

四つの宝玉から同時に曹操へと放たれ、飲みこまれていく。

流石に勝負はついたのだろうと、一誠たちは思ったがコウリュウは顔の表情を変えずにジッと視ていた

しかし、曹操はオーラを纏った聖槍で防いでおり、傷一つもついていなかった。




これで、鋼弥が契約した悪魔は一応揃いましたが、この9章で更にランクアップするものがいますので楽しみに待っててください。

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