ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第二話 いざ、京都へ

迎えた修学旅行当日。

東京駅、新幹線のホームの隅に鋼弥達は集まっていた

見送りに来た朱乃は、来て早々に鋼弥を抱きしめる

 

「・・・寂しくなっちゃいますわ。鋼弥さん」

 

「先輩。頭をナデナデしてください」

 

鋼弥は小猫の頭を優しく撫でる

リアスが旅に出る二年生全員にカードみたいな物を渡した

 

「これは?」

 

「これが悪魔が京都旅行を楽しむ時に必要な、『フリーパス券』よ」

 

京都は寺が多くある。

パワースポットが多く、悪魔が歩き回るには不都合な事が目立つ

京都の裏事情を牛耳る陰陽師及び妖怪が悪魔にフリーパス券を発行してくれる。

 

「私達の時もそうだったけれど、キチンとした形式のある悪魔にならこのパスを渡してくれるの。

 グレモリー眷属、シトリー眷属、天界関係者、あなた達は後ろ盾があって幸せ者なのよ?」

 

全員がフリーパス券を制服の裏ポケットに入れ、準備が整う

アーシアの携帯が鳴り、同じクラスの桐生から呼び出しが掛かる

 

「では、リアスお姉さま。私達、行ってまいります!」

 

「行ってきます」

 

「行ってきまーす!」

 

アーシア、ゼノヴィア、イリナの3人がリアスに別れの挨拶をして新幹線の方へ

 

◆◇◆◇

 

京都駅に着いて、そこから数分歩いたところに大きな高級ホテルが見えた

その名も「京都サーゼクスホテル」。

少し離れたところには「京都セラフォルーホテル」が建っている。

入り口に立つボーイに学生証を見せ、ホールまで案内された。

きらびやかで豪華絢爛な造りのロビーを見て、松田、元浜、桐生は圧倒される

 

「百円均一のショップは京都駅の地下ショッピングセンターにあります。

 何か足りないものがあったら、そこで済ませるように。お小遣いは計画的に使わないとダメです。

 学生の内から豪快なお金の使い方をしてもロクでもない大人になるだけですよ。

 お金は天下の回り物。あれやこれやと使っていたらすぐに無くなります。

 だからこそ100円で済ませなさい。百均は日本の宝です」

 

ロスヴァイセが生徒達に百均ショップを熱く語っている

教師に就任してすぐに生徒からの人気を得て、更に歳が近いため「ロスヴァイセちゃん」と親しみを込めて呼ばれていたりする

前に立つ教師の最終確認が終わり、生徒達が従業員から部屋のキーを受け取っていく

鋼弥は自分の部屋のキーを取りに行こうとした矢先、ロスヴァイセに呼び止められた。

 

「どうしたロスヴァイセ?何か用か?」

 

「はい。鋼弥さんのお部屋の事ですが・・・私の部屋と同室する事になりました」

 

「一応、理由を聞きたいのだが・・・」

 

「それは鋼弥さんが一人部屋なのを良しとして、

 ゼノヴィアさんが夜這いに行くかもしれない可能性だってあります。

 ですから教師として、責任を持って私が鋼弥さんを護ります」

 

「・・・・・・そんな理由か。悪いが、いらないお世話だ」

 

「いいえ!!風紀を乱さないためにもです!!」

 

「それは、職権乱用に近いようなものじゃないのか?俺と一緒にいなければいけない理由にならん」

 

「そ、それは・・・。後、私たちは悪魔ですから、すぐに会議できるようにと・・・」

 

「気持ちは解るが、心配し過ぎだ。ゼノヴィアが襲ってきても止めさせる様に釘を刺す」

 

そう言い切る鋼弥、ロスヴァイセはウルウルと涙を浮かべていた。

仕方ないと、思い。

 

「・・・この修学旅行の間だけ、一緒に寝てもいいよ」

 

そういうと、ロスヴァイセの表情は太陽ような笑顔になった。

なんだかんだで、女の涙に弱いようだ。

 

 

――――――――――

 

翌日。

 

「おーっ、見ろ、アーシア、イリナ。珍しいものがたくさん店頭に並んでいるぞ」

 

「わー、かわいい狐ばかりですね」

 

「ここでお土産ちょこっと買ってもお小遣い足りるかしら?」

 

午後になり、京都駅から一駅進んだ稲荷駅に到着した一行

アーシア、ゼノヴィア、イリナ、リオは早速京都の空気を堪能している

 

「美少女カルテットの京都風景。まずは一枚目!」

 

松田がアーシア逹を撮影していると、ゼノヴィアが鋼弥を呼ぶ

 

「鋼弥、一緒に写ってくれ」

 

「わかった」

 

「イッセーさんもこちらへ」

 

「おう、アーシア」

 

鋼弥の腕にゼノヴィア、一誠の腕にアーシアがしがみ付く。

松田は怨恨の視線を向けたままシャッターを切った。

一番鳥居を抜け、本殿を進み、稲荷山に登れる階段に足を踏み入れた。

 

―――歩き始めて数十分。

 

「・・・ま、待ってくれ・・・。ど、どうしてお前逹はそんなに動けるんだ・・・?」

 

元浜は既にグロッキーとなっており、松田が嘆息しながら言う

 

「おいおい、元浜。情けないぞ。アーシア逹だってまだ元気だってのに」

 

松田は野球部所属なので体力には自信があるが、鋼弥逹も悪魔なので基礎能力は人間より上だ

さらに夏休みに特訓もしたからこれぐらいなんともない。

途中にある休憩所の店を見ながら登っていく。

 

「わりぃ、俺チョイとお先にてっぺんまで行ってみるわ。鋼弥も来るか?」

 

「ああ」

 

鋼弥と一誠は他の皆に断りを入れてから階段を勢い良く駆け上がった

頂上らしき場所に出ると、そこには古ぼけたお社があった。

辺りは木々に囲まれており、まだ日が出ているのに薄暗い。

二人は手を合わせてから下山しようと、お社で手を合わせた

 

『おっぱいをたくさん見て触れますように!部長とエッチ出来ますように!』

 

『・・・これからも朱乃と幸せに暮らせるように』

 

二人はお参りし終えて、立ち去ろうとするが―――。

 

「・・・京の者ではないな?」

 

突然の声に反応して周囲に気を配らせる。

 

「・・・人間の気配ではないな」

 

鋼弥は気配する方を向き、一誠が身構えている。

巫女装束を着ている金髪と金色の目の少女だが、頭部にはキツネ耳が生えていた

キツネ耳の少女は2人を激しく睨み、吐き捨てるように叫ぶ。

 

「余所者め、よくも・・・ッ!かかれっ!」

 

掛け声と共に林から黒い翼を生やした頭部が鳥の輩と、神主の格好をして狐の面を被った奴等が大量に出現した。

 

「な、なんだ!?」

 

「カラス天狗と妖狐・・・妖怪か。何の用だ?」

 

「とぼける気か!母上を返してもらうぞ!」

 

「は、母上?何を言ってんだ!俺達はお前の母ちゃんなんて知らないぞ!」

 

一誠が少女にそう叫ぶが、少女は問答無用と言った様子だった

 

「私の目は誤魔化しきれんのじゃ!」

 

「どうやら、勘違いされているようだな」

 

「どうした、2人とも」

 

「何々?妖怪さんよね?」

 

ゼノヴィア、イリナ、リオが合流し、少し遅れてアーシアも駆けつける。

 

「そうか、お前逹が母上を・・・もはや許す事は出来ん!

 不浄なる魔の存在め!神聖な場所を穢しおって!絶対に許さん!」

 

少女が怒りを一層深めて叫ぶ。

これでは話し合いは出来そうに無かった。

 

「一誠はアーシアの所に行ってやれ。俺は単独でも平気だ」

 

「分かった!でも、あまり派手にやらないでくれ!部長から言われてるんだ!」

 

カラス天狗逹の攻撃を躱しながら軽めに拳と蹴りで打ち落とす。

妖狐たちも襲ってくるが軽く薙ぎ払い、一誠逹も苦戦する様子は無かった。

少女は不利だと悟り後方に退き、憎々しげに睨んだあと手をあげる。

 

「く・・・撤退じゃ。今の戦力ではこやつらに勝てぬ。

 おのれ、邪悪な存在め。必ず母上を返してもらうぞ!」

 

少女がそれだけ言い残すと、仲間たちをつれて一迅の風と共に消え去った。

京都――――起こって欲しくない何かが起こりそうな予感がした。

 

 

◇◇◇◇

 

 

【ここが、古の都の京都。なるほど霊的地場が強い】

 

六大悪魔のアカ・マナフとタローマティが降り立っている。

 

【地上世界を調べて我が主を復活させるためのエネルギーがあるわ。

 そして、日本帝国軍が使っていたあの悪魔たちもね】

 

アカ・マナフの眼光が真っ赤に輝き口を開く。

 

【・・・必殺ノ霊的国防兵器と称されし悪魔を手中に収めん】


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