ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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今回から第九章の修学旅行編!!

いつものように、温かい目で見守っててください。


≪第9章 波乱万丈の修学旅行≫
第一話 サイラオーグの拳


「将来的にはグレモリー領に北欧魔術の学舎を設立したり、

 悪魔の女性からヴァルキリーを輩出したりと新しい事業をしてみたいと思っております」

 

「天使の私が上級悪魔のお屋敷にお邪魔出来るなんて光栄の限りです!

 これも主と・・・魔王さまのおかげですね!」

 

ロスヴァイセが自身で思い描いている未来予想図を語り、イリナがはしゃぐ。

修学旅行間近になり、グレモリー眷属+イリナはリアスの両親と共にグレモリー家のダイニングルームでお茶会をしていた

眷属が全て揃ったので、記念としてリアスの両親に紹介する事になった

優雅に紅茶を楽しみながらの世間話一誠は固くなってしまい、他愛もない会話を続けていった

お茶会を終えた後に転移用魔方陣で帰ろうとしたが、サーゼクスが戻って来たと言うので挨拶に向かう

そしてサーゼクスとサイラオーグを見かける

 

「お邪魔をしている。元気そうだな、リアス、赤龍帝。そして銀流星」

 

「ええ、来ていたのなら一言言ってくれても良かったのに。そちらも元気そうで何よりだわ」

 

リアスが兄のサーゼクスに挨拶をした後、サイラオーグがここに来た理由を訊く

 

「お兄さま、サイラオーグがここに来ていたのは?」

 

「うむ。バアル領特産の果物などをわざわざ持ってきてくれたのだよ。

 従兄弟に気を遣わせてしまって悪いと思っていたところだ。

 今度是非ともリアスをバアル家のお屋敷に向かわせようと話していたのだよ」

 

サイラオーグはサーゼクスから見れば母方の従兄弟である

 

「今度のゲームについていくつか話してね。

 彼はフィールドを用いたルールはともかく―――、

 バトルに関しては複雑なルールを一切除外して欲しいとの事だ」

 

サーゼクスの言葉を聞いてリアスは驚き、鋼弥は真っ先にサイラオーグに問う

 

「それは、不確定要素を全部受け入れるという事か?」

 

「時間を止めるヴァンパイア、心の内を読む赤龍帝の技、規格外と言われる銀流星の力。

 俺は全部許容したい。お前達の全力を受け止めずに大王家の次期当主を名乗れる筈が無いからな」

 

サイラオーグのカミングアウトに鋼弥以外の全員が息を呑む

 

「サイラオーグ、イッセーくんか鋼弥くん。どちらかと少し拳を交えたいと言っていたね?」

 

「ええ、確かに以前そう申し上げましたが・・・」

 

「軽くやってみたら良い。二人の拳、その身で味わいたいのではないかな?」

 

サーゼクスの言葉に一誠は驚愕する。

若手悪魔ナンバー1と言われるサイラオーグと組み手。

サーゼクスがリアスに訊くと、リアスはしばし考え込み、意を決した様に答えた

 

「お兄さま。いえ、魔王さまがそうおっしゃるのでしたら、断る理由がありませんわ」

 

「決まりだね。さて、サイラオーグ。どちらとやりたい?」

 

サーゼクスはサイラオーグに訊くが、鋼弥が一歩前に出て挙手する

 

「何かな?鋼弥くん」

 

「どちらかではなく、両方と戦えばいいと思います」

 

鋼弥の発言に全員、驚愕した。

 

「遅かれ早かれ戦うのであれば、2人相手した方が手っ取り早いと思います」

 

サイラオーグは不敵且つ気迫溢れる笑みを浮かべながら答えてくれた

 

「良い機会を貰った。存分に見せましょう、我が拳を・・・ッ!」

 

 

――――――――――

 

 

グレモリー城の地下にある広いトレーニングルーム

リアス達は少し離れた場所で待機し、鋼弥と一誠とサイラオーグは中央で向かい合う

サイラオーグが貴族服を脱いでグレーのアンダーウェア姿になる

筋骨隆々の肉体が2人に重圧を与える。

一誠は籠手を出して禁手のカウントを開始、鋼弥は深呼吸をし、構える

カウントが終了し、一誠は『赤龍帝の鎧』に身を包ませ、ドラゴンの翼を広げて攻撃の構えを取る。

 

「一誠、とりあえず初手だ。同時に仕掛ける」

 

「おう!」

 

鋼弥と一誠は揃って飛び出し、逃げる素振りを見せないサイラオーグの顔面に拳をくらわせた。

鋼弥はすぐに後方へ飛び退き、一誠も背筋に寒気を感じて下がる。

 

「マジかよ。傷1つ付いてねぇや・・・」

 

「これがバアル家次期当主、鋼の肉体か・・・」

 

サイラオーグは2人に殴られた部分を指で擦る

 

「良い拳だ。真っ直ぐで、強い想いが込められた純粋な拳打。

 並の悪魔ならこれで終わる。だが――――」

 

眼前にいたサイラオーグが消え、鋼弥は瞬時に危険を察知して横に飛ぶ。

 

「――――俺は別だ」

 

一誠は背後の声を聞いて両腕をクロスしてパンチを受けるが、鎧の籠手は一発の拳で砕けてしまった

体勢を崩された一誠はブーストを噴かして距離を取り、鋼弥はサイラオーグの左頬に気を込めた肘鉄をぶち込んだ。

だが、サイラオーグに目立ったダメージは無かった

 

「俺の武器は3つ。頑丈な体、動ける足、そして体術だ」

 

「その強さを得るまで、鍛えたというわけか」

 

「ああ、己の体を信じてきただけだ」

 

「・・・凄いです。サイラオーグさん」

 

一誠と同じ様に、魔力の才能を持たずに生き抜いてきた男

残された自分の肉体だけをひたすら鍛え、次期当主にまで上り詰めた。

それは生半可な覚悟で出来るものではない。

 

「俺だって負けていられない!『戦車』にプロモーションッ!」

 

一誠は『戦車』にプロモーションした

 

「むっ、『戦車』だと?」

 

一誠の昇格にサイラオーグは怪訝な表情になる。

 

「現ベルゼブブ様から個人的にアドバイスを貰ったんだ。それをチョイと試してみたくて」

 

「そうか、見せて貰おうか」

 

サイラオーグが瞬時に消え、一誠は踏ん張ってオーラを全身に纏う。

鋼弥は目を閉じてサイラオーグの気配を探す。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

一誠は倍増したドラゴンのパワーを防御に回して拳に力を込める。

 

ゴッ!

 

正面に現れたサイラオーグが一誠の腹にボディブローをめり込ませた。

 

ドッ!

 

鋼弥はサイラオーグが攻撃を放った直後に、顔面目掛けて回し蹴りを放つ

一誠も歯を食い縛って痛みに耐え、サイラオーグの顔面に右ストレートを打ち込んだ。

 

「なるほど・・・赤龍帝は『戦車』へ昇格したか。誤った判断でもなさそうだ」

 

サイラオーグは次に背後にいる鋼弥を見た

 

「銀流星の蹴りも鋭い一撃だった。業魔化身がすべてではないか」

 

「それは、貴方とて同じことだ。今の一撃を受けて、手ごたえがない」

 

「今日はここまでにしておこう。これ以上続けると歯止めが効かなくなってしまう。

 それはあまりにも勿体無い。お前達は今何かに目覚めようとしている最中なのだろう?」

 

サイラオーグが貴族服を拾い、2人の肩に手を置いた

 

「ならば、それを得てからだ。最高の状態で殴り合う。

 それこそが、俺の求める赤龍帝と銀流星との戦いだ」

 

サーゼクスに挨拶をした後、サイラオーグはこの場を去っていった

緊張感がすっかり解けた一誠は鎧を解除する。

 

「どうだったかな?彼の一撃は?」

 

「・・・似てました。俺の拳にそっくりで驚きました」

 

「確かに一誠と同じで、驚いた。

 足りないものを補おうと練り上げたからこそ、力強い必殺の一撃」

 

「そう、全てがストレートな攻撃。それは悪魔にないものだ。

 因みに彼は両手両足に負荷のかかる封印を施して戦っていた」

 

サーゼクスの告白に一誠は衝撃を受け、鋼弥は違和感の正体が解ったという感じだ

 

「本気の彼はどれほどの力を持つのか、考えただけでも恐ろしい」

 

「彼はもうプロの『王』と比べても何ら遜色は無い。

 禍の団やゾロアスターの襲撃も何度か防止し、悪魔側に勝利をもたらしている。

 しかし、君達も大したものだよ。あのサイラオーグと拳を交えて尚も戦闘意識を失わないとは。

 彼と相対した者の中には軽い手合わせでも戦意を喪失した者が出た程だ。

 それこそ、自慢の魔力が通じず、肉体のみで圧倒されれば、高い魔力こそがステータスの悪魔では心が折れてしまう。

 位が高い家の者程プライドが高く、一度折れたら再起が難しい」

 

「俺は・・・もう負けたくないだけです。レーティングゲームで負けたくない。

 俺はゲームではまともに勝てた事が無いんです。鋼弥みたいに・・・」

 

ディオドラ戦はノーカウント

ライザー戦、ソーナ戦の両方で一誠は黒星だった

一誠は悔しさを押し込んで決意を秘める。


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