ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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一か月と20日も待たせてしまって、大変申し訳ありません。

ここから、いよいよ・・・激戦の始まりです。
今回のを含めて全5話にまとめたいと思います。
それでは、お楽しみに・・・。


第八話 激戦①

闘技場の観戦を終えて、フィーナの城へと戻る一行たち。

だが、城の様子がおかしかった。

門番兵たちがどこにもいなかったのだ。

中に入ると、庭中に衛兵たちが倒れていたのだ。

タオが衛兵の様子を見ると、ホッと一息した

 

「どうやら、気絶させられたようです」

 

「だが、いったい誰がこんなことを・・・?」

 

「・・・遅かったな」

 

月の光が照らされると、銀色の髪の男が現れた。

それは、鋼弥と同じ悪魔に変身する力を持つ―――。

 

「嶺爾・・・!!」

 

「なんだって、てめぇがここに・・・!?」

 

「そろそろ、貴様たちと戦って見てもいい時期だと思ってな。

 対等に渡り合えるのは鋼弥だけかと思っていたが・・・赤き龍帝たちも強くなったからな。

 故に、邪魔な兵士たちは寝かせておいた」

 

「それならば、私たちとも戦う理由はありますね。私の大事な兵たちを痛めつけたことは許せません」

 

フィーナたち魔界組も戦闘の準備をする。

 

「あわてるな、戦う方法は決めてある。

 そちらが人数を決めて俺と戦う。単純でわかりやすいだろ。

 制限時間は1時間、両者が一人でも生き延びてたら引き分けとする。

 それと金髪のシスターは外させてもらう。戦闘に不向きだからな。

 そして、鋼弥は最後に戦う。これが条件だ」

 

リアスは腕を組んで、しばらく考えてから答えを返す

 

「いいわ、貴方の条件をのむわ」

 

「・・・では、誰がこの俺と戦う?」

 

「私が、行きます」

 

「同じく、私も相手になります」

 

「ぼ、僕もです!!」

 

小猫、ロスヴァイセ、ギャスパーが前に出る

もう一人、誰かが出てくる

 

「僕も、戦います。三人だけどでは不安です」

 

タオも戦いに参戦する。

嶺爾は、右足を強く踏むと、周りの景色が変わり、荒野の世界となった。

更に、結界が発生して内と外と遮断した。

 

「ここは、現世から外れた時間が流れない異界。

 好きなだけ暴れてもよい。終わり次第、元の世界に帰してやる。

 それまで、楽しませてくれよ」

 

スッと召喚の陣が足元に描かれていく。

無数の蛇が嶺爾の身を包み、消えるとヴァスキが姿を現す

 

【くくく・・・美味そうなのが4人もいるか。久々の獲物だな】

 

舌先をチロチロと出して、ニヤリッと笑う。

 

「な、なんか・・・怖そうな蛇ですぅ・・・」

 

ギャスパーは早くもヴァスキの姿を見て、怯えロスヴァイセの後ろに隠れる。

 

「私は一度だけでしか、見たことありませんが・・・氷と毒に気を付けたほうがいいです」

 

コカビエル戦の時に、氷を囮にして、毒を打ち込むという戦法をしたヴァスキ。

身のこなしは軽いほうだろう。素早い動きも注意が必要だ。

 

【では、いこうかぁ・・・ブフダイン!!】

 

ツララを作り出して、投擲する。

避ける一同だが、ヴァスキがどこに来るか気配を探る。

小猫の背後から気配がして、急いで前に転がる。

振り返ると、ヴァスキがそこにいたのだった。

 

【おや・・・?よく見抜いたものだ。ワシが背後にいるというの】

 

【・・・猫又になれば、貴方の気配を見抜くことはできます】

 

小猫は猫又モードになっており、両手の気を練る。

瞬時に懐に入り、ヴァスキを殴り飛ばす。

 

【ぬごっ!!?】

 

ヴァスキは尻尾を巧みに操り、地に着き前を見る。

タオは猴棍(こうこん)を取り出して、振り回して構える。

 

「ハッ!!」

 

駆け出して、棍を連続で前に突き出す。

ヴァスキは四本の腕で巧みに防ぐ。

 

【そんなもので、ワシに勝てると思っているのか、小僧?】

 

「ここからが、勝負!!」

 

ヒュン!!ゴッ――!!

 

棍を振り上げて、ヴァスキの顎を当てる。

その隙に、連続で突いて、棍を地面に指して横大車輪蹴りを決める。

頭を振って、現状を把握するが眼前にはロスヴァイセが展開している魔方陣が目に映る。

止めようとかかるが、体が動かない。

ギャスパーが神器を発動させて、動きを封じ込めたのだ。

 

【ぬぅ・・・!!】

 

「これで・・・止め!!」

 

ロスヴァイセの属性魔法が一斉砲撃してヴァスキをのみ込む。

結界の外にいる一誠たちも勝利を確信していた

 

「おお、押している!!」

 

「これなら、勝ったわね」

 

鋼弥はジッと見据えている。

 

「・・・いや、まだだ」

 

煙が晴れると、ヴァスキの姿が現れたが・・・大したダメージは受けてないようだ。

 

「効いてない¡?」

 

【ククククッ・・・その程度か?では、行くぞ】

 

長い尾を振りかざして、ギャスパーを弾き飛ばす。

 

「あぐっ!!」

 

「ギャーくん!!」

 

【余所見をしているな!!猫が!!】

 

地面を叩くと、氷が奔り小猫の足を凍らせて動きを封じる。

 

「でやああああっ!!」

 

棍を構えて、振りかざすが、四本の腕で止められる。

ヴァスキが口を大きく開けると、凍てつく吹雪が吐かれてタオを凍傷させる。

ロスヴァイセは再び、魔法を放とうとしたが、長い尾でギリギリに捕まり締め上げられる

 

「くっ・・・!!」

 

【あの程度で、このワシに勝てると思っているのか?だとしたら甘い。

 嶺爾のような冷酷な強さを持ってないと・・・このワシを倒すのは不可能だよ】

 

思い出されるのはかつて、ナーガの時。

一際荒くれ者で同族を手にかけて喰って力を蓄えていた。

そんな時も銀髪の若造―嶺爾と戦い負けて死を覚悟した。

だが・・・奴は殺そうとはしなかった。むしろ、あの言葉を聞いて疑った。

 

―――お前は同族ですら喰らい力を得ようとする精神、気に入った。

 

【それから、ワシは奴と契約を交わした。更なる力を得るため】

 

ヴァスキから語られた言葉に鋼弥以外の者たちはただ驚いていた。

ロスヴァイセは睨みつけて、ヴァスキに問いかける

 

「・・・貴方は、自分の仲間ですら喰って、正気ですの!?」

 

【強い力を手っ取り早く得るために同族と喰い殺し合う。それが、邪龍の生き方じゃ!】

 

捕縛していたロスヴァイセを思いっきり投げ飛ばすがタオが身を挺して守る。

 

「タオさん!!無理をしては・・・」

 

「平気だよ、これぐらい・・・ぐっ」

 

凍傷のうえ身を挺して守ったことで、無茶なことをするタオ。

 

【ハッ!!そんな、年増のヴァルキリーを庇うとは馬鹿な小僧だな】

 

ビシッ――!!

ロスヴァイセから亀裂が入るような音が聞こえ、震えが増していく

 

「い、今・・・年増と言いましたか!?私はそんなに老いてません!

 まだ・・18歳の処女なんだからあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

チュドドドドドドドドドドドドドドオォォォォォォォォォォォォォンッ!

 

泣きながら怒るロスヴァイセは属性魔法のフルバーストを放つ。

ヴァスキはフルバーストの雨に直撃する。

やがて、スッキリしたのかフルバーストの雨が収まる

 

【ぬう・・・なるほど、怒りは時にパワーを上げるからなぁ・・・】

 

さっきよりもダメージを受けていた。

その隙に、タオは小猫を戒めている氷を破壊する。

小猫は仙術でタオの凍傷を癒す。

 

「ありがとう、助かるよ」

 

「助けてくれた、お礼」

 

体力は回復し再び、対峙する。

ヴァスキはニッと笑う。

 

【お遊びはここまでにして・・・本気で倒してやろうか】

 

ヴァスキから凍える冷気が発せられていく。

精神を集中させて、目を閉じる。

周辺が凍りつき始めて、カッと目を開く。

 

【ヒーマアラーヤ!!!!】

 

頭上から巨大な氷塊が、タオたちめがけて降ってくる

 

「なっ!?これほどまで、巨大な氷が!!?」

 

「ギャーくん、時間停止!!」

 

「は、はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!」

 

ギャスパーは神器を発動させて氷塊の動きを止める。

しかし、完全に止まってはいなく降下しつづけている。

 

「どうなっているんだ!?ギャー助の神器は決まっているのに!?」

 

驚く一誠だがリーザが、冷静に答えを導く

 

「・・・あれはただの氷塊じゃないわ。ヴァスキの呪力が込められている魔の氷河を一部持ってきたものよ」

 

「魔の氷河?」

 

「氷の国の極寒の地にある魔の氷河、太古の化石が多く眠っている場所。

 ヴァスキを初めとした極限の寒さに耐えて生きてる者たちが住んでいるのよ。

 あの魔の氷河は、溶けることも無く高い魔力を秘めているため、魔法の材料に使われる」

 

「じゃあ、ギャスパーの神器が効果ないのは・・・」

 

「氷は生物を冷凍保存され、時間が止まっている状態。

 だから、あの子の時間停止の神器をもってしても・・・長くは持たないわ」

 

再び、結界内にいるメンバーを見ると氷塊はもすぐ迫っている。

このままでは、押しつぶされるのも時間の問題だ。

 

「なら、もう一度魔法の砲撃で・・・!!」

 

「あれを砕いたとしても、散らばった塊が降り注がれてアウトだ・・・」

 

砕いたら、雨のように降り注がれて逃げ場もない。

タオは棍に闘気を送り込み、先端が槍となる

 

「あの巨大でも・・・破壊すべき一点ある。

 その点をつけばバラケズに真っ二つに割れる。

 どこにあるかは勘だけどね・・・。

 ロスヴァイセさん、障壁を張って被害を食い止めてください」

 

ロスヴァイセは障壁を張り巡らせて、小猫とギャスパーを守る。

タオは氷塊を砕く点を探り一か八かの勝負にでる。

目を閉じて、感覚を研ぎ澄ます。

 

―――暗闇の中、一筋の光を見つけた。

 

眼を開いて、破壊すべき点に狙いをつけて地面を蹴る。

 

飛翔龍撃槍(ひしょうりゅうげきそう)!!」

 

闘気の龍が唸りを上げて破壊すべき点へと噛み砕く。

すると、氷塊がビシビシと一直線にヒビが入り、真っ二つに割れた。

ここから、反撃のチャンスかと思いきや・・・。

ヴァスキの姿が解除され嶺爾だった。

 

「・・・タイムアップだ」

 

取り出した懐中時計は既に一時間を切っていた。

第一試合は引き分けとなった・・・。


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